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この記事は舞台『天国の本屋』の内容に関するネタバレを含みます。

2020年1月、よみうり大手町ホールで行われた『天国の本屋』を観劇してきましたのでレポートします。原作は読んでませんし映画版も観ていない、事前情報なしの状態で行きました。

ミュージカル+朗読


井上小百合、2020年最初の舞台。

まず、チケット取るのが大変でした。主演がA.B.C-Zの河合郁人さんだからでしょう。さすがジャニーズって感じです。年末の『キレイ』同様に1回しか観劇できませんでした。さゆの舞台ではもの凄く久しぶりです。たぶん2016年の『じょしらく弐』以来。

あらすじ


就職活動中のさとし(河合郁人)は、ヤマキ(ブラザートム)というおかしな男に”天国の本屋店長代理”にスカウトされ、一時的に天国に連れて来られてしまったごく普通の大学生。その『ヘブンズブックサービス』(=天国の本屋)では、すでにユイ(井上小百合)という不思議な魅力のある緑色の目をした少女が働いているが、さとしに全く馴染もうとしない。ヤマキは、ユイは心に傷を負いリハビリ中なのだと告げる。

さとしは、とりあえず店長代理という事で働くことにした。すると、「お兄ちゃん、これ読んで!」と、本屋に遊びに来る子供たち。そう、『ヘブンズブックサービス』には、本を読んであげるサービスがあったのだ……。

最初は気が乗らないさとしだが、子供たちの純粋さにひかれ、一生懸命要望に応えようとする。そんなさとしの姿に、ユイも少しずつ心を開き始めた。

そんなある日、ユイの過去を知るときが来て―

公式サイトより引用)

最初に思ったのは「音がデカい」でした。

PAの設定なのか本職のミュージカル俳優が多かったからなのか、最初の歌からけっこう歌声が大きいと感じました。

特徴的だったのが朗読にかぶせて演じられる劇中劇。

さとしが朗読サービスとして『泣いた赤鬼』や『ナルニア国物語』を読むと、その場面が背後で演じられる演出になっていました。演じる皆さんが芸達者な方ばかりなので非常に楽しげな雰囲気が醸し出されていました。

ただその反面、登場人物の内面の掘り下げが不十分になったように感じました。
この点については次の記事で詳述します。

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アイドル+芸人+ミュージカル俳優のバランス


キャストの皆さんについて。

主演の河合郁人さん。

頼りない優男をうまく演じるのが実にジャニーズ。そして現実に戻ることを決めた時の真っ白なスーツを着た清々しい表情は見事でした。
ただ歌唱力はもうひと声という感じでした。もちろん下手ではないですし声量も十分だったのですが、若干ナチュラルにフラット気味だったように思います。
『リトル・ウィメン』の林翔太さんの印象が良すぎたので、そことの比較でそう感じるのかもしれません。

ヒロインの井上小百合。

キツい表情でいつも怒っていてツンツンしているユイ。
本人は「ユイは口調とか人との接し方とかぶっきらぼうな性格が自分に似ている」と語っていますが、さゆは本来ほわほわの表情で毒を吐くタイプなのでちょっと本人とは違いますね。
(余談ですが本人に近いのは『大人のカフェ』の「井上」かと)

過去の出来事で心に傷を負っているという設定からすると、もっと暗くてボソボソしゃべって強い拒絶の台詞だけ大きく、の方が良かった気がします。ちょっと生命力がありすぎるというか。
ミュージカルでしかも序盤の歌がアップテンポなものばかりなので声を張る必要があり、そことのバランスを考えるとあまり小声で台詞を言えなかったのではないかと想像しています。

個人的にはもっと自分の世界にこもった感じのキャラクター造形の方が、終盤でさとしに心を開くシーンでのギャップも際立つのでベターだったと思います。

そこの不満はさておき、心を開いてからラストシーンまでのユイは、清楚で穏やかなザ・ヒロイン。もちろんアイドルですから得意中の得意です笑
といってもさゆが演じた中で同じタイプは『帝一の國』の美美子ちゃんぐらいなのですが。

それ以外にも色々な姿を見せてくれてファンとしては楽しめました。
ニンテンドーSwitchをプレイしている姿は可愛いし、デニムのショートパンツで露出度も過去最強レベル。(と思ったら直後の『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』であっさり記録更新されるのですが笑)
ある曲でのダンスの腰つきが完全にフラガール引きずっている切れの良さだったのがなんだか嬉しくなりました。

ブラザートムさん。

飄々としている。もちろん普段のお姿は存じ上げませんが「普段からこういう人なんじゃないかな」と思わせる自然極まりない演技。
そしてなんかでっかい。せっかくの阿見201さんのデカさを若干薄めてしまっていました笑

ヘブンズブックサービスの凸凹コンビを演じた阿見201さんとカズマ・スパーキンさん。
歌もダンスも上手なこのおふたり。調べてびっくり、浅井企画の芸人さんなんですね。

この5人は言ってみれば別の畑からの人なんですが、それ以外の皆さんはミュージカル俳優として多くの実績のある方々。

特におばあさん役の末次美沙緒さん、やたらと歌が上手いなと思ったら劇団四季出身の方でした。そりゃ上手いわけですね。


観ていて感じたのは全体のバランスの良さ。
アイドルふたりが輝きを放ち、芸人さんたちがコミカルなテイストを加え、ミュージカル俳優の皆さんがビシッと舞台上を引き締める。

もちろんみんな歌って踊れて演技ができることが大前提ですが、それぞれの得意分野がうまく融合していました。

この舞台でさゆが観せたのはスポットライトを浴びた時にパッと輝ける能力=アイドル性。そう考えると彼女のアイドルとしての歩みは舞台女優としてもちゃんと武器になるのだと感じました。


続きます。

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