ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

カテゴリ: 乃木坂46

タオル補正
2020年7月10日、アシスタントを務めているラジオ番組内で中田花奈さんの卒業が発表されました。

自身の冠番組で「本当はもう卒業しているはずだった」という発言をしたばかりでしたので特に驚きはありませんが、やっぱり寂しいですね。

「下がっていくアイドル」


「上から読んでもなかだかな、下から読んでもなかだかな、横から読んだら、だ!」

この乃木坂史上屈指の秀逸なキャッチフレーズでスタートダッシュを決め、デビューシングル『ぐるぐるカーテン』で選抜入り。2ndシングル『おいでシャンプー』では初のフロント&福神入り。

しかし彼女自身の言葉を借りればこれが「中田の全盛期」となります。

続く3rdシングル『走れ!Bicycle』も選抜入りしたものの、4th『制服のマネキン』では秋元真夏サプライズ選抜入りのダシに使われる形で無念の選抜落ち。

5th6thは連続で選抜されるものの、以降はアンダー定着。
彼女が再び選抜に戻ったのは実に約3年9ヶ月後、17thシングル『インフルエンサー』まで待つ必要がありました。

その後、19th『いつかできるなら今日できる』では映画『あさひなぐ』出演メンバーとして、25th『しあわせの保護色』では1期生全員福神という形での選抜入りがありましたがそれ以外はすべてアンダーでした。

アンダー曲でセンターを務めたのは4thでの『春のメロディー』そして21stでの『三角の空き地』の2回。それ以外はアンダーでもあまりフロントはなくほぼ2列目でした。(ただし3列目になることはありませんでした)

とはいえ比較的多くのチャンスをもらったメンバーでもありました。
他星ユニット、サンクエトワール、女子校カルテットなど数多くのユニットに参加し、乃木團やさゆりんご軍団の一員でもありました。グループ内舞台の『じょしらく』『弐』『セラミュ』にも出演しています(演技には苦手意識があったようですが)。

長きにわたり配信番組とラジオのレギュラーを持ち、趣味の麻雀を活かして冠番組をゲットするなどの活躍も見せました。

しかし選抜の硬直化、後には3期生たちの躍進もあり、彼女がかつてのような存在感を取り戻すことはありませんでした。

あの日見せた会心の笑み


なんか器用そうに見えて不器用な人だったな。
それが私の印象です。

賢くて色々考えてしまう彼女は自分と他のメンバーを比べ、グループの中での立ち位置を計算していたのだと思います。そして意図して王道ではなくカウンターであろうとしたのでしょう。
ですが悲しいかなセルフプロデュース能力はそれほど高くなかった。

その言動がたびたび批判を浴びました。

3期生バレンタイン企画で(2期の時の同企画で齋藤飛鳥が立候補しては振られまくった結果跳ねたのを模倣して)立候補しまくったり、たびたび父親との不仲ネタを話したり。もちろん「台本じゃん」と言われればそれまでですが、だとしても彼女はこの手のネタをやるのに向いていなかった。

有名私立女子校出身で勉強もでき、乃木坂初代頭脳王の座にも輝いたこと。そしてクールな性格っぽいビジュアル。これらのバイアスによりどこか「可愛げがなく」映ることがあったように思います。個人的には「ウチ」という一人称も良くなかったかと。

そして前述の「中田の全盛期」をはじめとした自虐。

本当にそう思っているのか、アイドルは弱みを見せないものという美学なのか、それとも単なる自己防衛本能なのか。これも見ようによっては「わかってます」「効いてない」アピールのようで、プライドが高いという印象を与えたのではないでしょうか。

また「クセが強い欲しがりで聡い」という同タイプに秋元真夏という強力なライバルがいたことも不運でした。早々にぶりっ子キャラを確立しやり切る真夏さんに対し「バカになり切れない」かなりんはどこか思い切りが悪く、それもプライドの高さと感じられてしまったように思います。いや「カナヲ」はとてつもなく振り切ってるんですが笑

でも、メンバーからは慕われていました。

多くのメンバーが彼女を「優しい」と言っていました。
ダンススキルにも定評があり、歌番組に選抜メンバーが出演できない時には代打出場で見事なパフォーマンスを見せ「代打の神様」と称えられることもありました。

切れ長の目をした和風美人。肌の綺麗さもメンバーから羨望の声が上がるほど。
ただ逆に言うと地味目の顔立ちで今どきのアイドル顔ではない気がしますが、先日の『乃木坂工事中』でも松村沙友理が「この顔になりたい」として挙げていましたし井上小百合もかつてモバメで何度も「かなりん美人!」と書いていました。

2018年7月の「シンクロニシティライブ」こと6thバスラでのビジュアルはとんでもなく仕上がっていたのを憶えています。

ブログやモバメは頻繁に更新し、握手対応も良好。
自分のファンにしっかり向き合っていた印象があります。

つい最近書いたように、私としては46時間TVの中で見せた母のような穏やかなたたずまいが非常に好感の持てるものでした。でもきっとあれは卒業を決めていたからこそ素直に出せた姿なのでしょう。



彼女にも忘れられないシーンがあります。

2017年末のレコード大賞における『インフルエンサー』。多分、皆さんと同じですね笑

本編。生バンド演奏に合わせ情熱をほとばしらせて舞い踊るメンバーたち。もうこの時点で受賞を確信する(私が、ですが)ほどの渾身のパフォーマンス。間違いなく乃木坂史におけるベストのひとつでしょう。

そしてこの日のかなりんはフォーメーションのヘソの位置である裏センター。伊藤万理華の卒業に伴い空席となっていたその重要なポジションを務めました。
本来とは違うポジション。しかもレコ大。プレッシャーのかかる条件が揃っている中、彼女は見事に踊りきります。

そしてレコード大賞を受賞した乃木坂46はエンディングで再度の曲披露を行ないました。

その最後のサビ。
カメラに抜かれた彼女は顔をくしゃっと歪め、ちょっと不敵な笑顔を見せたのです。

それはこの日掴んだ勲章とかこれまでの苦悩からの解放とかじゃなくて、ただただ会心のパフォーマンスに対する喜びが溢れ出たように見えました。


最後に今後の彼女に期待することを書きます。

これ本人やファンの方には凄く怒られると思うんですが、乃木坂のスタッフやってくれないですかね。メンバーの活動サポートやアドバイザーとして、様々な浮き沈みを経験した彼女は凄く有能だと思うんですよね。オリジナルメンバーかつダンススキルもあるということで後輩からのリスペクトもあるようですし。

そして10年後ぐらいに坂道とは別の中田花奈プロデュースアイドルグループを見てみたいですね。乃木坂とは似ても似つかないやつを。それを見て言いたいです。「本当はこういうのがやりたかったのか!」って笑


なまじスタートダッシュを決めてしまったゆえに「下がっていく」苦しみを味わったかなりん。

でもそこで代表作『おいでシャンプー』そして「ナカダカナシカ」コールが生まれました。
彼女のアイドル人生には間違いなく「全盛期」と呼べる瞬間があった。それはある意味、とても幸せなことだと思います。

「アイドルはパフォーマンスしてナンボ」

そう語った彼女が卒業前に何らかの形でファンの前でパフォーマンスできることを願っています。

中田花奈さん、9年間お疲れさまでした。



deux補正2
2020年6月に下北沢本多劇場で行なわれた舞台『齷齪とaccept』の配信を観劇しましたのでレポートします。

アーカイブ配信なしのリアルタイム視聴のみ。ビジネス的には明らかにアーカイブありの方が望ましいのにそうしないのは「舞台は一期一会」というこだわりゆえでしょうか。

We are back!!


2020年6月1日より下北沢の本多劇場が再開されました。

小劇場の聖地。
私も舞台を観に行くようになる前からその名前ぐらいは知っていました。

行なわれるのは11人の演者の日替わりによる「一人芝居の無観客生配信」。
そしてその中に「井上小百合」の名前がありました。

役者になりたいのに「君には無理だ」と言われて悔し涙を流した少女が、10年後に小劇場の聖地に、かねてから彼女自身「あそこに立ちたい」と言っていたその場所に立つ。

それだけでも感動的なのに

 演劇の灯を消すな

多くの人のそんな願いを込めてこの状況で行なわれる公演に選ばれた。

こんなシナリオ、誰も想像できないですよね。

「元乃木坂」の集客力を期待して。もちろんそれもあるでしょう。
ただ本多劇場に再び灯がともる日にその場にいることを許された。いやそれどころか請われてその場にいるというのはもうそれだけでさゆ推しとしては感極まりそうです。

これだから井上小百合推しはやめられない笑

演じたのは『齷齪(あくせく)とaccept』。
『じょしらく』の川尻恵太さん脚本(そもそも「DISTANCE」全体の企画も川尻さんです)で、初演は同じく『じょしらく』の『弐』で共演した小山めぐみさん。演出のニシオカ・ト・ニールさんも『じょしらく』で演出助手を務めていた方。

ちゃんと、乃木坂としての彼女の日々とつながっているんです。

かなえたい夢があるのに、それに向かって進んでいる感じが全然なかったアイドルとしての最初の数年間。それでも歯を食いしばって歩き続けた本人と、それを支えた周りの人々へのご褒美のような今回の抜擢。

まじめにやればいいことあるもんだな。

そんな感慨すら覚えます。


Baby Goodbye


そして、舞台に立った井上小百合はいつものように我々を驚かせてくれました。

あらすじを一言でいうと、戦争に行って帰ってこない作家の夫を50年間待ち続ける女性の話。

基本的には主人公の若い時から老婆になるまでを演じるのですが、一人芝居かつセットも最小限で衣装替えもなしという制約の中で、夫の書いた小説や回想シーンの登場人物に至るまで様々なキャラクターを流れるように演じ分けていきます。

『奇跡の人』のヘレン・ケラーとサリヴァン先生の名シーンを毒たっぷりに演じたり、「ヤギのマネ」や「恋に落ちたダンス」が気持ち悪い動きで最高に可愛かったり。
個人的に一番良かったのは『ジャック・ザ・リッパーふざけるな』の歌でのすっとぼけた表情ですね。

前半はコメディエンヌとしてのさゆの魅力が存分に発揮されていました。

やがて後半に差し掛かり物語が徐々に趣を変えてゆくにつれ、私はタイトルの意味が分かったような気がしました。

「齷齪と」=懸命に、「accept」=受け入れる。
「齷齪と」は「悪戦苦闘」も掛けているような気がします。
つまり「受け入れがたいことを懸命に受け入れる」姿を描いているのではないでしょうか。

受け入れがたいこと、それは「あなたの不在」。

想いが強すぎるからこそ、それに50年もかかってしまった。
そんな悲しくて滑稽で愛おしい人間の姿。

辛いからふざける。泣きたいからはしゃぐ。
前半のドタバタな演技が物語の後半に見事に収束していく様は圧巻でした。

そしてラストシーンで表現されていたのはふたつの相反する感情。

ひとりでいることの絶望的な孤独と
ひとりでもひとりじゃないと感じられることの暖かさ。

この両方を自分の中に感じた時、やっと主人公は夫の不在を受け入れることができたように思います。(本当は死んだのは夫じゃなくて主人公だったのかな?と思わせる余韻でしたけど、どうなんでしょう)

上で書いた「悲しくて滑稽で愛おしい人間の姿」。そのすべてを表現した井上小百合。

めちゃめちゃ気合入っててめちゃめちゃ強い思いでこの舞台に臨んでいることが観ている者に伝わる、素晴らしい演技でした。

終わった後の噛みしめるような「楽しかった…」がまた良かったですね。


2020年7月6日に井上小百合公式Youtubeで公開された「【井上小百合】「アイドル卒業後の女優業に密着」でこの公演の一部やリハーサルの模様を観ることができます。

川尻恵太さん、そして新たな所属事務所であるシス・カンパニー代表の北村明子さんのコメントも非常に興味深いのでぜひ一度ご覧になることをお勧めします。



そして「DISTANCE」も第2弾として8月に客席稼働率を下げての有観客+配信という形で開催することが発表され、今回も井上小百合は出演者に名を連ねています。



同じ『齷齪とaccept』なのか他の演目なのかはまだわかりませんが、こちらも非常に楽しみです。



タオル補正

『Overture』が流れれば


46時間のフィナーレ飾ったのはライブでした。

セットリストはこちら。

Overture
01. 裸足でSummer
02. ハウス!
03. ダンケシェーン
04. おいでシャンプー
05. 君の名は希望
06. アナスターシャ
07. 毎日がBrand new day
08. I see...
09. Sing Out!
10. 世界中の隣人よ

高山一実が「『Overture』がかかってちゃんとライブの気持ちになった」と語ったように、観る側も自然とスイッチが入ります。

そして流れ出すのは『裸足でSummer』。

全員がそれぞれのブース内でマフラータオルを掲げます。
個人的にこの曲はどうしても神宮を思い出します。2016年、齋藤飛鳥の涙。2018年、シンクロニシティライブのオープニング。後者は日によっては秩父宮ですが笑

MCを挟み、スタジオでのパフォーマンスへ。曲ごとにメンバーを替えて同時に出るメンバー数を絞ることにより距離を保てるようにします。

そこで披露されたのはブチ上げ曲の3連打。
なんというか、こんな状況だけれどちゃんとライブとしてのセットリストを届けようとしてくれているのが良くわかります。

『ダンケシェーン』のアタマを伸びやかに、気持ちよさそうに歌う生田絵梨花。まだまだ体力が有り余っている感じの向井葉月と清宮レイも微笑ましい。

そしてここからは各期別での楽曲となるのですが、いわゆる「期別曲」のない1期生が選んだのは『君の名は希望』でした。

もう何回聴いたかわからないこの曲ですが

 未来はいつだって 新たなときめきと出会いの場

未来が見えない今だからこそ、この言葉が胸に沁みます。

2期以降は最新シングル『しあわせの保護色』収録の期別曲を披露していきます。

イロモノ的な曲(好き嫌いは別として)が多かった2期生がド直球の名曲『アナスターシャ』を抒情的に歌い上げれば、3期生はこの日が初披露の『毎日がBrand new day』。サビの楽しげな振り付けで祝祭感を盛り上げます。

この曲の考察はこちら


そして4期生。こちらも初披露、みんな待ってた『I see…』です。
3期の最強アンセム『三番目の風』に対抗しうる堂々の4期アンセムへと成長したこの曲。
この数日後にはYoutubeで再生回数が1,000万回を超えました。

この曲の考察はこちら



例の「胸騒ぎの腰つき」がカメラに抜かれずに「掛橋だ!掛橋沙耶香を写さんかい!」と思っていたのは私だけではないはず笑


風に乗って飛んで行け 愛の歌


本編ラストのイメージでしょうか。次の曲は『Sing Out!』。

大間奏、祈るように舞う齋藤飛鳥のソロダンス。いつもより感情的に見えるのは気のせいでしょうか。周りのメンバーが皆、微笑みを浮かべて優しく見守っているのもグッときます。

最後はまた全員ブース内に戻っての『世界中の隣人よ』。

それぞれがホワイトボードにメッセージを書き、掲げるメンバーたち。その何人かは涙ぐんでいます。あんな狭いスペースから、精一杯の思いを届けようとしているのが伝わってきます。

この曲の考察はこちら


そしてエンディングでは白石麻衣と電話がつながり全員集合での大団円となりました。
梅澤美波、大園桃子、久保史緒里、向井葉月、吉田綾乃クリスティー…まいやんの声を聞いて何人もの3期生がしゃくりあげて泣いています。

なんて幸福で、なんて温かい幕切れでしょう。

賀喜遥香がオープニングで何気なく発した「乃木坂愛してる」。

この言葉に包まれた46時間でした。

メンバーもスタッフもそしてファンも、乃木坂が本当に大好きで、大切で仕方がない。
とりわけ会えない時間が思いを募らせ、互いへそしてグループへの愛情を深めたメンバー同士の嬉しそうな姿は観ているこちらまで幸せな気持ちにしてくれました。


深夜時間帯に流されていたのは過去の46時間TVの映像でした。
そこに映っているのは既に卒業したメンバーばかりで、やっぱりどうしても切なくなります。
こんなにメンバーが入れ替わって、「すっかり変わってしまったな」とは正直思うんです。

それでもなお、46時間TVを観終わった時に私はこう感じていました。

 やっぱ乃木坂だな。

奇跡みたいなグループです。


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前の記事では頼もしくなった3期生たちをピックアップしました。

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この記事では引き続き印象に残ったメンバーを挙げていきます。

「安心感」の田村真佑、「かかりっぱなし」の北野日奈子、そして「無我」の中田花奈


田村真佑
凄く、凄く大人の信頼が厚いのがわかります。秋元真夏や梅澤美波が既に「真佑ちゃんに振っておけば大丈夫」という感覚を持っているのも見て取れます。彼女のキャリアを考えるとこれは驚異的。

とにかく物怖じしない。振られれば何かコメントを発する。しかも出しゃばらない。ついでに声が可愛い。和田まあやとおバカを争っていた時にはここまで有能な人物だとは夢にも思いませんでした笑

電視台でゲテモノ食べさせられても涙目になりながらやり切ったのも良かった。あれで泣いてしまうとまた違った空気になるところでした。


北野日奈子
46時間ずっと「かかりっぱなし」だった彼女。
久保史緒里の2ショットトークでは「さゆまい(=松村沙友理と白石麻衣)」を彷彿とさせるバカップルっぷりを見せつつ両者号泣。久保チャンネルでもイチャイチャし、2期生企画では本当の修学旅行生のようにとにかく声がデカかった笑
もうメンバーに会えて嬉しくてしかたがないのがダダ漏れで非常に微笑ましかったです。

正直彼女をそれほど好きでない人からは反感を買うんじゃないかと思うぐらいのハイテンション。そのまま最後まで走り切ったのは見事でした。

前回の46時間TVの時は活動休止中だったきいちゃん。メンバーがちぎり絵アートを作成するコーナーでフラッと現れた彼女を優しく迎えた星野みなみと相楽伊織。あれは僅か2年ちょっと前のことです。それを思うと今彼女がこんな楽しそうに活動しているのが本当に嬉しいですね。


中田花奈
これ、もう完全に受け取り手である私の主観なんですが、「落ち着いたなあ」と思いました。

3期バレンタイン企画でガンガン立候補して(2期生の時にガンガン立候補して振られまくった結果跳ねた齋藤飛鳥を真似して)批判を浴びていた彼女はもういません。

今回の46時間TVを通じて、後輩たちを愛でている彼女はなんだか子供の成長に目を細める母親のように見えました。

先日ある番組で「本当はもう卒業しているはずだった」というコメントもありましたが、今の彼女はもはや「無我」の境地に達しているのかもしれません…ってどんなアイドルやねん笑

自身の電視台「カナリナティカード」ではやりたいことやりつつちゃんと甘噛みしまくってビリビリペンのリアクションも松村沙友理に負けるというオチまで綺麗についていて良かったです。


「至宝」生田絵梨花の涙


最後に触れたいのは生田絵梨花です。

電視台の企画は2ヶ月で「触ったこともない」ヴァイオリンの生演奏をするというものでした。

曲は『帰り道は遠回りしたくなる』。
背後で流れるのは生ちゃんのソロ歌唱。オリジナルでは抑えめに歌われているこの曲を非常にドラマチックに歌っていて素晴らしかったです。ボーカリストとしての彼女の魅力が堪能できました。

逆に言えば演奏はそんなにピンときませんでした。自分はヴァイオリンを演奏できませんので2ヶ月であそこまで演奏することの難易度はまったくわかりません。それでもついこちらも「生ちゃんなら」ということでハードルを上げてしまう。良くないですね。

さらに企画は続きます。「実はギターも並行してイチから練習していました」。
うわこれ、また「ヴァイオリンをなめるな」とか言い出す輩がいそうだな…と心配になります。

しかし演奏後のコメント中、彼女がふいに目を潤ませた瞬間にすべてが変わりました。

直前に生ちゃんの口をついたのは「自分のモチベーションを保つ意味でも」という言葉。

ハッとさせられました。
あの「モチベーションおばけ」の生田絵梨花が、モチベーションを失っていたんだ。

コロナ禍により大きな仕事が飛びました。

『ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド』は開幕直前に感染が拡大し初日が3度も延期されます。そして3月20日から27日(いわゆる「奇跡の1週間」ですね)だけの公演。4月に予定されていた公演はすべて中止。

そして世界初演で気合が入りまくっていたであろう『四月は君の嘘』も7月から8月まで全公演が中止。

どちらもまるまる2か月に及ぶロングラン、そして全国ツアーありの舞台でした。

そこに本来であれば5月に白石麻衣の卒コン、恐らくは乃木坂真夏の全国ツアーも重なり、夏の終わりまで彼女は舞台と乃木坂コンサートの同時進行で一心不乱に駆け抜けるはずでした。

気がつけばそのすべてが白紙に。


高すぎるハードルを設定して、それを私のような凡人では想像することすら及ばない努力により乗り越え続けてきた彼女。何かに憑りつかれたかのようにステージに上がり続け、その姿で我々に勇気を与えてきた彼女。

そんな彼女の溢れる情熱を叩きつける場所が、自分が努力してもどうにもならない「感染症」という敵によって理不尽に奪い去られた。

それがショックだったのではないでしょうか。

ここ何年も常軌を逸したスピードで走り続けてきた彼女が立ちすくみ、途方に暮れた。
初めて経験する「本当にどうすればいいのかわからない」状態は、生ちゃんにとって非常に苦しく辛いものだったんだと思います。

だからこそ今回、2ヶ月で「触ったこともない」ヴァイオリンとギターの生演奏をするという無理難題を自らに課し、懸命になんとか自分を奮い立たせようとした。

感受性の強い岩本蓮加はそれを敏感に感じ取ったのでしょう。
ポロポロと大粒の涙をこぼし、それを見た生ちゃんもついに堪えきれずに泣き出します。

誰かが卒業するたびに泣きじゃくる心優しき彼女ですが、こと「自分のこと」となるとほとんど涙を見せない印象があります。(すぐに思い出せるのは『おいでシャンプー』の選抜発表ぐらいです)

「少しでも誰かに届いたのかな…」

そう言いながら彼女が見せた涙は、観る者の心を打つものでした。

止まることができないのかのようにいつも猛スピードで走り続ける生ちゃん。
個人的には現在のような状況ぐらいはゆっくり休んでほしいという思いも正直あるのですが。

既に彼女はまた走り出しています。

本当にすごいな、この人は。


続きます。

この記事の続き:



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前の記事では駆け足で全体の流れを追いました。

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この記事では印象に残ったメンバーを挙げていきます。

見たか、これが山下美月じゃ


やっぱり最初に名前を挙げたいのは山下美月です。
彼女の魅力を再確認できた46時間でした。

3期企画「3期生運動能力女王決定戦」での姿。
「11位は1位だと思ってる」というコメントからして秀逸でしたね。

みっともなくてもかっこ悪くても、やるとなったら全力で泥臭くやる。あのクールでスマートなビジュアルで。
それこそが彼女が加入当初から見せていた素晴らしさ。初期についたファンの多くは彼女のそんなところに惹かれたのではないでしょうか。

『3人のプリンシパル』で圧倒的な久保史緒里に食らいついた時のことを思い出します、って書きたいところですが実は私は観ていません笑
個人的に忘れられないのは2017年東京ドームの『ダンケシェーン』。
向井葉月とふたりで客席がザワつくほどの全力ダンスをしていました。全くカメラに抜かれていないタイミングで、です。

山下美月はかっこ悪い時が一番格好いい。名言っぽく言ってみました笑

後輩もできて写真集も大ヒット。グループ内で不動の地位を確保したといってもいい彼女が今見せるかっこ悪さに胸がジーンとなります。

電視台での『自分じゃない感じ』オリジナルMVも良かったですね。
どこまでが彼女自身から出たものかはわかりませんが、あそこまで形にする企画力と実行力。

そしてちりばめられた小ネタから垣間見える彼女の同期愛、乃木坂愛。
普段から声高に愛を叫ぶタイプではない美月だからこそ、観ている側もグッとくるものがあります。かつて橋本奈々未が醸し出していた「言葉にはしないけれど乃木坂のためなら身体を張る」感を思い出させます。


梅澤美波
「めちゃめちゃ漢字読めない」らしいですけど笑

乃木坂が好きで先輩に憧れて、それにふさわしくありたいと心から願って真面目に努力して。それが周囲に認められて「次期キャプテン」なんてプレッシャーをかけられるところまできました。

そんな彼女の熱い乃木坂愛も番組中に溢れていました。
MCでもコーナーでも電視台でもブースにいても呼ばれれば快く出ていき、毎回必ず真剣にやるその優しさ。
今回の46時間ではメンバーに会えるのが嬉しくて仕方ないようでずっとテンション高めだったのも非常に好感度高いですね。


そして乃木坂愛といえばこの人、久保史緒里

まさに八面六臂の大活躍。
北野日奈子との2ショットトークでの両者号泣から始まり、自身の電視台、「久保チャンネル」、人狼、Nリーグ。

そのすべてにおいてトークをまわしていたところにその能力の高さが現れています。

かつてゲストで出演したラジオでそのあまりの対応力の高さにオリエンタルラジオのふたりを驚愕させた彼女。外部の番組でMCアシスタントをやってもおかしくないぐらいの実力を既に身につけていると思います。


本当に3期生は頼もしくなりました。

生放送でのバタバタやソーシャルディスタンスゆえの制約などがある中、何があっても動じない姿を見せていたのは秋元真夏や高山一実そして新内眞衣といった外仕事で場数を踏んだメンバーたち。くぼした梅の3人はそれに次ぐ安定感だったと思います。


与田祐希の持つサムシング


そしてひとり異彩を放ったのが与田祐希でした。
間違いなくハイライトのひとつとなった彼女の断髪。

これ冷静に考えると彼女は何の準備も努力もしていなくて、ただ座って髪を切ってもらっていただけ。それなのに一番の話題を集め、実際に強い印象を残してニュースにもなる。
コメントを聞く限り完全に自分発信のようですが「強力なブレーンがついてるんじゃないの?」と思わず邪推したくなる笑ほどの素晴らしい嗅覚。

そして急遽見守った松村沙友理と生田絵梨花も良かった。
これも事前打ち合わせなしなんですよね。本来は美容師さんとのお喋りで10分もたす予定だったのでしょうか。そのままだったら間がもたなかったであろうところに芸達者なふたりが乱入し、まっつんのサイコっぷりまで発揮されて視聴者を飽きさせないという展開に。

なんかこの辺もスター性みたいなものがあると思いました。
能條愛未じゃないですが「引き寄せる」力が備わってきたように感じます。
真面目に一生懸命やっているだけでひたすら愛くるしい与田っちょに、スター性まで加われば鬼に金棒です。

話は逸れますがこれ観てて思い出したのが、かつて遠征先でひとりでお風呂に入るのを怖がった齋藤飛鳥のために、白石麻衣と松村沙友里のふたりが彼女の入浴中ずっと風呂場の前で歌ったり踊ったりして怖くないようにしてあげたというほっこりエピソード。いいお姉さんたちだ~。

そして髪を切った彼女はどこか、初めて短くした時の西野七瀬を思わせました。
顔はまったく似ていないのに、ふたりにはどこか通じるものがありますよね。

あとはすごく細かいんですが、マツミンになった時に柴田柚菜や筒井あやめを見て「どうやら前髪を出した方が可愛いらしい」と気づき慌てて自分も前髪を出そうとするもうまくいかず悪戦苦闘した挙句に諦める、というシーンではいつもの愛くるしさが発揮されていて良かったです。

全体のまとめで取り上げた大園桃子「歌ってみた」もそうですが、やっぱりよだもものふたりにはどこか人を惹きつける特別な何かがあります。

そしてそんなふたりの魅力を誰よりも認めながら、それでも「負けたくない」と歯を食いしばる山下美月がまた、魅力的なんですよね。

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続きます。

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