ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

2019年11月

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2019年9月に日比谷シアタークリエで行われた『リトル・ウィメン』、またも2回観劇してきましたのでレポートします。まさかこの年齢になって『若草物語』と接する機会があるとは…推しとは我々ファンを思いもよらない場所に連れて行ってくれるものですね。

超実力派キャスト10人による世界的名作


かの有名な『若草物語』ですが、私も幼少期に読んだきりで完全に内容を忘れていましたので、公式のイントロダクションとストーリーを載せておきます。

イントロダクション:

世界的名作小説『若草物語』とその続編『続・若草物語』を下敷きに、慎ましい生活の中にも喜びを見出し、助け合って困難に立ち向かう四姉妹とその母、そして彼らをとりまく人びとの物語を美しいミュージカルナンバーに乗せて描きます。

女性が職業を持って働くことが稀であった時代に、小説家をめざして世の中に漕ぎ出そうと奮闘し、夢をつかんでいくジョー。その姿は、いまだ窮屈の多い現代を生きる我々にも勇気を与え、また彼女を取り巻く家族との絆は身近な人の大切さを改めて感じさせてくれるでしょう。

ストーリー:

1865年。ニューヨークのカーク夫人(久野綾希子)宅に下宿するジョー(朝夏まなと)は、出版社から届いた手紙を読んで肩を落としていた。自ら持ち込んだ小説の、22回目の出版拒否を受け取ったのだ。同じく下宿人のベア教授(宮原浩暢)は「あなたの小説を気に入る人は必ずいる」とジョーを励ます。

時は戻ってその二年前のマサチューセッツ。メグ(彩乃かなみ)、ジョー、べス(井上小百合)、エイミー(下村実生)の四姉妹は、牧師として南北戦争に従軍した父を、母(香寿たつき)と共に待ちながら、慎ましくも明るく暮らしていた。ジョーは、物語を作っては姉妹たちに語って聞かせ、小説家になることを夢見ていた。

メグと共に初めての舞踏会に出席したジョーは、隣家のローレンス氏(村井國夫)の孫息子、ローリー(林翔太)と出会う。やがてローリーは姉妹の“5人目のきょうだい”となり、姉妹との絆も深まるが―。
公式サイトより引用)

今作の素晴らしさは、なんといってもキャスト。

まずアンサンブル専門の役者さんがいないのです。通行人役などもメインキャストのどなたかが担当し、わずか10人のキャストですべてが演じられます。
上のストーリーでは9人しか出てきませんがもうひとり、メグの夫になるブルック(川久保拓司)がいます。

そしてその10人がまた豪華。

朝夏まなとさんは元宝塚宙組トップスター。
彩乃かなみさん。元宝塚月組トップ娘役。
香寿たつきさん。元宝塚星組トップスター。
久野綾希子さんは元劇団四季の看板女優。
村井國夫さんは経歴を一言では表現できないのですが、TV・映画・舞台それぞれでもの凄い実績のある超ベテラン。ハリソン・フォードの吹き替え声優としても有名でインディ・ジョーンズやハン・ソロ役を演じておられます。

宝塚トップが3人に劇団四季の看板女優に村井國夫さんですよ。
村井さん以外の男性3人も年齢的には中堅どころでいずれも経験豊富な実力派。

そんな錚々たるキャストの中に放り込まれたアイドルふたり、我らが井上小百合とフェアリーズの下村実生さん。

皆さん素晴らしかったのですが、ここでは3人の方について書きます。

彩乃さんは本当に美しかった。思わず初回観劇後どんな人か調べてしまいました笑
それで元宝塚月組トップ娘役だということを知り、深く納得した次第。どちらかと言えば地味目の顔立ちだと思うのですが、舞台上でスイッチを入れた時の美しさは息をのむほど。そしてシーンごとに華やかさを出し入れするその巧みさにも驚きました。

ジャニーズJr.の林翔太さん。お顔は失礼ながら2.5枚目なのですが、歌声が素晴らしい。明るくて伸びやかで、若さと希望と育ちの良さを感じさせるローリーにぴったり。動きもキレッキレでさすがはジャニーズ入所19年目の貫録を感じさせました。

下村実生さんは初めてのミュージカルとのことですが、エイミーの駄々っ子だけど憎めないところを好演した一幕、レディに成長した二幕と劇中劇でのトロルといずれも存在感抜群。トロル役は完全に出オチなので、その日の客席の温まり具合によってはダダ滑りなこともあったと思いますが、皮肉でも何でもなく実に堂々と演じていました。

ジョーと喧嘩して仲直りをしたいのに素直になれないシーンでの「ベス…あなたみたいに優しくなりたい」「エイミーは優しいわ」というやり取りでエイミーの内面の愛らしさが見事に表現されていたのが印象的でした。


生きるとは変わること


わずか10人のキャスト。豊潤な音楽。舞台を彩る凝った小道具やリアルヴィンテージも織り交ぜた衣装。どこにも綻びのない美しく完成された世界。

こう書くと、ともすれば箱庭的な触れると壊れてしまいそうなものを想像するかもしれません。

しかしこの作品は決して閉ざされたものではありませんでした。

なぜなら、これは観る者にとって「私の物語」でもあるから。

昔から児童文学の傑作とされアニメ世界名作劇場にもなった『若草物語』ですが、この舞台は大人になった人たちにこそ沁みる内容でした。

憧れを捨てて現実の中にある幸せを見つけたメグ。
周囲を拒絶することが拙さだと気づいて自分を広げたジョー。
誰かを羨むことをやめて自分の中にあるものの価値を認めたエイミー。

変な言葉かもしれませんが「きちんと大人になってきた」人なら誰もが、彼女たち3人の姿に自分と重なる部分があるのではないでしょうか。

変わるとは汚れることじゃなくて成長すること。
その尊さと美しさ。

そんなことを感じさせる、美しく完成され、かつ力強い舞台でした。


続きます。

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人気2モデルのインプレッション


2019年9月より日本国内正規販売を開始したセイコー5。
発売から時間も経ち、各モデルの供給も安定してきたようです。
そこで前回品切れだったモデルの実機を見てきました。

シリーズ全体の印象とSBSA019、SBSA028の実機インプレッションを書いた前回の記事はこちらです。


復活したセイコー5と各モデルの概要についてはこちらの記事をご覧ください。


SBSA025

今回の目玉は何と言ってもSBSA025。ワクワクしながら腕に乗せてみると…

あれ?なんか平板に感じる。

ケースの中にある姿は実に格好いい。なのになぜか手に取って腕に乗せると個人的にはピンときませんでした。服装とセットで見るとなんかどうも…。もちろんコーディネイト次第という面が大いにありますが、エッジの効いたモデルの割に埋没してしまうという感じ。

恐らくはエッジの立っていないケースがその原因です。他のモデルでは表面はサテン、サイドはポリッシュにして立体感を出しているところがこのモデルでは全面PVD加工のため、よりのっぺりした印象になっていると思われます。自分としては期待値がかなり高かっただけに少し物足りなさを覚えました。

ただ、腕から外して改めてまじまじと見るとやっぱり格好いいです。そして既存のオールブラック時計の多くとは一線を画す、どこまでもマットにこだわる姿勢も潔くて好感が持てます。

どこまでもマットブラック!

SBSA003

もう1本、前回見れなかったペプシベゼルのSBSA003もありました。
こちらは手堅い。いい意味で想像通り、実に標準的です(誉めてます)。

ダイヤルカラーはブラックではなくネイビー

ペプシベゼルという観点では、現行の機械式セイコーダイバーの多くでも「PADIモデル」というスペシャルエディションとしてエントリーされています。タートルはSBDY017・サムライはSBDY011・そして1968現代デザインがSBDC071(こちらだけラバーベルト)。
前ふたつは結構デザインにクセがある(それが個性ですが)のと、順に横幅が45mm、43.8mm、44mmとどれもデカい。それに対してこのSBSA003はデザインといい42.5mmというサイズといい、最もスタンダードなペプシベゼルのセイコーダイバーとして非常に良いと思います。機械式時計入門の1本としてもお勧めできますね。

改めての結論


セイコーダイバーの流れをくむデザインの国産機械式腕時計が3万円台で購入できる。
機械式腕時計の入門編として現時点でベストの選択のひとつと言えるでしょう。

ということで手堅いSBSA003、そして001(ブルー)、005(ブラック)は初めの1本としてお勧めできます。
また個人的にはあまりピンと来なかった025ですが、時計単品として格好いいのは間違いないので、むしろこれまで機械式時計に興味のなかった若い層の1本目として良いんじゃないでしょうか。

そしてファーストウォッチとしては個性が強いので2本目以降限定ですが、やはり前回紹介した019と028の2本がお勧めです。

SBSA019

ダイヤル&ベゼルがカーキ、ベージュ夜光にミラネーゼブレスという非常に渋い1本。

SBSA028

ラバーにレザーを張り付けたコンビベルト。ゴールドだが抑えが効いてスポーティ。
さて、今後の展開が楽しみと書いていたら予想の斜め上過ぎるやつが出てきました。

なんと、第2弾は「ジョジョの奇妙な冒険」コラボモデル。

極彩色。笑

こちらについての記事は、またいずれ。


びーむ色調補正3

そして何かが託された


アンコールからは桜井玲香卒業セレモニーでした。

ドレスを着て登場した彼女がひとりでファンに語りかけます。
そして歌われたのは、この場が最初で最後の披露となるソロ曲『時々 思い出してください』でした。最初は笑顔だった桜井。しかしステージ上に登場してきたメンバーの寂しさを感じ取り、自らも涙を流します。

続く曲は『夜明けまで強がらなくてもいい』。
イントロの4期フロント3人と先輩が手を取り合う振り付け。遠藤さくらの手を取った桜井が何か語りかけ、感極まったさくちゃんは力強く頷きながら顔をくしゃくしゃにして泣き出します。そこに被さるファンの「オイ!オイ!」の絶叫。いやあ、あれはグッときました。

「あとは任せたよ」なのか、それとも「あなたなら大丈夫」か。
初代キャプテンから、未来のエースへ。何かが託された瞬間でした。

桜井玲香の『夜明けまで』。大阪ドームと神宮、わずか4回しかステージ上では披露されなかった特別なものです。正直この曲あんまりだったんですがこれを見せられては抗えるはずもなく、好きな曲のひとつになりました。
ちなみに以前の記事で「ヘイはいらん」と書いたのですが、ライブではめちゃめちゃ盛り上がります笑


継承の儀式が済んだところで『ロマいか』から『僕だけの光』。
そしてトロッコで場内一周しステージに戻ってきた桜井が叫びます。「にゃんが来てくれたよ~!」。ただひとりこの日のステージに参加していなかった井上小百合がここでサプライズ登場!

この日は出演するミュージカル『リトル・ウィメン』の開幕2日前。既に劇場入りして劇場稽古を行なっている切羽詰まった状況の中、キャプテンの最後を見届けるために駆け付けます。
94年組。他星ユニット。犬メン。いくつもの共通点を持つふたりの間にはファンに見えている以上の深い結びつきがあるのでしょう。

そして先日卒業を発表した井上小百合にとってもこれが最後の神宮となりました。


思い出で散らかった部屋を出てゆくよ


次期キャプテン秋元真夏から心のこもった手紙が読まれ、最後はやはり『乃木坂の詩』。
涙にくれるメンバーに囲まれながら桜井は笑顔で最後の挨拶をし、退場していきました。

それでも「玲香」コールが鳴り止みません。

それに応えて駆け出してくるメンバーたち。そして歌われたのはなんと『会いたかったかもしれない』!!

ここでこの曲を持ってくるか!

AKB48の公式ライバルとしてスタートした乃木坂の歴史。
オケも歌詞も同じ、メロディラインをちょっといじっただけの、タイトルからしていかにもネタ先行の秋元康の思い付きっぽい曲。「パチモン」と呼ばれAKBファンから嘲笑されたけれど、ライブではやたらと盛り上がるので初期のセットリストでは重宝されていた曲。
しかし乃木坂が独自の個性と評価を確立した現在となっては歌われる機会も減っていました。

個人的には最初のプリンシパルが忘れられません。Bフレでメンバーが両サイドのカメラに駆け寄るシーンを下手側最前列で観た時に「一体俺はどこを見ればいいんだ!可愛いが多すぎて脳が処理できない!」と思ったあの日の衝撃。まあこれは完全に余談ですが。

この曲が選ばれた理由はきっと、
初心に返る。

言葉にするのは簡単だけれど、あまりにも状況が変わってしまった今となってはとても難しいこと。

初めて撮影したMVで、何が正解かもわからないままただ懸命に言われることをやっていたあの頃、メンバーもスタッフもそしてファンさえも、乃木坂がここまで大きくなるとは誰も思っていなかったあの頃へ。

私も、乃木坂46も。
もう一度、初心に返ろうよ。

そんな桜井玲香からのメッセージではないでしょうか。


最後に場内を一周する彼女の前に現れたのは相方、若月佑美(この日も相変わらず驚くほど美形!)。

「よく頑張りました」

この言葉にすべてが込められていた気がします。


セレモニーの中で桜井玲香はこう語っています。

「グループの外で、これからも乃木坂を作り続けていく」

私が外の世界でグループの価値を上げてくる。そう言ってるんです。

見ようによってはもの凄い自信。
でも、彼女だからこそ言える言葉。

全方位にハイスペックなポテンシャルを持つ彼女。これまではグループのことを第一にして、どこかブレーキをかけていた部分があったのかもしれません。

でもこれからは。

自分が全力を振り絞ることがグループのためになる。
そう信じて、堂々と「元乃木坂」を名乗っていく。

なんて頼もしい。惚れそうだ笑

これからの彼女がどんな姿を見せてくれるのか、本当に楽しみです。


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