タオル補正
2025年2月28日、公式ブログで中村麗乃さんが卒業を発表しました。

はじめ「ちょこれーの」のち「れのリカ」


2016年9月、乃木坂46の3期生オーディションに合格。
同年12月の日本武道館におけるお見立て会で初めてファンの前に立ちます。

第一印象は「ジャイアント・ベイビー」

とにかく幼かった。

中学生にして既に未亡人のような雰囲気を漂わせていた久保史緒里。
どこか年齢不詳で実際にビジュアルイメージは卒業まで基本変わらなかった阪口珠美。
(どちらも悪口ではありません)

同い年のふたりと比べると新・中3トリオの中でもひときわ幼く見えました

既に長身で小顔という抜群のスタイルだっただけに、そのフワフワポワポワしたあどけない表情はかえってアンバランスさを際立たせていました。今だから言えますが、個人的にはどこか「居心地の悪さ」さえ感じたものです。

改めて観返すと2017年7月の神宮ライブの時点で童顔ではあるものの既に髪型やメイクは洗練されてきていましたし、2018年の6thバスラ「シンクロニシティライブ」ではかなり締まった顔つきになっていたのですが。(実際に私がそれに気づくのはさらに1年ぐらいを要しましたが…)

そして、握手人気では当初から大苦戦します。

少しずつ完売部数を上げていきますが、同期の中でも下位から抜け出せずにいるうちに4期生が加入。そこからはさらに苦戦を強いられ、追い打ちをかけるようにコロナ禍。
25thシングルからしばらくの間は「完売ゼロ」という状況が続きました。

冠番組でもなかなか目立った活躍ができませんでした。

弟さんが高山一実のファンで全国握手会の鍵開けをして「れののおとうとです」と名乗るエピソードは可愛かったのですけれど。

2018年1月放送の『乃木坂工事中』における「第2回 頭NO王決定戦」でれのちゃんは2代目頭NO王の栄冠を手にしてしまいます。

まだ若かった(当時高校1年生)彼女にはそれを「キャラ」として受け入れることが難しく本気で嫌がります。
まあ、そりゃそうですよね。キャラにまで昇華させた和田まあやと弓木奈於が偉大なだけです。

自分でそれをネタにできるようになったのは3年近く経過した『ノギザカスキッツ ACT2』あたりからでしょうか。

握手人気で出遅れ、冠番組でも見せ場を作れなかったれのちゃん。

それでも運営は彼女のポテンシャルを信じ「何かひとつきっかけを掴めば」と思っていた節があります。

何かひとつ。

例えば、「歌メン」として。

2019年末の3期4期ライブでの『私のために 誰かのために』。
彼女は久保史緒里、遠藤さくら、賀喜遥香というエース級と並んで歌唱メンバーに選ばれます。

そして翌2020年2月、ナゴヤドームでの8thバスラでも同曲を歌いました。
今改めて観ると緊張ゆえか硬い歌唱でしたが、それでも運営が彼女のポテンシャルを高く評価していることがファンにも伝わりました。

アンダー曲でのポジションもそうです。

史上最少人数のアンダラであった23rdアンダー曲『滑走路』ではアンダーフロント抜擢。
28th『マシンガンレイン』でもフロント。どちらも反骨のセンター寺田蘭世の隣だったというのも面白い巡り合わせですね。

そして31stシングルのアンダー楽曲『悪い成分』で初のアンダーセンターを務めます。
握手・ミーグリ人気でずっと苦戦していた割にはアンダーでのポジションは悪くなかったという印象。これも「目につく場所に置けばきっと」という運営の期待ではないでしょうか。

そして舞台

スタイルの良さと大きな目という舞台映えするビジュアルと歌唱力。そんな彼女のストロングポイントを最大限に活かせる場所がここでした。

2019年1月に『逆転裁判〜逆転のGOLD MEDAL〜』のヒロイン役として初めてグループ外舞台に出演。
以降、コロナ禍による公演中止や延期にたびたび見舞われながらも継続的に舞台出演を続けます。

それが実を結んだのは2023年1月のこと。

オーディションでミュージカル『Endless SHOCK』のヒロイン、リカ役という特大の外仕事を掴んだことが発表されたのです。

KinKi Kidsの堂本光一さん主演。
初演から21年間、全日程即日完売。「もっともチケット入手が困難な舞台」とも言われるお化け舞台。
実に53日間55公演。しかも帝国劇場。

この作品で彼女はふたつの夢を叶えます。

ひとつは帝国劇場のステージに立つこと。
もうひとつは憧れの神田沙也加さんと同じ役を演じることでした。

そして33rdシングル『おひとりさま天国』で加入7年目にして初の選抜入りも果たします。

こうしてれのちゃんはグループ在籍中に自身の夢を叶え、未来への道を大きく切り拓いたのです。

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床に落ちて転がるハートのサイコロみたいな


彼女の道行きを振り返って思うこと。
それは「乃木坂は夢への最短距離だ」ということ。

(以下の内容をご本人や彼女のファンの方に納得いただける自信はありませんが…)

時々議論される大人数アイドルグループに所属することの是非。

そこで「非」の理由としてよく言われるのが「アイドルで身に付くスキルは卒業後のキャリアで役に立たない」。だから「将来の夢がある人間がアイドルを続けるのは時間の無駄である」。

これはまあ、わかります。
アイドル時代に行っていたことの多くを卒業後には行わなくなりますから。

そもそも本業ともいえる「歌って踊ること」を続けるメンバーは極めて稀ですし、その数少ない例である「ミュージカル俳優」においてもアイドル時代とは違うものが求められます。(れのちゃんも『Endless SHOCK』の時に「ジャンルが違う(ので苦労した)」という趣旨の発言をしています)

それでも。

中村麗乃が弱冠21歳にして『Endless SHOCK』のヒロイン役を射止めたのは、やっぱり「乃木坂だったから」だと思うんですよね。

別に乃木坂の肩書があったからオーディションに合格したというつもりは微塵もありません。
むしろ「中村麗乃だったから」こそできたこと。れのちゃん自身のポテンシャルとグループ内の序列では苦戦が続いていても腐らずに自分の武器を磨いた努力があったからだというのが大前提です。

でも彼女がひとりの女優として個人的にどこかの事務所や劇団に所属して活動していたら。
21歳の時点でその場所にたどり着けた確率は極めて低い、というかほとんどゼロだったのではないでしょうか。

やっぱり「乃木坂46」という環境があったから

憧れの先輩、切磋琢磨する同期、刺激をくれる後輩。
スタジアムクラスのステージに立つという経験。
初の外舞台からヒロイン役をもらえる看板の信頼度。
彼女の適性を信じオーディションの情報を伝えてくれるスタッフさん。
恐らくは高いレベルのレッスンを受けられるコネクション。
そして生活のためにアルバイトをしなくてもいい収入。(これ大事)

決して「舞台俳優として必要なこと」だけに集中できる環境ではないけれど「舞台俳優としての道を拓くための最短距離」だったと言ってもいいのではないでしょうか。

グループ内の序列とかミーグリ人気とか色々悩んだり苦しむこともあるけれど。
全部が全部、自分の将来のためになるというわけでもないだろうけれど。

それでもなお、「乃木坂46にいる」そのことが、夢への最短距離である。

乃木坂がそういう場所であることをファンに対し、そして後輩たちに対して証明してくれた
この点で彼女の功績は極めて大きいと思います。


最後に、これからのれのちゃんについて。

考えるまでもなく、舞台俳優でしょう。
いつの日か生田絵梨花と共演する姿を観たいですね。

場所はもちろん、新しくなった帝国劇場で

中村麗乃さん、8年半お疲れさまでした。



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過去に当ブログに掲載した記事を再構成し加筆したもの。
総文字数84,000文字、加筆部分だけでも10,000文字以上のボリュームでブログをご覧になった方にも楽しんでいただけることと思います。

「今にして思うこと」は各章の末尾に「追記」という形で新たに文章を加え、さらに書き下ろしとして4期生の初冠番組であった『乃木坂どこへ』を振り返っています。


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過去に当ブログに掲載した記事を再構成し加筆したもの。
こちらは総文字数10万文字、加筆部分だけでも22,000文字以上のボリュームです。


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