びーむ色調補正3

今そこにある対立軸


セトリの中で最も注目すべきはM08~14の第2ブロックでした。

その前半は若手=3期4期コーナー。
ポイントは『トキメキ』と『手裏剣』で3期と4期が一緒にパフォーマンスしたこと。期別曲を敢えて一緒にやったのです。

そして後半、M12。スタンバイする生田絵梨花が「あの」衣装を着ている姿を観た瞬間、衝撃が走りました。
井上小百合の代名詞にしてアンダラのアンセムである『咄嗟』。それを選抜アンダー混合メンバーでパフォーマンスし、さらに飛鳥センターでの『不等号』と続きます。

これらの意味するところ。
それは、軸の変化。

ここ数年、ライブの構成は「選抜+アンダー+3期+ユニット」でした。
全曲披露のバスラではない、2017年東京ドームや2018年シンクロニシティライブのセトリをご覧いただければ一目瞭然です。

「選抜」「アンダー」「3期」の3つはそのまま2017年以降の乃木坂の活動における軸でもあります。

これらは間違いなく乃木坂を大きくする推進力となってきました。

かつてアンダーの選抜に対する反骨心が圧倒的なライブの熱さとパフォーマンス向上をもたらし、別動隊としての3期の精力的な活動は12人の一体感を形成するとともに多くの新規ファンを獲得しました。

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2017年神宮の「期別ライブ」では各期が三者三様の魅力を存分に発揮します。グループの底力を見せつける素晴らしいライブで、東京ドームの成功を確信させるものでした。

その反面、そこで提示された「期別」というくくりが及ぼした悪影響も無視できないものでした。かつては乃木坂界隈であまり目にしなかった「期推し」という表現が目立つようになります。

そして現在。メンバー同士があれだけ様々な場所で互いへの信頼やリスペクトを言い表しているのにも関わらず、ネット上では一部の熱烈なファンが自分の推しではないメンバーや期に対し、目に余るほどの攻撃的な姿勢を見せています。

活動の軸が結果的にファン同士の「対立軸」となる、そんな状況が生まれてしまっているのです。


箱推し文化の復活へ


今年、新たな軸となりうる「4期」というファクターが加わりました。

卒業生続出で大変な状況の中、さらに新たな対立軸を増やすわけにはいかない。
運営もそう考えたことでしょう。

この日のライブの構成はこのようなものでした。

「選抜+アンダー(薄め)+3期&4期+ミュージアム」

3期+4期ではなく3期&4期。
4期を新たな軸としてではなく3期と一緒に「若手」という大きなくくりに入れることにより、お互いのファンを敵対させないようにしているのです。後で詳しく書きますが、ミュージアムコーナーもちゃんと全曲3期と4期両方からメンバーをチョイスしています。

そしてアンダー感は薄めでした。
選抜アンダー混合。生ちゃんや桜井玲香、与田祐希といったアンダー経験のないメンバーとアンダー歴の長い和田まあやが一緒にアンダー曲をやる。それはこれまでの歴史を知る者からすると少し不思議な光景でした。

まして披露されたのが反骨の象徴である『咄嗟』、そしてアンダーセンター回数最多である中元日芽香のセンター曲『不等号』。「ちょっと気が向いたから」と気楽にやる曲ではありません。

ボーダーレス。選抜とアンダーは対立概念ではなく地続きだということを示す。
そんな意図があっての選曲ではないでしょうか。この日「不思議な光景」と感じた私も、対立概念に凝り固まっていたということでしょう。

ちなみにライブ後半では最新アンダー曲『滑走路』と年末のアンダラで北野日奈子入魂のパフォーマンスが話題になった『日常』を披露し、アンダーの実力を示す場もしっかり用意されていたのも非常に良かったと思います。

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4期を3期にそして乃木坂にアジャストさせ、アンダーと選抜の垣根を低くする。
これこそが運営が推し進めている融合の形なのではないでしょうか。

その先にあるのは箱推し文化の復活。かつて乃木坂ファンの特徴といわれたものの、今では失われつつあるそれを取り戻すこと。これもまた、原点回帰です。


このライブからほどなくして、ある意味乃木坂の象徴である桜井玲香の卒業が発表され、さらにその数日後には4期生3人をフロントに据えた24thシングルの選抜発表が行なわれました。

激動の真っただ中で開催される2019年の全ツ。
だからこそ、今ここで運営が地に足をつけて箱推し文化復活へ舵を切っているのだとすれば、それは本当に素晴らしいと思います。


この記事を書いている最中に少し気になる情報が入ってきました。

24thシングルの特典映像が「期別ドキュメンタリー」とのことです。

これが期推しファン同士の敵愾心を煽るものではなく、メンバー同士の暖かな関係性を描写する内容であることを願っています。


続きます。

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