びーむ色調補正3

北野日奈子とアンダラの物語


続いてこの日のポイント1、きいちゃんのセンターについて。

これまであまり語られてこなかったと思いますが、きいちゃんにとってアンダラはとても特別なものです。

それは彼女の歴史を振り返るとよくわかります。


『バレッタ』での堀ちゃんサプライズセンターに続く2期生抜擢第2弾として『気づいたら片想い』で選抜入りした彼女。

しかし当時の彼女はパフォーマンス力も見せ方も芸能人オーラも、何もかもが先輩たちと比べて見劣りしました。(あくまでも当時は、の話です)
音楽番組でのこわばった表情と全く踊れていなかった姿を思い出します。率直に言って悪目立ちしていました。

さらに次のシングルで自身は選抜落ち。それだけでなく、彼女に続く2期生抜擢第3弾はありませんでした。

「自分がダメだったから、次に繋がらなかったんだ」

そう思ったと、後にきいちゃんは語っています。

そんな失意のどん底にあった彼女。しかし試練はまだ続きます。

それが9枚目のアンダラ、通称1stシーズンへの参加でした。

当時の2期生たちはほとんどが「研究生」という扱いでアンダラも一部の曲のみへの参加でした。しかし既に選抜を経験していたきいちゃん、そしてOLアイドルとして活動をはじめていたまいちゅんのふたりだけは正規メンバーに昇格していたため全曲参加。

ファンにとって出番が多いのは何よりも嬉しいこと。
しかし、どの曲も初めて踊るきいちゃんにとって、それは恐怖でした。ましてや彼女はダンスが特に苦手。

選抜で何もできず打ちのめされ、選抜落ちで落ち込んだところにアンダラで沢山の曲をパフォーマンスしなければならないという恐怖。

今回きいちゃんが「久保史緒里はひとりだけ初めてのアンダラ参加になるから…」と気遣う言葉を発していたのは、きっとこの時の経験から来たのではないでしょうか。

勝手な想像ですが、何もできない当時のきいちゃんを、永さんをはじめとする先輩たちが必死にサポートしたんだと思います。そして彼女もそれに懸命に食らいついたのでしょう。

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真ん中に立つということ


そして経験したアンダラ。

そこできいちゃんが目にしたのは、ふたりのレジェンドの姿でした。

無料でも人が入らなったアンダラをわずか3ヶ月でチケット即完のライブにした「カリスマ」伊藤万理華。

過酷なスケジュールと自身の負傷欠場、さらにまっつんのスキャンダルによる凄まじい逆風の中、日々最高潮を更新するような鬼神のパフォーマンスを見せた「炎のセンター」井上小百合。そして2ndシーズンは伝説となりました。

この伝説の日々を題材にした小説をnoteで公開しています。
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真ん中に立つことの意味と覚悟と恐怖、そして素晴らしさを、きいちゃんはふたりから学んだのではないでしょうか。

本編最終ブロックは既に書いた通り、初期アンダラのようにノンストップで踊りまくる構成。その全ての曲できいちゃんはセンターを務めました。

全てを背負って真ん中で踊っていたあの頃のさゆまりのように。

威風堂々。そう表現したくなる見事なパフォーマンスでした。

楽曲『アンダー』への想いを語ってから、1万人のファンの前でソロダンスを踊るきいちゃん。

その凛とした姿は、極寒の西武ドーム3rd YEAR BIRTHDAY LIVEの『咄嗟』でソロダンスを踊った井上小百合と重なるものでした。

さゆまりセンターなんて正直大昔です。メンバーもファンも大幅に変わりました。
でもこの日のきいちゃんの姿を見た人たちはきっと何かを感じたことでしょう。

そうやって何かが受け継がれていく。

そう信じています。


ダンスが楽しくなってきた3rdシーズン、選抜落ち即座長の堀ちゃんとの確執、永さん卒コンでの「卒業許しません!」、盟友ひめたんを見送った九州シリーズなどなど、きいちゃんとアンダラにまつわる物語は他にも山ほどありますが、長くなりましたので今回はここまでにします。


まだ続きます。

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