ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

2019年12月

べんてんのファンも唸らすその実力


2014年6月に惜しまれつつ閉店した高田馬場の大行列店「べんてん」(現在は成増で再開)。最終営業日には用意した130杯が朝6時10分に並んだお客さんで終了したという伝説が残っています。

そのスタッフだった方が開いたのがこちらのお店。
場所は地下鉄東西線の早稲田駅と神楽坂駅の中間、やや早稲田寄り。大江戸線の牛込柳町駅からも10分ちょいで歩けます。

メニュー構成はこちら。ラーメン800円、つけめん850円、塩ラーメン900円、新・塩ラーメン900円、焦がし正油ラーメン 950円、塩油そば900円、冷やし油そば900円。出身店を踏襲しつつ、さらに豊富なバリエーションを提供しています。
麺量は小150g、並250g、中350g、大盛650g、特盛1000gとボリューム満点。並と中が同額で小は100円引き、大盛200円、特盛300円。

平日昼で8人待ち。友人によれば所要時間の目安は「並びひとりあたり6分」とのことですが、大体この日もそんな感じでした。ワンオペで丁寧に作業されているので回転は良くありません。

若干緊張感のある店内。そしてべんてん同様に真っ昼間からビール中瓶(おつまみ付き)600円を頼んでいる方が大勢います笑

こちらは何を食べても外れがなく毎回悩むのですが、この日はつけめん中盛に辛味をプラス。

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つけ麺中盛 800円 + 辛味 100円

色の濃いつけ汁。スープのジャンルとしては豚骨魚介に入るのですが、いわゆる「またおま系」のような濃度やクドさとは無縁。むしろシャバ系です。
味の構成は山岸一雄さんの「東池袋大勝軒」の進化系で、出汁をガツンと効かせて甘さと酸味は控えめにした感じ。

動物系による太いコクと、魚々していないがしっかり効いている魚介、そして甘辛酸。そのバランスが高い次元で保たれていると言えばいいでしょうか。クセがないからどんどんいけて、味が濃いのに飽きがこない。なんとも絶妙なつけ汁。

そして麺。
ツルツルでのど越し抜群、かつきちんと腰がありプツッと切れる素晴らしい麺。ちなみに製麺機は「べんてん」から譲り受けたものを使っているそうです。
その美味しさゆえに腹パンパンになってもまだ入り「限界だと思ってからもうちょっといける」逸品です。

写真には写っていませんが、具は短冊状のチャーシューとメンマがたっぷりつけ汁に沈んでいます。そして海苔とネギ。

チャーシューそのものの味つけは薄めですが、厚みがあるので噛んでいくと肉の旨味が出てきて美味しいです。逆にメンマは味が濃いめ。

これらをあの極上麺と一緒に口いっぱいに頬張ると幸せなことこの上なし笑

辛味は甲殻類の風味と辛さを加えて味変アイテムとして非常に効果的。
でもデフォの味も大好きなのでなかなか投入できなくていつも持て余すんだよな…ちなみに辛さ自体はそれほどでもありませんが、意外と量があるので全て投入すると結果的にだいぶ辛く感じます。

スープ割をするとさらに魚介が香り立ち、毎回「あ~やっぱラーメンも食べたかったなあ」と思うまでがお約束。

店を出た時には美味しいものを思いっきり食べた感が残る、極めて満足度の高い一杯です。

多少の違いはもちろんあるのでしょうが、全体の印象としてはべんてんと遜色ないかと。
個人的にはとしおかの方がやや旨味が強くマイルドなように感じます。

べんてん同様、昼のみ営業で大行列と条件は厳しいですが、何度も行きたくなるお店です。


ごちそうさまでした。

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リビング・レジェンドにして最先端


今回は関西遠征。兵庫県尼崎市、JR宝塚線塚口駅から10分弱歩いたところにあるこちらのお店。「S1」は「スーパーワン」と読みます。

こちらの嶋崎店主はラオタなら知らぬ者はいないであろうレジェンド。
2005年12月にJR横浜線町田駅から少し離れた住宅街に「ラァメン屋 69'N' ROLL ONE(ロックンロールワン)」をオープン。瞬く間に人気店になり、2011年に町田駅近くに、そして2013年には赤坂に移転しました。しかし2014年4月末に突如閉店。
もうあの味が食べられないのかと嘆いていたら同年7月になんと尼崎で再出発。おいそれと行けない土地になりましたが今回念願かなって移転後初訪問です。

私も町田時代、日本一美味いラーメン屋だと思っていて相当通いました。
個人的にはそれまであんなに鶏油を強調したラーメンを食べたことはありませんでした。

「天国屋」@成瀬の時にも書きましたがこの69'N' ROLL ONEは「神奈川淡麗系」の源流とも言うべき店です。正確にはオリジンはかの「ラーメンの鬼」佐野実さんによる「支那そばや」かもしれませんが、こだわり抜いた素材を使った澄んだ鶏スープという神奈川淡麗系のイメージを完成させたのは紛れもなくこちらの嶋崎店主でしょう。今や日本一行列の長い店のひとつである「飯田商店」@湯河原の飯田店主にも多大な影響を与えたそうです。
その飯田商店や「やまぐち」@西早稲田のミシュラン掲載により神奈川淡麗系は一気にメジャー化し、現在の隆盛に至ります。

土曜日の開店15分前に到着しましたが既に15人ほどの待ち。開店時には入店できず、食べ終わるまでは1時間コースでした。ラーメン作りは店主さんのワンオペで接客担当の方がひとり。薄暗く緊張感漂う店内ですが、町田時代から慣れてるので何とも思いません笑

基本メニューの「尼のロック(醤油)」「Sのロック(塩)」が1,000円、味玉が+200円、チャーシューは+300円。それぞれの「かけらぁ麺」が800円。そして「元祖昆布水のつけめん」は1,500円となかなかの高額設定。

久々なのでやはり基本となる尼ロックを選択。

以前と変わりない丁寧なオペレーション。ただ町田時代の記憶と比べると当時より明らかに手順が増えているように見えます。何だろうあの粉末…あれ、なんか鶏油じゃない液体を投入したっぽい…などとゴチャゴチャ考えているうちに着丼。

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尼ロック 1,000円

その瞬間、ブワッと香り立つ鶏。
そして素晴らしいビジュアル。スープ表面に見える鶏油の黄色が「ああ、ロックンだ」って感じです。

上質な比内地鶏とこだわりまくった純水、そして徹底的な温度管理。それがロックンのスープ。「引き算のスープ」とも称されるそれはシンプルにして力強く、そして飲み飽きないものとして私に強い印象を残していました。

しかしこの日飲んだスープはそのイメージをさらに超えてくるものでした。
深み、香り、コクがえげつない。それなのにどこまでも澄んだ後味。
味の奥行きが凄い。オペレーションの多さを目にしたのでそれに引きずられているだけかもしれませんが笑

麺は町田時代からお馴染みの柔麺。かつては「そうめんみたい」と酷評する人もいましたが今では時代が追いついて「シルキー麺」などと表現されるようになったあれです。スープをしっかり絡めのど越しはスルスル、そして微かなパツ感を残した逸品。

具はチャーシューと2種類のネギ、そして穂先メンマ。どれも上質なのが伝わってきます。チャーシューとメンマはどちらも柔らかさと抑制のきいた味つけが印象的。

あの頃のように、スープまで完食。

記憶とは美化されるもの。
神奈川淡麗系も相当の数食べてきた現在の自分の舌がロックンのラーメンをどう感じるのか、楽しみであり正直不安でもありました。

でもそんなの全くの杞憂でした。

もの凄い一杯。
奥行きとか深みがちょっと別格です。

リビング・レジェンドでありながら今なお最先端の味わいです。
凄まじい完成度でしたが、きっとこの先も変化し続けていかれるのでしょう。

また行きたい…難しいけど。


ごちそうさまでした。

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思わず美味いと声が出る、アンチェンジャブルな貝出汁ラーメン


JR横浜線淵野辺駅からちょっと東に出て南北に走るバス道路をひたすら北上し15分ほど歩いた右手にあります。住宅が続く中に突然あり、しかもちょっと奥まったところなので車で初回訪問時は絶対に通り過ぎるであろうわかりにくい立地。そんな条件でありながら行列の絶えない名店です。平日昼、店内3名待ち。

メニュー構成は濃厚牡蠣ソバ830円、濃厚牡蠣つけ麺1,000円の二本立てですが、つけ麺は6~8月の期間限定なのでほぼほぼ牡蠣ソバ一本という潔さ。サイドメニューも貝めし220円のみ。あとはトッピング各種と、時々限定メニューがあります。

この日は選択の余地がなかったので濃厚牡蠣ソバに貝めしのセットで。

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濃厚牡蠣ソバ 830円

まずスープの色。緑がかった茶色というか黄土色というか、ちょっと特殊な色をしています。そして一口いただくと、なんとも濃厚な牡蠣の旨味が口の中を支配します。初めて食べる人には結構衝撃的なんじゃないかと思います。コストかかってんだろうな~というスープ。量が少ないですが、まあ仕方ないかと。

このお店のあるあるだと思うんですが、スープを飲んだお客さんが思わず「美味い」と声を出しているのを何度も見たことがあります。お店を紹介してくれた連れの人への儀礼的な「美味いっすね」じゃなく本当に思わず声に出てしまったという「美味い」。伝わりますかねこの感じ。

麺は中太縮れ、スープの濃度と相まって絡みも良好。しっかりと歯応えがあり強いスープに負けていません。麺量もなかなか多く、口コミによれば170gとのこと。

チャーシュー、穂先メンマ、ネギ、カイワレ、海苔と糸唐辛子。
香福豚という地元の銘柄豚を使ったチャーシュー。モチっとした歯ごたえがありながら非常に柔らかく噛み切れます。味つけは薄めですがスープや麺とともにいただくと絶品。穂先メンマは柔らかく味が濃い目のタイプでこちらも良。

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貝めし 220円

貝めしがこちら。貝出汁の炊き込みご飯でホタテとカイワレが乗ります。
これまた濃い目の味つけでそのままでも美味しいですが、やはり半分くらいは最後にスープ投入しておじやにするのがお勧めです。スープまで完食して大満足。

全体的に濃い目の味つけながら全く飽きることなく一気に食べ尽くしてしまいます。

まさにアンチェンジャブル。最近「唯一無二」だの「オンリーワン」だのと言ってばかりな気がしますが笑、本当なんだからしょうがないです。

あえて難点を挙げればワンオペのことが多く回転が遅めのところ。常にアルバイト募集の貼り紙があります。末永く続いてほしいお店なのでぜひどなたか応募してください。


ごちそうさまでした。

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そういえば私が観劇した2回はどちらも客席にサユリストはほとんど見かけませんでした。せいぜい5%ぐらいかなという感じ。平日の銀座という場所柄もあってか客層はお年を召した方が多かったように思います。

さゆとジョーと乃木坂と


主演の朝夏まなとさんが演じたジョー。
素晴らしかった。
最初は男勝りでガサツで頑なだった彼女。それがどんどん魅力的になっていく姿が圧巻でした。

モバメで本人も「ジョーの生き方に共感する」と言っていましたが、ジョーと井上小百合は似てると思います。ジョーが「結婚しない!」と叫ぶたびに、いやお前さゆかよと内心突っ込んでいました。

これ言ったら本人は怒ると思いますが、一幕のジョーは昔のさゆを思わせます。
なりたい自分があって、そのためにこうすべきだというのが凄く強くあって、それ以外を受け入れられない。
選抜発表のたびに涙を流していた、あの頃のさゆのようです。

でも、メグの結婚、そして何よりベスを看取ったことにより彼女は変わっていきます。

周囲の人も含めて自分であるということ。
形が変わっても、変わらないものがあるということ。絆なんて一言では表現しきれない、とても特別な強い結びつき。
それに気づいて大切な人たちへの愛情を身構えずに出せるようになった二幕のジョーはアンダラ2ndシーズン以降のさゆのようです。どんどん魅力的になることも一緒。

そして四姉妹の強い結びつきは、乃木坂みたい。
「マーチ家の女は無敵なのよ!」と、2017年神宮での「1期!1期!1期!1期!」のイメージがかぶります。

とここまで書いてきましたが、実は本人はこれと違うことを言っています。
舞台のアフタートークで自分と似ている登場人物をベア教授、その理由を「ジョーと出会って他者を受け入れていく感じが自分に似ている」と語りました。そして「自分にとってはジョーが乃木坂46」とも。

まあ当てはめた役こそ違いますが言ってる内容は概ね同じなので良しとしましょう笑


周囲への愛と感謝を抱いて、すべて満たされた表情で


そしてさゆ自身の演技について。

若草のベスと言えば『ガラスの仮面』北島マヤが劇団つきかげで初めて演じた由緒正しい役です。

公式Twitterには「井上さんがベスとしてそこに立っているだけで、なんだか胸の奥がツンとしてしまうくらいのハマり役」と書かれていましたが、サユリストならこのフレーズを読んだだけで胸の奥がツンとしちゃいますよね笑

一幕のベスは、愛らしさとピュアネスの権化みたいでした。まさにガチ天使。『夜曲』のサヨちゃんと似ているけれど、どこか違う。何だろう、と思いながら観ていました。

そして二幕に入ります。死期を悟ったベスがジョーと最後のお別れをする凧のシーン。初回観劇時、ここで泣くのは必死に我慢しました。でもその後のジョーが若草物語の着想を得て書きだすところ、他の姉妹たちがないものねだりをしている中で「ベスはただひとり満たされた表情をしていた」とジョーが表現したところでもう限界でした。

ああ、彼女の表情は「すべて満たされた表情」だったんだ。だからあんなにも尊く観えたんだ。
そう思った時に泣けて泣けて仕方ありませんでした。

満たされた心で目の前にあるすべてを愛したベス。

一幕のさゆは、見事なまでにベスでした。


2019.09.17 感動回


もうひとつ、どうしても書いておきたいことがあります。

2度目の観劇は9月17日のマチネでした。

スケジュールも後半に差し掛かり、カンパニーの息もぴったり。笑ってほしいシーンで笑い声が出る雰囲気の良い客席。

一幕のラスト、軍に入隊するブルックがメグにプロポーズするシーン。ふたりのデュエットが観客の心を震わせ、美しい余韻を残します。

二幕。
凧のシーンが始まり、客席のあちこちから鼻をすする音が聞こえてきます。

そしてこの日のベスはまさに絶唱でした。

個人的には舞台女優としてのさゆの最大のウィークポイントって、声量だと思っています。でもこの時は、彼女の舞台を何十回も観てきた私ですら「これは本当に井上小百合なのか」と思うような、力強くて声量豊かで、なのに儚さで胸が締めつけられるような歌声。

ジョーとベス、互いを見つめながら歌うふたりの間に愛情と寂しさ、そして感謝がほとばしり、それが観客を包み込みます。

 もう、行かせて

最後にベスがこう呟いた時、何人もの人が客席で肩を震わせて泣いていました。

無論、私もそのひとりです。

きっと彼女を初めて観た人たちの中にも何人かは、この日を境に井上小百合の名が刻まれたことでしょう。

この日、スタンディングオベーションが起きました。
東京千秋楽でも何でもない、普通の平日のマチネで突如発生したスタンディングオベーション。

ただただ心が震わされたからそれを伝えたくて、巻き起こった暖かい拍手。
それはまるで2014年10月16日のアンダラ2ndシーズン「感動回」のようで。

素晴らしいものを観せてもらいました。

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