ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

カテゴリ: 乃木坂46

タオル補正
2024年2月19日、『乃木坂工事中』内で35thシングルの選抜メンバーが発表されました。

2度やることじゃないのでは。

というのが、私の偽らざる気持ちです。

『保護色』と同じ


今作のセンターはこのシングルをもって卒業する山下美月。
彼女の貢献度を考えれば卒業センターは極めて妥当。

しかし物議を醸したのが「3期生全員選抜」だったこと

同じような状況だったのが白石麻衣の卒業シングルであり、ちょうど10枚前になる25th『しあわせの保護色』。
この時は1期生全員選抜かつ全員福神。つまりフロントと2列目が全員1期生だったわけです。

これも賛否両論でした。
個人的には当時からポジティブに評価していましたし、今でもそれは変わりません。

そんな私でも今回のこれは素直に肯定できないですね。

「1期生と3期生を同じ扱いするのは違うのでは」とか「当時の1期はその多くが選抜固定メンだった」とか「これやるつもりならここ数作の思い出選抜枠を3期に使ったのはどうなのか」とかいろいろ思うところはあるのですが。

最大の理由は『保護色』期間には、どうしても「停滞」というイメージがつきまとうことです。

エンタテインメントの灯が消えてしまった2020年。
全部コロナのせいなのも、業界全体(というか世界中)が同じだったこともわかってます。
大大大功労者である白石麻衣の卒業シングルに対して使う言葉ではないのもわかっています。

それでもやっぱりあの時期は前に進んでいる感覚がありませんでした。

ちょうどコロナ禍が始まったまさにそのタイミングだった8thバスラでの初披露、そして1ヶ月後に発売。

そこから次作『僕は僕を好きになる』までに空いた期間は実に10ヶ月。
恐らく既定路線であったろう山下美月の、3期生初の単独センターは翌年に持ち越され、2020年は表面的には「白石麻衣が卒業しただけの年」になってしまいました。
(あくまでも「表面的には」です。実際は多くの種がまかれた年でした)

そしてあそこまで「お疲れさま、1期生」な感じを出してしまうと他に使い道がないのでしょう、白石麻衣卒業後のライブではほとんど披露されていません。
…と書いていたら先日の12thバスラDAY3のラストで披露されたようなのですが笑

あの時期の停滞感、そして楽曲としての使い勝手の悪さ。

そんなネガティブなイメージが残ってしまっている『保護色』と重なる采配を、わざわざやる必要はなかったんじゃないでしょうか。

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最大限の敬意


まあでも、運営はそういった声が上がるのも承知で3期全員選抜を選択したのでしょう。

たびたび感じることですが、運営は3期が好き。
そして、申し訳なさのようなものも感じているのではないでしょうか。

それはなんか、わかる気がするんです。部外者ではありますが笑

「期別売り」の第1世代そして「トップアイドルとしての乃木坂」に初めて加入してきた世代でもあります。

スタッフでさえ手探りだったであろうあの頃。
期別売りに対する反感(リソースを割かれる)も、今では想像もできないほど強かった。
それでも必死にくらいつき、新たな風を吹き込み、新規のファンを連れてきた彼女たち

乃木坂をミリオンセラーへ、ドームへと押し上げたラストピース。
さらに1期生の去った世界で乃木坂を体現するブリッジとなりました。

乃木坂という「優しい世界」を引き継ぎ、未来へとつなぐ。
加入してまだ2年の5期生たちでさえそう公言するほど、グループのカルチャーとして根付いた「継続の意志」

それを形作ったのも3期生です。

そんな乃木坂にとって非常に大切な役割を果たした彼女たち。
なのに「3期生の時代」は、なかった。

いや、これは語弊がありますね。
今後「4期生の時代」も「5期生の時代」も訪れないでしょう。
そもそもそんな「ひとつの期がすべてを背負う」状況を生まないように、計画的に「のりしろのある」世代交代を進めているのですから。

それでもいまだに梅澤美波が「3期生はみんな自信がない」と語るほど自分たちを認められない彼女たちに対し、運営はどこか申し訳なさのようなものを感じている。

だからこそ最大限の敬意を込めて「白石麻衣卒業時と同じ布陣」という判断をしたのではないでしょうか。

『保護色』選抜発表時の記事に書いた言葉を、改めてここで記しておきます。

 今回不満に思っておられるファンの方もいつか自分の推しが卒業する時に気づくだろう。

 時に情に流される判断をする、そんな運営でよかったと


続きます。



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タオル補正
前の記事では「かきさく」Wセンターという選択と『Monopoly』のMVについて考察しました。

関連記事:


ここでは選抜ボーダーとアンダーについて。

地団駄とカマキリ


34thで選抜から外れたのは3期生の伊藤理々杏と中村麗乃、そして休業中の金川紗耶。
新たに選抜に入ったのは3期生の向井葉月と4期生の黒見明香、そして5期生の冨里奈央でした。

8年目にして悲願の初選抜となった向井葉月

グループのパブリックイメージとアンマッチな「面白パワー系」としてスタートしてしまった(もちろんそれは彼女の持つ要素のひとつではあるのでしょうが)彼女の乃木坂人生。

握手人気では同期の中で苦戦が続きました。
さらに4期生の加入、そしてコロナ禍でのオンラインミーグリ化により完売状況の二極化が進み、彼女の完売もゼロや1という状況が続きます。

しかし。
32nd『人は夢を二度見る』から上昇傾向に転じ、33rd『おひとりさま天国』では2桁完売。

この要因のひとつは過去数作の選抜ボーダーラインで流動性が出たことによるファンの後押しでしょう。
そして彼女がずっとなくさずにいた一生懸命さと乃木坂愛、そして「いいやつ」感がファンに浸透したことも大きかったのだと思います。

意外と言っては失礼なのですが、32ndアンダラの会場で彼女の女性ファンをちらほら見かけて驚いた記憶があります。

そして黒見明香

ちょっと「人と違うリズム」を持っているタイプな彼女。
「先輩風」と「カマキリ」で『乃木坂工事中』内でブレイク。同期の選ぶ2023年MVPでも見事1位を獲得しました。
「イジられる」ことを鷹揚に受け止める、どころか「(フィーチャーしてくれて)ありがとう」と感謝までする姿が非常に好感度高い

乃木坂野球部としても活躍。しっかり準備してひとつひとつの仕事に臨んでいるのが印象深いですね。

その一生懸命さや誠実さが浸透したことでファンをしっかりと掴みミーグリの完売を伸ばしてきました。
前作では5期生を除けばアンダー内で最上位。今作ではさらに完売数を上げています。


アンダーセンターは中西アルノ。5期生では初です。
前作のミーグリ完売実績がアンダー内では圧倒的でしたから極めて順当。

どんな曲が来るかと思っていたらなんと意外、白とスカイブルーの衣装も爽やかなアイドルポップス。
Aフレでは後ろに手をまわして左右にステップというド王道の振り付け。

これは秋元康が彼女への興味を失ったということなのか。
あるいは「ファンがアルノに普通のアイドルをやらせろって言うから王道ソングを渡してみたよ。ほら、物足りないだろ?」と言っているのかもしれません、というのはうがった見方が過ぎるでしょうか。
まあ私は正直拍子抜けしました笑


ただこの曲聴いて改めて思ったのですが、アルさん歌上手くなりましたよね。
特にBフレ。1番2番それぞれで彼女のソロ歌唱があるのですが、実に良い。

いやもちろんお披露目の時点から歌唱力は高かったですけど、ここまで上手くはなかった。

あの時の陶酔型の歌唱ではなく、現在の彼女は「いい意味でテクニカル」だと思います。
見せつけるように技巧に走るのではなく素直にテクニックを使っているというか。

2023年のライブの本数ではグループトップである5期生アンダー組。
さらに『超・乃木坂スター誕生!』や『NHK俳句』というレギュラー番組まで抱えたアルさん。
そんなスケジュールの中でもしっかり研鑽を積んでいるんだな、と思わせます。

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その時点の2番手3番手


最後に35thシングルに期待することを。

前の記事で書いたように、個人的にはそもそも34thも井上和の連続センターが最善手だったろうと思っています。(実際にはスケジュールがキツ過ぎたのでやらなくて正解でしたが)

まあ32nd34thはもの凄くカメラに映るポジションであるWセンター曲の2列目中央、33rdは単独センターですので準3作連続センターと言えなくもない笑

Wセンターは次作ではどちらもセンターにならないのが通例。まして今作で遠藤さくらと賀喜遥香の並走状態を敢えて作ったのであれば次作にどちらかの単独センターはないかと。
3期生が次に単独センターになる時、それは卒業センターでしょう(私はこの予想には目を瞑るスタンスですが)。

そして現状5期生で単独センターとなればやはり、井上和以外ありえないと思います。
であればその両隣も5期生で挟むべき。

運営は5期生の2番手というか和ちゃんに続くフロントメンバーを決めかねている感がありますが、個人的には正直「2番手が誰かは決めなくてもいい」けど「もたもたせずに誰かをさっさとフロントに立たせた方がいい」と思っています。

責任感の強そうな彼女の負担を軽減するために、シングルのフォーメーション上は井上和1強に見える現状を早く変えるべき。
2023年中に数多く見られた「先輩の中に5期生は彼女ひとりでコメント撮り」という状況を減らしてあげた方がいいでしょう。

運営の把握している各種指標が一定じゃない(指標によって2番手がコロコロ変わる)のかな。

まあ井上和以外のふたりは「フロント固定」とか「福神固定」しない、あくまでその時点の2番手3番手という前提で、和ちゃんセンターで5期生3人を遠藤さくらと賀喜遥香で挟むフロントが良いのでは。

4期生曲『ジャンピングジョーカーフラッシュ』でもその「すわりの良さ」は実証済みですから。

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2023年11月6日、『乃木坂工事中』内で34thシングルの選抜メンバーが発表されました。

センターは遠藤さくらと賀喜遥香。

ここじゃねえんじゃねえかな

真っ先に思ったのはそれでした。

消去法っぽい感じ


かきさくWセンター。

2020年末の4期生単独ライブ(いわゆる「新4期」が合流して初めての4期ライブ)に関する記事で私はこの日最も印象に残ったシーンとしてふたりがWセンターを務めた『ありがちな恋愛』を挙げ、こう評しています。

 その姿はまるで、西野七瀬と白石麻衣のようでした。
 理屈じゃなく、その佇まいが反射的にあのふたりを思い起こさせたのです。
 後からその理由を考えてみましたが、「ビシッと背骨が通った感覚」というのが一番近いように思います。
 かつて何度も観た白石西野Wエースの、あの絶対的な安心感

(『2020年の乃木坂46』収録 「【配信ライブレポ】ありったけのリスペクトを込めたリメイク~2020.12.06 乃木坂46 4期生ライブ 2020」より)

改めて見ると、絶賛してますね笑

まあでもそのぐらい思い入れがあるかきさくWセンター。

それを今回の34thで、消去法っぽい感じで使われたのが納得いかなかったのです。

個人的には井上和の連続センターが最善手だったろうと今でも思っているのですが、『新参者』『スタ誕ライブ』に加えて連続センターまでやらせたらさすがの和ちゃんでもパンクしていたでしょう。

そして32ndが久保史緒里と山下美月という3期生でしたから、ここは4期生。
とはいえどちらも2度単独センターを経験しているかきさくのふたりに優劣というか差をつけることを運営は良しとしなかった。

そういう判断が働いたように見えます。

ちなみに1年に2回もWセンターやるのも違うだろ…と思っていましたが、2017年すなわち乃木坂が初の東京ドーム公演からレコ大受賞へと一気に駆け上がった年に発売された3枚のシングル(『インフルエンサー』『逃げ水』『いつかできるから今日できる』)がすべてWセンターでした笑

どうせならもうちょっとやりようがあったのに、とも思います。

33rdシングルに収録されたこのふたりのユニット曲『マグカップとシンク』。

この曲が2023年の全ツで披露されることはありませんでした。
出し惜しみしたんですかね。

最も注目度が高く配信視聴者が多いであろう全ツ千秋楽に満を持して初披露し、このふたりが並んだ時の「強さ」を知らしめる。そこから次作でのWセンターという流れが美しかったのではないでしょうか。

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崩れ落ちる世界の美しい悪夢


公式Youtubeチャンネルでの先行プレミアム配信を観た時の感想を率直に言うと「う~ん」でした

この時、曲が始まる前に煽りV的に「かきさくのこれまでの歴史」をまとめたものが流れたのですが、個人的にはまずこれがちょっと引っ掛かりました。

こういうのって、運営からあまり押し出さない方がいいんじゃないかな。
「ね?運命的なふたりなんですよ、すごいでしょ?」と言われているようで、なんだかチープに感じます。
ましてや前々作で「大河」のくぼしたWセンターをやっているだけに。そしてその時はそんなこと声高に言わなかっただけに。

関連記事:


そして詞は正直、酷すぎる。

今さらこのふたりに凡庸なラブソングを歌わせてどうする
仮に比喩的表現だとしても、22歳のふたりに「自転車立ち漕ぎして電車を追いかけ」させるのはあまりに幼稚ではないか、失礼ではないかという気がします。

曲も…いい曲だとは思うんですが「さすがの杉山勝彦も自己模倣に陥ったか」と。

それこそ『ありがちな恋愛』に似すぎている。
ドラマチックなイントロ。そこでの逆エスカレーション(デスカレーションと呼ぶのでしょうか?)するフレーズ。そこから少し弛緩するようなAフレ。
サビ(=イントロ)のコード進行も似てますね。

杉山さんにも2020年末4期生ライブの『ありがちな恋愛』の印象が強烈に残っていたのではないか…というのは勝手な推測ですが。

でもMVが公開されて、一気に評価が上がりました笑


これ、凄い好きです。

一言でいうなら「美しい悪夢」
色調は違いますがどこか『全部 夢のまま』と共通するものを感じます。
現在の乃木坂ならではの「金かかってんなあ」感満載のゴージャスな映像。
そこで繰り返し描かれる「崩れる均衡」。

そしてつい考察したくなるその内容

まず「僕」と「君」はどっちが賀喜遥香でどっちが遠藤さくらなのか。

MVの頭でよそのテーブルに愛想を振りまいているかっきーが一見「みんなにやさしい君」っぽいのですが私は逆だと思います。

愛想振りまいたり無邪気にもぐもぐするかっきーは「一人浮かれてた僕」
久保史緒里が駆け寄っても見向きもしないのも「誰も見えない僕」。

それに対し徹頭徹尾どこかミステリアスで、山下美月が近寄る前に背を向けて立ち去るさくちゃんの方が「(僕の見ていないところで)誰にも微笑む君」なのでしょう。

天秤とリンゴの描写も想像をかき立てられます。

イントロ。
「既に乗っている」リンゴ。
かっきー側に傾いた天秤。
そこに置こうと石を手に取り少し逡巡してみせるさくちゃん。

1サビ。
さくちゃんの置いた石でバランスが取れる。
無邪気に喜ぶかっきーと不敵な笑みを浮かべるさくちゃん。

ここまで一度もかっきーはリンゴを見てないんですよね。
さくちゃんと、その手にある石しか見ていない。
これは初めからリンゴがそこにあった=バランスが取れていなかったことに気づいていない、ということを示しているのでしょう。

リンゴを食べる(食べてしまう)かっきー。

ラスサビの入り。
リンゴに気づき手に取るかっきー。
天秤はさくちゃん側に傾き、
崩落する世界

冷めた目線を送るさくちゃん。
空のはずのかっきー側にゆっくりと傾く天秤。
リンゴを食べてしまったがゆえに、かっきーは自分から何かを天秤に差し出さなければいけなくなった。

こうしてみると、リンゴは乃木坂の「顔」「エース」「センター」という荷を象徴している気がします。

クレジットでリンゴの方が石より重い描写になっているのも、それが時とともに重さを増すことを表しているのでは。

ラストではかっきーの方から手を取り、それを握り返すさくちゃん。
背中合わせになるふたり。
ここでのかっきーの表情が素晴らしいですね(上のMVのサムネのところです)。
決意を固めたような、あるいは恐怖心を抑えるために感情を殺したような。

だらだらと書いてきましたがまとめます笑

加入当初からずっと乃木坂の看板というリンゴを食べさせられてきた遠藤さくら
その同じ荷を負ってくれる賀喜遥香を見つけ、彼女もそのリンゴを食べた

その先に待つものに怯えながらもふたりは手を取りあって前を向く。

というところではないでしょうか。


まあ「意味ありげな映像をつなげたから自由に考察してよ」という感じがしなくもないのですが。
別に作り手側もガチガチに答えを用意していないというか。

小説でも良くあるじゃないですか。意味ありげな伏線っぽいのが沢山あったけど作品中では回収されずにそのまま放り出されているパターン。あれと同じ雰囲気をちょっと感じます。


続きます。

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びーむ色調補正3
「銀河系軍団」

サッカースペイン1部リーグの超名門、レアル・マドリー。
強大な資金力を背景に綺羅星のごときスター選手(各国代表のそれも主力選手)ばかりを集めた超豪華布陣を指して使われたものです。

この日のライブを観て私の頭をよぎったのはその言葉でした。

似ていないはずなのに


既にアリーナクラスでの期別ライブを経験している5期生たちが行なう、少人数の箱でのライブ。3期や4期にはなかったパターンです。

小箱。そして味も素っ気もないステージセット。
すなわち初期アンダラや3期初単独と似たシチュエーション。

熱量やがむしゃらさがダイレクトに客席に伝わる。
それこそが小箱の良さであり、先達もそうやって観る者の心を動かしてきました。

ただ5期生の場合、そうはいきません。

誤解を恐れずに言えば、「がむしゃらさ」「必死さ」は拙さとセットになった時にその威力を発揮します。

しかし今年のバスラ5期ライブの記事でも書きましたが、素質に恵まれた「持てる者」であるゆえに彼女たちの想いや努力は見えにくい。

関連記事:


さらに表題センター経験者2人、福神経験者7人、選抜経験者8人、アンダーセンター経験者1人。
この数字だけ見ても、もはや「新人」ではなく「堂々たる戦力」
むしろこれまで彼女たちは先輩たちと並んでも拙さを感じさせまいと懸命に努力してきたはずです。

そう考えると、決して5期生と相性がいいとは思えないこの舞台設定。

そこで彼女たちは何を見せてくれるのか。

この日、私はそこに注目していました。

オープニング直後のMCで早くもその答えが判明します。

井上和がこう言い放ったのです。

 5期生11人で作る「乃木坂46のライブ」見届けてください

凄いこと言うなあ。

新人ライブとか期別ライブとかそんなくくりじゃない、いわゆる「本体のライブ」「全体ライブ」と思って観てくれと言っているんです。

そして彼女たちはその言葉通りにやってのけました。

5期生が見せたのは「クラス感」
小箱だろうが味も素っ気もないステージセットだろうが委細構わず捻じ伏せる、そのダダもれのスター性。

まさに「銀河系軍団」

例えるなら飾り気のない映画館のスクリーンの前で舞台挨拶をしてもスター性を見せつける俳優のように。

そしてそれは、今では考えられないぐらい安っぽい衣装とステージセットでもそのビジュアルの説得力で「クラス感」を感じさせたかつての1期生たちの姿とも重なります。

それは千秋楽Wアンコールの選曲にも表れていました。

櫻坂と日向坂はそれぞれ欅坂とけやき坂の、つまりルーツとなるグループの楽曲をもってきて「継承というストーリー」をラストで強烈に印象づけました。

では乃木坂は何を?

『君の名は希望』も『乃木坂の詩』もこの日既にやった。
『左胸の勇気』もアンダラでやった。『きっかけ』?それも『MUSIC BLOOD』でやっている。

選ばれたのは『I see…』でした。

ストーリーも何もない、ただ「楽しく笑顔で終わる」Wアンコール

それは実に乃木坂46的で。

「作られたシナリオ」と「仕込まれたサプライズ」のダイナミズムが売りだったAKB48に対するアンチテーゼとしての乃木坂46を、「物語がないのが物語」「物語なんて後から勝手についてくる」という乃木坂イズムを強く感じさせるものでした。

正直、5期生を観ながらこんなにも1期生を思い出すとは考えてもみませんでした。

これ以上は蛇足かとも思いますがもうひとつ。
『考えないようにする』のパフォーマンスを観ながら私がメモしたのは「乃木坂的な美しさ」

伝家の宝刀、杉山楽曲
そして『シンクロニシティ』以降の乃木坂の特徴のひとつでもある、指先までしなやかな腕の振りを特徴とする「舞う」ダンス。振り付けもSeishiroさんですね。

それを束ねるセンター冨里奈央の儚さ

MVのどこかソフトフォーカスで木漏れ日のような光の処理がされた映像も、過去楽曲で何度も見た表現。
そして『バンドエイド剥がすような別れ方』で「敢えてやらなかった」であろう手法でもあります。

関連記事:


上の記事では『バンドエイド』を「乃木坂感が、あるけどない」と評しましたが、この日の5期生はその「乃木坂感」を早くも引き出しのひとつとして纏い始めているように感じました。

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いついかなる時も可愛い


最後に、この日何度も繰り返し思ったことを書きます。

 小川彩は、破格だなあ

最初のMCを彼女が仕切り出した。そのことにまず驚きました。

だって、それができるメンバーはいっぱいいるじゃないですか。
菅原咲月や中西アルノ、井上和。たぶん一ノ瀬美空も。
なのに敢えて最年少の彼女にやらせて、それをごく自然にこなしている。

もうこの時点で私は「破格だなあ」と感じていました。

そしてこの日も小川彩は、いつものように自身の魅力と能力を我々に見せてくれました。

いついかなる時も可愛いそのビジュアル
独特なざらつきのある優れた声質とアタックのある歌唱
どこか阪口珠美を思わせる、その滑らかなダンス

別にこの銀河系軍団の中でもさらに抜けた存在だとか言うつもりはないんです。
そこはまだ、正直わからない。ですが個人的にはその可能性すらあるスケール感を感じています。

よく齋藤飛鳥と比較される彼女ですが、私はむしろ生田絵梨花に通じるものを感じます

『君の名は希望』のピアノ伴奏や『無表情』に引きずられているかもしれません。
でもその底知れなさ、そして影の努力をおくびにも出さずにただステージ上で見せるものだけで勝負しようという矜持

やっぱり、生田絵梨花だと思うんですよね。


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びーむ色調補正3
この先2度とないであろう、キャパ900という小箱での5期生ライブ。
当然のごとくチケットは全落でしたので最終日を配信で観ました。

「新参者」なんて言わせない


セットリストはこちら。

Overture

01. 絶望の一秒前
02. 制服のマネキン(センター:中西アルノ)
03. ガールズルール(センター:一ノ瀬美空)
04. 裸足でSummer(センター:五百城茉央)

<ユニットコーナー>
05. 銭湯ラプソディー(池田、岡本、川﨑、菅原、冨里)
06. 革命の馬(五百城、井上、奥田、中西)
07. 無表情(一ノ瀬、小川)

<おひとりさまコーナー>
08. 羽根の記憶(五百城)
09. マシンガンレイン(中西)

10. いつの日にか、あの歌を…
11. 初恋の人を今でも
12. 君の名は希望

13. 心にもないこと
14. 考えないようにする
15. インフルエンサー(センター:一ノ瀬美空、井上和)
16. Actually…
17. 17分間
18. バンドエイド剥がすような別れ方
19. おひとりさま天国

EN
EN1. ロマンスのスタート
EN2. Sing Out!(センター:菅原咲月)
EN3. 人は夢を二度見る(センター:岡本姫奈、奥田いろは)
EN4. 乃木坂の詩

WEN
WEN1. I see…


オープニングからブチ上げ曲を続け、ユニットコーナーを挟んでバラードコーナーでクールダウン。そこから本編ラストに向けて一気に盛り上げていく。
後述するオープニングでの井上和の宣言通り、この日のライブはいわゆる全体ライブのフォーマットでした。

基本生歌(一部被せかも)。そして5期生曲全部フルコーラスなのが良いですね。

印象に残ったシーンを挙げていきます。

オープニングは井上和のアカペラが鳥肌ものの『絶望の一秒前』。
ラストで彼女は薄く笑ってみせます。

そして

 5期生11人で作る「乃木坂46のライブ」見届けてください

ある意味「新参者」のコンセプト全否定笑

そこから畳み掛ける『制服のマネキン』。
言わずと知れた乃木坂の代名詞のひとつ。中西アルノセンターは少し意外。
しっかりウインクを決める菅原咲月。この後も数えきれないくらい決めるのですが。
大間奏の巻き取る振りの回転が異様に早い一ノ瀬美空

『裸足でSummer』サビ前、五百城茉央の「いっくで~!」という煽り。

井上和のMCでの「表情に注目してほしい」「配信なんで良く見えるじゃないですか」という発言。これ凄い自信だよなあ。
小川彩に褒められて「何急に~?」と照れる五百城茉央。「私も褒めてほしい」と拗ねる一ノ瀬美空

ユニットコーナーは何と驚きの『銭湯ラプソディ―』から。楽しそうな川﨑桜

『革命の馬』。白に柄という大胆なライダースを着こなしてしまう井上和。個人的にはこれ見覚えがないのですが、既存衣装でしたっけ?

『無表情』。令和版からあげ姉妹のビジュアルの強さよ!
しっかりガニ股をするのが可愛い小川彩。ここぞとばかりにキスを強要する一ノ瀬美空

おひとりさま(ソロ)コーナー。
五百城茉央の『羽根の記憶』。
かなり力んでリズムも走っていたので本人は終わった後で納得いっていない表情を浮かべていましたが、とりわけファルセットの時には彼女のイノセンスがその場を埋め尽くします。

中西アルノの「センターの方の存在感に圧倒された」というコメントから齋藤飛鳥のことかな?と思っていたら『マシンガンレイン』。
寺田蘭世か!よくぞこれをもってきた、というチョイス

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ずっと受け継がれてきたもの


MCで「10年後もご飯とか行こうね」と言って目を潤ませながら微笑む五百城茉央

『いつの日にか、あの歌を…』のポジションに入った時に客席から届いた「あーや~!」の叫びはきっと弓木奈於であろう。

カフェオーレ(五百城茉央奥田いろは)のギター伴奏で何をやる?と思ったら『初恋の人を今でも』!アンダラ2ndシーズンの本編ラスト曲じゃないですか!
ラスサビを歌う冨里奈央のなんとも菊池桃子なこと。これまたイノセンス。

この日のハイライトのひとつ、「乃木坂46の歴史にとってとてもとても大切な曲」からの『君の名は希望』。

3期初単独ライブでの梅澤美波の「この曲を嫌いだったら乃木坂じゃないよね」。
『乃木坂どこへ』内での賀喜遥香の「先輩方が絶対この曲が一番大切って言うから…」。
そうやってずっと受け継がれてきたものそして今、5期生が

小川彩のピアノ伴奏。生田絵梨花が、大園桃子が思い出されます。
ひとりずつ歌い継ぐ演出に多くのメンバーが緊張する中、揺るがない奥田いろは井上和中西アルノの3人。
サビ前のフィルを弾きながらメンバーに微笑みかける小川彩。ラスサビのハモり。

ガッツリ衣装替えで舞台上に誰もいない時間を作るという斬新さ。

『心にもないこと』。このあたりから本格的に楽しくなってきちゃった川﨑桜

『考えないようにする』で私が感じたのは「乃木坂的な美しさ」
これについては次の記事で書きます。

『インフルエンサー』は井上和一ノ瀬美空のWセンター。
ラスサビで伝統の裏センターの位置に立つ岡本姫奈

『17分間』。楽しすぎてもはやタレまゆになってしまう川﨑桜

アンコール、小川彩の煽りから始まる『ロマンスのスタート』。

『Sing Out!』のソロダンス、笑顔で舞いながら泣く菅原咲月

Wアンコールは何を持ってくるのかと思えば『I see…』。これは良い判断でしたね。

この日のビジュアル仕上がってるメンは、やっぱり小川彩
巻き髪の冨里奈央も凄く可愛かったですね。


続きます。

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