
『羽根の記憶』
乃木坂46の12thシングル『太陽ノック』カップリング曲。セブンイレブン限定版収録。2015年7月22日リリース。歌唱メンバーは『太陽ノック』選抜メンバー18人、センターは生駒里奈。
杉山楽曲そして乃木坂の「美」のワンオブザベスト
杉山勝彦楽曲の中でも屈指の名曲。
と言うたびに友人からは「いやMV補正入ってるだろ」とつっこまれますが、まあそりゃ補正も入りますわな。
誤解を恐れずに言えば「一番美しい頃の乃木坂46を永久保存したMV」でしょう。
こういうことを言うと「1期至上主義者かよ」と叩かれそうですが、私は正真正銘のWMD(割とみんな大好き)ですのでまあ怒らずに最後まで読んでください。
乃木坂の全盛期はいつか。
ファンそれぞれに思うところがあるし、そもそも推しメンが誰かによって全然認識も違ってくることでしょう。何なら非常に揉めるところです笑
個人的にはその話題になると頭をよぎるのがこの『羽根の記憶』のMVです。
(まあグループとしての全盛期がここだとは正直思っていないんですが)
もちろんそれぞれのメンバーにおける「美の極致」は時期がバラけるでしょう。ただこと「1期生」というくくりでは全員のビジュアルがひと通り洗練され完成の域に達したのはこの頃だと思っています。
それはつまり、最後のピースである齋藤飛鳥のビジュアルが仕上がったということを意味します。
MV開始1分過ぎの飛鳥の美しさたるや。
彼女が15thシングル『裸足でSummer』のセンターに抜擢され一気にブレイクするまだ1年前のことです。
歌唱メンバー=『太陽ノック』の選抜である18人も、斉藤優里を除けば全員が後に選抜固定となる強力布陣。ちなみに新内眞衣はこの時が初選抜でしたのでちょっと初々しいです。
さらにそのメンバー全員がきちんとフィーチャーされるカット割り。
これだけのビジュアルが揃っていればそれを素直に見せるだけで素晴らしい作品になるということを証明しています。秋元康なら「こんな当たり前のことやってもしょうがないんだよ!」とか的外れな指摘をするところでしょうが笑
そして何より、深川麻衣と橋本奈々未がいます。
グループにおいて特別な役割を果たし、多くの年少メンバーから慕われ、高い人気でグループを牽引したふたり。
乃木坂を乃木坂たらしめたのは間違いなく1期生たちで。
そんな彼女たちの作り上げた世界の完成形こそ、この頃から翌2016年6月にまいまいが卒業するまでの1年にも満たない期間。
私はそう考えています。
「ベストワン」はそれぞれのファンの思い入れで決めればいい。
ただ乃木坂の「美」という視点では、まいまいとななみんがいるこの時期が「ワンオブザベスト」に入るのは間違いないでしょう。
まいまい卒業寸前の『NOGIBINGO!6』でのメンバーのビジュアルは本当にとんでもなく素晴らしいです。これ書いちゃうと論旨がずれますが笑
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やはりこの人、橋本奈々未
そしてもうひとつ。
この曲、個人的には「あらかじめ作られた乃木坂の解散シングル」だと思っています笑
想像してみた 10年後の自分
こんなセンチメンタル全開のフレーズで始まるこの曲。
MVで描かれるのは「乃木坂後」のメンバーの姿。
ただ星野みなみと齋藤飛鳥が学生服なので少なくとも「10年後」ではないですね笑
彼女たちは離れ離れで、それぞれの場所でそれぞれの時間を生きています。
明らかに芸能界に残っている描写なのは生駒里奈、生田絵梨花、そして松村沙友理の3人だけ。他のメンバーは一般人に戻っているような日常が描かれています。
そしてその中でも異彩を放つのがやはりこの人。
橋本奈々未。
彼女のいる場所はコインランドリー。
生活感。
ななみんのシーンだけ、それがあるのです。
ずっと前から、卒業する時は芸能界引退と決めていた。
だからあえてこんな生活感を醸し出すシチュエーションでの撮影を選んだんじゃないか。
他のメンバーたち(どこかスタイリッシュな日常を切り取ったイメージ)との対比でそんな幻想を抱かせるのも彼女ならではですね。
その時2人 友達のままで
冗談言いながら 生きていられたらいい
既に歌唱メンバーの過半数が卒業している現在、この歌詞を聴くとそれだけで切なさを覚えます。
この曲が出た2015年夏。
全ツファイナルの神宮球場で桜井玲香が叫びました。
絶対皆さんを後悔させないようなグループになります!
どこにも負けないようなグループになります!
なので乃木坂のことを愛し続けてください!
まだ紅白もレコ大も東京ドームも知らない、坂の途中にいた彼女たちの記憶です。
そしてあれから5年近くが経った2020年春。
再びこの『羽根の記憶』が脚光を浴びます。
配信ドラマ『サムのこと』で4期生5人(遠藤さくら、掛橋沙耶香、金川紗耶、田村真佑、早川聖来)が演じる解散したアイドルグループ「ホワイトベアーズ」のデビュー曲としてこの曲が使われたのです。アイドル時代のMV、さらに解散後に当時を思いながらカラオケで歌うというシーンもあります。
美しさの極みにあった2015年の乃木坂が10年後の自分たちを思って歌ったこの曲を、当時を知らない後輩たちが5年後に歌う。劇中でアイドルとして、そしてアイドルでなくなった者として。
このシチュエーションもかなりグッとくるものがあります。
これについて本気で語りだすとかなり長くなりそうなので、いつか『サムのこと』に関する記事で書きたいと思います。
◇
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過去に当ブログに掲載した記事を再構成し加筆したもの。
総文字数84,000文字、加筆部分だけでも10,000文字以上のボリュームでブログをご覧になった方にも楽しんでいただけることと思います。
「今にして思うこと」は各章の末尾に「追記」という形で新たに文章を加え、さらに書き下ろしとして4期生の初冠番組であった『乃木坂どこへ』を振り返っています。
リンク
『2019年の乃木坂46』 kindle版
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こちらは総文字数10万文字、加筆部分だけでも22,000文字以上のボリュームです。
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コメント
コメント一覧 (2)
乃木坂の全盛期の作品の一つとして羽根の記憶、つまり太陽ノック〜ハルジオンにかけてという感覚は凄く分かります。
個人的に定義したいのが、乃木坂の黄金期は「生駒ちゃんという存在から解放された」2015年から、「橋本奈々未という空前絶後のアイドルが引退した」2016年までの約2年間程かなと思います。
ではそれぞれをどの時期と定義するか、まず後者は明確でこれはサヨナラの意味の活動期間に一致します。
では前者の時期をどう定義するか。生駒ちゃんの存在感は初期乃木坂の象徴でもあって、一方で乃木坂の握手会の結果に左右されないある種の作品性を持った乃木坂時代の象徴でもあると思います。それが脱却し始めた時期は乃木どこが終わった時期でもある2015年の11th期間なのかなと。次の太陽ノックで生駒ちゃんがセンターに返り咲いた時に自分は乃木坂を知らなかったのですが、当時のファンの反応からして明らかに生駒ちゃんの時代は終わっていたのだなと実感します。一方でそれを具現化した13th選抜はまさに生駒ちゃんからの脱却を明確に表したシングルだなと。となるとその前段階、おそらく映画公開の前後にはもう乃木坂はそれまでとは別グループとなっており、そこから橋本奈々未の引退まで乃木坂は独自のルートでファンを急激に拡大させ、その頂点が2017年の白石写真集の大ヒットに繋がるのかなと。
そう考えると12th〜16th期間辺りこそ乃木坂の全盛期であり黄金期、そしてあれから5年以上経った今もなお多くのファンがその幻影に目を奪われいる。それだけの功績があの時代のグループにはあったんじゃないかと思います。
これから3期〜5期の世代がどこまでこの黄金時代の乃木坂に近づけるのか、これからのグループの見どころはそこになるのではないかと思いました。
SoL
が
しました
深川麻衣さんは間違いなく乃木坂の重要メンバーの一人であり、グループを語る上で欠かせないメンバーだと思います。
ただ個人的に振り返って感じたのが、この深川麻衣さんの卒業期間の雰囲気と橋本奈々未さんの卒業期間の雰囲気がまるで別物だという事です。
ハルジオンから深川麻衣さんの卒コンにかけて、グループには重要メンバーの卒業という悲壮感があまり感じられませんでした。まいまいという御三家より学年が2つ上のいわば「グループの聖母」としての存在が、御三家の創り上げるグループを上から優しく見守っているような、母親のような存在であったのかなと。だからこそまいまいの卒業は悲しむものではなく、むしろ御三家が筆頭となってまいまいを送り出してあげる、そうした側面が強かったのかなと見ていて感じます。
まいまいの卒業は「母親の卒業」であったのに対し、比べてななみんの卒業はまさしく「長女の卒業」であったのかなと思います。
何も決してまいまいの存在を軽んじるつもりは毛頭ありません。ただななみんという存在がそれだけ大きかったというのと、グループの雰囲気やストーリーというのは人の手で作られるものではないという事が改めて感じられた時期だったと思いました。
SoL
が
しました