タオル補正
2020年7月10日、アシスタントを務めているラジオ番組内で中田花奈さんの卒業が発表されました。

自身の冠番組で「本当はもう卒業しているはずだった」という発言をしたばかりでしたので特に驚きはありませんが、やっぱり寂しいですね。

「下がっていくアイドル」


「上から読んでもなかだかな、下から読んでもなかだかな、横から読んだら、だ!」

この乃木坂史上屈指の秀逸なキャッチフレーズでスタートダッシュを決め、デビューシングル『ぐるぐるカーテン』で選抜入り。2ndシングル『おいでシャンプー』では初のフロント&福神入り。

しかし彼女自身の言葉を借りればこれが「中田の全盛期」となります。

続く3rdシングル『走れ!Bicycle』も選抜入りしたものの、4th『制服のマネキン』では秋元真夏サプライズ選抜入りのダシに使われる形で無念の選抜落ち。

5th6thは連続で選抜されるものの、以降はアンダー定着。
彼女が再び選抜に戻ったのは実に約3年9ヶ月後、17thシングル『インフルエンサー』まで待つ必要がありました。

その後、19th『いつかできるなら今日できる』では映画『あさひなぐ』出演メンバーとして、25th『しあわせの保護色』では1期生全員福神という形での選抜入りがありましたがそれ以外はすべてアンダーでした。

アンダー曲でセンターを務めたのは4thでの『春のメロディー』そして21stでの『三角の空き地』の2回。それ以外はアンダーでもあまりフロントはなくほぼ2列目でした。(ただし3列目になることはありませんでした)

とはいえ比較的多くのチャンスをもらったメンバーでもありました。
他星ユニット、サンクエトワール、女子校カルテットなど数多くのユニットに参加し、乃木團やさゆりんご軍団の一員でもありました。グループ内舞台の『じょしらく』『弐』『セラミュ』にも出演しています(演技には苦手意識があったようですが)。

長きにわたり配信番組とラジオのレギュラーを持ち、趣味の麻雀を活かして冠番組をゲットするなどの活躍も見せました。

しかし選抜の硬直化、後には3期生たちの躍進もあり、彼女がかつてのような存在感を取り戻すことはありませんでした。

あの日見せた会心の笑み


なんか器用そうに見えて不器用な人だったな。
それが私の印象です。

賢くて色々考えてしまう彼女は自分と他のメンバーを比べ、グループの中での立ち位置を計算していたのだと思います。そして意図して王道ではなくカウンターであろうとしたのでしょう。
ですが悲しいかなセルフプロデュース能力はそれほど高くなかった。

その言動がたびたび批判を浴びました。

3期生バレンタイン企画で(2期の時の同企画で齋藤飛鳥が立候補しては振られまくった結果跳ねたのを模倣して)立候補しまくったり、たびたび父親との不仲ネタを話したり。もちろん「台本じゃん」と言われればそれまでですが、だとしても彼女はこの手のネタをやるのに向いていなかった。

有名私立女子校出身で勉強もでき、乃木坂初代頭脳王の座にも輝いたこと。そしてクールな性格っぽいビジュアル。これらのバイアスによりどこか「可愛げがなく」映ることがあったように思います。個人的には「ウチ」という一人称も良くなかったかと。

そして前述の「中田の全盛期」をはじめとした自虐。

本当にそう思っているのか、アイドルは弱みを見せないものという美学なのか、それとも単なる自己防衛本能なのか。これも見ようによっては「わかってます」「効いてない」アピールのようで、プライドが高いという印象を与えたのではないでしょうか。

また「クセが強い欲しがりで聡い」という同タイプに秋元真夏という強力なライバルがいたことも不運でした。早々にぶりっ子キャラを確立しやり切る真夏さんに対し「バカになり切れない」かなりんはどこか思い切りが悪く、それもプライドの高さと感じられてしまったように思います。いや「カナヲ」はとてつもなく振り切ってるんですが笑

でも、メンバーからは慕われていました。

多くのメンバーが彼女を「優しい」と言っていました。
ダンススキルにも定評があり、歌番組に選抜メンバーが出演できない時には代打出場で見事なパフォーマンスを見せ「代打の神様」と称えられることもありました。

切れ長の目をした和風美人。肌の綺麗さもメンバーから羨望の声が上がるほど。
ただ逆に言うと地味目の顔立ちで今どきのアイドル顔ではない気がしますが、先日の『乃木坂工事中』でも松村沙友理が「この顔になりたい」として挙げていましたし井上小百合もかつてモバメで何度も「かなりん美人!」と書いていました。

2018年7月の「シンクロニシティライブ」こと6thバスラでのビジュアルはとんでもなく仕上がっていたのを憶えています。

ブログやモバメは頻繁に更新し、握手対応も良好。
自分のファンにしっかり向き合っていた印象があります。

つい最近書いたように、私としては46時間TVの中で見せた母のような穏やかなたたずまいが非常に好感の持てるものでした。でもきっとあれは卒業を決めていたからこそ素直に出せた姿なのでしょう。



彼女にも忘れられないシーンがあります。

2017年末のレコード大賞における『インフルエンサー』。多分、皆さんと同じですね笑

本編。生バンド演奏に合わせ情熱をほとばしらせて舞い踊るメンバーたち。もうこの時点で受賞を確信する(私が、ですが)ほどの渾身のパフォーマンス。間違いなく乃木坂史におけるベストのひとつでしょう。

そしてこの日のかなりんはフォーメーションのヘソの位置である裏センター。伊藤万理華の卒業に伴い空席となっていたその重要なポジションを務めました。
本来とは違うポジション。しかもレコ大。プレッシャーのかかる条件が揃っている中、彼女は見事に踊りきります。

そしてレコード大賞を受賞した乃木坂46はエンディングで再度の曲披露を行ないました。

その最後のサビ。
カメラに抜かれた彼女は顔をくしゃっと歪め、ちょっと不敵な笑顔を見せたのです。

それはこの日掴んだ勲章とかこれまでの苦悩からの解放とかじゃなくて、ただただ会心のパフォーマンスに対する喜びが溢れ出たように見えました。


最後に今後の彼女に期待することを書きます。

これ本人やファンの方には凄く怒られると思うんですが、乃木坂のスタッフやってくれないですかね。メンバーの活動サポートやアドバイザーとして、様々な浮き沈みを経験した彼女は凄く有能だと思うんですよね。オリジナルメンバーかつダンススキルもあるということで後輩からのリスペクトもあるようですし。

そして10年後ぐらいに坂道とは別の中田花奈プロデュースアイドルグループを見てみたいですね。乃木坂とは似ても似つかないやつを。それを見て言いたいです。「本当はこういうのがやりたかったのか!」って笑


なまじスタートダッシュを決めてしまったゆえに「下がっていく」苦しみを味わったかなりん。

でもそこで代表作『おいでシャンプー』そして「ナカダカナシカ」コールが生まれました。
彼女のアイドル人生には間違いなく「全盛期」と呼べる瞬間があった。それはある意味、とても幸せなことだと思います。

「アイドルはパフォーマンスしてナンボ」

そう語った彼女が卒業前に何らかの形でファンの前でパフォーマンスできることを願っています。

中田花奈さん、9年間お疲れさまでした。