ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

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タオル補正

最年少と元最年少


前の記事で書いたように、今回の1期生全員集合は個人的にこれしかなかったと思っています。

ただ、結果として1期生を除けば今回も選抜固定メンだけの構成になりました。

その壁を破ったのはただひとり、岩本蓮加。

どんどんビジュアルの完成度が高くなる彼女。アンダーセンターも経験して堂々の選抜入り。個人的には「アンダラ座長は次のセンターを隣で支えてから選抜入り」というさゆまりが築いた様式美を引き継いでほしかった気がしますが笑

仲良しの筒井あやめと同時に選抜入りできなかったのは少し残念ですね。

そのあやめん。
前作から選抜落ちした唯一のメンバーとなりました。そして4期生からの新たな選抜入りはなし。

これは正直やむを得ないかと思います。

白石麻衣の旅立ちに4期生も加わってほしいところではありますが、いかんせん既に人数が多すぎる。
遠藤さくらだけ残すとまたアンチが湧くでしょうし賀喜遥香はとにかくワークレートが凄い。とはいえあやめんまで残すと3人が連続選抜で他の4期生と差がつきすぎ、モチベーションや関係性に懸念が生じます。

そしてなんといっても彼女はまだ中学生なのですから、いったんここで選抜から外して足元を固める判断は正しいでしょう。ただ、あやめんにはこのあたりの要素を誰かが上手に説明してあげてほしいところです。だって、まだ中学生ですから。

さらに4期生について。
彼女たちのアンダー合流はこのタイミングでやるべきです。
2年前にも3期生が『シンクロニシティ』から合流したのでそれと同じですね。

現在の乃木坂が急速な移行期にあるのは間違いありません。4期生はこれまで順調な歩みを見せてきましたが、悠長な育成をしている暇がないという状況に変わりはありません。
キラーコンテンツのひとつにまで成長したアンダラを、一刻も早くそしてひとりでも多くの4期生に経験させてほしい。その神髄を知るメンバーがいるうちに。まあ本当言うとこれは和田まあやなのでしょうが…

今回アンダラが行なわれる場合の座長は誰か、そしてまあや不在でリーダーを務めるのは誰なのか。注目したいと思います。

そして既に3期4期ライブで3期生との距離は縮めているでしょうから、今度は2期生とも親しくなって甘えられるようになってほしいですね。

チームに安定感をもたらすもの


すごく勝手な心配なんですが、実を言うとちょっと2期生の孤立が気になっています。

メディアでの度重なる「不遇」発言(『乃木中』のように「今は笑って話せる」で通せば良かったのですが…)で少し暗いイメージがついています。

前作の選抜発表時の考察で私はこう書きました。

「堀未央奈は岐路に立たされている。4期加入は彼女にとって『自分が』『2期が』ではなく、『グループが』という主語で話せるようになる良い機会」

しかし残念ながらむしろ彼女は前作以降さらに2期生ラブの傾向を強めているように思います。

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そして2019年11月の3期4期ライブ、25thでの1期大集合ときてこのタイミングでの2期単独ライブ。
これは彼女たちにとっての悲願ですし佐々木琴子卒業の花道としての粋な計らいなのでしょうが、流れだけ見るとなんとなく分断を感じてしまいます。

だからこそアンダーライブで同じステージを作り上げること。そして後輩に立派な背中と7年間の重みをを見せてあげること。それが2期生にも3期4期にとっても重要なのではないでしょうか。

かつて94年組が果たしていた「中盤の底」の役割。
それを今果たせるのは、困難な時期を経験してきたからこその強さを持っている彼女たち2期生だと思います。


井上小百合の卒業によりとうとう「組」ではなくなってしまう94年組(それは92年組も同じですが)。かつて最大勢力だった彼女たちについての考察はまたどこかで別の記事にまとめたいと思います。

続きます。

タオル補正
やっぱそうだよな。
TVからを観ながら思ったことはそれでした。

25thシングル選抜発表。
乃木坂をここまで大きくした大大大功労者、白石麻衣の卒業センター。
そこで選択されたのは1期生大集合の全員福神という荒業でした。

1期生推し以外の「期推し」の方はきっと納得いかないのでしょう。2期推しの方は複雑な気持ちだろうし3期4期推しの方は不満でしょう。
私も推しの井上小百合があれほど届かず苦しんだ福神がこういう使われ方をすると、もう福神の価値も何もあったもんじゃねーなとは思いますが笑

やっぱりこれでよかったんだと思います。

だってもう、これが最後のチャンスだから。

よくぞここまでたどり着いた


『Against』2年前、生駒里奈卒業に当たって作られた1期生曲です。

その時の参加メンバーが20名。
そこから既に9名が卒業しました。

生駒里奈、衛藤美彩、川後陽菜、斎藤ちはる、斉藤優里、桜井玲香、西野七瀬、能條愛未、若月佑美

そして井上小百合、白石麻衣のふたりが今回の25枚目シングルをもって卒業します。

残る1期生はわずか9名。

秋元真夏、生田絵梨花、齋藤飛鳥、高山一実、中田花奈、樋口日奈、星野みなみ、松村沙友理、和田まあや

この全員が集まっても、悲しいかなもう1期生集合という感じはなくなります。

仕方ありません。
既に最大勢力は12人の3期生。このシングルが終われば11人の4期生にも数の上では抜かれます。

ましてや象徴であるまいやんの卒業。ひとつの時代の終わりであることは否定のしようがありません。だからこそここで。

白石麻衣を最高の形で送り出す。それはもちろんあるでしょう。

でもそれだけじゃなくて、きっと卒業生も含めた1期生全員に対しての労いの意味がこもった全員選抜、全員福神なのではないでしょうか。こういう言い方をするとまた「肩たたき」だのと言い出す人がいますがそういうことでなく。

本当は世代交代とか育成とかそういうことを言うならば、まいやんの最後の背中は次代を担うメンバーたちに見せたいのはやまやまでしょう。特に遠藤賀喜筒井を除く4期生はまだあまり彼女と一緒に仕事をしていないでしょうし。

でも、そんな理屈よりも1期生たちへの想いを優先した。

だって、乃木坂を作ってきたのは彼女たちだから。
乃木坂がどこにあるのかも、どんな未来が待つのも分からずに上京して、西葛西で夢を語っていた彼女たちがこんなところまでたどり着いた。

本当に、よくここまで頑張った。

彼女たちの8年半に向けた運営からの感謝がこの布陣ではないでしょうか。

ストレートに名前を出して申し訳ないですが、ここで和田まあやを選抜に入れられる乃木坂って、いいよな。素直にそう思います。

今回不満に思っておられるファンの方もいつか自分の推しが卒業する時に気づきます。

時に情に流される判断をする、そんな運営でよかったと。

それはひとつの大きな輪になった


これはきっと旅立ちのフィエスタ。

1期生11人が小さな輪を作り、やがてそれを見守っていた後輩たち-3列目の11人だけではなく、すべての-が加わりひとつの大きな輪になる。
選抜メンバーが並ぶ画面を観てそんなイメージが浮かびました。

卒業生は少し離れた崖の上で酒を飲みながら笑顔でそれを見ている感じです笑

3列目の面々の豪華さたるや。まだまだ、乃木坂全然いけるぜって気にさせられる頼もしい後輩たちです。

そして3列目センターは大園桃子。またゴリ押しだなんだと言われているようです。

でも、飛鳥ちゃんも言ってました。

「ぞのさんに期待してしまっている自分がいます」

私も同感です。

ジョゼ・モウリーニョ的に言えば彼女は紛れもなくスペシャル・ワン。他の誰でもない大園桃子だけが発することのできる何かを持っています。

その輝きを見せてほしい。

『ハルジオンが咲く頃』MVでの卒業する深川麻衣から堀未央奈への何の脈絡もない継承の演出みたいのはいらない。そんなことしなくてもまいやんとぞのっちにはちゃんと物語があります。

だから、3列目の真ん中で輝くばかりの笑顔で大好きな麻衣姐さんを見送ってほしいです。


タオル補正
前の記事では主に白石麻衣の功績について振り返りましたが、今回は思い出をつらつらと綴ります。

気さくで料理上手で男前なのにビビりのヘタレ


初登場した時の彼女はリア充感漂うギャルっぽいメイクで気が強そう。宣材写真もそんな感じ(これは西野七瀬や斉藤優里もそうでした)。

ドルオタが嫌う…というか苦手とするタイプ。多くの人がそう思ったはず。

しかしそんな予想はすぐに覆されます。圧倒的な美貌の前にドルオタの嗜好など無力笑というのももちろんあります。ですがそれだけではなく、早いタイミングから見えてきた彼女の人柄がとても好感が持てるものだったことが大きかったと思います。

気さくなお笑い好き。
初期でいえば『乃木坂って、どこ?』でドランクドラゴンのコント「ハチャメチャ拳法」を楽しげにコピーしたり、後には46時間TVでのひょっこりはん、最近では『乃木坂工事中』でのシソンヌとのコントなどが記憶に新しいですね。

手際のよい料理上手。
『乃木どこ』で日村さんの好きな料理を振舞うという企画、何をしていいかわからず呆然と佇む松村沙友理(これがまた可愛い)を尻目に時短テクを使いながらテキパキと料理を作り上げる姿が印象的でした。
余談ですがこの時酒飲みながら録画を観ていて、ふたりが「頑張るぞ」とピースする姿に「何だこの可愛さ」と思わず声が出たのを憶えています。

男前。
バカップルの相方・まっつんとの出会いはオーディションの帰り。地下鉄の駅でしつこいナンパに困っていた彼女を救出したのがきっかけだったとか。それ以来まっつんはまいやんにデレデレ。かつて番組で「まいやんと結婚したい~」と言っていたのが懐かしいですね。

なのにビビりのヘタレ。
罰ゲームで電気ナマズを泣いて拒否して例によって高山一実が漢を見せたり。『乃木どこ』の日村さん買い物企画でゲームに負けて買ってもらえず黒い涙を流したり。

初期のまいやんはよく泣いている印象がありました。

『ガルル』で初めてセンターに選ばれた時も「できない~」とまた黒い涙。

本当は前に立ちたいわけではなかったのでしょう。

センター回数は単独2回、Wで2回。
西野七瀬の単独4回、Wで3回の計7回に比べるといかにも少ない。

それが学生時代にあったトラブルに起因するものかはわかりません。ただそのビジュアルで嫌でも目立ってしまうまいやんにとって、皆の前に出て背中からの視線を感じるというのは決して心地よいものではなかったのではないでしょうか。

そのためか、なーちゃんというもうひとりのエースが台頭してきた時に彼女はむしろホッとしているように見えました。

なーちゃんとの関係性はWエース。ふたりでのWセンターも2度ありました。
でもライバルというイメージはほとんどなく、それぞれが相手を尊重し、変な表現ですが相互不可侵な感じがありました。
なーちゃんがまいやんにくっつきに行けないと泣いていたのなんてもう大大大昔の話になってしまいましたね…


そういう意味で彼女と並び立つ存在だったのはやはり御三家のふたり。とりわけ橋本奈々未でした。

どうしても忘れられない場面があります。

2017年2月、5thバスラでの『偶然を言い訳にして』。この日を最後に卒業するななみんとまいやんがふたりでバックステージからセンターステージへと歩を進めます。

後ろ歩きで前を歩くななみん。顔を見合わせ笑顔になるふたり。
しかし次の瞬間、まいやんが突然泣き崩れます。

崩れ落ちそうな彼女に寄り添い、肩を組んで歩きだすななみん。
グループの最初期から、こうして支えあいながら乃木坂を牽引してきたんだろうな。そんなことを観る者に思わせるシーンでした。

まったく違うタイプなのに並び立っていたふたり。孤独兄弟。

奇跡のようなふたり。

いつからか 母のように


いつからか、いつもニコニコ慈愛に満ちた笑顔でメンバーを見守る母親のような姿が目立つようになります。

恐らくそれは深川麻衣の卒業がきっかけだったのでしょう。
彼女の果たしていた「聖母」という役割が失われることを誰よりも重く受け止め、少しでもその役割を果たそうと考えたのではないかと思います。

それに続いて齋藤飛鳥や川後陽菜など拗らせた系の年少メンに慕われていたななみんも卒業を発表。

年長者として、これからは自分がメンバーたちのことを見守らなければならない。
そう決意したとしても不思議はありません。

同じ頃に3期生が加入しその傾向に拍車がかかります。
『逃げ水』では保護者役として大園桃子を暖かく包み込み、彼女の心を開きました。『乃木中』のバレンタイン企画でジングルが鳴るより早くダッシュでまいやんに抱きついたぞのっちの姿が思い出されます。

『パスポート』大ヒット以降はスポークスマンとしての役割も増え、外番組で各方面に気を遣った優等生的なコメントをする姿が多くなります。

いつも穏やかな笑顔で受け答えをする彼女の姿が時々なんだかとても窮屈そうに見えました。

だからこそ冠番組でノリノリで企画に参加したり、バックヤードでまっつんや生ちゃんとはしゃぐ姿が嬉しかったものです。


最後に卒業後のまいやんについて考えます。

卒業後も「基本このままのお仕事を続けていく」らしい彼女。
モデルをやってCMに出て、時々TVに出たり演技をしたりという「タレント」ですね。

彼女もみさ先輩同様に万能型ですが逆に器用貧乏な印象があるので、それが一番いいように思います(その美貌が際立ちすぎているのもそう感じる理由のひとつですが)。

今まで背負ってきた色々なものを一度下ろして、穏やかな気持ちで活動してくれたらと思います。

そして凄く個人的な意見ですけど、運営は彼女のこれまでの貢献に対するご褒美としてソロアルバムを1枚出させてあげてほしい。秋元康の詞ではなく、ソニーミュージックの総力を結集した優秀な作家群で。

彼女の最初の夢だった歌の世界で、ひとつ作品を残してほしいと思います。


8年半もの間、ずっと先頭を走り続けた白石麻衣さん。

あなたがいたから乃木坂は乃木坂になれました。

本当にお疲れさまでした。

タオル補正
じ~ん~ぐうぅぅぅぅぅ~
さ~わ~げぇぇぇぇぇ~っ!!!

もうこの叫びを、そしてその後に鳴り響く野郎どもの雄叫びを聞くことはないのかと思うと寂しい限りです。

2020年1月7日、スポーツ紙上で白石麻衣さんの卒業が発表されました。

乃木坂の「女神」「美の象徴」と称された彼女。卒業発表を受けて「坂道グループの象徴」という表現も見られました。

ずっと前から覚悟はしていたので衝撃はありませんが、来るべき時が来たという何とも言えない感覚です。

向かい風を切り裂いて


最初から最後まで彼女はトップランナーでした。

デビュー前のお見立て会の時点で既に一番人気。
デビュー曲から福神。24thシングル『夜明けまで強がらなくてもいい』まで全シングルでその座を守り続けたのは彼女ただひとりです。
初めてセンターを務めたのは6th『ガールズルール』。それ以降は23rd『Sing Out!』まですべてフロント。『夜明けまで』では4期生3人をフロントに配置した関係で6年2ヶ月ぶりにフロントから外れたことが話題になりました。

センター回数は24thまでの間に4回。ですが単独は『ガルル』『シンクロニシティ』だけで残る2曲『今、話したい誰かがいる』『インフルエンサー』はいずれも西野七瀬とのWセンターでした。

いち早く個人での活動を始めたのも彼女でした。

2013年1月に『うまズキッ!』で初のTVレギュラー、同年3月には初のファッション誌専属モデル、2014年12月に初の写真集『清純な大人』とそれぞれ「グループ初」の肩書を背負いながらチャレンジし、いずれも高い評価を得たことにより自身だけでなくグループの活躍の場を広げていきます。

そして2017年2月、2nd写真集『パスポート』でついに彼女の名は世間に轟きます。「21世紀に最も売れた写真集」ともいわれるこの作品、その驚異的な売り上げがワイドショー等で取り上げられ、それにあわせてグループの名前もメジャー化します。
その勢いはとどまるところを知らず、2018年にはCM女王の称号までも手にしました。

Get my way


ブレイクスルー。

思えば乃木坂がひとつ壁を乗り越えるとき、そこにはいつも彼女がいた気がします。

例えば初センターとなった『ガルル』。
1st~5thの「生生星路線」では高評価を得ながらも、売り上げという面では足踏み状態が続いていました。
そこでリリースされたのが『ガルル』。一気に売り上げを前作の約1.5倍にまで伸ばします。

当初「AKBの曲みたいで乃木坂らしくない」という批判を浴びましたが(正直私も当時そう思っていました)ライブのブチ上げ曲として完全に定着し、今ではこの曲を嫌いな乃木坂ファンはほとんどいないんじゃないでしょうか。

そして1st写真集。
「1万部売れればヒット」と言われる写真集業界で3万部を超える初週売上をたたき出します(その後も売れ続け現在までに10万部近い売れ行きだそうです)。

翌年2月の西野七瀬『普段着』も同様の好調な売り上げを見せ、ここから各メンバーが続々と写真集を出す流れとなります。実際にすべてのメンバーが2万部を超える累計売り上げを記録し「乃木坂の写真集は売れる」という評価は不動のものとなりました。

さらに2017年。
この年、乃木坂は一気に坂道を駆け上ります。ミリオン達成、ドーム、レコード大賞受賞。
その中心にはいつも彼女がいました。

初のミリオンにしてレコ大受賞曲の『インフルエンサー』ではなーちゃんとのWセンターを務めます。そして前述した通り『パスポート』の記録的ヒットは彼女だけでなくグループの知名度を飛躍的に上げ、間違いなくこの年の大爆発の要因のひとつとなりました。

そしてまいやんは乃木坂にとっての壁だけでなく、アイドル界の常識も壊してきました。

橋本奈々未、松村沙友理とともに「御三家」と称され絶大な人気を誇り「美人よりかわいい方が人気が出る」という定説をあっさりと覆してみせました。

そしてアイドルの寿命。かつては20歳を超えれば「BBA」呼ばわりされ25歳までいる方がおかしいぐらいだったそれを延ばした第一人者も彼女でしょう。

AKB48の篠田麻里子や小嶋陽菜といった先達も20代後半まで在籍しましたが、グループの活動からは完全に一歩引いた印象がありました。それに対しまいやんは卒業発表の瞬間までグループの先頭を走り続け、常にシングルのセンター候補であり続けました。

その姿は20代半ばを過ぎた他のアイドルたちに勇気を与えました。それだけでなく「若さに重きを置きすぎる」既存のアイドルファンの意識を変えたという点で彼女の功績は非常に大きいと言えます。


deux補正2
蒼井優の代表作といっても過言ではないこの作品。その鮮烈な印象が残る役を井上小百合はどう演じたのでしょうか。

成長するってこと


福岡での『リトル・ウィメン』の大千秋楽からわずか12日後というスケジュール。
そして卒業を発表した直後の主演舞台。
様々な要素が絡み合い、きっとプレッシャーも大きかったことでしょう。

そんな中でさゆが見せたのは2時間の舞台の間に変化していく紀美子の「成長する姿」でした。

本人もインタビューで言っていた通り、紀美子とさゆは似ています。

最初は本当に何もないただの女の子だった紀美子。親友に誘われたというただそれだけの理由でフラを始めます。それがまどか先生のダンスを見て憧れを見つけて。早苗の思いを受け継いで、炭鉱が傾いていくのを肌で感じて大切な人たちを守りたいと願って。
どんどん色んなものを背負い続けて普通なら身動きが取れなくなってしまうのに、彼女はそれを強さに変えていきました。

そこが似てるなあと。

名もなき若者だった井上小百合。役者を目指すもオーディションで「女優よりアイドル向きの顔」と言われて最初は渋々アイドルになりますが、そこで初めてのファンができます。やがて乃木坂で大切な場所と仲間を見つけて、色んな人の思いを受け取りながら強くなって、今こうしてひとりの女優として輝いている。
そんなこれまでの歩みが紀美子の成長にオーバーラップします。

そしてラストのダンスショー。
純白の衣装を着てステージの中央に進み出る紀美子。
ただの田舎娘だった彼女がスターになるその瞬間、そしてこの物語のすべてが昇華する瞬間に、それまでずっと「もっさい顔」をしていた井上小百合が輝くばかりの笑顔を見せます。

もちろん衣装やメイクの効果もあるでしょう。でも『リトル・ウィメン』で彩乃かなみさんに感じたのと同種の「華やかさの出し入れ」をしていると感じました。

立派な主演女優でした。


「こんなときにバカみたいに笑えるわけねえべ!」


今回の『フラガール』開幕直前。
さゆ推しの方ならご存じであろう、ある出来事がありました。

さゆが同情されるのが嫌いなことも、舞台上の自分を役ではなく「井上小百合」として見られることが好きじゃないのもわかっています。

でも、早苗との別れ、先生との別れ、そして「プロだったらどんな時でも笑うの!」のシーンを観ていたら…「さゆは今どんな気持ちでこれを演じているんだろう」と考えてしまって、どうしても涙が止められませんでした。

特に駅で先生を見送るシーンでのダンス、凄まじかったです。
さゆの身体から、指先から愛が溢れていて。

想いって、目に見えるんだ。
そう感じました。


以前は憑依型と称されることの多かったさゆの演技。しかしインタビューなどを見るとむしろ逆で、自分とその役柄の共通点を見出し「だから美美子は私!」「エルザは私!」「月野うさぎは私!」というアプローチをするそうです。

そのためでしょうか。全然違う役柄をすべて見事に演じ分けているのに、それでも役のどこかにいつも彼女の生き様が透けて見える。

本人が望むと望まざるとにかかわらず、井上小百合とはそういう役者なんだと思います。
そしてそれこそが彼女の演技の大きな魅力なのではないでしょうか。

だからこそ今回の状況の中で舞台に立つさゆの姿はあまりにも切なくて、危うくて、なのにとても逞しくて。

感動なんて言葉じゃとても伝えきれない、重たくて強いものが心に残りました。

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