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2019年9月に日比谷シアタークリエで行われた『リトル・ウィメン』、またも2回観劇してきましたのでレポートします。まさかこの年齢になって『若草物語』と接する機会があるとは…推しとは我々ファンを思いもよらない場所に連れて行ってくれるものですね。

超実力派キャスト10人による世界的名作


かの有名な『若草物語』ですが、私も幼少期に読んだきりで完全に内容を忘れていましたので、公式のイントロダクションとストーリーを載せておきます。

イントロダクション:

世界的名作小説『若草物語』とその続編『続・若草物語』を下敷きに、慎ましい生活の中にも喜びを見出し、助け合って困難に立ち向かう四姉妹とその母、そして彼らをとりまく人びとの物語を美しいミュージカルナンバーに乗せて描きます。

女性が職業を持って働くことが稀であった時代に、小説家をめざして世の中に漕ぎ出そうと奮闘し、夢をつかんでいくジョー。その姿は、いまだ窮屈の多い現代を生きる我々にも勇気を与え、また彼女を取り巻く家族との絆は身近な人の大切さを改めて感じさせてくれるでしょう。

ストーリー:

1865年。ニューヨークのカーク夫人(久野綾希子)宅に下宿するジョー(朝夏まなと)は、出版社から届いた手紙を読んで肩を落としていた。自ら持ち込んだ小説の、22回目の出版拒否を受け取ったのだ。同じく下宿人のベア教授(宮原浩暢)は「あなたの小説を気に入る人は必ずいる」とジョーを励ます。

時は戻ってその二年前のマサチューセッツ。メグ(彩乃かなみ)、ジョー、べス(井上小百合)、エイミー(下村実生)の四姉妹は、牧師として南北戦争に従軍した父を、母(香寿たつき)と共に待ちながら、慎ましくも明るく暮らしていた。ジョーは、物語を作っては姉妹たちに語って聞かせ、小説家になることを夢見ていた。

メグと共に初めての舞踏会に出席したジョーは、隣家のローレンス氏(村井國夫)の孫息子、ローリー(林翔太)と出会う。やがてローリーは姉妹の“5人目のきょうだい”となり、姉妹との絆も深まるが―。
公式サイトより引用)

今作の素晴らしさは、なんといってもキャスト。

まずアンサンブル専門の役者さんがいないのです。通行人役などもメインキャストのどなたかが担当し、わずか10人のキャストですべてが演じられます。
上のストーリーでは9人しか出てきませんがもうひとり、メグの夫になるブルック(川久保拓司)がいます。

そしてその10人がまた豪華。

朝夏まなとさんは元宝塚宙組トップスター。
彩乃かなみさん。元宝塚月組トップ娘役。
香寿たつきさん。元宝塚星組トップスター。
久野綾希子さんは元劇団四季の看板女優。
村井國夫さんは経歴を一言では表現できないのですが、TV・映画・舞台それぞれでもの凄い実績のある超ベテラン。ハリソン・フォードの吹き替え声優としても有名でインディ・ジョーンズやハン・ソロ役を演じておられます。

宝塚トップが3人に劇団四季の看板女優に村井國夫さんですよ。
村井さん以外の男性3人も年齢的には中堅どころでいずれも経験豊富な実力派。

そんな錚々たるキャストの中に放り込まれたアイドルふたり、我らが井上小百合とフェアリーズの下村実生さん。

皆さん素晴らしかったのですが、ここでは3人の方について書きます。

彩乃さんは本当に美しかった。思わず初回観劇後どんな人か調べてしまいました笑
それで元宝塚月組トップ娘役だということを知り、深く納得した次第。どちらかと言えば地味目の顔立ちだと思うのですが、舞台上でスイッチを入れた時の美しさは息をのむほど。そしてシーンごとに華やかさを出し入れするその巧みさにも驚きました。

ジャニーズJr.の林翔太さん。お顔は失礼ながら2.5枚目なのですが、歌声が素晴らしい。明るくて伸びやかで、若さと希望と育ちの良さを感じさせるローリーにぴったり。動きもキレッキレでさすがはジャニーズ入所19年目の貫録を感じさせました。

下村実生さんは初めてのミュージカルとのことですが、エイミーの駄々っ子だけど憎めないところを好演した一幕、レディに成長した二幕と劇中劇でのトロルといずれも存在感抜群。トロル役は完全に出オチなので、その日の客席の温まり具合によってはダダ滑りなこともあったと思いますが、皮肉でも何でもなく実に堂々と演じていました。

ジョーと喧嘩して仲直りをしたいのに素直になれないシーンでの「ベス…あなたみたいに優しくなりたい」「エイミーは優しいわ」というやり取りでエイミーの内面の愛らしさが見事に表現されていたのが印象的でした。

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生きるとは変わること


わずか10人のキャスト。豊潤な音楽。舞台を彩る凝った小道具やリアルヴィンテージも織り交ぜた衣装。どこにも綻びのない美しく完成された世界。

こう書くと、ともすれば箱庭的な触れると壊れてしまいそうなものを想像するかもしれません。

しかしこの作品は決して閉ざされたものではありませんでした。

なぜなら、これは観る者にとって「私の物語」でもあるから。

昔から児童文学の傑作とされアニメ世界名作劇場にもなった『若草物語』ですが、この舞台は大人になった人たちにこそ沁みる内容でした。

憧れを捨てて現実の中にある幸せを見つけたメグ。
周囲を拒絶することが拙さだと気づいて自分を広げたジョー。
誰かを羨むことをやめて自分の中にあるものの価値を認めたエイミー。

変な言葉かもしれませんが「きちんと大人になってきた」人なら誰もが、彼女たち3人の姿に自分と重なる部分があるのではないでしょうか。

変わるとは汚れることじゃなくて成長すること。
その尊さと美しさ。

そんなことを感じさせる、美しく完成され、かつ力強い舞台でした。


続きます。

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