ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

タグ:中元日芽香

びーむ色調補正3
2022年3月24日、「フライパン曲げてたあの娘」こと北野日奈子のラストステージ。

彼女の卒業発表の際の記事はこちら。
 

全曲センター、でもワンマンショーじゃない


セットリストはこちらです。

Overture
01. 気づいたら片想い
02. あの日 僕は咄嗟に嘘をついた
03. ハウス!
04. ロマンスのスタート

<アンダー曲コーナー>
05. ここにいる理由
06. 嫉妬の権利
07. 別れ際、もっと好きになる
08. 不等号
09. 風船は生きている
10. ブランコ
11. アンダー

<ユニットコーナー>
12. 君に贈る花がない
13. ゴルゴンゾーラ(センター:吉田綾乃クリスティー)
14. 大人への近道(センター:北野日奈子、林瑠奈)
15. 隙間
16. ゆっくりと咲く花

17. バレッタ
18. Route 246
19. ガールズルール
20. 裸足でSummer

21. 僕だけの光
22. 日常

EN1. 忘れないといいな
EN2. 君は僕と会わない方がよかったのかな
EN3. 乃木坂の詩

基本、全曲センター。

それなのに全然「自分が自分が」という感じがしませんでした。

同じ時間を歩いてきたここにはいない仲間たち。
この日一緒にステージに立ったアンダーメンバーたち。
その両方に対するきいちゃんの愛が溢れるライブでした。

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以下に印象に残ったシーンを列挙します。(主語目的語が省略されている場合はすべて北野日奈子です)

まずこの日のビジュアル仕上がってるメンは林瑠奈佐藤楓もかなり目を引きました。
そして常に余裕を感じさせる阪口珠美のパフォーマンス。
バリエーションが豊富になった佐藤璃果の表情も良かった。

開演前の影ナレの時点で「泣くな林!」と声をかけてあげたくなりました笑

途中のMCで「意味合いがある曲を歌いたくて」と本人が語った通り、ひとつひとつの選曲に意味が込められたかなりグッとくるセトリ。

初選抜の『気づいたら片想い』。
アンダラ2ndシーズン『あの日 僕は咄嗟に嘘をついた』。
『咄嗟』のイントロで力んでいる表情があの頃の拙かったきいちゃんを思い起こさせます。

自身初のアンダラ『ここにいる理由』。
2期生全員アンダー『嫉妬の権利』。この曲では吉田綾乃クリスティー金川紗耶松尾美佑のスタイリッシュさが際立っていました。

特に金川紗耶の、このアンダー曲コーナー衣装での足の長さたるや。

『別れ際、もっと好きになる』。
選抜落ち即アンダーセンターとなった堀未央奈への複雑な感情。

『不等号』。
その堀ちゃんとWセンターでアンダーでの武道館という目標も達成したのに、それでも選抜に入れなかった中元日芽香の無念。

『風船は生きている』渡辺みり愛!『ブランコ』寺田蘭世!
同期ふたりの、長くアンダラを支え続けたふたりの代表曲。

そして様々な思いがこみ上げる『アンダー』をフルコーラスで。
Aフレで感極まったきいちゃんですが、ラストでは「やり切った」と言わんばかりの笑顔を見せます。

MCで和田まあやが語った「きいちゃんって努力・感謝・笑顔を全部持ってるな」という言葉。

サンクエトワール最後のひとりとなったきいちゃん。
『君に贈る花がない』は阪口珠美佐藤楓金川紗耶佐藤璃果と共に披露。
なんか「いい5人だな」と思いました。

『ゴルゴンゾーラ』では吉田綾乃クリスティーがセンター。半泣きの向井葉月

『大人への近道』。
Aフレを託された林瑠奈のボーカルの安定感、そして美しさ!

『隙間』!『ゆっくりと咲く花』!

2期についての「他の人がスッと通れる道をどうしてもスッと通れない人たち」というコメントも印象的でした。

そして『バレッタ』。

最近の卒コンでたびたび見られる「呪縛を解く」。
既に卒業したメンバーの強烈な印象がついている楽曲を、その日卒業するメンバーが歌ってみせることにより「これからも歌い継いでいってもらいたい」という願いを残すもの。

この日、きいちゃんも呪縛を解いてみせました。

個人的にはアンダラ3rdシーズンでこの曲を彼女がセンターで歌った時のことを凄く憶えています。
大間奏の花道を前に出てくる時に「にへへへへ~っ」て笑ったんですよ。懐かしい。
7年経ったこの日も相変わらずヘラヘラしてました笑

『Route 246』は現在のアンダーダンスメンの見せ場ということかな?

『ガールズルール』で「がおー」。

悲願の選抜復帰を果たした『裸足でSummer』。

「ステージの上でなかなか笑顔になれなかった頃」。
アンダラ九州シリーズをそう表現してから流れたのは、当時本編ラストで披露されていた『僕だけの光』ピアノバージョン。

北野日奈子のラストラン、『日常』。
イントロで既に目がバキバキになるきいちゃん。
「もうこれで見納めか」というこちらの感傷など委細構わずなぎ倒すような、圧巻のパフォーマンス。
乱れた髪の佐藤楓の美しさ。

アンコールは卒業セレモニー。

挨拶、そして『忘れないといいな』。
すごくいい曲。でもだいぶ『Swallowtail Butterfly』に似てますね笑

そしてなんとここで『君は僕と会わない方が良かったのかな』!

「大切な友達」中元日芽香の代表曲。
アンダラ3rdシーズンのブルーシアター。2017年東京ドーム。武蔵野の森。
いつものようにピンク一色に染め上げられる観客席。
久保史緒里が号泣していたに違いありません。

ラストは『乃木坂の詩』。

Wアンコールでもう一度登場したきいちゃんは最後にこう叫びました。

 どうか乃木坂46のことを愛し続けてください!


続きます。

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タオル補正
2022年1月31日、公式ブログで北野日奈子さんが卒業を発表しました。

彼女がそのブログでポジションについて書いていたのがとても印象に残りました。

ずっと自分のポジションに翻弄され、だからこそ最後までポジションにこだわっていた彼女。

その歩みを振り返ります。

乃木坂の歴史でたったふたり


ボーダーメン。

乃木坂において、選抜とアンダーのボーダーライン上にいるメンバーを指して使われる言葉です。

私もこのブログ内で便宜上使うことがありますが、本当はこの言葉が好きではありません。

どこか揶揄する響きがあること、そして自分の推しである井上小百合もそう呼ばれていたことがその理由です。(もちろん私が使う時は揶揄する気持ちは一切ありません)

実際には選抜固定メンなのに相対的に握手人気が低いためにそう呼ばれたり(さゆがそのタイプでした)、ずっとアンダーでも選抜発表のたびにファンの間で俎上に載せられるメンバーをこう呼んだりと色々なパターンがあります。

でも個人的には本当の意味でボーダーメンと呼べるのは、乃木坂の歴史でたったふたり。

中元日芽香と北野日奈子だけだと思っています。

初期から選抜硬直化が顕著だった乃木坂。それがさらにガッチガチになったのが11thシングルから12thシングルにかけての期間でした。

いわゆる「お試し選抜」が10thまでで全員完了。超選抜に対するアンチテーゼだったアンダーライブからもその立役者である伊藤万理華と齋藤飛鳥が11thで、井上小百合は12thで選抜復帰し以降は選抜固定メンに。同時期には生駒里奈と松井玲奈の交換留学も解除されました。

これをもって初期乃木坂=1期生と2期生の世界はほぼ完成を見ます。

私は以前に『羽根の記憶』の楽曲考察でこれとほぼ同じことを書いていました。

 こと「1期生」というくくりでは全員のビジュアルがひと通り洗練され完成の域に達したのはこの頃

 乃木坂を乃木坂たらしめたのは間違いなく1期生たちで
 そんな彼女たちの作り上げた世界の完成形こそ、この頃から翌2016年6月にまいまいが卒業するまでの1年にも満たない期間



当時の選抜メンバーを並べるとそれが良くわかります。

白石麻衣、橋本奈々未、松村沙友理
生駒里奈、生田絵梨花、星野みなみ
西野七瀬、桜井玲香、若月佑美
衛藤美彩、高山一実、秋元真夏
伊藤万理華、井上小百合
齋藤飛鳥、堀未央奈
深川麻衣

ここまでで既に17人。

当時の乃木坂は選抜が16~18人で構成されていたことを思えば、これは選抜に全く空きがないに等しい状態でした。

この絶望的ともいえる状況下で「どうすれば選抜に入れるんだろう」と悩み迷い苦しんだアンダーメンバーたち。

そしてこの17人に最も肉薄したのがひめたんときいちゃんでした。

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ここでいったん話を戻し、彼女の経歴をざっと振り返りましょう。

2013年3月、2期生として乃木坂46に加入。5月に『16人のプリンシパル deux』と『乃木坂って、どこ?』でお披露目。

堀未央奈に続く2期生のNo.2として8thシングル『気づいたら片想い』で初選抜。
もちろん単独抜擢センターだった堀ちゃんからはとても離れた2番手ではありました。

そしてその8th期間中に彼女は打ちのめされます。

加速度的に洗練の度合いを高めていた当時の1期生たちの中で、メイクもダンスも素人感満載だった彼女は(堀ちゃんもですが)浮いていました。
正直、全然ついていけていなかった印象です。歌番組で表情を作れずにこわばった顔で踊る姿を強烈に憶えています。

当然のように続く9thで彼女は選抜から外れました。
2期生抜擢第3弾もなし。「自分がダメだったから続かなかったんだ」当時そう思ったと後にきいちゃんは語っています。

しかし彼女がアンダーに合流した9thシングルは伊藤万理華率いるアンダーライブ・ファーストシーズンの時期でした。
さらに伝説のアンダラ2ndの激動の日々もくぐり抜け、アンダラ黎明期の熱気を体感したきいちゃんは大きく成長します。

個人的には3rdシーズンを観に行った時に、以前はとにかく「踊れない」印象だった彼女が笑顔で楽しそうにダンスする姿に感心したことを憶えています。

その後「アンダーのキャプテン」永島聖羅の卒コンでは「らりんさん、卒業許しません!」と叫んだり、初期アンダラの妹キャラとしてファンからもメンバーからも愛されました。

そしてついに扉は開きます。
待望の選抜復帰は15th『裸足でSummer』。そこから17th『インフルエンサー』まで3作連続選抜入りを果たしました。

しかし18th『逃げ水』でアンダーへ。19thでは選抜復帰するも20thは活動休止。21stのアンダー曲『三角の空き地』から限定的に活動を再開。

そして22ndアンダー曲『日常』ではセンターを務め、これが彼女の代表作となります。

23rdで選抜復帰するとここから25thまで3作連続で選抜入り。
しかし26th、27thはまたアンダーに。28thは選抜入り。

彼女の歩みを列挙すると下のようになります。

 8th 選抜、9th アンダー、10th アンダー、11th アンダー、
 12th アンダー、13th アンダー、14th アンダー、
 15th 選抜、16th 選抜、17th 選抜、
 18th アンダー(Wセンター)、19th 選抜、20th 活動休止、
 21st アンダー、22nd アンダー(センター)、23rd 選抜、
 24th 選抜、25th 選抜、26th アンダー、27th アンダー、28th 選抜、
 29th 卒業

20枚のシングル表題曲に参加し、選抜9回、アンダー11回。そして活動休止1回。

彼女自身が述べた通り「選抜アンダーと繰り返し、自分のポジションと向き合ってきた9年間」でした。

15thシングル『裸足でSummer』。盟友ひめたんと共に選抜復帰。堀ちゃんを加えた3人での「サンダル脱ぎ捨て隊」はフレッシュな印象を残します。
しかしそこで選抜から外れたのは伊藤万理華と井上小百合というアンダラの立役者ふたりでした。
握手会の完売実績だけを見れば生駒里奈や星野みなみ、松村沙友理や高山一実も大差はなかった。それでも落とされたのは「さゆまり」のふたり。

この事実にアンダーメンバーのファンは突きつけられます。

選抜聖域メンの牙城は決して崩せない。
所詮はアンダー同士での潰し合いだ。

別にそのせいだとは言いませんが、中元日芽香は17thシングルで活動を休止します。
きいちゃんも18thシングル『逃げ水』で組まれた「新人抜擢センターをその時点の最強メンバー支える布陣」からは漏れます。

そのふたりがWセンターとして歌った18thシングルアンダー曲が『アンダー』。

当時、人はこんなにも無神経になれるのかと怒りを覚えました。秋元康に対し。運営に対し。

そこで歌われたのはアンダーメンバーはスポットライトが当たらなくてもステージを支える存在であると、そして「まだ咲いていない花」であるというあまりにも雑な慰めの言葉でした。

そもそも劇場を持たない乃木坂のアンダーに対し「ステージを支えてる」という言葉を用いること自体、彼女たちの状況に一切関心のないことが透けて見えます。

アンダーメンバーの心を破壊したと言われ、当時「魔曲」とまで呼ばれたこの曲。

これを最後に中元日芽香は卒業します。

そしてひめたんにとって最後のアンダラとなった九州シリーズ。

しかしWセンターのふたりが共に体調不良でどちらかが欠場という状態が続きます。必死にそれを支えた樋口日奈をはじめとするメンバーたち。
そしてふたりが揃った福岡公演最終日。

ついにWセンターで披露した『アンダー』。
イントロで抱き合うふたりのシルエット。
ラスサビでひめたんの頬をつたった涙。

あまりにも残酷で
悲しいほどに美しい
忘れられない名シーンです。


続きます。


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圧倒的逸材の苦悩


最後のポイントはアンダラ初登場となる久保ちゃんでした。

他の3期生たちは20th、21stシングルのアンダラに参加してステージを経験していました。
つまり、今回彼女だけが曲と振り付けをいちから覚えなければならなかったのです。

彼女は3期生の中でも早くから頭角を現しました。
舞台『3人のプリンシパル』では最多の第2幕選出回数(15回中11回)。
『Seventeen』で3期生初の専属モデル。
地元宮城の銘菓「萩の月」の菓匠三全のCM起用。
そして乃木坂の20thシングル『シンクロニシティ』では初選抜初福神。

圧倒的な歌唱力と高い演技力、そして舞台度胸。
乃木坂感溢れる儚げなビジュアル。それとは裏腹の高いトークスキル。
そして誰にも負けない乃木坂愛。

どこからどう見ても逸材。
あの「怪物」生田絵梨花の後継者に推す声が上がるほどのポテンシャル。

まさに、乃木坂の未来。

このまま選抜、いや福神に定着し、いずれはセンターを張る人材。
私個人もそう思っていました。

しかし、持っているもののあまりの大きさと、そして強すぎる乃木坂への愛情が生来ネガティブ思考である彼女を苦しめることになります。

体調を崩し、活動休止。

21stシングルと夏の間の活動をほぼすべて不参加だった彼女は、22ndシングルで選抜に選ばれることはありませんでした。


私は正直心配でした。

3期単独ライブや2017年7月神宮での期別ライブで彼女が見せた溢れんばかりのキラキラ感。

あれは失われてしまったのではないか。

そんな恐怖に近い予感がありました。
事実、ライブ開始から数曲の間は彼女の姿を探してもなかなか見つけられませんでした。

でもすべてが杞憂でした。

『私のために 誰かのために』が流れ始め。

久保史緒里は、あのキラキラ感をまき散らしていました。


お帰り。

そう語りかけるような笑顔で歌うかりんちゃんとずんな。

ろってぃー、ちはる、じょーさん。アンダラのいわゆる歌うまメンが今年相次いで卒業する中、現在のアンダラを歌で支えているふたりです。

ふたりと久保ちゃんが微笑みあいながら織りなすハーモニー。

2期生のふたりが後輩の復活を温かく祝福する光景はとても胸に迫るものでした。


おそらく、活動休止さえなければ、彼女がアンダラに参加することはなかったでしょう。

しかし彼女にとってアンダラは約束の場所でもあったのです。


「久保ちゃんがたまに、ひめたんに見えました」


彼女が乃木坂を好きになったきっかけは『何度目の青空か?』。
そう、伝説のアンダラ2ndシーズンの時のシングルです。ここでは多くは語りませんが、いわくつきのあの曲です。

そして初めて乃木坂をTVで観たのが2014年大晦日のCDTV年越しライブ。その時披露されたのがこの『何度目の青空か?』でした。深夜であるため出演できなかった生ちゃんに替わりセンターを務めたのは、2ndシーズンの極限の日々の中、毎日センターとしてこの曲を歌い続けた井上小百合でした。

さらに初めて生で乃木坂を観たのもアンダラでした。中元日芽香が座長として乗り込んだ2016年のアンダラ東北シリーズ。集客面で大苦戦しアンダーメンバーが大きな挫折を味わった公演でしたが、その観客席で感動に身を震わせていたひとりの少女。

それが久保ちゃんでした。

この時の衝撃で彼女は乃木坂入りを熱望するようになります。

2016年9月、3期生オーディションに合格しその夢をかなえた久保ちゃん。

2017年5月、3期生ライブが開催された際に、彼女はあの曲のセンターを任されます。

『何度目の青空か?』。

まさに運命の子。


運命のいたずらが彼女の復活の舞台にアンダラを選びました。

まして座長は2017年アンダラ九州シリーズ、ひめたんの最後を隣で見送ったきいちゃん。

現実は時に、なんてできすぎたシナリオを描くのでしょう。


初日のステージを観た井上小百合はこう言っています。

「久保ちゃんがたまに、ひめたんに見えました」

アンダーセンターを最も多く務めた人。
アンダーの苦悩と輝きの両面を残酷なまでにその身に纏ってしまった人。
そして久保ちゃんに「絶対乃木坂に入る」という決心のきっかけを与えてくれた人。

2017年11月の東京ドーム、最後の『きっかけ』で花道を歩き出したひめたんの手を握り、泣きじゃくっていた久保ちゃんの姿が忘れられません。

ひめたんの代表曲『君は僕と会わないほうがよかったのかな』で場内がピンク一色に染まる中、花道を歩いてきた久保ちゃんの姿は本当にひめたんのようで。

胸が締め付けられました。


デスティニー・チャイルド久保史緒里、堂々の帰還。

彼女は今も、乃木坂の未来です。

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変わりゆくもの、受け継がれるもの


アンダラは変わりました。

初期アンダラのヒリヒリするような緊張感はもうありません。

でもあの頃と同じように魂をたぎらせる、きいちゃんのようなメンバーがいます。
アンダラの成長を誇りに思い、後輩に引き継いでいく川後Pをはじめとする先輩たちも。

そして乃木坂愛に溢れる3期生たちは、きっとアンダラの歴史を、その素晴らしさを受け継ぎ、4期生にも伝えてくれるでしょう。


2019年1月時点で、1期生はとうとう15人にまで減りました。

ななみん卒コン、そしてその翌日から3期生がライブに参加し新体制となった2017年2月と同じように、なーちゃんの卒コンと4期生の加入により、また乃木坂は新しい段階に入ります。

でも大丈夫。

この日のアンダラを観て確信したことがひとつあります。

乃木坂は変わり続ける。

でも、乃木坂であり続ける。


長々と書いてしまったアンダラ東京公演レポもこれでようやく終わりです。

お付き合いいただきありがとうございました。


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