歴史的モデル「クラウン ワンプッシュクロノ」とは


1964年に登場した初の国産クロノグラフである「クラウン クロノグラフ」。

公式ではスポンサードの関係か「日本で初めての国際スポーツ大会にあわせ開発された」と書いていますが、要するに東京オリンピックの記念モデルです。

グランドセイコーが最高級機とすると中堅機の位置づけだった「クラウン」にストップウォッチ機能を追加したもので、2時位置のプッシャーひとつでスタート・ストップ・リセットすべての操作を行なうため「ワンプッシュクロノ」なんて呼ばれ方もしますね。

そのデザインをほぼそのまま再現したのがこちらのモデル。

なのにクロノグラフじゃなく3針。

おい笑

勝手に企画の流れを想像するに、

2020年の東京オリンピック開催に合わせて前回大会にまつわるモデルを復刻しよう。
それでこのワンプッシュクロノに白羽の矢が立つ。
しかしワンプッシュクロノのムーブメントなんて現行にはないし、もちろん新たに開発するコストはかけたくない。

じゃあ得意の現代デザインってやつにする?でもあれあんまりマニアに受けがよくないんだよね…

しょうがない、いっそデザイン復刻ということで3針で出しちゃおう!

ってことですかね。斬新だな!

当サイトはアフィリエイトプログラムで雀の涙未満の微々たる収益を得てはおりますが、本文の内容は100%私の個人的な意見であり忖度は一切ございません。

オールドファッションでありながら新鮮なデザイン


そうはいってもデザイン的にはこれ、かなりいいです。

オールドファッションな顔が実に素敵。ダイヤル上の同心円は現行にない表情ですね。
さらに細かい目盛りと秒印字が計測機器感を醸します。
そして細めのベゼル。ブラックですし当時はスポーティなデザインだったのでしょうが、現在の感覚からするとドレスウォッチに近い印象を受けます。



機能的にはもうおなじみ70時間ロングパワーリザーブの6R35。10気圧防水にサファイアガラスと日常的な使用には十分なスペックです。

カラーバリエーションは3色。
やっぱりオリジナルと同じパールイエロー(アイボリー)のSARX069ですね。
グランドセイコーにもある色味で、現行でいえばSBGX263あたりの色に近いかと思います。
SARX073のブラックも格好いいしオンオフ兼用でいけそうですけどちょっと普通っぽい。SARX071のグリーンは個人的には違和感があります。

各1,964本限定。
ただ記事作成時点で069の在庫はかなり少なくなっていそうでした。

そして気になるお値段。
セイコーの記事では毎回文句ばかりなのですが、今回は大丈夫です。

定価91,300円(税込)。流通限定モデルなので値引きはなく実勢価格も同じです。

以前に紹介した同一ムーブメントのアルピニストと比較すると税込定価で+6,600円。向こうは20気圧防水なんで機能的には下ですが、まあ限定モデルなんで正直こんなところかと。

このところセイコーの記事では先代との値段比較で「げっ!倍かよ」と叫んでばかりでしたので、それがないだけでも精神衛生上いいですね笑



不満はサイズ。
厚さ11.3 ㎜、横41.3 ㎜、縦48.3 ㎜。オリジナルの横幅は私が調べた範囲では38mmのようでした。

このデザインで41mm強というのはやっぱり大きいです。1mmでも小型化する努力をしてほしかった。

とっくに過ぎ去ったデカ厚ブームの名残か、ここ10年ちょっとでなんでもかんでも大型化してしまって戻らないセイコーの時計。昨今のトレンドの真逆を突き進むのはいかがなものかと。

裏は取っていませんがムーブメント自体が大きいんでしょうね。
セイコーさんはもういい加減、真剣に現行の4Rなり6Rムーブメントの小型版を開発して36mm径のモデルを出すことを考える必要があると思います。
というかプレザージュにもレディスの機械式で34mmとかのモデルがあるので、そのムーブメント使って(トルク足りないなら改良して)しまえばいいんじゃないでしょうか。

それで膨大なアーカイブの忠実な復刻が可能になるんですから、やりゃいいんですよ。

一番出してほしいのはやっぱりメカSUSです笑
メカSUSのデザインを完全復刻して36mm以下で実勢価格6万ぐらいで出してくれたらムーブメントが4R系でも買います。めちゃくちゃ売れるでしょうね。

まとめ


なんというか、すごく中途半端ではあるんです。そもそもクロノグラフのデザインなのに3針ですから。

でもこの値段で出したことの方を評価したいですね。
ワンプッシュクロノのムーブメントを新規開発して50万とかで出されても何の魅力もないですから。

歴史的モデルのデザインエッセンスがかなり濃厚に残っている、現行機ではどこにもない顔。
そしてロングパワーリザーブの6R35搭載機としては比較的安価。10気圧防水、メタルブレス。現実的でいいモデルです。



実はクロノグラフの現代デザインは別途2019年に「国産初クロノ55周年記念」としてSARK015というモデルが出ています。

同時に発売されたSBEC005は「国産自動巻きクロノ50周年記念」。
この2本、実物見ると凄くいいんですけど例によって値段がちょっと。

これについては別の記事にする予定です。

>しました>>>
セイコー プロスペックス SBEC005 & プレザージュ SARK015 国産クロノアニバーサリーモデル