ワールドフェイマスなセイコーダイバー。その「タートル」シリーズに、2020年始早々大注目のモデルが登場しました。

セイコー プロスペックス SBDY049

タートルの歴史と基本スペック


「タートル」は海外ユーザーが名付けたと思われるペットネーム(愛称)です。いつの間にか定着し現在ではメーカー側資料でも用いられるようになりました。

日本ではサードダイバーという名称の方が有名かもしれません。
その名の通りオリジナルはセイコーが150m防水ダイバーズウォッチの第3世代として1976年にリリースしたモデル。その復刻盤であるため「復刻サード」などと呼ばれることもあります。国内正規品のリリースは2018年4月でした。

特徴は何と言ってもケースの形状。
かのジェラルド・ジェンタがオメガ コンステレーションで用いた、Cラインと呼ばれるケースとラグが一体化した卵型のデザイン。そのドレッシーなフォルムを無骨でデカいダイバーズウォッチに採用した結果、この少しユーモラスかつレトロな独特のスタイルが生み出され、タートルというペットネームの由来ともなりました。


この極端に短いラグが格好いい。
公式によれば厚さ13.2㎜、横45㎜、縦47.7㎜。縦と横幅の差はわずか2.7mmに抑えられています。

ムーブメントは4R36。国内正規機械式ではエントリーモデル用ですね。リローンチしたセイコー5と一緒です。21,600振動なのでややロービート。パワーリザーブは約41時間。

防水性能は200mと十分なレベルです。

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ラグスポ調の型押しダイヤルが魅力の「和製アクアノート」


そして既に上の写真でお気づきのことと思いますが、このモデルの売りはダイヤル(文字盤)。

 

ラグスポ=ラグジュアリースポーツウォッチの印象が強いブロックパターンの型打ちダイヤル。ロイヤルオーク、アクアノート、最近ではジラールペルゴのロレアートやモーリスラクロアのアイコンなどと同じイメージですね。

厳密にはロイヤルオークはタペストリーダイヤル(溝部分にも模様がある)、ロレアートやアイコンはクル・ド・パリダイヤル(細かいピラミッド状の模様)なので微妙に違いますが。

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パターンのブロックサイズはやや大きめ。ロイヤルオークとアクアノートの中間ぐらいでしょうか。ケースが丸みを帯びているのでどちらかと言えばアクアノートの方が近いイメージでしょう。せっかくですので言い切りましょう、「和製アクアノート」だと。

その証拠に?こんなバリエーションも出してます。
SBDY051。実にアーミーなカーキグリーンでウレタンバンド仕様なのですが、これって完全にアクアノートのこれを意識してますよね?
見比べてみるとそっくり…いや結構違いますね笑

ダイバーズの回転ベゼルの有無とインデックスがドットとアラビアという違いがあるのでいたしかたないでしょう(それ以前に値段が100倍ですけど)。

話を戻します。

ラグスポが本当に手の届かない価格帯になってしまった現在。
アイコンはあのブレスの出来で20万円ですから本当に頑張っていると思うし好感が持てます。っていうかなんなら欲しい笑
ただカリプソというデザインコードの元ネタはあるものの、ラグの切り方とダイヤルの細かさは露骨にロイヤルオークインスパイア。

それに対しこのSBDY049はサードダイバーの歴史的デザインをほぼ完全に踏襲し、ダイヤルのみをラグスポ調にしたモデルなので「いやパクッてません、単なるダイヤルバリエーションです」と開き直れます。

いやむしろCライン+エンボス文字盤ってことはジェラルド・ジェンタへのオマージュじゃん!まあそれだと「和製ロイヤルオーク」になっちゃって話がややこしくなりますが。



不満は価格設定と販売戦略


ここまで書いてきたように非常に魅力的なこのモデルですが、不満もあります。

それは価格と販売戦略(流通形態)。

!!!2020年6月5日追記!!!
どうやら当モデルの値下げが解禁されたようです!
詳しくはこちら>>>
【速報】「キングタートル」値下げ解禁!セイコー プロスペックス SBDY049/051

SBDY049の定価が77,000円(税込、以下同じ)。記事作成時点で現行タートルのメタルブレスで最も安いSBDY013が63,800円ですから+13,200円です。
でも実勢価格は2割引きで51,040円、それに対しこちらは値引きなし。
さらに楽天やYahooショッピングでの付与ポイントも、セイコー側からの指示があるのか10倍と5倍と差があるので実質価格は45,936円と73,150円。+27,214円、約160%です。
SBDY013からの変更点は風防がサファイヤクリスタルになりサイクロップスレンズもついたこと。そしてベゼルインサートがセラミックに。それに加えてこのダイヤルですから、全体の質感はかなり向上しているのでしょう(「でしょう」の理由は後述)。

定価の13,200円差であればまあ妥当かと思います。しかし値引きやポイントまで含めた実質価格の27,000円差は…ちょっと納得できません。

定価販売したいという思いと、既存モデルからコストのかかる変更があれば定価を上げざるを得ないということからこういう設定になったのでしょうが、完全にメーカー都合ですよね。ユーザーからすれば実勢価格がすべてです。


しかもこのSBDY049、ネット流通限定モデルなのです。
つまり店舗で実物を確認することができない。そのため上の文章でも「質感は向上しているのでしょう」という表現になっています。

このモデルは質感向上こそがストロングポイントであり、ユーザー側から見れば購入動機そのものです。

なのになぜそれを確認させないのか。
ユーザー目線が欠けているとしか思えなません。

セイコーの思惑としてはレアモデルにして飢餓感を煽りたいのでしょう。
でもこんな一目惚れ購入がありそうなモデルをなぜにわざわざネット流通限定にしてユーザーの目から隠すのか。正直理解に苦しみます。

ネット限定のメリットは本来コストが減る=安くなる、のはずなのに値段は上がるしショップのポイントも5倍までと制約をかけているのもなんだかなあ。


とまあここまで不満に思うのも、裏を返せばそれだけ惹きのあるモデルだということ。

私は手首が極細なのでタートルは正直これまでスコープ外だったのですが、これ見て一度お店で腕に乗っけてサイズ感確認してみようかなと思いました。

元々タートル狙いだった方ならマストバイのド本命モデルと言えるでしょう。



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