タオル補正

大園桃子は大園桃子


とにかく泣く。

それが大園桃子の印象でした。

武道館でのお披露目会で泣き、『乃木坂工事中』での自己紹介で泣き、2017年の5th YEAR BIRTHDAY LIVEでは泣きながらステージ上を徘徊する。

私も最初、彼女に対して否定的な見方をしていました。

凄くストレートな言い方をすると、可愛い顔と泣き芸で嫌なことを回避してここまで人生乗り切ってきたタイプに見えたんです。

実際『NOGIBINGO!8』最終回での最後の試練としての企画、6時間で振り入れして1,000人の前でチアダンス披露でも「できるわけない…」「帰りたい…」という逃げの姿勢が映されていました。

その印象がいつから変わってきたのかは憶えていません。

ただ決定的だったのは、2019年5月に放送された『乃木坂工事中』での3期4期が富士急ハイランドのアトラクションに挑む企画でした。

名物ジェットコースター「FUJIYAMA」での発車前の悲しげな表情から「死んだら仕方がない…死んだら仕方がない…死んだら…死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ」という独特な辞世の句。

これまた名物のお化け屋敷「戦慄迷宮」でゾンビに「話のわかんない人だ」とか「君も一緒に行く?」と語りかけてしまう姿。

TVを観て大笑いしながら思いました。

あれ?俺、大園のこと大好きじゃん。(ガチ恋ではありません、念のため)

ひとたび好感を持ってしまえば、彼女は魅力満載です。

パッと花が咲いたような笑顔。
そこに咲いている花じゃなくて、ポン!と開いたその瞬間の花のような。

そしてその笑顔の時のパカッと開いた口。
あれ見るたびに毎回「切ったスイカみたい」と思います。

ちょっとハスキーで可愛い声。そこに鹿児島訛りが加わるのですからもはや反則笑

「こーむいーん!」とか「もにもに もにもに ぴょんぴょん」とか素晴らしいですよね。
(ご存じない方はYouTubeで「大園桃子 こーむいーん」「大園桃子 モニモニダンス」で検索してみてください。一撃です)

感情移入がもの凄い。
グループの内外を問わず、他人の話を聞いて涙を流す姿を何度も観てきました。


そして彼女の最大の魅力。

それは「大園桃子は大園桃子でしかない」こと。

これにつきます。

2019年夏に公開されたドキュメンタリー映画『いつのまにか、ここにいる』の中で、自身をこう表現しています。

「アイドルとしてではなく、素の自分としてしかいられない」

アイドルとしての自分を演じることができない。
それはプロとしてどうなのか、という意見もあるでしょう。

しかしこれは本来とてつもないアドバンテージです。
普通にやっているだけで(「だけ」はちょっと違うかもしれませんが)あれほどの魅力を発することができるのですから。

そして心からの喜怒哀楽は見る者の心を動かします。リアルにはフェイクが決して持ちえない力があるのです。

しかし同時にこれは彼女の最大のウィークポイントでもあります。

同じ映画の中でこうも語っていました。
「だからキャラややり方を否定されたら、自分が全否定されたようになる」
「ありのままの姿でぶつかっていけば、ズタズタに傷つく」とも。

アイドルを演じているのであれば、それを否定されても演じ方を変えれば受け入れられる可能性があります。

しかし彼女が否定されるのは大園桃子そのもの。逃げ場がありません。

そして2019年、彼女が持つそんな危うさが顕在化してしまいます。
春先から不安定な状態が続いていた彼女は、体調不良のため真夏の全国ツアーと24thシングルの活動に参加しないと発表されました。

彼女のことばは刺さる


でも、そんなありのままの彼女が素の自分として発するからこそ、そのことばは聞く者の心に刺さるのです。

前述のドキュメンタリー映画を観た多くの観客の記憶に彼女の言葉が残っていることでしょう。

「大好きな人と会えなくなることに強くなる必要ありますか」
メンバーの卒業についての言葉です。

「サヨナラに強くなれ」なんて言うけれど、物分かり良く笑顔で見送るなんてできない。傷ついたって、ちゃんと別れを悲しみたい。

卒業メンバーを見送るファンの偽らざる思いと同じではないでしょうか。

「乃木坂も悪くないなって思った」
2018年末のレコード大賞パフォーマンス後に言った言葉です。

桜井玲香が「メンバーへの愛が溢れて止まらなかった」と表現したあの日。
大園桃子もそれと似た感覚を抱いていました。

乃木坂を知らずに乃木坂になってしまった彼女、気づいたらそのセンターにまで立ってしまった彼女。それがメンバーのことが大好きになり、少しずつゆっくりとではあるけれどグループへの愛着も生まれ始めた。

それは、乃木坂がどこにあるかなんて何も知らずに来た、気づいた時には坂を上っていた1期生たちの、ゆっくりと時間をかけてメンバーとグループへの愛を育んでいったその歩みと重なります。

全部オリジナルの、心からのもの。
だから大園桃子のことばは力があるのです。


そして今、世界を不安と悲しみが包む中で彼女が発したことば。



私がこの記事を書こうと思った理由です。

「でも」「そうは言っても」「現実的に考えると」
いくらでもそんな反論が出てきそうな文章かもしれません。

ただ、本当は誰もが気づいている一番大切なこと。
そんなド本質を彼女は拙いながらも自分の言葉で一生懸命伝えているのです。

響きますね。

ACで本人がこのブログを語りかけるCM作ってくれませんかね。
結構マジで外出自粛に効果あると思うんですけど。

みんなで頑張って、みんなで生き延びましょう。