ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

カテゴリ: 乃木坂46

びーむ色調補正3
そして別れの日がやってきました。

齋藤飛鳥、卒業コンサート。
幸いにもDAY2のチケットが当選したので東京ドームに行ってきました。

ちなみにこの記事を公開する時点で既に円盤が発売されていますが、すべて現地で観た感想です。

いつも通り


セットリストはこちら。

Overture

01. ジコチューで行こう!
02. インフルエンサー
03. シンクロニシティ
04. ハウス!
05. ダンケシェーン

<期別曲コーナー>
06. 絶望の一秒前
07. I see…
08. トキトキメキメキ

09. 扇風機
10. Against

<ユニットコーナー>
11. ファンタスティック3色パン
12. なぞの落書き(飛鳥、岩本、筒井)
13. 他の星から(飛鳥、遠藤)
14. 制服を脱いでサヨナラを…(飛鳥、理々杏、中村、賀喜、金川、柴田)
15. あらかじめ語られるロマンス(飛鳥、久保、阪口、清宮、田村)

16. ロマンティックいか焼き
17. ガールズルール

18. Route 246
19. ありがちな恋愛
20. 地球が丸いなら
21. 人は夢を二度見る
22. 帰り道は遠回りしたくなる
23. サヨナラの意味
24. 裸足でSummer
25. Sing Out!
26. ここにはないもの

EN
EN1. 硬い殻のように抱きしめたい
EN2. 僕だけの光
EN3. ロマンスのスタート
EN4. おいでシャンプー
EN5. ジコチューで行こう!


印象に残ったシーンを少しだけ挙げます。

この日のビジュアル仕上がってんなあメンは与田祐希
岩本蓮加筒井あやめという「最年少の系譜」ふたりも可愛かった。

今野さんと菊池さんによる影ナレ。
たびたび見かける、我々ファンに負けず劣らず運営サイドも乃木坂が大好きで強い思い入れがあると感じられる瞬間。

『他の星から』。2019年夏の記憶。
歌い終えしっかりと抱き合った飛鳥と遠藤さくら

『人は夢を二度見る』に加わり、つい観ているこちらも「これが完成形じゃん」と思わされてしまう飛鳥の存在感。(そしてきっと、久保史緒里と山下美月ならちゃんとそれを悔しがってくれるでしょう)

アンコールラスト、ゴンドラで上空に消える飛鳥。
これも彼女の思惑通りまんまと「橋本奈々未じゃん」と思わされました。


さて、こんな乃木坂の歴史において重要なライブの現場に行っておきながら半年もレポを書かなかったのには理由があります。

それは「泣かなかったから」

2017年の初ドームは花道を歩きながら肩を組む中3トリオ(生田絵梨花、斎藤ちはる、中元日芽香)に恥ずかしながら号泣した私。
この日も、正直ぐちゃぐちゃに泣くんじゃないかと思っていました。

結成当初からの乃木坂ファンですから、当然1期生には並々ならぬ思い入れがあります。
ましてや「乃木坂のすべてを知る者」にして「奇跡の中の奇跡」、齋藤飛鳥。

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その卒コンですから泣かないはずはなかろう…そう思っていたのですが。
いくつか胸を締めつけられるシーンはあったものの、涙は流れませんでした。

その理由を考えて言葉にするのに時間がかかってしまったというのが正直なところです。

そして辿り着いた結論。

 いつも通りだったから。

これだと思うんですよね。

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飛鳥真夏体制


その理由を説明するには、ここ数年の乃木坂の活動を振り返る必要があります。

今から3年半前、2019年2月のバスラで西野七瀬が卒業。その夏の神宮における初代キャプテン桜井玲香の卒業を経て白石麻衣卒業シングル『しあわせの保護色』を初披露した2020年2月のナゴヤドーム8thバスラ。

このあたりの乃木坂は「移行期間」でした。

しかしその直後からコロナ禍が始まり、すべてのシナリオが大きく、大きくズレていきます。(もちろんそれは社会全体も同じなのですが)

新時代の旗手たる山下美月をセンターにするタイミングも恐らく半年遅れた。
そして未来を担うべきひとりであったはずの大園桃子も「在宅期間中に色々考えて」卒業を決意します。

『保護色』選抜発表に関する記事の中で私はこんなことを書いていました。

 『君の名は希望』までの生生星時代
 『ガールズルール』からの白石西野時代
 『裸足でSummer』からの白石西野飛鳥時代

 26thからは新たな時代である。
 まだ現時点では「飛鳥3期4期時代」としか表現できない。

 ポイントは誰が飛鳥に並び立つのか。

(『2020年の乃木坂46』収録 「【考察】旅立ちのフィエスタを歌え~乃木坂25thシングル選抜発表に思うこと」より)

そこからの3年半は確かに「飛鳥3期4期時代」でした。

しかしその実態は「飛鳥真夏時代」、より正確に表現するのであれば飛鳥真夏「体制」だったのだと思います。

その目的はただひとつ。
大人数アイドル史上、まだどのグループも成し遂げていない「世代交代」を成功させること

1期生2期生たちは自身の卒業を見据えつつ、パフォーマンスや言動を通して「これまでの乃木坂」を伝え。
後輩たちはそれを受け取りながら「これからの乃木坂」を描く。

そんな困難なミッションを、しかも卒業生ひとりひとり手厚く送り出しながら果たそうとしてきたのです。

2022年の全ツで設けられた、期も選抜もアンダーもシャッフルする「シャッフルコーナー」。
MCでは1期2期が「後輩のためにできることを考えた」と語っていました。

しかし個人的には、同様の試みは2019年夏の全ツから既に始まっていたと思います。

それぞれの期別曲を3期4期合同で行ない、アンダー曲をアンダー経験のないメンバー(生田絵梨花、桜井玲香、与田祐希など)も交えて行なう。
そして期を跨いだユニットによる「ミュージアムコーナー」。

時間をかけて融合と継承が進められたのです。

そしてもうひとつ、エース格の確立。

上で引用した記事で私は「ポイントは誰が飛鳥に並び立つのか」と書きましたが、運営が下した判断は「誰も並び立たせない」でした。(もちろん成り行き上…という部分もあるでしょうが)
飛鳥と誰かではなく、「ネクスト飛鳥(=与田山下遠藤賀喜)」同士を並び立たせた。
これにより「エース候補」が「エース格」へと成長し、新たな大エースひとりではなくエース格4人を揃えることができたのです。

そして5期生として井上和をはじめとする新たなエース候補たちが加入してくれました。

そんな飛鳥真夏体制の歩みと、その中で行なわれたライブの多くを観てきた私からすると、この日のライブは少し極端な表現になりますが「いつも通り」でした。

出ずっぱりの飛鳥が後輩みんなと絡む姿は、ここ数年の全ツで何度も見た光景。
だから私は飛鳥が卒業しても「飛鳥がいないだけ」なのだと思うことができました。

もちろん齋藤飛鳥がいなくなることはとてつもなく大きいでもそれ以上じゃない

そうなるように、飛鳥が、秋元真夏が、そしてメンバーみんなが頑張ってきたから。
飛鳥真夏体制で3年かけて築いてきたものがちゃんとあるから。
だから私はメンバーたちが思うほどこの日以降の乃木坂を心配していませんでした。

「乃木坂をよろしくね」

泣きながらその言葉に頷いた後輩たちはこの夏、1期2期のいない初めての全ツを見事成功させてみせました。

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最後にもうひとつ。

飛鳥はこの日、「乃木坂とは何か」をこんな言葉で表現してくれました。

 しんどいときは まわりを頼ろう
 とにかく頼って甘えまくろう

 ひとりじゃないんだし 絶対に絶対に
 いつかどこかで誰かが助けてくれる!
 だってそれが乃木坂だもん

これまでも、これからも

それが乃木坂46。



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過去に当ブログに掲載した記事を再構成し加筆したもの。
総文字数84,000文字、加筆部分だけでも10,000文字以上のボリュームでブログをご覧になった方にも楽しんでいただけることと思います。

「今にして思うこと」は各記事の末尾に「追記」という形で新たに文章を加え、さらに書き下ろしとして4期生の初冠番組であった『乃木坂どこへ』を振り返っています。


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だぽ
前の記事では全体の感想を書きました。

関連記事:


こちらではキャストの皆さんについて。

ヴィヴァ!


最初に挙げたいのがアントニオ・サリエリ役の相葉裕樹さん。
やっぱり『ヴィヴァ!イタリア』の歌唱が超絶。素晴らしく心地よい音圧。
派手めな顔立ちでボリューミーなヘアスタイルもゴージャスな衣装も凄く似合っていました。
悪役にされがちなサリエリ先生をコミカルな憎めないキャラとして演じていたのも好感。

個人的に初めて観る役者さんなので後から調べたら『レ・ミゼラブル』も出演されている方なのですね。そりゃ上手いはずだわと納得。

ナンシーとオルソラの2役を演じた田村芽実さん。

なんとまだ24歳。若い!
2011年8月にハロー!プロジェクトのアイドルグループ「スマイレージ」(現「アンジュルム」)に加入ですから、井上小百合と少し重なる部分がありますね。

彼女は2016年5月にグループを卒業。
その時点から目標として明言していたミュージカル俳優としてのキャリアを着実に積まれている印象です。

特に良いなと思ったのが演技も歌唱も振り幅があるところ。
老婆ナンシーでのコミカルな演技、自責の念にさいなまれるオルソラのシリアスな演技。
そして老ナンシーでの太い歌声とオルソラでの哀切な歌声。
どちらも非常に良かったです。(もちろん若ナンシーのキュートさも)

モーツァルト役の平間壮一さん。

「当てはない、ツテもない」だから「自由だ!」と歌うモーツァルト。
なんと素晴らしい発想の転換笑

なんというか「音楽の妖精」みたいな。そんな浮世離れした素軽い演技が非常に印象的でした。

そして主演の海宝直人さん。

まあ今さら私なんぞがどうこう言うのもはばかられるぐらいのキャリアで『レミゼ』だの『ミス・サイゴン』だの『ジャージー・ボーイズ』だの『アラジン』だの『ライオン・キング』だのビッグタイトルに数多く出演されてきたビッグネームです。

私が観劇したプレビュー公演は調子がいまいちだったのか出の音がブレていることがあったのですが、一瞬で立て直すその鋼の声!

白眉はやはり『ドン・ジョヴァンニ』の歌唱。
「胸を張って地獄の炎に飛び込もう」は鳥肌ものでした。

強くて儚くてやっぱり強い


ここまで挙げた皆さんはいずれもミュージカルで実績十分な強者たち。

その中で我らが井上小百合はどうだったかというと。

歌上手くなってた。(偉そうな言い方ですいません笑)

上で挙げた皆さんと遜色ないとまでは言いませんけれど、『ヴィヴァ!イタリア』でサリエリ先生に負けじと野太くヴィヴァ!するさゆは最高でした。
『コジ・ファン・トゥッテ』でも良い高音を鳴らしていましたね。

ソロ歌唱の『街角の女の子』がさゆのキーの美味しいところと合ってなかったし曲自体も重かったのがちょっと残念でしたが。

さゆ史上最大であろうボリューミーなウィッグもなかなかのインパクト。

だいぶ前からずっと思ってたんですけど、さゆの「濃くない美人顔」って大抵のウィッグをつけこなせるので舞台俳優として大きな武器ですよね。
かつて『ミュージカル セーラームーン』で月野うさぎという超高難度の髪型をこなした実績もありますし。

そして今回演じたフェラレーゼ。

難しい役でした。
「歌はそこそこだが演技は大根」の役を演じる、ってなんだか謎かけのようですね笑

「男を掌の上で転がしているつもりがただ単に遊ばれているだけの女」と周囲に軽蔑されていて、でも彼女自身もそんなことは百も承知で。
「女を武器にしている自分」のことを嫌悪しながらも、自分ぐらいは愛してやらなきゃいけないと思っている。

ただそんな自分の心を押し殺すような生活を続けているうちに、いつしか「自分の心」なんてもの自体失ってしまった-そしてそれゆえに「上手いだけで人の心を動かせない、つまらない歌い手」になってしまった-ことにも気づいていた。

ただひとり、ダ・ポンテを除いて。
彼女の声に「サンマルコ広場で歌っていた女の子」の欠片を感じ取ったダ・ポンテの心だけは動かすことができた。

そんな彼と一緒にいる時間は、きっと「昔の自分に戻れるかもしれない」という希望と「戻れるわけなんかない」という哀しみが交互に訪れたことでしょう。

そんなふたりの別れのシーンは素晴らしかった。

ダ・ポンテは失脚し、夢から醒めなければならない時が来て。

『街角の女の子』を歌い終わったほんの一瞬だけ、フェラレーゼは微笑みを浮かべるのです

そして再び彼女は同情も感傷も拒絶する氷のような表情に戻り「さよなら」。
振り向かずに歩き去ります。

この先も一緒に歩けたらどれほど良いか。
でも、そんなのただのセンチメンタリズム。
私は絶対、自己憐憫に溺れたりしない。

「でも心が痛い」

そんな強くて儚くて、やっぱり強い女性の背中を井上小百合は見せてくれました。


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だぽ
2023年6月から7月にかけて東名阪で上演された音楽劇『ダ・ポンテ~モーツァルトの影に隠れたもう一人の天才~』。

北千住シアター1010でのプレビュー公演と池袋東京建物 Brillia HALLの本公演をそれぞれ1回観劇しましたのでレポートします。

いくつものカタルシス


公式によるあらすじはこちら。

 1826年ニューヨーク。年老いたロレンツォ・ダ・ポンテ(海宝直人)が回想録を出したことがきっかけで、若かりし頃を思い出すところから物語は始まる。

 1781年ウィーン。女好きで詐欺師のダ・ポンテは、ある事件を起こし、故郷ヴェネツィアを追われ、その才覚と手練手管でウィーンの宮廷劇場詩人の座までのぼり詰める。しかし、宮廷作曲家アントニオ・サリエリ(相葉裕樹)に言われるがままに書いたオペラの処女作を酷評され、行き場を失っていた。
そんなダ・ポンテの前に現れた、作曲家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(平間壮一)。彼もまたあふれる才能を持て余していた。二人は意気投合し、革新的なオペラを作ることを決意する――。

公式サイトより引用)

モーツァルトではなく、彼のオペラの台本を書いたダ・ポンテを主人公にした物語。
『アマデウス』などモーツァルトものでは定番である、彼の死をミステリーとして扱うことはせず普通の病死(恐らくはこちらが史実通りなのですが)としています。

ふたりが組んだ作品は1786年『フィガロの結婚』、1787年『ドン・ジョヴァンニ』、そして1790年の『コジ・ファン・トゥッテ』。

一言でまとめてしまえば、ふたつの才能が巡り合って特別な作品を生み出し、そして離れていくまでの物語です。

上演時間2時間半にも及ぶ作品ですが、それでもやや消化不良な部分がある印象。

『コジ・ファン・トゥッテ』について回想録に詳しく書かなかった理由はなんかいまいちよくわからない。
あとサリエリ先生の人物像、というか行動原理がブレている気がする。これはオチ要員とシリアスな役割(ダ・ポンテに最後通牒を突き付ける)を同じキャラにやらせたのが原因かな。

…など、ところどころ「惜しい」感はあるものの個人的にはこの作品嫌いじゃないです。

その最大の理由はいくつものカタルシス溢れるシーン。

自分ひとりでは決してたどり着けない場所へ、こいつと一緒なら
そんなバディを見つけた瞬間の愉悦。

『フィガロの結婚』で浴びた万雷の拍手。
『ドン・ジョヴァンニ』のド迫力のラストシーン。

そしてなんといっても、この舞台自体のクライマックスでもある『コジ・ファン・トゥッテ』。

音楽のマジック


コジ・ファン・トゥッテ。

訳せば「女はみんなこうしたもの」。
でも転じて「人生万事こんなもんさ」と言っているように私には思えました。

 思い通りになんていかない
 理屈じゃ説明できない
 間違いばっかりで後悔ばっかりで

そんなもんだろ?

 自分の魂の欠片のような、特別な相棒とさえすれ違って袂を分かってしまう
 本当に運命の人と出会っていたのに、気づくことができずに別れてしまう
 絶対に手放しちゃいけないものだったのに、この手から滑り落ちてしまった

人生なんてそんなもんだろ?

でも、
だからこそ素晴らしいんだろう?

 あれは所詮、人生における一瞬の花火かもしれない
 それでも、あの輝きがあったからこうして今日を生きてゆける

舞台上にキャストがずらりと並び、朗々と歌い上げられるそれは、どこか「第九(『歓喜の歌』)」のようでした。

『レキシアター』や『キレイ』のレポでも書きましたが、好きなんですよ人間賛歌。

関連記事:



素晴らしい大団円感。

本当は大団円なんかじゃないんです。
実際にはこの上演後に不評でダ・ポンテはウィーンを追われモーツァルトとも袂を分かち没落していくのですから。

ここではたと思い当たるのが、上で「よくわからない」と書いた『コジ・ファン・トゥッテ』について回想録に詳しく書かなかった理由。

それはもしかしたら上演当初は「不評だった失敗作」でしかなかった同作が、この後の人生において自分の背中を支えてくれたからではないでしょうか。

「あろうことか自身の作品に励まされて今を生きている」。
天才詩人にして天才詐欺師であるこのダ・ポンテ様がそんなことこっ恥ずかしくて書けるかよ!という照れくささ、気恥ずかしさ。

ミュージシャンは時々「楽曲が作り手である自分たちの手を離れ、時の流れと共にファンの方の人生で大きな意味を持つものとなった」と言いますが、きっとダ・ポンテの場合はそれが自分の作品によって引き起こされたのです。

語り部が年老いた後の彼だからこそ、この曲がフィナーレとして高らかに鳴り響く。

そんな音楽の力音楽のマジック
その素晴らしさと美しさ。

クライマックスの『コジ・ファン・トゥッテ』を浴びながら、私はそんなことを考えていました。


続きます。


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『2020年の乃木坂46』

それは白石麻衣の卒業発表とともに始まった。

メンバーにとってもファンにとっても大きな大きなひと区切りとなるであろう「その日」。

しかし。

COVID-19。
コロナウイルスの感染拡大が全部塗りつぶした。

それでも人は立ち上がり、乃木坂も動き始める。
グループアイドルとして、そのトップランナーとしての矜持を見せた46時間TV。

そしてついに白石麻衣、卒業の日が訪れた。

直後に発表された26thシングルの選抜。
新たな乃木坂の物語を紡ぐべく、センターを託されたのは山下美月だった。


混乱の中で新たなかたちを模索する日々。

そんな乃木坂46の2020年を、筆者自身が見聞きし感じたレポートを中心に描き出す。



はじめに

目次

第1章 世界が闇に閉ざされる前に

【考察】輝き続けた明けの明星、西の空へ去る~白石麻衣の卒業に寄せて
【考察】かぐや姫、サンクトペテルブルクに帰る~佐々木琴子の卒業に寄せて
【考察】旅立ちのフィエスタを歌え~乃木坂25thシングル選抜発表に思うこと
【考察】4期版『じょしらく』希望!~4期生追加メンバー加入に思うこと(と妄想)
【ライブレポ】過去と現在の幸福なオーバーラップ~2020.02.21 8th YEAR BIRTHDAY LIVE DAY1@ナゴヤドーム

第1章追記

【インターミッション】あれから4年~『乃木坂どこへ』を振り返る

第2章 微かな、だが暖かな光

【楽曲考察】『I see…』~賀喜遥香、ミス・パーフェクトは穏やかに微笑む
【考察】ゆいいつむに。大園桃子というスペシャル・ワン
【楽曲考察】『世界中の隣人よ』~「ああ…乃木坂だ」ここには確かに乃木坂がある
【考察】それは「乃木坂愛してる」から始まった~乃木坂46時間TV

第2章追記

第3章 大きな大きなひと区切り、そして道は続く

【考察】俺たちはこれから『おいシャン』で何と叫べばいいのだろう~中田花奈の卒業に寄せて
【配信ライブレポ】白石麻衣、君はヒーローになれる~2020.10.28 Mai Shiraishi Graduation Concert
【考察】山下美月はすべて理解してその場所に立つ~26thシングル選抜発表に思うこと
【考察】拭えなかった「異物感」~堀未央奈の卒業に寄せて
【配信ライブレポ】ありったけのリスペクトを込めたリメイク~2020.12.06 乃木坂46 4期生ライブ 2020

第3章追記

あとがき


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はじめに

目次

第1章 世界が闇に閉ざされる前に

【考察】輝き続けた明けの明星、西の空へ去る~白石麻衣の卒業に寄せて
【考察】かぐや姫、サンクトペテルブルクに帰る~佐々木琴子の卒業に寄せて
【考察】旅立ちのフィエスタを歌え~乃木坂25thシングル選抜発表に思うこと
【考察】4期版『じょしらく』希望!~4期生追加メンバー加入に思うこと(と妄想)
【ライブレポ】過去と現在の幸福なオーバーラップ~2020.02.21 8th YEAR BIRTHDAY LIVE DAY1@ナゴヤドーム

第1章追記

【インターミッション】あれから4年~『乃木坂どこへ』を振り返る

第2章 微かな、だが暖かな光

【楽曲考察】『I see…』~賀喜遥香、ミス・パーフェクトは穏やかに微笑む
【考察】ゆいいつむに。大園桃子というスペシャル・ワン
【楽曲考察】『世界中の隣人よ』~「ああ…乃木坂だ」ここには確かに乃木坂がある
【考察】それは「乃木坂愛してる」から始まった~乃木坂46時間TV

第2章追記

第3章 大きな大きなひと区切り、そして道は続く

【考察】俺たちはこれから『おいシャン』で何と叫べばいいのだろう~中田花奈の卒業に寄せて
【配信ライブレポ】白石麻衣、君はヒーローになれる~2020.10.28 Mai Shiraishi Graduation Concert
【考察】山下美月はすべて理解してその場所に立つ~26thシングル選抜発表に思うこと
【考察】拭えなかった「異物感」~堀未央奈の卒業に寄せて
【配信ライブレポ】ありったけのリスペクトを込めたリメイク~2020.12.06 乃木坂46 4期生ライブ 2020

第3章追記

あとがき


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