ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

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波乱続出、大荒れの投票結果


そして発表された結果は衝撃的なものでした。
(カッコ内は落選者50音順)

ロミオ:筒井あやめ(早川聖来)

なんとここへ来て早川さんが初めて二幕出演を逃します。どよめく場内。
これは完全に8連勝の反動でしょう。「もう他の子に譲ってもいいだろう」という調整思考や「早川無双と聞いていたけどそこまでじゃない」という厳しい目線。
ファン心理という魔物が、ついに早川さんに牙をむいたのです。
筒井さんを祝福する早川さん。その目に光る涙は敗戦の悔しさか、それとも連勝のプレッシャーから解放された安堵なのでしょうか。

場内が騒然とする中、さらなる衝撃が続きます。

ジュリエット:田村真佑(賀喜遥香、北川悠理、柴田柚菜)

田村さん悲願の初勝利に場内大歓声。ジュリエットを得意とする北川さん、そしてここまで5勝の賀喜さんを抑えての二幕選出に、本人も顔を覆って泣き出します。
正直、演技の出来では劣っていましたので同情票を集めたものと思われます。でも、田村さんは胸を張っていいのです。自身の諦めない姿があったからこそ、同情でも何でも「彼女を二幕に立たせたい」と観客に思わせたのですから。

しかし、衝撃はこれで終わりではありませんでした。

ぜんぶ:遠藤さくら(掛橋沙耶香、金川紗耶、清宮レイ、矢久保美緒)

まだ客席から田村さんを祝福する声が飛び交う中、モニターに映し出されたのは「遠藤さくら」の文字!
湧き上がるウォォォォーーーッという大歓声。
一幕で見せた彼女の激情。それが観客の心を動かし、ついに掴んだ初勝利。4期生の発表当初から「エース候補」的な扱いを受けてきた彼女がここまで一度も勝てなかったことは、測り知れない重圧と苦悩だったことでしょう。顔をくしゃくしゃにして泣く遠藤さん。その元に何人ものメンバーが駆け寄り、彼女の頭を手荒になでます。それを見てもどれほど彼女が追い込まれていたかが伺い知れます。

「私たち、ライバルだけど、友達でしょ?」
この一幕の台詞をまさに地で行く4期生たちに、先輩たちの姿が重なります。

例えば『deux』の最終日昼公演。開幕から13連敗していた畠中清羅の二幕出演が発表された瞬間に、ステージ裏から響き渡ったのは「キャーーーーーッ!!」というメンバーたちの悲鳴のような大歓声でした。
誰もが追い込まれてキツい状態の中、それでも他のメンバーのことを気遣う姿勢。

やっぱ乃木坂だな。
今まで何度そう思ったかわかりませんが、これも忘れられないエピソードのひとつです。

新鮮な二幕


そして二幕が始まります。初選出ふたり、筒井さんもロミオでの二幕は初めて。フレッシュ極まりない組み合わせになりました。

筒井さんのロミオは生真面目で純粋。本来はもう少し洒脱な男性像な気もしますが、それには年輪が必要なので仕方ありません笑
本人は「緊張した」とのことですが、張りのある声で立派に演じ切っていました。

田村さんは拙い演技ながらも、それが逆に無邪気で幼いジュリエット役にはまっていた気がします。今後は声音や抑揚の変化をつけられるとより良いのではないでしょうか。

驚きだったのが遠藤さん。
一幕の演技は決して褒められたものではありませんでした。しかし二幕に入ると一変。堂々とした振る舞いと凛々しい表情。本人も反省していた通りたびたび台詞を噛んではいましたが、それをどうこう言う気がしないほどの存在感。

上手い下手ではなく、スター性としか表現しようのない輝きを放ちます。

普段はふわふわしていて舞台に上がると別人、というパターンはありますが、一幕では自信なさげで二幕になると豹変するというのは新しい。衣装やかつらでスイッチが入るのか。それともやるしかないという覚悟が決まったからなのか。

終盤はずっと荒い呼吸音をマイクが拾っていました。本人のコメントから察するに緊張のあまり上手に息を吸えなくなっていたようですが、そんなことは感じさせない演技。

彼女はこの先何度も「エース候補」という肩書に苦しめられることでしょう。
それでも、きっと乗り越える。そう思わされる姿でした。

そして4番目の風が吹く


後半戦の始まりにふさわしい、密度の濃い公演でした。

前半戦までの演技力勝負から、それぞれの人間を見せる勝負になってきたように思います。

ですがこれがプリンシパル。
2日目のレポでも書きましたが「当日の演技もこれまでの経緯も同情も判官びいきも推しへの愛もすべてひっくるめて」票は投じられるのです。

その中で強烈な印象を残した遠藤さん。

一幕での壊れた人形のような儚い泣き顔と、二幕で突然見せたスターとしての煌めき。
やはりどこか、西野七瀬を思わせるところがあります。

そして、ただひとりの未勝利となってしまった柴田さん。

悔しくないはずはないですし、相当追い込まれているでしょうが、それでも笑顔で田村さんを称える姿に彼女の矜持を見ました。

それと掛橋さんはこの短期間で目に見える成長を遂げていました。
将来的に演技の仕事を定期的にやっていけば化けるんじゃないでしょうか。


そして最大の収穫は、4期生たちが「やっぱ乃木坂だな」と思わせてくれたこと。

これに尽きます。

この先も千秋楽まで彼女たちは様々な感情を味わうことでしょう。挫折や苦悩で折れそうになることもあると思います。
それでもきっといつの日か、笑顔で「プリンシパルは必要な試練だった」と語ってくれるでしょう。

先輩たちと同じように。


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分かれる明暗と厳しすぎるレギュレーション


2019年4月16日、乃木坂4期生初公演「3人のプリンシパル」を観劇しましたのでレポートします。

この日は7日目。全日程の半分が終了し、休演日を1日挟んでの後半戦スタートという公演でした。

ここまで8公演の結果は早川さんが負けなしの8連勝。3役制覇も3公演目にストレートで達成し、それ以降もまんべんなく立候補しています。
それに次ぐのが5勝の賀喜さん。まだ射止めていないのはジュリエット。そして北川さんは4勝。1回を除きずっとジュリエット1本でしたが8公演目にぜんぶ役に再挑戦し見事当選しています。

反対にいまだに二幕出演がないメンバーもいます。遠藤さん、柴田さん、田村さんの3人。遠藤さんはぜんぶ役、他のふたりはジュリエット役にこだわっていますがここまでのところ結果につながっていません。

後半戦に入り流れは変わるのか。そこに注目が集まりました。

2日目との違いにポイントを置いて書きます。

【乃木坂46舞台レポ】自分をさらけ出したその先に 4期生「3人のプリンシパル」2日目④

意気込みで語られる内容が2日目とまったく同じ。つまり噂通りここはフリーではなく台詞固定です(おそらく開幕前にそれぞれの思いを元に作られた台詞とは思いますが)。
つまり一幕で使える「言葉」は完全に固定であり、その内容で差をつけることはできません。となると変化をつけられるのは声や間、動きや表情などをひっくるめた「語り方」のみ。
これは非常に厳しいですね。

唯一、ずっと50音順だった演技の順番が、この日から監督の指名によるランダム順に変更されました。
最初のプリンシパルで、毎日高山一実が爆笑をかっさらった直後に自己PRを行なわなければならなかった中田花奈が「この順番キツすぎます」と訴えたことにより途中からランダム順に変更されたことが思い出されますね笑

今回もそれぞれの演技についての個人的な感想を書いておきます。例によって素人の主観です。
(カッコ内はここまでの結果。○:ロミオ、□:ジュリエット、△:ぜんぶ。黒が2幕進出)

遠藤さくらさん(△△○△△○△△)
ぜんぶ。トップバッターの重圧からは解放されたものの、完全に自信を失っているようで終始表情を曇らせ俯きかげん。そして意気込みを述べている最中、言葉が途切れ彼女の目から涙が溢れます。「少しずつでも上手くなりたい」という前向きな台詞と自分の現状との乖離に感情が爆発してしまったように見えました。

賀喜遥香さん(●□▲□□●▲●)
3役制覇を狙いジュリエット。2日目に観た時はロミオでしたが、その時と同様に舞台映えする演技が目を引きます。ただ意気込みの台詞が飛んでしまい、頭が真っ白になってしまった模様。台本を何度も見ながら最後まで行きますが、終わった時には痛恨の表情を浮かべていました。

掛橋沙耶香さん(□□□■□□●△)
3役制覇を狙いぜんぶ。演じ分けもそうですが、細かな表情と相手がそこにいるかのように見せる演技がとても良く、正直びっくりしました。掛橋さん、上手くなってます。前回のレポで「プリンシパルでは演技力は上がらない」と書いた私の立場がありません。後ろで他のメンバーの演技を見ている時も表情豊かで、時に爆笑までしていたのも好感度高いです。

金川紗耶さん(△▲□□○□△△)
唯一二幕出演したぜんぶで2度目を狙います。前回からさらにコミカルな方向に振れ、オーバーアクションでやり切る姿勢を見せてくれました。後ろで見ている掛橋さんも爆笑。ただ二幕に選出されるほどのインパクトは正直感じられませんでした。演技後の表情から本人もかなり悩んでいるようで少し心配です。

北川悠理さん(■□△□■■□▲)
3役制覇は狙わずに得意のジュリエット。前回からさらに豊かな感情表現で、いわゆる「憑依型」の迫力ある演技を見せました。ただ…正直、過剰に感じました。初めての恋に目覚めた幼いジュリエット、その強い感情と純粋さが後の悲劇を連想させる。それがこの場面だと思います。狂気すら感じさせるこの日の北川さんの演技はさすがにやりすぎではないかと(解釈の問題ですので意見の分かれるところですが)。

柴田柚菜さん(□□□□□□□□)
ブレずにジュリエット。前回同様やはり無難で印象に残りづらく感じました。新体操やチアの経験がある彼女、もっと身体を使ってダイナミックな演技をしてほしいところです。ここまで未勝利ながら悲壮感を漂わせていないのは個人的に好感が持てますが、人によっては同情を拒絶している感じを受けるかもしれません。

清宮レイさん(○■△□●□○△)
3役制覇を狙いぜんぶ。豊かな表情で楽しそうに演技をする姿が印象的。前回同様、どうしても台詞のトーンが一定になるのが気になりました。

田村真佑さん(□□□□□△□□)
1回を除きブレずにジュリエット。前回同様発声や台詞の間はワンペースで動きも小さいままでしたが、表情についてはだいぶ改善されており、硬い印象はかなり軽減されていました。

筒井あやめさん(△△△▲□○○○)
4公演連続でロミオ。初々しいロミオですが声量があるので凛々しい雰囲気が出ていました。ただやはり表情があまり豊かでないので、パンチに欠ける気がしました。

早川聖来さん(▲●■●▲▲■■)
3役制覇3周目を狙いロミオ。やはり一枚も二枚も上の安定感。とにかく静止した時のポーズが綺麗。一瞬たりとも「ただ立って台詞を言っている」瞬間がありません。台詞ももちろん上手なのですが、この日は前回ほどの声の迫力は感じませんでした。少し力みがあったのか、あるいは連日の二幕出演で疲労がたまっているのかもしれません。

矢久保美緒さん(△○●△△△△△)
こだわり続けるぜんぶ。前回は全く台詞の間が取れていませんでしたが、その部分は劇的に改善されていました。彼女のキャラクターからか、ややコミカルな印象を受ける演技でしたが一生懸命さが伝わってきました。


そして観客投票が終わり、二幕の出演者が発表されます。


続きます。

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苦悩の先にあるもの


ここまで長々と書いてきたように、プリンシパルは様々な要素が絡んだ複雑なものです。

先輩たちも悩み苦しみ涙してきました。

この苦悩の先に何があるの?
落選続きのメンバーは考えてしまうでしょう。
もしかしたら「別に演技の仕事がやりたくて乃木坂に入ったわけじゃないのに」と思うかもしれません。

演技力が身につく?
いいえ。正直プリンシパルでは演技力は鍛えられません。

毎回キャストが変わるこの舞台で演技を深めていくことは極めて難しいです。
ましてや一幕だけしか出ていないメンバーの演技力向上は、望むべくもありません。

じゃあ何になるのか。


人前に立ち、その目にさらされ評価される怖ろしさを知ること。
そしてそれに立ち向かう経験をすること。

考えてみるとプリンシパルって、アイドル人生とよく似ています。
与えられたフォーマットの中でそれぞれが一生懸命自分をアピールする。
そして「人気」や「評価」という、形がなく時に理由すら不明瞭なものでポジションが決まる。

「自分のどこが悪いのかわからない」
「あの子よりどこが劣っているのかわからない」
「どうすればいいかわからない」


今苦しんでいるメンバーが抱えているかもしれないこんな疑問。
これはそのまま、グループアイドルの一員としてとしてこれから歩んでいく中で必ず直面する感情でしょう。

この感情に立ち向かい乗り越えるために必要なのは、自分をさらけ出すこと。

もう一度自分の良さを見つめ直し、どうすればそれがファンに伝わるのか考え抜く。そしてまだ開けていなかった引き出しから新たな武器を探し出す。そしてあとはひたむきに努力し続ける。

それが乃木坂46という巨大な肩書を背負うことになった4期生たちが、まず学ぶべきことなのではないでしょうか。


私なんぞに言われるまでもなく、彼女たち自身そのことを十分に理解しているようです。

公式特設サイトに置かれたプロフィールにはこんな言葉が並んでいます。

遠藤さん「恥を捨てる」
北川さん「湧きあがる思いと素直に目を合わせられるようになりたい」
田村さん「自分をさらけだす」
筒井さん「新たな私に」

彼女たちは、わかっています。

いつか話せる日が来るわ


記事作成時点で、メンバーの明暗はくっきりと分かれています。

早川さんが全勝する一方で、いまだ勝利のないメンバーもいます。

出口の見えないトンネルに、自分の存在を否定されているかのように感じてしまうことさえあるかもしれません。

でも、今回苦戦しているメンバーも演技に苦手意識を持たないでほしいと思います。

現在では乃木坂屈指の舞台メンとして演技力に定評のある井上小百合や桜井玲香もプリンシパルでは毎回苦労していました。
人気投票+一発芸大会だった最初のプリンシパルはともかくとして、『deux』ではふたりとも8/20の勝率。『trois』はさゆが10/22、キャプテンに至っては5/22です。

今回打ちのめされたとしても、いずれ演技力が開花するメンバーがきっといることでしょう。


この日、会場には今野義雄氏とともに向井葉月と吉田綾乃クリスティーのふたりの姿もありました。2年前のプリンシパルで地獄を見たふたり。葉月は2/15、あやてぃーはなんと全敗です。

ふたりをはじめとして、先輩メンバーたちは4期生、特に今悶え苦しんでいる子たちに伝えてあげてほしいです。

プリンシパルは始まりに過ぎないことを。

そしてここで得たものがこの先にそびえるもっともっと高い壁に立ち向かう時、必ず自分の力になることを。


千秋楽に向け期待すること


私個人はもう一度観に行くので、2日目からの変化を楽しみにしています。
次回もまたレポを書きたいと思います。その時はもう少し短めに。

あとは誰が早川さんを止めるのかもやはり気になります。

過去にも強メンに敢然と勝負を挑む姿にドラマが生まれてきました。

例えば3期のプリンシパル。スタートから「逸材」久保史緒里が別格のポテンシャルを見せます。久保無双が囁かれる中、それに泥臭くくらいついたメンバーがいます。

山下美月。「既に出来上がっている」と評されクールで完成度の高いビジュアルの彼女がそんなイメージをかなぐり捨て感情をむき出しにします。「気合」と「根性」でなりふり構わず勝ちに行く姿は多くのファンを惹きつけました。

そしてふたりは「一生に一度の出会い」というほど互いをリスぺクトする関係になります・

作り物ではない、本当の感情と感情がぶつかったときに生まれる物語。
プリンシパルにはそんな側面もあります。

賀喜さんが早川さんに挑み、意気込みで「早川は強い、とてつもなく…だからこそ勝ちたい!」なんて叫んだら、私は投票しちゃいますね笑


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プリンシパルの怖ろしさ(と醍醐味)はこれからだ


個人的な全体の感想です。

演技の面では早川さんが一枚から二枚抜けています。ただ「怪物」生田絵梨花や「逸材」久保史緒里ほど破格の存在ではないように思います。
それに次ぐのが賀喜さん北川さんのふたり。

また、舞台用の濃いメイクが映えるメンバーとそうでないメンバーがいますね。前者は賀喜さん、後者は遠藤さんが代表格。遠藤さんは持ち味のふわっとした魅力がメイクによってスポイルされてしまっているように感じます。

ただ、ここまではあくまでも2日目時点での話。

プリンシパルの恐怖=醍醐味は、これからです。


よく「舞台は生き物」と言いますが、プリンシパルは通常のそれとはまったく違うレベルで生き物です。

「立候補」と「観客投票」によって、状況が公演ごとに変わる。

それだけではありません。

その日までの結果によって、メンバーもファンも心理状態が変わり、それが行動に大きな影響を及ぼすのです。

立候補には戦略が求められる


メンバー側では立候補の戦略。これがひとつ鍵になります。

初日は皆、自分が最もやりたい、あるいは自信がある役に立候補するでしょう。
そして当選したメンバーは、「その役を極める」か「全役制覇を目指す」かの選択が生じます。落選メンバーも同じように「その役にこだわる」か「方向転換するか」の選択に迫られるのです。

これが3日4日と経つにつれ、さらに状況は複雑になります。
特定の役にこだわって落選続きのメンバーは、それでも初心を貫くのかそれとも見切りをつけるのかの判断に迫られるのです。

さらにいわゆる強メン、今回で言えば早川さんに勝負を挑むのか回避するのか。
ちなみにこの記事作成時点(2019年4月13日土曜日夜まで6公演終了)では早川さんが6戦全勝という無双状態。役はロミオ2ジュリエット1ぜんぶ3。3役制覇も3公演目でストレート達成しています。ぜんぶが多いのはもしかして主役を譲る彼女の遠慮なのでしょうか。

どの役に立候補するか。そこには戦略の一言ではくくれない側面があります。なんとしてでも二幕に出たいという気持ちと、それぞれの矜持とが交錯します。

思い出されるのが2014年6月15日『trois』の最終日昼公演。ここで生田絵梨花vs白石麻衣vs橋本奈々未という豪華すぎるマッチアップが実現しました。

まいやん「ふたりが来ると思って立候補しました」
ななみん「こういう時こそ負けたくない」
いくちゃん「も~、やんなっちゃうよおおお」

場内騒然。痺れますよね笑

差を生み出す方法


そして与えられた時間でどうすれば自分を選ばせることができるのか、考え抜く必要があります。

皆が同じ部分を演じる台詞読み。意気込みアピールも毎回同じ台詞という説があります。その制約の中で、どう差をつけるのか。

過去のプリンシパルで先輩たちは「笑い」に活路を見出してきました。
コミカルなオーバーアクションやアドリブ台詞を加えたり、モノマネで台詞を言ったり…。このフォーマットでの隙間は逆に言うとそのぐらいしかないように思います。

ユーモアのあるアピールや自虐ネタ、いきなり「意気込みをダンスで表現します!」と踊りだしたり歌いだしたり、こっそり小道具を準備しておいて使うなど、先輩たちは追い込まれた末に多くの作戦を編み出しました。

当時よりさらに制約が多い(ように見える)今回のプリンシパル。発想を転換し新たな切り口を見せてくれるメンバーは現れるでしょうか。

ファン心理という魔物


作戦を練り必死にアピールを考えてもなお、プリンシパルの半分です。

残り半分は、投票者であるファンの行動心理。「ファン心理」という名の魔物です。

こちらも日程が進むにつれ、バイアスがかかってきます。

例えばここまで無双の早川さん。これを知って舞台を観るファンに正のバイアスがかかれば「なるほど確かに上手だ」となり、さらに強くなります。しかし負にふれれば「確かに上手いけどもう他の子でいいだろう」という判官びいきな発想になります。

さらにこれまでの結果だけではなく、立候補履歴も微妙に投票行動に影響を与えます。
しかし、それはあくまでも人の心の問題。移ろいやすい不確定なものです。
例えば落選してもずっと同じ役に立候補するメンバーを観て「この役に懸ける想いの強さ」と感じるのか「融通の利かない頑なさ」と評価されるのかはその人次第。
ましてや投票する観客自体、毎日入れ替わっているのです。
計算してコントロールすることは不可能でしょう。

演じる側だけでなく観る側にもさまざまな思いが渦巻く舞台。
それこそがプリンシパルの特異性であり、醍醐味です。


何も前提知識を入れずにその日の舞台上の出来だけで投票する、それはひとつの正解です。
とにかく自分の推しに入れる、それもある意味純粋だと思います。

ただ古参オタとしては、ぜひこれまでの立候補履歴と結果を踏まえて観に行っていただければと思います。その方が、プリンシパルは絶対に面白い。
立候補の時点で「うお、変えてきたか!」とか「どうしてもジュリエット演じたいんだな」とメンバーの心境を慮って盛り上がれます。


そもそも公式サイトに記載されている投票のレギュレーションもこうなっています。

 審査基準は「各役の立候補者の中で一番ふさわしい」と思うメンバーをお選びください。

一番上手いでも好きでも可愛いでもなく、「ふさわしい」。

当日の演技もこれまでの経緯も同情も判官びいきも推しへの愛もすべてひっくるめて「今日はこの子が演じるべきだ」とファンが思えば、それが正解なのです。

過去にはこのシステムだからこそ生まれた名場面もあります。

3期生『3人のプリンシパル』2017年2月11日昼公演、そこまで共に11戦8勝だった久保史緒里と山下美月のふたりを破るビッグアップセットを演じた阪口珠美。全身で喜びを表現する珠ちゃんと悔し涙を流す美月。

これがプリンシパルです。


続きます。

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意外な二幕の出演者


開票の結果はこうなりました。

ロミオ:早川聖来(矢久保美緒)
ジュリエット:清宮レイ(賀喜遥香、掛橋沙耶香、北川悠理、柴田柚菜、田村真佑)
それ以外ぜんぶ:金川紗耶(遠藤さくら、筒井あやめ)
(カッコ内は落選者50音順)

個人的には少し意外な結果になりました。
演技の出来に人気度を若干加味して、早川さん賀喜さん筒井さんと予想していました。

清宮さんはアピールコメントでの情熱がプラス評価になったのではないでしょうか。
金川さんはオーバーアクションの一生懸命さを筒井さんの器用さより高く評価するファンが多かったのだと思われます。

落選したメンバーも健気に笑顔で拍手を送ります。


そしてセットが置かれ、休憩を挟んで二幕が始まります。

やはり目を引くのは早川さんの上手さ。
舞台上での立ち居振る舞いが身についているという感じでしょうか。立っている姿勢や台詞を言いながらの身体のラインなど、観られていることを十分に意識した姿が印象に残りました。
あえて言えば、他の演者が台詞を言っている間の演技がそれほど細やかでないところが物足りなく感じました。

そして清宮さん
一幕の台詞読みでは「ジュリエットにはちょっと向いてないかも?」と思ったのですが、それは杞憂でした。
普段はショートカットで元気、ボーイッシュな魅力の清宮さん。しかし、ふわふわドレスを身にまといロングヘアにした彼女はまさに夢見る乙女。力みもうまい具合に抜けていていい感じでした。ただやはり発声や間がワンペースなのでその辺りが今後の課題かと思います。
私の隣の席に座った方が「ひなちま(樋口日奈)に似てますね」と仰ってましたが、言われてみれば確かに!ロングにした清宮さんのニコニコ笑顔はひなちまに通じる癒しパワーがありました。ちま推しの皆さん、この子は要注目ですよ。

金川さんは二幕も頑張りました。
全力で恥ずかしがらずにやり切る。これを貫いている姿に清々しさを覚えます。
ドタバタ感はぜんぶ役の重要な要素のひとつですので、彼女は結果的にこれをうまく出せていると思います。
この不器用な一生懸命さをロミオやジュリエットでもプラスに変えていけるか。そこがこれからの金川さんの腕の見せ所ではないでしょうか。
無事に二幕も終了し、アフターライブ。ここでは2曲が披露されました。
毎日同じ曲ではないようなので、バスラで披露した曲と合わせて4期生のレパートリーは着実に増えていますね。3期の時と同様、単独ライブ開催の期待が高まります。


実は私自身3期生プリンシパルは観ておらず、2014年6月15日の『16人のプリンシパル trois』千秋楽以来、実に4年10ヶ月ぶりのプリンシパルでした。
(ちなみに「trois」の千秋楽は休業直前の生ちゃんを送り出す壮行会のような、メンバーたちの温かな空気が素晴らしく「やっぱ乃木坂だな!」と思わせる公演でした)

あの頃とメンバーは変わっても、シナリオのないガチ感とメンバーの必死な姿は変わりません。

乃木坂伝統の試練、プリンシパルは健在。そう感じられる公演でした。


続きます。

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