
前の記事ではこの日のライブがそれぞれの良さを存分に発揮するものだったことと、それを支えた3期生について書きました。
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当記事では座長・冨里奈央について。
「私はアイドルになってよかったです」
前作『チートデイ』で、冨里奈央は最も目につく人気指標であるミーグリ完売状況において堂々の3次完売(しかも4作連続)を叩き出します。
彼女より完売速度が速かったのは一ノ瀬美空と井上和のふたりしかいませんでした。(それ以外にいわゆる「免除メン」がいるわけですが)
それでも選抜には入れなかった。
ボーダーラインに並んだ時、押し出されるのは自分なんだ。
そう感じてしまったとしても無理はないでしょう。
そして彼女は今回の座長に指名されます。
心中に期するものとプレッシャーの両方があったのは想像に難くありません。
迎えたアンダラ3DAYS。
そのセトリは座長・冨里奈央に「寄り添った」ものでした。
ベースとなるアンダー曲は要所で使われていますし、個人にスポットを当てるソロ歌唱コーナーもアンダラならでは。
それでも終演後真っ先に感じたのは「アンダラでこんなに表題曲や期別曲をやるのは珍しい」でした。
まず本編ラストを期別曲『考えないようにする』(=なおなおにとってとても大切な楽曲)で締めたというのが異例。
さらに。
グループの歴史においてかなりアイコニックな楽曲を、彼女をセンターに据えてパフォーマンスしたのです。
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初代センター生駒里奈の代名詞にして初東京ドームのオープニング曲に選ばれた『制服のマネキン』。
レコ大連覇達成したグループの代表曲のひとつ『シンクロニシティ』。
アイコン西野七瀬の卒業ソングにしてグループ史上最高売り上げ『帰り道は遠回りしたくなる』。
そしてソロ歌唱コーナーで選んだのは史上最強選抜のひとつ『今、話したい誰かがいる』。
「全曲センター」の卒コンを別にすれば、このすべてをひとつのライブでセンターを務めたメンバーって恐らくいない。
いたとしても遠藤さくらぐらいでしょう。それもバスラで複数の日に跨ってではないかと。
このセトリになった経緯はわかりませんが、いずれにせよ最終的にゴーを出した運営は冨里奈央に期待しているのでしょう。あるいは彼女には「運営に期待させるだけの何かがある」と言うべきか。
そしてなおなおは「違和感なく」やってのけました。
やはり彼女には乃木坂感がある。
なおなおのそれは「儚さ」そして誤解を恐れずに言えば「どこか不幸の影があること」。
あのくるっとした瞳を潤ませて上目遣いでこちらを見るのがシグネチャームーブ。
『超・乃木坂スター誕生!』で奥田いろはが自作曲『恋々』のMVで多用したあれです。
でも乃木坂感は儚さだけではありません。「儚さの中にある強さ」こそが真骨頂。
今回のアンダラで冨里奈央はその萌芽を見せてくれました。
私がこの日の彼女から感じていたのは深川麻衣の面影。
「聖母」まいまい。間違いなく乃木坂46という優しい世界の源流のひとつ。
アンコールでの『帰り道は遠回りしたくなる』。
なおなおがカメラを手にメンバーたちの写真を撮っていくというセンチメンタル全開の演出。(センターがマイクを持たないというのも斬新!)
そしてラスサビ。
風のように 風のように
思うままに 生きてみよう
そう歌うメンバーたちを背に彼女が見せたのは、
「強くなりたい」
そんな意志を込めた未来へのまなざし。
私の頭をよぎったのは『ハルジオンが咲く頃』のジャケット写真。
自らの卒業センター曲での優しく穏やかな、でも強い意志を湛えたあのまいまいの表情とどこか重なるものでした。
続きます。
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