ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

カテゴリ: 乃木坂46

タオル補正
『I see…』
乃木坂46、25thシングル『しあわせの保護色』のカップリング。歌唱メンバーは4期生11人(4期追加メンバーは参加せず)。

前の記事はコロナ禍の真っ只中にある日本でこの曲が流れる意味、みたいな大上段に構えた内容でしたが、ここでは打って変わってMVのメンバーのここが可愛い!ということをつらつらと書きます。久保史緒里ばりに秒刻みで笑

チームの魅力×個人の魅力


ストーリー部分+衣装でのパフォーマンスという、まあ非常によくある構成。
でもストーリー部分ではとにかく笑顔全開でメンバーの仲良く楽しげな様子を見せて4期のチームとしての魅力を伝え、衣装に着替えてのラスサビでは各個人の綺麗さ・可愛さを強調するという2段構えなのは効果的ですね。

そして改めて思うのは4期の「乃木坂感」。
派手派手な曲にカラフルでスピーディなMVなのにクドくならずに何度も観れる。
これはやっぱり乃木坂らしさですよね。1期生の持つ「いい意味での押し出しの弱さ=奥ゆかしさ」が4期にも継承されていると感じます。

以下、それぞれのメンバーの見どころについて。

柴田柚菜
2:30の笑顔全開。普段は声も小さくて体温低めな感じなのに、笑うとニッコニコな彼女。そのギャップがキュートだし観ていて幸せな気にさせられます。
ひとりだけ短いスカートの衣装なんでちょっとドキッとしてしまったのは内緒です。

清宮レイ
いつでも笑顔のサンフラワー。全編を通じて最高のハッピー製造機ですが、特に1:49の黒子を追いかけるシーンで前を見て走らなきゃいけないのに思いっきり横のカメラを見て笑っちゃってるとこが可愛い。

このMVのハッピー感を支えているふたりでしょう。言葉にするとなんだかバカみたいですけど、笑顔ってホント大事。

筒井あやめ
3:59からのNGシーンの愛くるしさたるや…圧倒的。
顔に布がかかって「わー!」って感じの手が萌え袖と相まってめちゃめちゃ可愛い。普段は落ち着いて見えるあやめんの、ふいに現れる子供っぽさが良いですね。

早川聖来
本人も「すべて全力のMV」と言っていましたが、その通りの楽しげな表情と少々オーバーなくらいの演技。演技派の彼女がやる「クサい演技」。楽しい撮影だったんだろうなと思わせます。
ラストのサビ、3:23の「もったいな~い」では本来の美形っぷりが出ていてこれも良し。

矢久保美緒
ラストのサビ、3:25からの「素直になろう~」でピョンピョン飛んでいる姿が可愛いですね。0:28からレイちゃんのフードの引っ張り方がエグい…のかと思ったらこれは相手のリアクションが大きいだけでした笑

遠藤さくら
0:20前後のイヤホンをして何気なく外を眺める姿。
4期に関する過去の記事で何度も書いている彼女の「物語性のある佇まい」がこのMVの冒頭からいきなり炸裂です。

そして私はやっぱりさくちゃんに橋本奈々未を感じてしまうのです。
『夏のFree&Easy』のMV(全員がヘッドホンしてリップシンクしたり踊ったりする)、開始10秒で音楽を聴きながら空を仰いで目を閉じるななみんの姿が反射的に思い出されました。

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掛橋沙耶香
3:47の「胸騒ぎの腰つき」の印象が強すぎる彼女ですが、個人的には0:38以降の最初のバス車内でのさくちゃんとの絡みが好きですね。まず乗り込んでポーズをとった時の満面の笑み。キラキラしていて「ザ・アイドル」って感じです。黒子の分際で笑

照れながらためらいがちに踊るさくちゃんとノリノリの掛ちゃんの対比がお互いの良さを際立たせていますよね。控えめなさくちゃんはなんというかいわゆる西野七瀬的。(やっぱりななみんとなーちゃんのハイブリッド!笑)
2:23に繰り出すゴッドフィンガーもなんか好きです。

金川紗耶
歌衣装になるとグッと美人度が増す感じが良いです。アップで抜かれるカットがないのが惜しい。3:21ぐらいに一瞬横切るのですが…

北川悠理
風船をポンポンやってるところも無邪気でいいのですが、1:42黒子を追いかけるシーンでチラッと映る彼女の楽しそうな顔が良いです。

田村真佑
1:06カフェに入っていって腕組みしてニヤッと笑うとこ。
彼女のお姉さんっぽさとキュートさが混じった魅力、さらば青春の光・森田氏の言うところの「チャーミング」な部分が良く出ているシーンですね。

「大丈夫だよ」と彼女は笑った


賀喜遥香
この曲のセンターはミス・パーフェクトにしてミス末広がりのかっきー。

「何をやらせても絶対に平均点以上出す」彼女。
個人的には平均点どころか常に80点以上出してると思いますけれど。

できて当たり前と思われる辛さは、経験した者にしかわかりません。
50点を80点に上げるより90点を95点に上げるための努力の方が遥かにしんどいということも。

県内屈指の進学校出身と噂される彼女。
どれほど地道な努力を重ねて来たことでしょう。

そしてそのスペックに加えてあのビジュアル。勝手な想像ですが、周囲からのプレッシャーやジェラシーにさらされたこともあったかもしれません。

それでも現在の彼女はそんなすべてを乗り越えて、穏やかで魅力的な「えへへっ」という笑顔を浮かべています。

本編最後の「大丈夫だよ」と語りかけるようなあの笑顔。
4期生が皆、口を揃えて「かっきーの笑顔を見ると安心する」と言うあの笑顔。

やっぱりこれも別に運命とか特別な意味なんてない、単なる巡り合わせに過ぎないけれど。
『I see…』のセンターが賀喜遥香で良かった。


胸を張って言います。今、日本を元気にしているのはこの曲です。

チームとしての4期、そして個々のメンバーの魅力を感じながら観てください。
そして最後のかっきーの笑顔を。

どんどん濃くなる暗闇に飲み込まれそうな現状ですが、自分の場所で頑張ろうって気になれます。



タオル補正
『I see…』
乃木坂46、25thシングル『しあわせの保護色』のカップリング。歌唱メンバーは4期生11人(4期追加メンバーは参加せず)。

思い出すのは『オリジナル スマイル』


3月17日に公式YouTubeにMVが公開され、その日のうちにバズりました。
「SMAP感」というワードとともに。

カラフルでハッピーなパーティチューン。
チョッパーベースやギターのカッティングに派手なブラスとシンセ。サビで入ってくる合いの手まで、確かにSMAPっぽい。

メロディやアレンジが似ている曲は他にあるのかもしれませんが、この曲を聴いて私が思い出したのは『オリジナル スマイル』でした。

1994年6月にリリースされたSMAP13枚目のシングル。
しかし、今では東日本大震災の時に人々を勇気づけた曲として広く知られています。

一瞬で数えきれないほどの命が失われたあの日。
灯りの消えた街を眺めて呆然と立ちすくんだあの夜。

9年前と現在の状況は決して比べられないし比べるべきでもないと思います。
あの日感じた絶望と現在の閉塞感は全く違う種類のものです。

それでもやっぱり思い出してしまうんです。

平凡な日常が失われ、お店の棚から商品が消え、そして音楽が聴こえなくなった日々のことを。

あの時は哀悼の意と節電の必要性という両面から自粛が叫ばれ、たくさんのライブが中止になりました。
多くのミュージシャンが音楽なんかやっていていいのか、そう自問自答したといいます。スピッツの草野マサムネさんは急性ストレス障害で倒れました。

それでも人間には音楽が必要で。
少しずつ街に音楽が流れ始めます。

そこで多くの人の心に灯りをともした歌のひとつがSMAPの『オリジナル スマイル』でした。

震災1週間後に木村拓哉が自身のラジオで被災地への思いとともにこの曲を流し、その年の8月にはファン投票で収録曲を決定したアルバム「SMAP AID」において1位に選ばれます。

余談ですが乃木坂46が結成されたのもちょうどその頃のことです。

そしてその年の大晦日、この曲は紅白歌合戦の大トリで歌われます。

自分本来の笑顔を取り戻そうという前向きな、言ってしまえば平凡なメッセージのシンプルな歌。
でも、大きく手を振りながら笑顔満開で歌う5人の姿を観ていたらなぜか涙が出そうになりました。個人的にはSMAPの担っている役割の大きさを初めて実感した瞬間だったように思います。

今回この『I see…』のMVを観ていて思い出したのはその時の紅白でした。

自分の力ではどうにもならないことが起きて打ちのめされて苦しくて、それでも立ち上がりたい時。

こういうバカみたいに明るい曲の方が逆に胸にしみて、わけもなく涙が出てくる。

頑張ろうって思わせてくれる。

そんな音楽の力、そして笑顔の持つ力を改めて感じました。

素直で前向きなメッセージをはじける笑顔で届ける。
「人を笑顔にする仕事」と言われるアイドルだからできることって、これなんだと思います。

そして現在。
9年経って新たな危機が訪れました。SMAPはもういません。

別に運命とか特別な意味なんてない。全部単なる巡り合わせに過ぎないけれど、東日本大震災の年、その夏に結成された乃木坂46がSMAP感溢れる楽曲で人々に笑顔を届ける。

現在の乃木坂46はもちろん当時のSMAPの存在には及ぶべくもありません。ましてや『I see…』を歌っているのは4期生。世間的には全く無名のメンバーたちです。

でもそんな彼女たちが、4番目の光と名付けられた彼女たちが、笑顔でこの世界を照らしている。

それはなんだかちょっと感動的で。
そしてただただ嬉しいです。

私はきっと何年か先に思い出すでしょう。
コロナウイルスという暗闇に覆われた世界の中で、彼女たちの笑顔に励まされたことを。

ささやかな奇跡


YouTubeの乃木坂46公式チャンネルは通常、シングル発売日の正午にMVをフルバージョンから短縮版へ変更してしまいます。

『I see…』も3月25日の正午をもって短縮版になる予定でした。

YouTubeのコメント欄にはそれを知っているファンの「この曲はフルで残さねばならない」という悲鳴にも似た叫びが並びます。

タイムリミットである3月25日の12時直前で214万回を超える再生回数、10,000件のコメント、いいね5.4万件。

そして運営はフルバージョン公開延長の決断を下しました。

コメント欄にはもうひとつ、多くの人が同じことを書いています。
「フルバージョンが無理でも、このコメント欄だけは残してほしい」

誰もがギスギスしてイライラしている現在の日本において、別世界のような平和なコメント欄。

そこではSMAP感のワードに惹かれて来たSMAPファンの方々と乃木坂ファンが、お互いを尊重しお互いの推しを認め合うという暖かな交流がなされていました。

様々なヘイトがまき散らされ、誰かを貶めることによってしか自分(の推し)の価値を見出せないかのような言葉が多く見られるネット社会において、『I see…』のコメント欄自体がちょっとした奇跡のように思います。


今、日本を元気にしているのはこの曲です。

なにはともあれ、観てください。
ちょっと元気が出て、ちょっと泣きそうになります笑



MVについても書きたいので、もうちょっと続きます。
>>>【乃木坂46楽曲考察】賀喜遥香、ミス・パーフェクトの穏やかな微笑み ~『I see…』②

キレイトリミング2
この記事は舞台『キレイ − 神様と待ち合わせした女 − 』の内容に関するネタバレを含みます。

現実も舞台の上も時は流れる


キャストの皆さんについて印象に残ったことを書きます。

まあそもそも個性的な役者さんばかり。しかもそこに超強烈なキャラクターをかぶせられているのでなんならもう全員印象的なのですが、客演の男性陣数人をピックアップします。

まずは青年ハリコナの小池徹平さん。

5年前の前回再演時では少年時代のハリコナを演じた小池さん。それが時を経て青年ハリコナになったのですから前回も観劇された方には嬉しいキャスティングでしょう。
その表情、ポーズ、立ち居振る舞いすべてが実にイカレたキザ男かつゲイでお見事。常に流し目なのが特に良かったです。あれ疲れるんじゃないかな。
そして頭脳明晰になったのにそこはかとなく見え隠れする愚かしさがまたなんとも彼の中にいる少年ハリコナを感じさせて愛おしい笑

その少年ハリコナは神木隆之介さん。

言わずと知れた超絶売れっ子ですが、これが初舞台だそうです。
個人的には天真爛漫に見えて企んでいる役のイメージが強いのですが、ハリコナはド天真爛漫。『俺よりバカがいた』を歌う姿の楽しそうなことったら。
でも出征前夜にケガレにプロポーズするシーンでは幼くて優しい繊細な愛の形を表現していてさすがという感じでした。

そしてダイズ丸。

いや、恥ずかしながら観ている間はずっと流れ星のちゅうえいさんが演じていると思ってました。「すげえな、ちゅうえいってこんなに演技できるんだ」って。マジです。
帰宅後に確認したら橋本じゅんさんという劇団☆新感線の看板俳優さんだったのですね…大変失礼しました。

戦場で目をまん丸く見開いてドタバタをやる姿が凄くちゅうえいっぽかったんですよね。そこから昏睡状態に陥ったケガレをかいがいしく看病する姿、そして大往生前の最終形態での悟り切った表情。
「さっさと食べられたい」以外何もなかったダイズ丸が「ケガレのお世話をしたい」という意志を持ち、子孫を残したいという欲(欲望ではなく)を持ち、ダイズ兵では誰も感じたことのない充足感を覚える。そんな3形態の移ろいをごく自然に演じ分けられていて素晴らしかったです。

ケガレがキレイに変わる瞬間


そして主人公のケガレを演じた我らが生ちゃん、生田絵梨花。

ケガレは映画『道』のジェルソミーナのような「聖なる愚者」ではなく「すべてわかっていたけれどあまりに辛すぎるので記憶を閉じ込めるために別人格を作り上げた」パターンです。いわゆる内在性解離でしょうか。

肝となるのは落差。

どれほどピュアに「何も知らないケガレ」を演じられるか。
そして記憶を取り戻した(取り戻してしまった)瞬間の表情。
その切り替え、その落差こそがこの役のほとんどすべてだと思います。

そのために重要なのが一幕。
いかに純真無垢で観る者に「可愛い」「微笑ましい」という印象を強烈に与えつつ、どこか狂気や危うさを感じさせることができるかがポイントになります。

そして、さすがは生田絵梨花。

見事に「純真無垢でありながらクレイジーさがにじみ出る」ケガレでした。

彼女自身、普段から「なんで?なんで?」と聞きたがっていつもメンバーを当惑させるらしいので、好奇心旺盛な演技はある意味自然体でいけたように思います。
また『乃木坂って、どこ?』『乃木坂工事中』で何度もバナナマンに対して繰り出してきた「すっとぼけた表情」も糧になったに違いありません笑

そしてクライマックスでのシリアスな演技。ずっと少女だったケガレが大人の女性のキレイに変わった時の、美しくて逞しい表情。
これまで数多くの作品で様々な女性を演じてきた生ちゃんは「自分を愛してやることに決めた」女性の顔を凄く自然に、そして堂々と見せていました。

ただ、井上小百合もこういうの超得意なんですけど笑

『夜曲』で演じたサヨちゃんがかなり近い、というか上の文章(ピュア→記憶を取り戻した表情の落差)だけ見ればほぼ同じですね。

…とこれは余談です。

話を戻すと、生ちゃん得意のコミカルな演技+本人の持つ愛くるしさ+ミュージカル仕込みの運命的な女性の顔がうまくマッチした当たり役だったと思います。

大人計画という新たなフィールドにまで活躍の幅を拡げた生田絵梨花。

期待にたがわぬ主演女優ぶりでした。

キレイトリミング2
の記事は舞台『キレイ − 神様と待ち合わせした女 − 』の内容に関するネタバレを含みます。

2019年12月、Bunkamuraシアターコクーンで行われた『キレイ』を観劇してきましたのでレポートします。

嫌悪感とメッセージと


大人計画大好き人間である井上小百合が、その中でもトップクラスに好きな作品とのこと。

「いつかケガレを演じたい」とまで言われりゃ、そりゃ観てみようかなという気になりますよね。チケット取るのがめちゃめちゃ大変でしたが笑

あらすじ


三つの国に分かれ、100年もの間、民族紛争が続く“もう一つの日本”。
その争いのさなか、民族解放軍を名乗るグループに誘拐され、監禁されていた少女(生田絵梨花)が、10年ぶりにソトの世界に脱出する。

すべての過去を忘れた少女は自ら“ケガレ”と名乗り、ダイズでできている兵士“ダイズ兵”の死体回収業で生計を立てているキネコ(皆川猿時)たち“カネコ組”と出会い仲間に加わる。回収されたダイズ兵を食用として加工するダイダイ食品の社長令嬢・カスミ(鈴木杏)と奇妙な友情で結ばれていくケガレ。戦場をうろつき、死体を拾って小銭を稼ぐ、そんな健気なケガレを見守るのは成人したケガレ=ミソギ(麻生久美子)だった。

死ぬことに憧れつつもなかなか死ねないダイズ兵のダイズ丸(橋本じゅん)、頭は弱いが枯れ木に花を咲かせる能力を持つハリコナ(神木隆之介、成人後:小池徹平)、誘拐・監禁することでしか女性と一緒にいられないマジシャン(阿部サダヲ)らと出会い、過去、現在、未来が交錯する時間のなかで、ケガレは忘れたはずの忌まわしい過去と対決することになる。
公式サイトより引用)


とてつもなく露悪的。

個人的には設定も描写も生理的に受けつけない部分がいくつかありました。

大枠では反戦なのでしょう。

死んだ兵士を食用にするという行為を「ダイズ兵」というナンセンスでちょっとだけオブラートに包んで(いや包めてないですけど)戦争という極限状況における人間を描いたのかな、と思います。

単なる兵器兼食料だったダイズ兵のひとつに冗談で生殖機能をつけたら自我を持ち、徐々に人間らしさを身に着ける。さらにそのダイズ丸と主人公のミソギが子をなす。
この展開も正直嫌悪感を覚えます。

ただこれも、戦争において個人などというものは存在せずに敵を滅ぼすための道具とされてしまうが、そんな中でも家庭を持ち子をなし生命をつなぐことによって人は人たりうる、というメッセージのような気もします。


大人計画の舞台を観たのは初めてで、松尾スズキさんがどれほど作品にメッセージを込める方でどういう創作方法なのかは知らないので、的外れな見方かもしれません。

明確に伝えたいことがあってそのための装置として物語を用いるのか
物語のアウトラインを思いついてそこに肉付けしていくのか
なにかキーワードやビジュアルイメージのようなものが閃いてそこから物語を生むのか

その辺りが気になってご本人のインタビューをいくつか見ましたが「こだわっているのは笑い」と煙に巻いておられました。

「兵器として生み出された悲しい存在」というモチーフは割とよく見ますが、どうやったらそれを「ダイズ兵」にしようなんて思いつくんでしょうね。不思議。

ゼロがいい ゼロになろう


もうひとつ、全体を通して提示されていたのは「全てはプラマイゼロ」という視点でした。

ダイダイ食品の社長令嬢でありながらダイズ兵の食用加工反対運動を支援するカスミ。

盲目だったジュッテン(岩井秀人)が目が見えるようになった瞬間に徴兵されて戦場に連れていかれたり。

ハリコナは頭に銃弾を受け頭脳明晰なゲイに変貌。しかしそれと同時に純粋さも花を咲かせる能力も、かつてケガレと心が通じ合った理由をすべて失ってしまう。
それにも関わらず彼とミソギは結婚する。

さらに最後には宇宙で蜂に刺され再び昔の彼に戻るが、そこで咲かせた花は自分の命を散らす花火。それを見て美しいと思うミソギ。

幸福と不幸が猛烈な勢いですれ違う、考えられないほどの皮肉の連続。

そしてケガレ=ミソギ自身もまた、忌まわしいく消し去りたい過去と向き合ったことにより深く深く傷つきますが、同時にそれによって新しい生きる力を得るのです。


毒々しくて猥雑で悪意に満ちていて、そこにある救いもほんのちょっと。
個人的な趣味からすると、ネガティブの量に対してポジティブ少なすぎだなあとは思います。

でも、なんかやっぱり最後は感動しちゃいました。

人間賛歌。

私の大好きな『レキシアター』と通底するものは一緒ですね。

関連記事:
【井上小百合舞台レポ】笑いとシリアス、余韻と感動。もの凄い地力の力業 ~愛のレキシアター「ざ・びぎにんぐ・おぶ・らぶ」①

まあ「どんなちっぽけでささやかでみっともなくても人生は美しい」の『レキシアター』に対し、『キレイ』は「どんなに汚辱にまみれた人生であっても、それでも生きることは最高だ」ぐらいの違いはありますけれど。


タオル補正
2020年1月26日に公式サイトで佐々木琴子さんの卒業が発表されました。

なんでこうなった。
他にやりようはなかったのか。

そんなやるせない思いが残ります。

どこで間違えた?


彼女が2期生として乃木坂46に合格したのは2013年3月。
まだ中学生でしたが、当初からそのビジュアルは際立っていました。

『乃木坂って、どこ?』内でのお披露目の時点では堀未央奈とツートップと言えるほどの人気だったように思います。

しかしその後、彼女が脚光を浴びる機会は数えるほどしかありませんでした。

初めて参加した楽曲はAKB48小嶋陽菜とのコラボ「こじ坂46」の『風の螺旋』(AKBのシングルに収録)。

いわゆる「ボーダー組」、西武ドームにおける3rdバスラにおいてようやく正規メンバーへの昇格が発表された研究生6名のうちのひとり。彼女たちに初めて与えられた楽曲がその『ボーダー』でした。乃木坂名義の楽曲に参加するまでの間に、既に加入から2年もの月日が経過していました。

2015年と16年には舞台『じょしらく』に出演。2018年には『けものフレンズ2』で鈴木絢音とW主演も務めました。

さゆりんご軍団では副軍団長として、悪ノリする軍団長松村沙友理を冷ややかに眺めるという役割も担います。

印象深いのは2016年11月『NOGIBINGO!』内での企画「ささきとすずき」。
運営はこのふたりをセット売りにして今後押していくんじゃないか。ファンの間にもそんな期待が広がったのを憶えています。

しかし、卒業するまでの7年間で彼女が選抜入りすることはありませんでした。


万人受けする美少女。
「ビジュアルの乃木坂」にあってなお、この視点においては歴代最強だと個人的には思います。

これほどの逸材を活かせなかった。
こんなに見ている側に悔いを残すアイドルというのも珍しいんじゃないでしょうか。

乃木坂もデビューから3年ぐらいはアンダーメンバーの卒業が相次ぎ「志半ば」「グループ内での立ち位置に限界を感じて」という印象でした。

風向きが変わったのは永島聖羅あたりからでしょうか。ファンの欲目かもしれませんが、アンダーメンバーの卒業でも「やり切った感」が出るようになってきます。

近年の川後陽菜や斉藤優里、伊藤かりんは清々しさを感じさせる姿を見せて卒業していきます。
一度も選抜入りすることのなかったかりんちゃんさえ、ラストライブでこう語りました。

 自分のアイドル人生を誇りに思っています

琴子はそう思えているのかな。

それが気がかりです。

消えていく笑顔


いつか覚醒する。

ファンは、恐らく運営もそう思い続けていました。

しかし年齢とともにその完成度を上げていくビジュアルと反比例するように、彼女から消えていったものがあります。

それは笑顔。

『乃木どこ』初登場の際はニコニコ笑っていますし、舞台やライブでも無邪気な笑顔を見せていました。感想を聞かれても判で押したように「楽しいです!」でしたが笑

前述の「ささきとすずき」でも硬い表情の鈴木絢音に対し琴子の方が圧倒的に愛想よく笑顔を振りまいていました。

それがいつしか番組内で笑顔を見せることは稀になり、ライブ中の笑顔も少なくなり、ついにカメラの前ではほとんど笑わないようになります。

握手会で暴言を吐かれてそれ以降心を閉ざしたとも言われていますが、真偽のほどはわかりません。

その握手会での対応も「真顔」「無言」「怖い」などと批判の的になります。

結果として最も目につく人気指標である握手会の完売状況において、彼女はグループ内でも低位でした。その美貌ゆえに根強くあった選抜待望論の声も徐々に小さくなりました。

副軍団長を務めたやさゆりんご軍団や2期生のメンバーとバックヤードにいる時は笑顔だったのがせめてもの救いです。


7年もいたのだから、決して居心地が悪い場所だったわけではないのでしょう。

ただ残ったのは、あれだけの美貌を持ちながら7年間一度も選抜に入れなかったという事実です。

Nobody kwows


結局、ファンサービスという部分が決定的に不足していました。
それが「できなかった」なのか「やらなかった」なのか、彼女の心の内はわかりません。

加入当初からどこか浮世離れしていた彼女。
服装にまったく構わないなど、自分に関心がないかのように見えました。

そして、なぜ他人が自分に関心を持つのか理解できないかのように。

幸か不幸か凄く綺麗な顔を持って生まれてきたために、間違った場所に連れてこられた中学生。

彼女は最初から最後までそのままだったように思います。


3月末日をもっての卒業。

最近の卒業生でこれと同じなのは川村真洋と既に結婚が決まっていたであろう衛藤美彩。
勝手な想像ですが「契約を延長しない」パターンのような気がします。

それでも花道として3月7日に念願の2期生ライブがセッティングされ、コロナウイルスの影響で開催中止となると今度はshowroomでの生配信という代替策まで準備されました。

25thシングルの1期生全員選抜に関する記事でも書きましたが、乃木坂運営は情のある采配をすると思います。

関連記事:
【乃木坂46考察】旅立ちのフィエスタを歌え ~25thシングル選抜発表に思うこと①


卒業発表した自身のブログで彼女はこう書いています。

 卒業したら加入前のように乃木坂46をファンとして応援していこうと思います。
 私は今、それがすごく楽しみです。

なんて悲しい言葉でしょう。

 私は乃木坂46にはなれなかった。

そう言っているように聞こえます。


最後に、彼女のこれからについて。

かつて『乃木坂工事中』内で将来の夢を「会社員」だと語っていました。
その後のブログで「夢がアイドルになることでそれが叶ったから次は…と考えたら会社員だった」と弁明していますしもう5年も前のことですからさすがに今は違うでしょうが笑

整ったビジュアル。無表情。そして個性のある声。

どう考えてもアナウンサーですよね。

堂々とひたすら真顔でニュースを読んでほしい。
そしてキャスターやコメンテーターからの弄りを氷対応でスルーしてほしいです笑

佐々木琴子さん、7年間お疲れさまでした。

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