ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

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タオル補正
前の記事で書いたように、スタートで出遅れながらもその後は右肩上がりにポジションを上げてきた早川聖来。

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いつもトゥーマッチ


舞台『CROSS ROAD』の2022年6月24日公演。

幕が上がる前から泣きじゃくっていた彼女。
オープニングの歌をどうしても歌うことができず、そのまま幕が下りて公演中止となったそうです。

そして千秋楽まで全て休演。

24日間31公演というハードスケジュールの舞台に加え、6月26日には『乃木坂スター誕生!』ライブ
本来は4月に開催予定だったこのライブがコロナの影響で延期され、ちょうど舞台とバッティングするという悪い巡り合わせもありました。

このライブは2年半に及んだ4期生冠番組の総決算ですから、せーらもどうしても出たかったのだと思います。

佳境に入った舞台。4期生にとって大きな区切りとなるライブのリハーサル。

そのふたつが重なったことによるオーバーヒート
私にはそうとしか見えませんでしたし、多くのファンもそう感じたのではないでしょうか。

そして7月10日には公式サイト上で彼女の休養が発表されます。

初期からどこか危うさのようなものはありました。
『乃木坂どこへ』で時間の都合で東京タワーに上れないと言われただけで泣いてしまった時に「ちょっと感情の起伏が激しいタイプだな」と思ったのを憶えています。

決定的だったのが2022年2月の46時間TV

電視台「せらずきっちん!」で料理中に電流を流されるという狂気の沙汰に遭います。
さらにその後の「乃木坂三者面談」ではホリケン(ネプチューン堀内健さん)の無茶ぶりの洗礼。「46時間働かなきゃいけないのに、もう脳味噌が回りません」と号泣。

この直後、2022年3月の『Actually…』リリース時点でのインタビューでも「根拠のない自信がずっとあって」「それが去年(2021年=初選抜の頃?)ぐらいからなくなっちゃった」。
そして「自分を否定することしかできなくなった」

ネガティブな言葉が並び、ファンは一層不安を募らせます。

残念ながらその不安が的中してしまいました。


シングルのたびに握手(ミーグリ)人気を上げてきた彼女ですが、改めて振り返るとその間ずっと印象に残る活躍を続けてきたことに気づきます。

前の記事で書いたプリンシパル。

2019年10月から2020年3月の『乃木坂どこへ』。
泣いて笑って感情を見せる彼女の姿は大人しいメンバーが多い4期生の中で目立っていました。

2020年6月から2021年4月の『ノギザカスキッツ』では大活躍。
ACT1ではさらば青春の光とスタッフさんが選ぶMVPに選出されています。

出たがり、欲しがり、サービス精神旺盛
脇役でも常に爪痕を残しにいくスタイルの彼女は乃木坂ファンの好みからすると「出しゃばり」と言われそうな気がしていたのですが、それ以上に自身のファンを掴みました。

同じ頃に4期曲『Out of the blue』では初となるセンター。

勢いそのままに続く27th『ごめんねFingers crossed』で初の選抜入り。
というかこれが初選抜だったのか、と思うぐらい既に彼女の活躍は目立っていました。
同作のMVでは高山一実、新内眞衣という乃木坂史上屈指の美脚メンと共に「美脚軍団」として登場というのも凄いですね。

2021年5月から2022年3月までの『乃木坂スター誕生!』および同『2』ではゲストとのコラボ要員としての起用が目立ちました。
ここまで冠番組で見せてきた彼女の器用さ、如才なさ、度胸が信頼されてのことでしょう。

ずっと、ずっと活躍してきました。

46時間TVでホリケンさんに泣かされた時に賀喜遥香が「頑張り屋さんだから、何でも期待に応えようとしちゃうんですよ」と語っていましたが、まさにこれが早川聖来なのだと思います。

勝手な想像ですが「できません」が言えなかったのではないでしょうか。
そしてその一因はスタート時点での握手人気で出遅れたことにあるのではないか、とも。

体育祭で帽子に穴を開けてツインテールの髪の毛を出していたというエピソードからすると間違いなくスクールカースト上位。

そんな自分が同期の中で人気下位というのは受け入れがたかったし、怖くもあったのではないでしょうか。

だからがむしゃらに頑張った。
人気が上がってからも、「落ちてしまう」恐怖がつきまとってアクセルから足を離せなくなっていた

明らかなオーバーペース。

でも、勝手な私はこうも思ってしまうのです。

美形で美脚でスクールカースト上位感があるのに、いつもトゥーマッチ。
だからこそ彼女は魅力的だった

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めぐりあい


活動休止から3ヶ月、2022年10月2日にラジオで電撃復帰。

しかし復帰後の彼女は「丸くなった」。もっとストレートに言えば「気が抜けた」ように見えました

彼女を「アイドル・早川聖来」たらしめていた何かは、失われていました。

グループアイドルにつきものである「序列」。
この先もそれに追いまくられる生活を続けることはできない。

活動休止中にそう思ったのではないでしょうか。

きっとどのメンバーもどこかのタイミングで「自分が走り続けられるペース」と「そのペースで立てるポジション」に折り合いをつけていくものなのでしょう。活動休止を機にそのペースを見出すこともあるかもしれません。

しかし早川聖来はそれを見つけられなかったあるいはそれを良しとしなかった

だからもう、辞めるしかない。
恐らく復帰の時点で既に卒業、そして引退まで考えていたように思います。

ただ生来の負けん気とファンへの想いが「体調を崩して舞台を欠場してそのまま辞めるなんてできない」と彼女を突き動かした。
だから齋藤飛鳥卒コンでわざわざ「久しぶりにまとまった曲数参加できる」と言った。

 体調不良に負けたんじゃない
 私は帰ってきたよ

自分を応援してくれたファンに、そう言って笑う姿を見せるため。


卒業間際のせーらが演出家とのあれこれで注目されてしまったのは残念です。

いちファンに過ぎない私には実際に何が起きていたのか分からないのでここから先は全部推測ですけれど。

そもそも個人的にはいわゆる「秋元人脈」といわれるものが(利権の匂いがするので)好きではありません。
そして乃木坂のライブは2012年から観てますけど、演出に感心したことは基本ないです。というか正直いつもすべってる。
たまに良いのがあるとそれはことごとくメンバー発信です。

件の演出家の暴言に関する噂もたびたび目にしていましたし。
まああれだけ早く辞任という形での幕引きに至ったのですから、メンバーに近い現場サイドでは以前から疑問の声が上がっていたのではないでしょうか。
もしそうなら「秋元人脈」ということでこれまで切るに切れなかった運営にも問題がありますね。

もちろんせーらの取った手段も社会人としては褒められたものではありません。
乃木坂の周囲に「叱ってくれる大人」がいなくなってしまわないか、という別の危惧もあります。(件の演出家がそうだったという意味ではありません、念のため)

でも「秋元人脈の演出家」「運営」「メンバー」の中で、一番弱い立場なのはメンバーですよね。ましてや彼女たちはまだ20歳そこそこの若さなのです。

せめて今回の出来事が今後のグループ運営の糧となってくれれば、と思います。

せーらは卒業セレモニーでこう語りました。

 アイドルって、愛を巡らせて、愛がまた帰ってくる、そういう場所

 乃木坂46が愛の出発点で終着点でもあることをこれからも祈っています


最後になりますが『スキッツ』での「刹那少女」、大好きでした。
あの3人がもう見れない、ということが実感できません。

そして、真ん中にあなたがいない『Out of the blue』もうまく想像できません。

でも、今はただ。

早川聖来さん、5年間お疲れさまでした。

どうか心穏やかに暮らしてください


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過去に当ブログに掲載した記事を再構成し加筆したもの。
総文字数84,000文字、加筆部分だけでも10,000文字以上のボリュームでブログをご覧になった方にも楽しんでいただけることと思います。

「今にして思うこと」は各記事の末尾に「追記」という形で新たに文章を加え、さらに書き下ろしとして4期生の初冠番組であった『乃木坂どこへ』を振り返っています。


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タオル補正
2023年6月16日、公式ブログで早川聖来さんが卒業と芸能界からの引退を発表しました。

つい3週間前の北川悠理に続き、4期生から立て続けの卒業。

正直予想していたとはいえ、やはりショックでした

まずは彼女の歩みを振り返りましょう。

スタートダッシュ不発


2018年8月19日、「坂道合同オーディション」に合格。
12月3日に初ステージとなる本武道館でのお見立て会。乃木坂への配属が発表されたのもこの直前でした。

切れ長の目をした美形。
でもこの手のビジュアルはドルオタには人気出ないだろうな。気も強そうだし。

これが私の第一印象でした。

そして4期生にとって最初の参加となった4thアルバム『今が思い出になるまで』握手会。

彼女は完売状況で同期の中で下から2番目と出遅れます。

2019年4月、その状態で臨んだ『3人のプリンシパル』。

しかしここでは逆に握手会完売状況で下位だった北川悠理と早川聖来が序盤から飛び出します。

最初期からエース格として扱われた遠藤さくらが1勝15敗という大惨敗を喫するのをしり目にせーらは開幕から怒涛の8連勝
その後「揺り戻し」というファン心理によりやや苦戦しますが最終的に11勝5敗。
これは賀喜遥香と並び最多の2幕出演回数でした。

私も当時のレポで「舞台上での立ち居振る舞いが身についているという感じでしょうか。立っている姿勢や台詞を言いながらの身体のラインなど、観られていることを十分に意識した姿が印象に残りました」と書いています。

全体的に「演技」というもの自体に苦労しているメンバーが多い中、少し抜けた存在でした。

このプリンシパルでの活躍、そして握手会でも「釣り師」として評判を集めた彼女。

ここからシングルを出すたびに完売速度を上げていきます。

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右肩上がり


23rd『Sing Out!』では完売状況は相対的に下位のままでしたが、同期の中位グループとの差はほとんどなくなっていました。
24th『夜明けまで強がらなくてもいい』では24/25完売。
25th『しあわせの保護色』では同じく25部を3次で完売。
30部フルのメンバーと同列で比べることはできないものの、これはなかなか優秀でした。

そしてコロナ禍で初めて発売された26th『僕は僕を好きになる』。

握手会がミーグリ(オンラインお話し会)に変わった最初のシングル。
とはいえ実際には『保護色』の握手会振替という形で一度ミーグリが開催されていました。

やはりコスパという面で多くのファンが「見」という判断をしたのでしょう、グループ全体としては惨憺たる完売状況。

しかし、ここでせーらは一気に躍進します。

いわゆる「忠誠心の高い」ファンが育っていたのでしょう。
握手会の時は4次や5次で当然のように完売していた先輩メンバーたちが最後まで完売させることができない中、彼女は見事に自身初の30部フル完売を達成したのです。

しかも5次完売。

これは梅澤美波、久保史緒里、与田祐希、遠藤さくら、賀喜遥香、田村真佑と並んでグループ最速タイでした。(山下美月はスケジュール調整が遅れたため完売も遅くなりました)

同シングル収録の4期曲『Out of the blue』では自身初となるセンター。

もちろん、この次の27thシングル『ごめんねFingers crossed』では選抜入り。

以降はぎりぎり2次完売(=最速)しないぐらい、つまりエース級に次ぐ完売速度を維持しました。

相当の強メンでないとフル完売が難しい(単価が高いため)アルバムの個別ミーグリでも完売。
ミーグリ人気では4期Wエースの遠藤さくら、賀喜遥香に次ぐ堂々の3番手の地位を確立します。

「スタートダッシュに失敗すると厳しい」が定説の乃木坂。
しかし彼女は自らの力で細い糸を手繰り寄せてポジションを上げ続けたのです

そしてプリンシパルでその片鱗を見せた演技力を武器に、4期生の中では舞台メンとしての活躍も目立ちました。

2019年10月にはミュージカル『美少女戦士セーラームーン2019』。
2020年4月『スマホを落としただけなのに』。2021年6月の再演にも出演。
そして2022年6月『CROSS ROAD』ではシアタークリエにおける東宝ミュージカルにキャスティング。

先輩たちと同じように、舞台女優としてのステップを順調に踏んでいるように見えました。

しかしその『CROSS ROAD』。

6月24日公演の幕が上がった後に急遽中止。

糸はプツリと切れました


続きます。


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総文字数84,000文字、加筆部分だけでも10,000文字以上のボリュームでブログをご覧になった方にも楽しんでいただけることと思います。

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タオル補正
2023年5月22日、公式ブログで北川悠理さんが卒業を発表しました。

ついに4期生からも卒業者が出てしまいました。

まずは彼女の歩みを振り返りましょう。

ゆっくりと喋る人


2018年8月19日、「坂道合同オーディション」に合格。
乃木坂への配属が発表されたのは12月1日と思われます。

初ステージは12月3日には日本武道館でのお見立て会。

ふわふわポワポワした声でゆっくり喋る。
どこか遠くを、というか何か我々と違うものを見ているような表情
そしてアメリカ・カリフォルニア州生まれで英語が堪能。

『乃木坂工事中』での「4期生体力測定」では運動音痴だけでなく謎コメントを連発しド天然ぶりを発揮。
設楽さんを「精神安定剤をください」と困惑させ、日村さんには「何年か後にこの子バラエティを荒らしまくってる気がする」と言わしめます。
彼女がコメントするとBGMに『ハルジオンが咲く頃』が流れるという鉄板演出もこの時から。

最初から既に、なんとも独特なキャラクターだった彼女。

翌年2月、大阪ドームでの7thバスラで初めて先輩と同じステージに立ちます。
同じく2月のプリンシパルでは16戦4勝。
没入型の演技で前半は8戦4勝と好スタートを切るものの後半は未勝利に終わりました。

そしてキャリア序盤の彼女について回るのが「学業のため不参加」という言葉。

超難関の慶應義塾女子出身と言われており、そして大学への内部進学にあたっても人気の高い経済学部ですから成績上位をキープしていたのでしょう。

ライブ、そして4期冠番組でも彼女を見る機会はかなり少なかったように思います。

2020年4月に慶應義塾大学入学。
その夏ぐらいからクイズ番組への出演が増え、「かしこ」かつ「ド天然」としての活躍が見られるようになります。

しかし握手人気では加入当初から苦戦しており、選抜入りすることはありませんでした。

加入からは5年弱。お見立て会から4年7ヶ月。
そう考えると(加入からジャスト5年で卒業した)大園桃子とほとんど変わらない活動期間なのですが、やはり「早いなあ」というのが正直な感想です。

コロナ禍による様々な活動の制限と、その影響もあり別働隊の活動が長かった4期生。

彼女を含むアンダーメンバーが初めて先輩と合流したのは2021年9月、28thアンダー曲『マシンガンレイン』でのことですから加入から丸3年が経過しています。

改めてコロナに奪われたものの多さを思い知らされますね。

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めちゃめちゃ勉強ができる不思議ちゃん。
好きなものは「空」。

…という字面からは「計算でキャラクターを演じる策略家」というイメージがするのですが、彼女からは「計算」の匂いは感じませんでした。

上で書いたバナナマンのおふたりはもとより、『乃木坂どこへ』『ノギザカスキッツ』『乃木坂スター誕生!』と続いた日テレの4期生冠番組スタッフにも愛されていたという印象があります。

『ノギザカスキッツ』第1回の最初のコントが彼女をメインにした「キャプテンユリ」。

決して人気上位ではない彼女を、新番組の最初にフィーチャーした。
そこに愛を感じます。

彼女の絶妙なモノマネをする松尾美佑にインスパイアされ、北川悠理脳内会議をコント化した「インサイド・ユリヘッド」も秀逸でしたね。

また番組内で発進した林瑠奈とのラップユニットが少しずつ発展していき、最終的に北川悠理の最高傑作たる名曲『アトノマツリ』へとつながりました

余談ですけどめちゃめちゃ好きなんですよこの曲。
全然似てないけど(ロスジェネど真ん中の)『今夜はブギーバック』を思い出しちゃうんです。
なんちゅうか凄い大学生っぽいというか、YOUTHの刹那を切り取った感じが切なくて。

話を北川悠理に戻しましょう。

葛藤を抱えながらのアイドル人生でした。

AKB48グループドラフト会議にもエントリーし、この時は指名されるも辞退。
そこから坂道合同オーディションに参加したのですから、彼女は「アイドルになる」ということに対するかなり強い執着を持っていたようです。

しかし前述したようにその活動において「学業のため欠席」をしなければなりませんでした。

後に本人はその苦しさをブログでこう語っています。

 私は乃木坂46のお仕事に全集中したかったので、はじめは大学に通うことについてもあまり前向きになれずにいました。

 でも、お仕事を続けるためには絶対に大学を卒業するという親との約束があったので、

 お仕事を頑張りたいからこそ、大学を頑張らないといけなくて、でも本当はお仕事一本に絞りたくて…というジレンマと日々戦っていました。

(乃木坂46 北川 悠理 公式ブログより抜粋)

そりゃ親御さんからすればそうなりますよね。
せっかく超難関付属高校に合格したのだから、ちゃんと大学を卒業してほしい。

そんな親の意志を尊重して、見事に人気学部に進学し4年次まで進級してきたのは本当に立派だと思います。

あの「ぽやぽや」した雰囲気の奥に秘められた負けず嫌いな心

それも彼女の魅力のひとつだったと思います。

横浜アリーナでの最初の4期生ライブではダンスに苦労していた印象の彼女が、1年半後(『Out of the blue』初披露時の4期ライブ)では見違えるほど堂々と踊っていたことが懐かしく思い出されます。


最後に彼女のこれからについて。

クイズ番組の出演、そして2020年10月よりラジオ『金つぶ』のアシスタントMC。
個人的には山崎怜奈先輩のように「かしこ系クイズ&ラジオスター」の道を歩むのではないかという期待をしていました。

それと同時に大学卒業時点で何かしらの決断を下しそうな雰囲気もありました(それこそ斎藤ちはるのように)。

卒業を発表したブログ内にいくつかヒントがあるのですが…

「またお芝居できるように頑張りたい」
「乃木坂46としての4年半を通して、私にはこの先どうしても叶えたい夢ができました」「その夢を叶えるため、海外に留学に行く予定」

彼女の夢は「ドラえもんを発明すること」だった気がするのですがそれはさておき。

なんだろう?

フリーアナウンサー?だと留学の必然性がないですね。
ミュージカル俳優かな?

正直わかりません笑

これまでファンを楽しませてきたその独自の感性で、いつか我々の想像を超えた姿を見せてくれるかもしれません。

北川悠理さん、約5年間お疲れさまでした。



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2023年2月18日、公式ブログで鈴木絢音さんが卒業を発表しました。

2期生最後のひとり。

まずは彼女の歩みを振り返りましょう。

ゆっくりと咲いた花


秋田県出身。
「秋田の星」である生駒里奈の存在を通してグループを知り、2013年3月に2期生として乃木坂46に加入。
5月に『16人のプリンシパル deux』と『乃木坂って、どこ?』でお披露目。

当時の印象はやっぱり「こけしちゃん」。(すみません)
髪型も切れ長の目も化粧っ気のなさもその立ち居振る舞いもすべてが「田舎の純朴な女の子」という感じでした。

2期生の中で正規メンバーに昇格するのが最後だった、いわゆる「ボーダー組」のひとり。
昇格発表は加入から2年近くが経過した2015年2月、極寒の西武ドームでのことでした。

ちなみにずっと秋田から通いで活動していましたが、その年の5月に上京します。

なかなか注目を集める機会はありませんでしたが、加入から3年経過した2016年あたりから徐々に冠番組でも活躍し始めます。

2016年6月放送の『乃木坂工事中』。
メンバーのお父さんにインタビューという父の日企画で「娘の結婚相手に望むことは?」という問いに絢音ちゃんのお父さんは「お金」。

全力の仏頂面をする彼女。
設楽さんの「好きな人ができたらちゃんと聞ける?」という振りに弱々しい笑みを浮かべ「お金ありますか?」

同年11月、同じく『工事中』での「乃木坂イチのクールガール、鈴木絢音を笑わせろ」という企画では全面的にフィーチャーされ、彼女の独自の感性が明かされました。

さらにその翌日の『NOGIBINGO!』では伝説の「ささきとすずき」。
両冠番組で同時に「主役椅子」に座るという恐らく卒業企画を除けば乃木坂史上でも唯一であろう(調べてません)快挙を成し遂げます。

この時は短距離走タイム測定で、「位置について」の直立不動からシュバッと「用意」のポーズに入るのが面白かった。
以前も書きましたが、この時はまだ佐々木琴子の方が積極性がありました。
絢音ちゃんは笑ってしまうぐらいのサービス精神のなさ。当時「面白いけど、やる気がないって非難する人もいるだろうな」と思いました。(今改めて観直しても同じ感想でした)

今にして思いますが2016年末ということは3期生加入直後。
後輩のお披露目前に2期生の中でも前に出る機会の少なかった彼女にチャンスを与えたのではないでしょうか。

17thアンダー曲『風船は生きている』で自身初のフロント。
この時は「将来美人さんになるんだろうな感」は満載だけど、まだまだ地味で素朴な印象でした。

そのビジュアルが洗練されたのは2017年秋のアンダラ九州シリーズ(『アンダー』の時です)の頃からでしょうか。

そして翌2018年1月発売のアンダーアルバム『僕だけの君』に収録された『自惚れビーチ』で初めてセンターを務めます。
続く20thシングル『シンクロニシティ』のアンダー曲『新しい世界』でもセンターとなり、アンダラ中部シリーズの座長に。

その勢いのまま、21stシングル『ジコチューで行こう!』で遂に初選抜。
この時すでに加入から5年3ヶ月が経過していました。

そして迎えた2018年7月の6thバスラ、通称「シンクロニシティライブ」。
ここで彼女の乃木坂人生におけるひとつのハイライトが訪れます。

神宮球場と秩父宮ラグビー場で同時開催された画期的な、というか無茶苦茶なこのライブ。
だってメンバーの半分は反対の会場でパフォーマンスしてるんですよ。

基本「選抜」と「アンダー」に分かれて、会場を移動して入れ替わりながら行なわれたのですが、ここでアンダー側の座長だったのが最新アンダー曲のセンターだった鈴木絢音でした。

これ何が凄いって、選抜側のセンターが白石麻衣なんですよ。

まいやんと「同格」ではもちろんないです。ただ「並列」の状態で成立させたのは素晴らしい。オープニングのVでもそのふたりが並んで映し出され会場のファンがどよめきました。
この時期の絢音ちゃんが完成の域に達し、そのビジュアルに「説得力があった」からこその演出でした。

そして3DAYSの初日、「聖地」神宮のオープニングを任されたのはアンダーメンバー。
曲は絢音ちゃんの代名詞である『自惚れビーチ』でした。

しかし、この先の道のりも平らかなものではありませんでした。

22nd『帰り道は遠回りしたくなる』では選抜から外れます。
23rd『Sing Out!』で復帰するものの24thで再びアンダーに。

超選抜の厚い壁に跳ね返され、三番目の風と4番目の光の勢いに飲み込まれそうになりながらも歩み続けた彼女。

27th『君に𠮟られた』で2年3ヶ月ぶりに選抜復帰するとそこから4作連続の選抜入り。最終シングルとなった『ここにはないもの』では初めて福神にもなりました。

『ゆっくりと咲く花』を地で行くような乃木坂人生でした。


同期の中で最後までグループに残り、ほぼすべての先輩を見送った絢音ちゃん。

思い出すのが舞台『墓場、女子高生』のラストシーン

彼女が演じるジモは最後にたったひとり舞台に残り。
遠くに行ってしまったヒノチ(伊藤万理華)の声を風の中に聴くのです。

何年もの時を経て、現実と作品がリンクする。古参の醍醐味ですね笑

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行間が生む魅力


加入からちょうど10年。

それだけの期間グループにいたのに、彼女はずっとミステリアスな雰囲気を纏っていました。

冠番組などで見せる姿と普段の姿が違うというのは2期生メンバーからの証言でもわかります。ただ普段の「明るくて口数が多い絢音ちゃん」というのが一体どういう状態なのかどうにも想像がつきません笑

そしてずっと疑問だったのが、本人が素の自分を見せたいのか見せたくないのか。

この記事を書くにあたり調べてみたところ、『君に𠮟られた』の時のインタビューで彼女自身がこう答えていました。

 本当はかっこいい自分や、良い自分だけを見せていきたいのですが、私は器用な人間じゃなかったんです。でも、かっこ悪い自分を見せたくないという気持ちを取り払ったら、楽しんで活動できるようになりました

 元々アイドルが好きいろいろなアイドルを見てきたこともあって「こういうアイドルさんになりたい」「こういうパフォーマンスがしたい」など自分の理想の姿を明確にしすぎてしまったのかもしれない

 夢をかなえる秘訣は「素の自分を愛すこと」です

「キラキラな笑顔」のいわゆる王道アイドルに憧れ、そうありたいと思いながらもカメラの前ではうまく笑えなかった。そんな自分をふがいなく思っていたけれど、時と共に愛せるようになった。

そう語っているのです。

「素の自分」「目指す自分」「カメラに映る自分」

大なり小なりどのメンバーもそのギャップを抱えているでしょう。

しかし鈴木絢音のそれはとりわけ大きく、そのギャップによって生まれた「行間」をファンは「ミステリアス」と感じた。

そして、そこにこそ彼女の魅力はあったのです。

不器用な自分を不器用なままでそこに在る姿は、もしかしたらアイドルとしては未熟なのかもしれません。
でもそんな彼女が10年も在籍できて、その魅力を届けることができたのはやっぱり乃木坂ならではだったのだと思います。


最後にこれからの彼女について。

卒業後の予定は「全く決まっていません」とのこと。
でも在籍中から様々な舞台やドラマに出演してきたので、きっと演技の道に進むのでしょう。

そんな彼女にしか出せない空気を活かせる役柄に巡り合えることを願っています。

鈴木絢音さん、10年間お疲れさまでした。



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前の記事で書いた通り、秋元真夏の復帰は衝撃を与え強い反発をもたらしました。

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ゲームチェンジャー


真夏さん復帰まで、乃木坂において握手対応はあまり重視されていませんでした。

いや、これは言い過ぎですね。
初期の一番人気は「剥がしに抵抗してファンの手を離さない」松村沙友理でしたし、西野七瀬の成り上がりも握手対応の良さが大きな要因でしたから。

でもAKB48に対するカウンターというグループの成り立ちゆえか「媚びない」ことを是とするファンも一定数いました。
極論を言えば「乃木坂のビジュアルがあればファンに媚びる必要なんかない」と。

しかし真夏さんは「釣り師」と呼ばれるその抜群の対応で瞬く間に握手人気を上げていきます。

5th『君の名は希望』の個別握手会では既に白石麻衣、橋本奈々未、松村沙友理の御三家と西野七瀬、生田絵梨花そして深川麻衣に次ぐ7番手の位置につけます。
続く6th『ガールズルール』では御三家となーちゃんの30/30部フル完売に続く28/28を達成。ちなみにこれ以降すべてのシングル個握でフル完売を続け、21stから免除となりました。

最初期から絶対的な存在である御三家と「ピープルズチャンプ」西野七瀬を脅かす存在にまでなったのです。

その躍進は周囲のメンバーにも大きな影響を及ぼしたのでしょう、真夏さんの加入以降に明らかに他のメンバーの握手対応も良くなったと言われています。(いわゆる「真夏ショック」です)

これにより握手人気の二極化が進みます。

真夏ショックに対応できたメンバー(例えば桜井玲香、深川麻衣、若月佑美)は6th『ガールズルール』から一気に多部数でフル完売に近い数字に伸ばしてきます。少し遅れて衛藤美彩もこれに続きました。
逆に対応できなかった=釣り対応を苦手としたメンバーの握手人気は伸び悩みます。
最も顕著な例は市來玲奈でしょうか。彼女以外にも若手メンバーのほとんどが苦戦を強いられます。

6thから10thあたりは上10人(さきに名前を挙げた9人+生田絵梨花)は30部フル完売。それ以外のメンバーは一桁完売という感じでした。

この結果として生じたのは、いわゆる「運営序列」を決める要素の変化。
あまりにはっきりした差が出たため、握手人気を無視しきれなくなったのです。
初期からいわゆる「運営推し」と目されていたメンバーの何人かがこの時期にアンダーを経験することになります。
(余談ですが次にフル完売メンバーとなるのはアンダラ2ndシーズンの大ブレイクを受けての齋藤飛鳥でした)

つまり秋元真夏がグループ内の握手対応を底上げし、それを一因として「握手人気重視」という傾向が生まれた。そしてそれは現在に至るまで続いている

真夏さんはゲームチェンジャーだったのです。

長い目で見れば、これがグループにもたらした影響は非常に大きかった。

そりゃ「媚びる必要なんかない」と思っていた人だって、目の前で実際に媚びて…いや愛想良く接してくれたら嬉しくないわけがありません。

握手会商法の是非や個人的な好悪はともかく、乃木坂が現在の大きさにまで発展した要因のひとつとしてこの「こんなに綺麗な子がこんなに愛想よく接してくれる!」という驚きがあるのは否定できないでしょう。

すなわち真夏さんはゲームチェンジャーであったと同時に、グループが大きくなるための重要なターニングポイントともなったのです。

だいぶ前からほとんど使われなくなりましたが「握手特化型」という言葉があります。

歌も踊りも苦手でビジュアルも目を引く美人というタイプではない(失礼)彼女はこれに該当するでしょう。

個人的にこの言葉から受けるイメージは「計算高い野心家」。
まあこれは裏返せばクレバーでセルフプロデュースが上手いということなんでしょうけれど。

しかし真夏さんはこのイメージから少し外れていました。

賢いし、目立ちたがりなのは間違いない。
そんな他推しのファンからすると非常に厄介な存在なのですが笑、どこか憎めない。

それは彼女の溢れる愛嬌、そしてその源となる人柄によるものであることが次第に明らかになります。

個人的に印象に残っているのが映画『超能力研究部の3人』のメイキングで、怒る演技ができないため共演者からアイドルとしての彼女を全否定する挑発的な言葉を投げかけられる(という仕込み)も一切言い返さないで我慢してしまう姿。

後にメンバーから「何をしても怒らない」と言われた彼女の人柄が垣間見えます。

そして真夏さんが完全に馴染んだのが見て取れたのが2014年4月『乃木坂って、どこ?』での「秋元腹黒い裁判」。

普段からメンバーとスタッフさんしかいない現場でも肌を見せる格好をしている真夏さん。
樋口日奈が「普段から周りの目を引こうとしてるのかな?」と疑問を差し挟むと彼女はこう答えます。

「逆に…なんで気を引いちゃいけないのかな、って」

「いいぞ!」と喝采を送るバナナマンのふたり。

黒石さんが初めて発動したのはこの時です。

この時点ではもう完全に真夏さんが受け入れられていて、いじりとして成立しているのが明確にファンに伝わる内容でした。

ちなみに、この少し前に例の「真夏、おかえり」があり西野七瀬とのわだかまりも解消しています。

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8年後からの第2章


冠番組では「あざとぶりっ子」と「頭がデカい」というたったふたつの武器で大活躍でした。

困った時の真夏さんという感じで正直食傷気味…というか私は完全に食傷していましたが笑、大いに貢献してくれました。(これは2代目いじられスター新内眞衣が登場するまで続きます)

既に述べたように瞬く間にトップ層に迫る人気を得た真夏さん。

しかし、立ち位置としては基本2列目でした。

ざっと並べると、

4th5th 福神
6th~8th 3列目
9th~31st 福神

例外は17th『インフルエンサー』が初のフロント(左端)。
19th『いつかできるから今日できる』は3列目。ただこれは『あさひなぐ』出演メンバー優先のフォーメーションだったからですね。
24th『夜明けまで強がらなくてもいい』も3列目。
そして29th『Actually…』は中西アルノの保護者としてフロント。こちらは右端。

ベストグリッドはフロント端2回
結成日の「センター横」というポジションに再び立つことはありませんでした。

バイプレイヤーと呼ぶには存在感が大きすぎる。不動のレギュラー。
だけど、エース級ではない。
『キャプテン翼』でいえば「石崎くん」というところでしょうか。

写真集も結構売れてるけどめちゃめちゃ売れているというほどでもない、なんというか2列目として妥当な売れ行き。

個人的にライブでは「人気の割に抜かれない」印象もありました。


そんな「実に2列目」な活躍を続けていた真夏さん。

しかし2019年、彼女の乃木坂人生を大きく変える出来事が起きます。

2代目キャプテンに就任

ここから彼女の第2章が始まります。

卒コンで本人の口からも語られましたが、当時多くのファンも桜井玲香より年上である真夏さんがキャプテンになることに違和感を感じていました。

明らかなショートリリーフ。(当時は29歳までグループにいてくれるとは思っていませんでした)
であればどう見ても未来のキャプテンである梅澤美波にこのタイミングで引き継いでしまった方が良いのでは、と。

でも今にして思います。
あそこは真夏さんしかなかった

もしあの時点で梅ちゃんがキャプテンになっていたら。
1期2期の卒業ラッシュでそのたびにライブを締めるコメントをしなければならなかったら。
さすがの梅澤美波でも苦しかったのではないでしょうか。

誰かが卒業するたびに全力で悲しんで心から溢れる惜別の言葉を贈る

これはやはり1期生である真夏さんならではのことでした。

キャプテン就任後、保護者として後輩メンバーとTV出演したり歌番組でコメントを求められる機会が増えます。

「出しゃばり」「桜井はそんなに前に出てこなかった」「キャプテンなんだから他のメンバーを立てるのが役目だろ」

そんな批判の声もありましたし、正直私も「ずいぶん出てくるなあ」ぐらいは思っていました。

ただ1期生へのリスペクトが強い3期生は当時まだ遠慮が見えたし、4期生はよちよち歩きでした。
そんな後輩たちに外番組の場数を踏ませるにあたり、真夏さんのサポートは必要だったのでしょう。


就任した時に「3年は頑張ろう」と決意したそうです。

その通り、3年半に渡ってキャプテンを務めました。

その間に卒業したメンバーは実に19人。
そして新4期生と5期生の加入。

どんどん減っていく盟友たちを見送り、後輩たちを励まし、新人たちを暖かく迎え
変わりゆくグループを支え続けました。

まして、コロナ。

乃木坂が一番難しいこの時期を越えて今なお女性アイドルグループとしてトップに君臨しているのは、秋元真夏の働きを抜きにしては語れないでしょう。

きっと苦しいことも多かったと思います。

しかしキャプテンとしてのこの3年半は彼女自身のキャリアにとっても非常に大きなプラスになったのも間違いありません。

真夏さんの人柄の良さとコメントの確かさが一層磨かれ、それが多くの人の目に明らかになったのはキャプテン就任以降のことです。

最後に今後の彼女について。

まあ言うまでもなく「タレント」ですね。

歌もダンスも演技も得意じゃないけれど、愛想が良く気配りもできて頭の回転が速い。

グループを支えてきたそのストロングポイントを活かして活躍されることを願っています。

秋元真夏さん、約11年本当にお疲れさまでした。


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