deux補正2

プリンシパルの怖ろしさ(と醍醐味)はこれからだ


個人的な全体の感想です。

演技の面では早川さんが一枚から二枚抜けています。ただ「怪物」生田絵梨花や「逸材」久保史緒里ほど破格の存在ではないように思います。
それに次ぐのが賀喜さん北川さんのふたり。

また、舞台用の濃いメイクが映えるメンバーとそうでないメンバーがいますね。前者は賀喜さん、後者は遠藤さんが代表格。遠藤さんは持ち味のふわっとした魅力がメイクによってスポイルされてしまっているように感じます。

ただ、ここまではあくまでも2日目時点での話。

プリンシパルの恐怖=醍醐味は、これからです。


よく「舞台は生き物」と言いますが、プリンシパルは通常のそれとはまったく違うレベルで生き物です。

「立候補」と「観客投票」によって、状況が公演ごとに変わる。

それだけではありません。

その日までの結果によって、メンバーもファンも心理状態が変わり、それが行動に大きな影響を及ぼすのです。

立候補には戦略が求められる


メンバー側では立候補の戦略。これがひとつ鍵になります。

初日は皆、自分が最もやりたい、あるいは自信がある役に立候補するでしょう。
そして当選したメンバーは、「その役を極める」か「全役制覇を目指す」かの選択が生じます。落選メンバーも同じように「その役にこだわる」か「方向転換するか」の選択に迫られるのです。

これが3日4日と経つにつれ、さらに状況は複雑になります。
特定の役にこだわって落選続きのメンバーは、それでも初心を貫くのかそれとも見切りをつけるのかの判断に迫られるのです。

さらにいわゆる強メン、今回で言えば早川さんに勝負を挑むのか回避するのか。
ちなみにこの記事作成時点(2019年4月13日土曜日夜まで6公演終了)では早川さんが6戦全勝という無双状態。役はロミオ2ジュリエット1ぜんぶ3。3役制覇も3公演目でストレート達成しています。ぜんぶが多いのはもしかして主役を譲る彼女の遠慮なのでしょうか。

どの役に立候補するか。そこには戦略の一言ではくくれない側面があります。なんとしてでも二幕に出たいという気持ちと、それぞれの矜持とが交錯します。

思い出されるのが2014年6月15日『trois』の最終日昼公演。ここで生田絵梨花vs白石麻衣vs橋本奈々未という豪華すぎるマッチアップが実現しました。

まいやん「ふたりが来ると思って立候補しました」
ななみん「こういう時こそ負けたくない」
いくちゃん「も~、やんなっちゃうよおおお」

場内騒然。痺れますよね笑

差を生み出す方法


そして与えられた時間でどうすれば自分を選ばせることができるのか、考え抜く必要があります。

皆が同じ部分を演じる台詞読み。意気込みアピールも毎回同じ台詞という説があります。その制約の中で、どう差をつけるのか。

過去のプリンシパルで先輩たちは「笑い」に活路を見出してきました。
コミカルなオーバーアクションやアドリブ台詞を加えたり、モノマネで台詞を言ったり…。このフォーマットでの隙間は逆に言うとそのぐらいしかないように思います。

ユーモアのあるアピールや自虐ネタ、いきなり「意気込みをダンスで表現します!」と踊りだしたり歌いだしたり、こっそり小道具を準備しておいて使うなど、先輩たちは追い込まれた末に多くの作戦を編み出しました。

当時よりさらに制約が多い(ように見える)今回のプリンシパル。発想を転換し新たな切り口を見せてくれるメンバーは現れるでしょうか。

ファン心理という魔物


作戦を練り必死にアピールを考えてもなお、プリンシパルの半分です。

残り半分は、投票者であるファンの行動心理。「ファン心理」という名の魔物です。

こちらも日程が進むにつれ、バイアスがかかってきます。

例えばここまで無双の早川さん。これを知って舞台を観るファンに正のバイアスがかかれば「なるほど確かに上手だ」となり、さらに強くなります。しかし負にふれれば「確かに上手いけどもう他の子でいいだろう」という判官びいきな発想になります。

さらにこれまでの結果だけではなく、立候補履歴も微妙に投票行動に影響を与えます。
しかし、それはあくまでも人の心の問題。移ろいやすい不確定なものです。
例えば落選してもずっと同じ役に立候補するメンバーを観て「この役に懸ける想いの強さ」と感じるのか「融通の利かない頑なさ」と評価されるのかはその人次第。
ましてや投票する観客自体、毎日入れ替わっているのです。
計算してコントロールすることは不可能でしょう。

演じる側だけでなく観る側にもさまざまな思いが渦巻く舞台。
それこそがプリンシパルの特異性であり、醍醐味です。


何も前提知識を入れずにその日の舞台上の出来だけで投票する、それはひとつの正解です。
とにかく自分の推しに入れる、それもある意味純粋だと思います。

ただ古参オタとしては、ぜひこれまでの立候補履歴と結果を踏まえて観に行っていただければと思います。その方が、プリンシパルは絶対に面白い。
立候補の時点で「うお、変えてきたか!」とか「どうしてもジュリエット演じたいんだな」とメンバーの心境を慮って盛り上がれます。


そもそも公式サイトに記載されている投票のレギュレーションもこうなっています。

 審査基準は「各役の立候補者の中で一番ふさわしい」と思うメンバーをお選びください。

一番上手いでも好きでも可愛いでもなく、「ふさわしい」。

当日の演技もこれまでの経緯も同情も判官びいきも推しへの愛もすべてひっくるめて「今日はこの子が演じるべきだ」とファンが思えば、それが正解なのです。

過去にはこのシステムだからこそ生まれた名場面もあります。

3期生『3人のプリンシパル』2017年2月11日昼公演、そこまで共に11戦8勝だった久保史緒里と山下美月のふたりを破るビッグアップセットを演じた阪口珠美。全身で喜びを表現する珠ちゃんと悔し涙を流す美月。

これがプリンシパルです。


続きます。

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