ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

カテゴリ:腕時計 > 3針

「独断と偏見で選ぶ!価格帯別腕時計ベストバイ2022年版」の第5弾は50~70万円のゾーンです。
対象は2022年に発売されたものですが、本数限定のモデルは対象外としています。

価格帯は実勢価格だとブレるので「記事作成時点の」定価で区分しました。
記載の価格はいずれも記事作成時点のもので新品税込です。
また併記している実勢価格は各店舗の表示価格=ポイント還元等を含まない金額となります。

当サイトはアフィリエイトプログラムで雀の涙未満の微々たる収益を得てはおりますが、本文の内容は100%私の個人的な意見であり忖度は一切ございません。

50~70万円部門



エレガンスコレクション「晩冬」/グランドセイコー

Ref. SBGW281
手巻き。日常生活防水。SSケース+レザーベルト。ケース径37.3mm

和製高級時計の旗手、グランドセイコー(以下「GS」)。

その中でも長らく人気モデルとして君臨してきたのが「雪白(ゆきしろ)」(「スノーフレーク」とも呼ばれます)。
風に吹かれた雪面に浮かぶ繊細な風紋を表現した美しいダイヤルのスプリングドライブモデルのことです。2005年に初代のSBGA011、2017年に代替わりしてSBGA211が発売されました。
その人気にあやかってか近年「日本の美しい四季を文字盤で表現する」ことに傾倒し、自然からインスパイアされたモデルを多数発売しています。

ブランドの公式でもこう謳っています。

 「THE NATURE OF TIME」はグランドセイコーのブランドフィロソフィーです。
 自然や季節の移ろいからインスピレーションを受ける感性と、それぞれの道を究めて時の本質に迫ろうとする匠の姿。
 その二つの日本の精神性を表現しています。

まあ「和」を感じさせ、海外での販売やインバウンド顧客ウケを狙った戦略でしょう。
それ自体は全然問題ないのですが、個人的には正直ちょっと数が多すぎるかなと思います。

こちらのSBGW281「晩冬」もそんな1本なのですが、なんていうか…実に素敵な時計ですね。

一言でいうなら、流麗
44GSをはじめとするセイコースタイルは直線的なのが特徴ですが、このモデルはそうではなく曲線を感じさせます。

まあGSですから、もちろんインデックスと針の仕上げはバキバキ。

なんですけれど、こちらは(恐らく)高さ抑えめなインデックスに細身のラグが柔らかな印象を与えます。
このあたり、初代GSとかそれこそロードマーベルあたりのアンティークセイコーに通じるものを感じますね。

そして粉をまぶしたようなざらつきの型押しダイヤルで色はシャンパンゴールド。
さらに秒針はイエローゴールドなのですがぱっと見は「オレンジ」。



押し出しは強くない、むしろ控えめですらあるのにちゃんと個性的
そのカラーリングから「カジュアル」とさえ感じさせながら、端々にまで行き届いた高級感。

分厚いウールで枯れた色のジャケット着て腕にこれが乗っていたらめちゃめちゃお洒落だよな…そんな爺さんになりたいです笑

まあそんな願望はさておき、カジュアルでしたら様々なファッションと合わせやすいカラーリング。スーツでもライトブラウンの靴と合わせられる色なら大丈夫でしょう(要するに靴と色を合わせれば、ってことです)。

サイズは厚さ11.7mm、横37.3mm、縦44.3mm。
クロコダイルのバンドはペラッとした滑らかなもの。

それ以外のスペックは、パワーリザーブ約72時間の手巻きムーブメント9S64。
ノンデイト。ボックス型サファイヤガラス風防に裏スケルトン。日常生活防水です。

定価:605,000円(税込、以下同じ)
実勢価格:523,240円~(楽天市場調べ、以下同じ)

記事作成時点では発売時点からの値上げ幅は10%(55,000円)に留まっています…って、もう完全に感覚が麻痺していますね笑

まあでもスイスメーカーと比べれば良心的な範囲でしょう。

弱点としては、あまり「一本持ち」向きな時計ではないということ。

上で書いたように様々なファッションと合わせられるカラーリングですが、やや個性的。
そして「日常生活用防水」=3気圧防水ですので、雨の日もちょっと厳しいですね。

別途オールマイティな時計がある人向きでしょう。
続きます。


NEXT>>>70~100万円部門

「独断と偏見で選ぶ!価格帯別腕時計ベストバイ2022年版」の第3弾は10~30万円のゾーンです。昨年はここを10万円刻みでふたつに分けていたのですが、今回は20~30万円ゾーンが「該当なし」だったのでひとつにまとめました。
対象は2022年に発売されたものですが、本数限定のモデルは対象外としています。

価格帯は実勢価格だとブレるので「記事作成時点の」定価で区分しました。
記載の価格はいずれも記事作成時点のもので新品税込です。
また併記している実勢価格は各店舗の表示価格=ポイント還元等を含まない金額となります。

当サイトはアフィリエイトプログラムで雀の涙未満の微々たる収益を得てはおりますが、本文の内容は100%私の個人的な意見であり忖度は一切ございません。

10~30万円部門



カーキ フィールド マーフ 38mm /ハミルトン

Ref. H70405730
自動巻き。10気圧防水。SSケース+レザーベルト。ケース径38mm

2014年に公開された映画『インターステラー』の劇中で重要な役割を果たす小道具として作成された時計を公開から5年後となる2019年にリリースし大ヒット。

そちらは42mm径だったので細腕さんにはちと厳しかったのですが、待望の38mm径リリース。

一見クラシカルで無骨でありながら、実はモダンで隙のないデザイン。
高い実用性でファーストウォッチでもセカンドウォッチとしても実に優秀

こちらの時計については以前に記事にしていますのでその魅力の詳細はこちらをご覧ください。(当ブログでアクセスランキング上位常連の人気記事です)

関連記事:
 

定価:136,400円(税込、以下同じ)
実勢価格:117,800円~(楽天市場調べ、以下同じ)

定価は2度値上げしてしまいましたが、発売からちょうど1年が経過し並行品も市場に出てきました。最安値は約15%引きですね。
さて、ベストバイはこちらなのですが既に記事にしている時計ですので「次点」も発表します。

10~30万円部門・次点


 

シチズンコレクション メカニカル 銀箔漆文字板/シチズン

Ref. NB1060-04A
自動巻き。10気圧防水。SSケース+レザーベルト。ケース径38.2mm

「シチズンコレクション」。
まあ悪く言えば要するに「アテッサ」とか「プロマスター」のようなシリーズ名がつかない「その他」。

ですがこの時計、凄くいいです。

端正なデザインのドレスウォッチ

細身のアプライドインデックスにドーフィン針、もちろん夜光なし。
まあ遠慮なしに言ってしまえばグランドセイコー的なデザイン。

そして最大の特徴は「銀箔漆文字盤」。
たぶんスペック上はシルバーなんでしょうが、遠目の印象では白。そして近くで見ると「和」を感じさせる表情があるダイヤルです。
一見地味なのでスーツにも違和感なく着けられるけれど、実は個性があるというのが良い。

ベゼルはポリッシュ。ラグは表面と側面はサテン、斜めの面がポリッシュ。
この仕上げの質感も価格を考えれば実に優秀。

サイズは厚さ12.0mm、横38.2mm、縦はデータなし(ある販売店さんの記載によれば46.5mm)。

その他スペックはドーム型サファイヤガラス風防で裏蓋スケルトン。肉厚なコードバンのレザーベルトとDバックル。約42時間パワーリザーブのキャリバー9011そして10気圧防水。

「惜しい」ところがない、ちゃんとしたドレスウォッチに仕上がっています。

そして特筆すべきはその価格。

定価:137,500円(税込、以下同じ)
実勢価格:93,580円~(楽天市場調べ、以下同じ)

これ、3割引きで実勢がアンダー10万円なんですよ。
さらにショップによってはポイント10倍とかあるので実質9万円を割るところまでいきます。
(ちなみにヨドバシ公式だと93,040円の10%還元で実質83,736円!安い…)

バリエーションは青文字盤。

個人的には正直青の方が格好いいと思います笑
ただちょっと人とファッションを選ぶかな。職種によってはスーツでもいけるけど「地味に着けられる」時計ではないですね。

 

ということでベストバイは白文字盤にしました。

ちなみにベルトがコードバンではなく白文字盤と並べるとペラッとしていますが、その分値段も若干安くなっています。

定価:126,500円
実勢価格:84,480円~

最後にまとめます。

美しい文字盤にコードバンベルトと適切なサイズ感で「残念なところがひとつもない」行き届いたドレスウォッチ
10気圧防水にサファイアガラス、Dバックルと実用性も十分です。

そして「頑張った」価格設定

「漆」ということではプレザージュ初期のヒットモデルであるSARX029が思い出されますね(あちらは黒漆でしたが)。ちなみにこれ、全然在庫がないのですがディスコンしたんですかね?
「和」という意味では近年「日本の美しい四季を文字盤で表現する」ことに傾倒しているグランドセイコーと通じる部分もあります。

シチズンさんが声高に言うことはないでしょうが実は「プレザージュキラー」、価格差まで込みで考えると「GSキラー」を狙ったモデルなのかもしれません。

セイコーさんは「どこかが惜しい」時計(私にとって)を出してくることが多いのですが、シチズンさんは機械式においてはチャレンジャーという意識があるのか、ちゃんとラインナップで真ん中に来るべきモデルを用意しているのも好印象。

同じムーブメントのNB1050なんて実質4万円台でサファイヤクリスタル風防ですから、「プアマンズGSキラー」ですね笑
フジツボダイバーの記事で私は「ダイバーズ持ってないなら、買っちゃえば?」というタイトルをつけましたが、この時計はさしずめ「ドレスウォッチ持ってないなら、買っちゃえば?」という感じです。


2023年ももはや終わりそうですが、臆面もなく今年もこの企画をやります。

「独断と偏見で選ぶ!価格帯別腕時計ベストバイ2022年版」
過去分は以下のリンクからご覧ください。

2021年版


2020年版


2019年版


対象は2022年に発売されたモデルですが、本数限定のモデルは対象外としています。

価格帯は実勢価格だとブレるので定価で区分しました。
記載の価格はいずれも記事作成時点のもので新品税込です。
また併記している実勢価格は各店舗の表示価格=ポイント還元等を含まない金額となります。

それでは価格の安い方から順に発表します。

当サイトはアフィリエイトプログラムで雀の涙未満の微々たる収益を得てはおりますが、本文の内容は100%私の個人的な意見であり忖度は一切ございません。

アンダー5万円部門


出典:TiC TAC公式オンラインストア

シンプルメカ/Movement in Motion

Ref. MIM-SIMECA-BK/BK
自動巻き。10気圧防水。SSケース+レザーベルト。ケース径35.0mm

「Movement in Motion」。
全国に展開する腕時計のセレクトショップ「TiC TAC」のオリジナルレーベル。

ごくシンプルな3針モデル。モデル名もリファレンスもそっけなく「シンプルメカ」笑
ですがこちら、なかなか侮れません。

なんといっても、これ「セイコーデザイン(※)」ですよね
※私はこの言葉を「アプライドのバーインデックスと太い時分針を持つ普遍的で飽きのこないデザイン」と解釈しています

すなわち「俺たちのプアマンズGS」こと超絶大ヒットモデルSZSB011/012/013/014(以下「俺プア」)と同じ方向性

関連記事:


既に書いたようにどシンプルなセイコーデザイン。リューズガードもなし。
時分針が夜光つきなことと、秒針かかとについている蛇足な飾り笑が「元祖プアマンズGS」こと名機SARB033を思わせますね。

ややラグが華奢ですがこれは俺プアもそうですね。
各時インデックスの内側に夜光がプリントされているのが余計かな。

あとデイト表示が白背景の黒印字なのですが、これも逆が好み。
ただブラックダイヤル以外のモデルがありそちらと共通なのでやむを得ないのでしょう。

特筆すべきなのはそのコンパクトなサイズ感
厚さ 14.0mm、横 35.0mm、縦 43.0mm。
横幅35mmは現行ではほとんど見かけない貴重なサイズです。縦径も短い。

そしてもうひとつ、とにかく安い
これで24,200円(税込)。素晴らしいですね。

実際に現物を腕に乗せてみましたが、案外安っぽくない。
もちろん高級感はありませんが、悪くないです。少なくとも値段以上には見えるかと

ムーブメントはセイコー製NH35=4R35ですので俺プアやダイバースキューバのSBDY系、プレザージュのSARY系といったセイコーのエントリーモデルと同じ。
パワーリザーブや約41時間。あとは裏スケルトンに10気圧防水です。
バリエーションは以下の5種類。

 グレーダイヤル、メタルブレス
 ネイビーダイヤル、メタルブレス
 ターコイズブルーダイヤル、メタルブレス
 ブラックダイヤル、ブラックレザーベルト
 ホワイトダイヤル、ブラウンレザーベルト

一応ベストバイは汎用性を重視しブラック×ブラックにしましたが、メタルブレスも同価格なのでコスパ重視ならグレー×メタルも良いかと。

定価:24,200円
実勢価格:24,200円

俺プアは横幅39.9mmと約5mm大きいのでストレートな比較対象とはなりませんが、シンプルな機械式時計を求めていて「小さい時計」が好みの方にはぴったりでしょう。

ちなみにこの記事を書いている時点で俺プアはどうやら生産縮小して値引きもなくなっており、ディスコンの臭いがプンプンします。そんな中で代替案のひとつとなりうるモデルだと思います。

…と言いたいところなのですが。

こちらのモデルも現在、ネットでは直営のECサイトからしか購入できないようです。
(楽天市場やYahoo!ショッピング等の総合ECサイトでは見つけられませんでした)

そしてターコイズダイヤルは品切れですので、これまたディスコンしそうな雰囲気がありますね。
店頭で腕に乗せてみてピンときたら決断した方がいいかもしれません。




2022年後半にラインナップ整理(=一部モデル生産終了)、2023年3月に値上げとユーザーにとっては悲しいニュースが続いたセイコー5界隈に久々のグッドニュース。

人気の「ボーイ」シリーズに38mm径のボーイズサイズが発売されました!

若干幻だったあれ登場


元々リローンチ(2019年の日本再上陸)前の「ボーイ」といえばSKX007等のSKXシリーズ。現行のセイコー5でボーイシリーズを「SKX Style」と呼ぶのはこれに由来しています。

関連記事:


当時から基本は現行と同じく42mm径でしたが、SKX013という38mm径のボーイズサイズとかミディアムサイズと呼ばれるモデルもありました。

実は一時期、個人的に探していた時計です。
「幻の」はさすがに言い過ぎだと思いますが、かなり流通量は少なかった記憶があります。
当時は42mmサイズの倍ぐらいの値段がついていましたし。

その「ボーイズボーイ」が今回復活しました。

基本的には42mm版(以下、「通常サイズ」)のリサイズであり差異はほとんどありません。

最大の違いは(相対的に)ラグが長いこと
横は4.5mm短くなっているのに対し縦は1.8mm減。

これによりボーイの持つ「コロン」とした印象が軽減されて若干スマートに見えます
個人的には通常サイズの縦横比の方が好きですが、実は元のSKX013も今回のモデルと同じ縦径でしたのでそれを再現した形になります。

あとはデイデイト表示がかなりベゼルに寄っていますがこれはムーブメントが同じなのですから当たり前ですね。

私は記事にしていませんが2023年3月にはこれに先立ちセイコー5の「フィールド」と「アビエーション」の小径モデル(36mm)がリリースされています。

当サイトはアフィリエイトプログラムで雀の涙未満の微々たる収益を得てはおりますが、本文の内容は100%私の個人的な意見であり忖度は一切ございません。
ようやくセイコーさんが細腕さんの訴えに耳を傾けてくれたのでしょうか?
これまで何年も「デカい」と不満を書き連ねてきた甲斐があったというものです笑

サイズは厚さ 12.1mm、横 38.0mm、縦 44.2mm。
実は1.3mm薄くなっているのが非常にポイント高い

それ以外のスペックは通常サイズと同じ。
ケースはSSで10気圧防水、ハードレックスガラス風防に裏蓋スケルトン。
ムーブメントはデイデイト表示の4R36。日差+45秒~―35秒、パワーリザーブ約41時間のエントリー機です。

バリエーションは4種類。

SBSA225

ブラックダイヤル。



SBSA227

オフホワイトダイヤル。ちょっとシャンパンゴールドっぽい雰囲気も。



SBSA229

珍しいミントグリーンダイヤルにゴールドの時分針。



SBSA231

オレンジダイヤル、時分針とベゼルの印字がゴールド。


価格(ちょっとびっくり)とまとめ


なんとこれ、実勢価格が2割引きなんですよ。

定価40,700円(税込、以下同じ)、実勢32,560円、ポイント10倍で実質29,600円。
アンダー3万円。いいじゃないですか!

2019年9月のリローンチ以降、セイコー5は定価販売されてきました。
そして販路も主にファッションビル系時計店(例えばTiCTACさん等)やセレクトショップ中心=家電量販店や町の時計屋さんでは売られてこなかった。

しかしセイコーさんが既存モデルの大部分を一斉値上げした2023年3月に、それと時を同じくして販売店舗を拡大(これまで取り扱いのなかった家電量販店でも売るように)し値引きも解禁。ただし限定モデルは定価縛り継続っぽいです。

結局セイコー5の実勢価格は前後で変更なし、というか微妙に安くなっています。
正直、意味わかんないですね。

従来から家電量販店でも取り扱いのあるプロスペックス系は定価販売継続ですし。

当初はファッショナブルなイメージをつけようとし、3年半経過してその目的はある程度達成されたのでこれからは販売店を拡大していこうということなんでしょうか。

だったら最初から値上げせずに定価販売を続けた方が良かったのでは。
ユーザーにとって分かりやすいし、定価販売している販売店側からしてもありがたいでしょうに。

もちろん値引き自体はとても喜ばしいことなので文句ではございません笑



最後にまとめます。

由緒正しき「ボーイ」デザイン。このサイズ。ポイント還元まで含めた実質ならアンダー3万。

不満なんてございません
これで本当のダイバーズウォッチでありさえすれば…笑
(この時計は10気圧防水でダイバーズウォッチの規格を満たしていないのです)

機械式でアンダー40mmのダイバーズって、かなり少ない。

ここ数年はチューダーの「ブラックベイ フィフティエイト」(39mm径)がこの市場を独占。2023年の新作で37mm径の「ブラックベイ 54」も発表されました。

あちらは定価50万円なのでそもそも比較の対象ではないのですが、フィフティエイトの高い人気を見ると小径ダイバーズのニーズ自体はあるんです。
にもかかわらずチューダー以外だとマイクロブランドで多少あるぐらい。

だからこそ「これが本当のダイバーズだったらなあ」と思ってしまうのです。

まあ通常サイズ同様、初めての機械式時計に最適でありながらマニアにもなめられない(その由緒正しさゆえ)というか稀有なモデルです。

個人的に一本選ぶならミントグリーンかな…
あとはこのサイズでGMT出してくれないかな、とこっそり思ってます笑




「これで38mmだったら買うのに!」と思ってたら出た


「あー、この時計のここが惜しい!」ってこと、ありませんか?

私はしょっちゅうです。

そして思うのです。「ここをこう変更したやつが出たら買うのに!」と。
まあ実際に出た時に買うかどうかはさておき笑

「惜しい」ポイントでありがちなのはデザインの細部やカラーバリエーションでしょう。

しかし多くの細腕さんにとって最大の壁となるのが「サイズ」。
デザインに一目惚れしてワクワクしながら店頭に行き腕に乗せるも、「収まっていない」状態を見てガッカリする。

個人的にハミルトン「カーキ フィールド マーフ オート」はまさにそれでした。

2014年に公開された映画『インターステラー』の劇中で重要な役割を果たす小道具として作成された時計です。

当初はあくまでも映画内の小道具であり発売はされなかったのですが、公開から5年後となる2019年にリリースされ大ヒット。

マットなブラックダイヤルに全アラビアインデックスとコブラ針。すべてがヴィンテージベージュの夜光。

めちゃめちゃ好み

ただ、デカかった。
横が42mm、縦はなんと52mmだそうです。(公式には縦径のデータがないので他サイトに記載の数値を参考にしました)
52mmって、プロスペックスでいえば「スモウ」に近いぐらいの長さです。

もちろん「これで38mmだったら買うのに!」と思いました。

そして2022年末、なんと本当にその38mm版「マーフ」が出たのです!

正直、大傑作


正直、大傑作だと思います
(ちなみに映画『インターステラー』は観ていませんので純粋に時計に対する評価です)

まずはその優れたデザイン。

上で書いた通り、マットなブラックダイヤルに全アラビアインデックスとコブラ針。すべてがヴィンテージベージュの夜光。

クラシカルでミリタリー。
でも復刻モデルではありません。

そのためヴィンテージウォッチやその復刻モデルにある「垢抜けなさ」「野暮ったさ」が皆無です。(もちろんヴィンテージにおいてそれは「味」であり魅力でもあるのですが)

このマーフはフォントやダイヤル内の配置に隙のなさ、スマートさを感じさせます

そして微かなカーブを描いたドーム型サファイヤクリスタル風防、ノンデイトであること、時分秒全ての針がビシッとインデックスに届いていることなど、腕時計マニアが気にしそうなポイントをきっちり抑えていることもその印象を強めています。



さらに特筆すべきはその縦径の短さ
なんと44.7mmとのことですから42mmモデルの単純なダウンサイジングではなくラグをより短く切ってきたのです。
細腕さんにとってこれがどれほど嬉しいことか。もちろん標準的な腕の太さの方にとっても装着感は大幅に向上しました。

ベゼルはポリッシュでケースはビッシビシのサテン仕上げ
一見それほどエッジは立っていないように見えますが実際に触ってみるとなかなか。逆に言うとこれ以上エッジが立っていればそれはもはや(スウォッチグループでひとつ上のグレードの)ロンジン笑

白いステッチの入ったブラックレザーベルトはハミルトン的なゴワゴワのもの。
ちなみにベルト幅は20mmなのでレザーやNATOなら無限の選択肢があります。

ムーブメントはH-10。
信頼のETA2824ベース。驚異のパワーリザーブ80時間。フリースプラング方式(一言でいえば精度を向上させる仕組み)採用。
そしてこのモデルはニヴァクロンゼンマイ。これはスウォッチ・グループ傘下の二ヴァロックスが開発した新しい合金で、高耐磁性能が特徴ですからこちらも精度向上に寄与しています。

スウォッチグループだからこの価格帯で実現できた、としか言いようがないハイスペックムーブメントですね。

それ以外のスペックは大型で操作しやすいリューズ、裏スケルトン、10気圧防水といったところです。

ちなみに42mmモデルとのデザイン上の差異はほとんどありません。

上で書いたラグの長さ以外は、中央がこんもりしたベルトがフラットなタイプになったこと、そして秒針に刻まれたモールス信号がなくなったことぐらいです。

個人的にはどちらも38mm版の方が好みですね。

価格とまとめ




価格は124,300円(税込、以下同じ)。
まだ出たばかりですので正規店でしか取り扱っておらず、すべて定価販売。ただポイント10倍の店舗もありましたのでそちらで購入すれば実質113,000円です。

ちなみに42mmは定価132,000円ですが並行店では100,790円(ポイントは1倍)からありました。

ただしハミルトン公式で2023年2月1日より価格改定を行う旨が発表されていますので、このマーフも値上げ対象となる可能性があります。

!!!2023年2月3日追記!!!
マーフも価格が改定され、38mmが130,900円(+6,600円)で42mmは141,900円(+9,900円)となりました。

当サイトはアフィリエイトプログラムで雀の涙未満の微々たる収益を得てはおりますが、本文の内容は100%私の個人的な意見であり忖度は一切ございません。
最後にまとめます。

タイトル通り、ひとつの最適解でしょう。

シンプルで極めて優れたデザインとコンパクトなサイズがもたらす汎用性
ミリタリー系ではありますがどこかスマートさも兼ね備えているのでスーツにも合わせられます。
パワーリザーブ80時間、サファイヤクリスタル風防、10気圧防水という高い実用性

初めての機械式時計としても優秀ですが、ロングパワーリザーブでノンデイトなのでセカンドウォッチとしても最高
(念のため補足しますと、パワーリザーブが丸3日以上あるので平日つけて土日外しても次の月曜はまだ動いている。逆に平日は別の時計で土日だけする場合には日付合わせが必要ないためです)

ディテールにも配慮が行き届いているので初心者からマニアまでお勧めできます。

ウィークポイントはレビューでちらほら見かける夜光の弱さぐらいですね。

コブラ針のフィールドウォッチということで、競合するのはアルピニストセカンドや超絶人気モデルSZSB006(セイコーとTicTacのコラボモデル)あたりでしょうか。
ただその両者とは価格帯も違えばデザインの方向性も違うように思います
そして価格が上な分、仕上げとムーブメントのクオリティはマーフにアドバンテージがありますね。

あと注文をつけるならメタルブレスモデルもほしいかな。

そもそも映画がこのブラックレザーベルトですしこれが一番格好いいだろうとも思います。
ただメタルに換装すれば全細腕さん待望の「エクスプローラーの代替品」を狙える時計じゃないかと。

標準のカーキフィールド38mmにメタルブレスモデルがありますが、あちらは縦径が47mmなのでフラッシュフィット部がピタッとは合わない(「足」がちょっと出る)でしょう。

ぜひこのマーフ38mm専用のブレスを!

エクスプローラーの代替品についてはどこかで記事にしたいと考えています。

このページのトップヘ