タオル補正

壮絶で濃密で劇的にして怒涛の2週間


始まったアンダーライブ2ndシーズン。
アンダー曲『あの日 僕は咄嗟に嘘をついた』のセンターを任された井上小百合は座長として臨みました。

しかし、15日間18公演という過酷なスケジュール。
全員出ずっぱり、踊りっぱなしのハードなセットリスト。
以前から痛めていた彼女の膝は限界を超え、ついに欠場という判断が下されます。

そしてその同じ夜、ネット上を駆け巡ったのがあのスキャンダルでした。

未曽有のバッシング。まさに乃木坂史上最大の危機。

凄まじい逆風が吹き荒れる中で迎えた10月11日、昼の部のこと。

六本木ブルーシアターに傷だらけの天使が舞い降ります。

両膝をガチガチにテーピングで固めながら、鬼神のごときパフォーマンスを繰り広げる井上小百合。大切なものを守るため、ボロボロになりながら立ち上がるアンダーメンバーたちの姿は観る者の心を震わせました。

こうしてアンダラ2ndシーズンは伝説となり、かつて「無職」と呼ばれたアンダーの存在価値は格段に向上します。

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伊藤万理華との「さゆまり」さらに中元日芽香を加えた「温泉トリオ」。この日々を共に戦ったアンダラセンター3代は、戦友として特別な絆で結ばれることになります。

さゆまり、その闘いと挫折


その後、12thシングルで選抜復帰した彼女。
しかしこの先も決して順風満帆とはいきませんでした。

乃木坂の選抜はさらに硬直化が進んでいました。

星野みなみ、衛藤美彩、齋藤飛鳥とさゆまり。この5人が新たに選抜固定になり、前の記事で書いた「16人中13人固定」から「16人固定」へ。アンチかわしのため一時的に選抜落ちしていた堀未央奈を加えれば「17人固定」。「思い出選抜」枠もなくなり、もはや選抜に空きがないに等しい状況でした。

結果的にアンダーメンバーのファンの敵意は相対的に握手人気が劣っていた生駒里奈、万理華、さゆに向かいます。


そして15thシングル『裸足でSummer』。

運営にとってもこれ以上硬直した状態が続くとアンダーメンバーのモチベーションが保てないという苦渋の決断だったのでしょう。

選抜から落ちたのは、さゆまりでした。

結局、ふたりは運営に「便利屋」としていいように使われていた感があります。それは裏返せば信頼感の表れかもしれません。

ずっと選抜落ちしていないメンバーを落とすとモチベーションが心配だけれど、さゆまりならアンダーでもしっかりやってくれる。そんな計算があったのではないでしょうか。

歌番組で選抜メンバーの代打を務め、アンダーライブを成功させ、『じょしらく』『すべての犬は天国へ行く』『墓場、女子高生』とグループ内の舞台を牽引する。どこにいてもモチベーションとスキルの双方を高く保ち、結果を残し続けたふたりに対する甘え。今となってはそう感じられます。

一説によれば、万理華が卒業を決意したのはこの時でした。


罪滅ぼしのつもりか、ふたりにはユニット曲とMVが用意されます。

それが『行くあてのない僕たち』。

タイトルと歌詞を見たふたりは「何年も必死で頑張ってきたのに、まだ私たちには行くあてがないのか」と号泣したといいます。

それでもこの曲で観せた「背中合わせの相棒」感溢れるふたりのパフォーマンスは強烈な印象を残し、いつしか『行くあて』は名曲と呼ばれるようになります。

2016年神宮。アンダラ中国シリーズ。そして2017年さいたまスーパーアリーナ。どれも忘れられません。


そして2017年10月、伊藤万理華は躍進する3期生たちに道を譲るように卒業を発表。

彼女らしい、潔い引き際でした。


『逃げ水』のMVでスケバンニートに扮したふたりがセグウェイを転がして去っていくシーン。

今観るとなんだか切なくなります。

変わりゆく景色の中で


話をさゆのキャリアに戻します。

16thシングルで万理華とともに選抜復帰し、これ以降は活動休止した24thを除きすべて選抜入り。それでも3期生加入など厚みを増した乃木坂において、「選抜ボーダーメン」のそしりを受け、アンチの激しい攻撃は続きました。

ずっと目標にしていた福神入りは19thシングルたった1回でした。それも盟友・万理華の卒業福神と一緒だったのでまた「抱き合わせ」だの「記念福神」だのとバッシングされます。

握手人気がずっと選抜ボーダーラインあたりだったのも事実です。初期に高い握手人気を誇ったメンバーが早々にいわゆる「握手免除」になり、同じ土俵で勝負できなくなってしまったのも厳しかったように思います。

釣り対応ができないので握手人気が爆発するということもない。いわゆる「勘がいい」タイプではないしボキャブラリーもない(結果ちょいちょい炎上する)のであまり番組では活躍できない。そのため推し変・推し増しもそれほど期待できない。
(これ書いていて気づいたんですが、秋元真夏と真逆のスペックですね笑)

急速に大きくなるグループ。メンバーもファンも入れ替わり新しいものがもてはやされる中、地道に少しずつ少しずつファンを増やし一定の人気を保ち続けたのはむしろ称賛に値するのかもしれません。


2017年には温泉トリオのふたりが相次いで卒業します。

それ以降、常に「次はさゆではないか」という憶測が飛び交っていました。

本人からもいつしかギラギラしたコメントは影を潜め、グループとメンバーへの愛着、そして後輩たちへの信頼を公言するようになります。今にして思えば、自らの引き際を考え始めた多くの1期生と同じように。


2019年7月、全国ツアーへの不参加と24thシングルの活動休止が相次いで発表されました。これまで殺人的なスケジュールを押して参加し続けてきた彼女の不参加に、ファンはいよいよかと覚悟を迫られます。

そして、その日はやって来ました。

アンダラ2ndシーズンの初日から、ちょうど5年後のことでした。


続きます。
【乃木坂46考察】凍てつく地面を転がるように走りだそう ~井上小百合の卒業に寄せて④