deux補正2

波乱続出、大荒れの投票結果


そして発表された結果は衝撃的なものでした。
(カッコ内は落選者50音順)

ロミオ:筒井あやめ(早川聖来)

なんとここへ来て早川さんが初めて二幕出演を逃します。どよめく場内。
これは完全に8連勝の反動でしょう。「もう他の子に譲ってもいいだろう」という調整思考や「早川無双と聞いていたけどそこまでじゃない」という厳しい目線。
ファン心理という魔物が、ついに早川さんに牙をむいたのです。
筒井さんを祝福する早川さん。その目に光る涙は敗戦の悔しさか、それとも連勝のプレッシャーから解放された安堵なのでしょうか。

場内が騒然とする中、さらなる衝撃が続きます。

ジュリエット:田村真佑(賀喜遥香、北川悠理、柴田柚菜)

田村さん悲願の初勝利に場内大歓声。ジュリエットを得意とする北川さん、そしてここまで5勝の賀喜さんを抑えての二幕選出に、本人も顔を覆って泣き出します。
正直、演技の出来では劣っていましたので同情票を集めたものと思われます。でも、田村さんは胸を張っていいのです。自身の諦めない姿があったからこそ、同情でも何でも「彼女を二幕に立たせたい」と観客に思わせたのですから。

しかし、衝撃はこれで終わりではありませんでした。

ぜんぶ:遠藤さくら(掛橋沙耶香、金川紗耶、清宮レイ、矢久保美緒)

まだ客席から田村さんを祝福する声が飛び交う中、モニターに映し出されたのは「遠藤さくら」の文字!
湧き上がるウォォォォーーーッという大歓声。
一幕で見せた彼女の激情。それが観客の心を動かし、ついに掴んだ初勝利。4期生の発表当初から「エース候補」的な扱いを受けてきた彼女がここまで一度も勝てなかったことは、測り知れない重圧と苦悩だったことでしょう。顔をくしゃくしゃにして泣く遠藤さん。その元に何人ものメンバーが駆け寄り、彼女の頭を手荒になでます。それを見てもどれほど彼女が追い込まれていたかが伺い知れます。

「私たち、ライバルだけど、友達でしょ?」
この一幕の台詞をまさに地で行く4期生たちに、先輩たちの姿が重なります。

例えば『deux』の最終日昼公演。開幕から13連敗していた畠中清羅の二幕出演が発表された瞬間に、ステージ裏から響き渡ったのは「キャーーーーーッ!!」というメンバーたちの悲鳴のような大歓声でした。
誰もが追い込まれてキツい状態の中、それでも他のメンバーのことを気遣う姿勢。

やっぱ乃木坂だな。
今まで何度そう思ったかわかりませんが、これも忘れられないエピソードのひとつです。

新鮮な二幕


そして二幕が始まります。初選出ふたり、筒井さんもロミオでの二幕は初めて。フレッシュ極まりない組み合わせになりました。

筒井さんのロミオは生真面目で純粋。本来はもう少し洒脱な男性像な気もしますが、それには年輪が必要なので仕方ありません笑
本人は「緊張した」とのことですが、張りのある声で立派に演じ切っていました。

田村さんは拙い演技ながらも、それが逆に無邪気で幼いジュリエット役にはまっていた気がします。今後は声音や抑揚の変化をつけられるとより良いのではないでしょうか。

驚きだったのが遠藤さん。
一幕の演技は決して褒められたものではありませんでした。しかし二幕に入ると一変。堂々とした振る舞いと凛々しい表情。本人も反省していた通りたびたび台詞を噛んではいましたが、それをどうこう言う気がしないほどの存在感。

上手い下手ではなく、スター性としか表現しようのない輝きを放ちます。

普段はふわふわしていて舞台に上がると別人、というパターンはありますが、一幕では自信なさげで二幕になると豹変するというのは新しい。衣装やかつらでスイッチが入るのか。それともやるしかないという覚悟が決まったからなのか。

終盤はずっと荒い呼吸音をマイクが拾っていました。本人のコメントから察するに緊張のあまり上手に息を吸えなくなっていたようですが、そんなことは感じさせない演技。

彼女はこの先何度も「エース候補」という肩書に苦しめられることでしょう。
それでも、きっと乗り越える。そう思わされる姿でした。

そして4番目の風が吹く


後半戦の始まりにふさわしい、密度の濃い公演でした。

前半戦までの演技力勝負から、それぞれの人間を見せる勝負になってきたように思います。

ですがこれがプリンシパル。
2日目のレポでも書きましたが「当日の演技もこれまでの経緯も同情も判官びいきも推しへの愛もすべてひっくるめて」票は投じられるのです。

その中で強烈な印象を残した遠藤さん。

一幕での壊れた人形のような儚い泣き顔と、二幕で突然見せたスターとしての煌めき。
やはりどこか、西野七瀬を思わせるところがあります。

そして、ただひとりの未勝利となってしまった柴田さん。

悔しくないはずはないですし、相当追い込まれているでしょうが、それでも笑顔で田村さんを称える姿に彼女の矜持を見ました。

それと掛橋さんはこの短期間で目に見える成長を遂げていました。
将来的に演技の仕事を定期的にやっていけば化けるんじゃないでしょうか。


そして最大の収穫は、4期生たちが「やっぱ乃木坂だな」と思わせてくれたこと。

これに尽きます。

この先も千秋楽まで彼女たちは様々な感情を味わうことでしょう。挫折や苦悩で折れそうになることもあると思います。
それでもきっといつの日か、笑顔で「プリンシパルは必要な試練だった」と語ってくれるでしょう。

先輩たちと同じように。


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