
26thシングルの持つ重い意味
たぶんこれが正解なのでしょう。
新センター、山下美月。
この決定に至った経緯を私なりに推測してみます。
まず、今回の候補者は6人。
写真集で突出した売り上げを叩き出し、人気の裏づけとなる数字がある4人。
生田絵梨花、齋藤飛鳥、山下美月、与田祐希。
そしてエース候補として順調に支持を広げている4期生の遠藤さくら。
その彼女と並び立つ堂々の4期ツートップの地位を確立した賀喜遥香。かっきーには『I see…』のブレイクという追い風もありました。
前作『しあわせの保護色』では白石麻衣卒業シングルで1期生全員集合の例外的な選抜、その後リリースされた配信シングル『Route 246』は飛鳥センターで左から与田生田遠藤賀喜というフロント。
後の記事で詳しく書く予定ですが、この曲はかなり「超選抜」感の強いものでした。
それらを経て発売される26thシングル。
そのセンターにかかる重圧はこれまでの比ではありません。
白石麻衣卒業コンサートという大きな大きなひと区切りがついた、乃木坂のリスタート。
だけでなく、コロナの影響により次のシングルはほぼ間違いなく売り上げが減少、それも恐らく「激減」といっていいほどのダウンが想定されます。
なぜなら個別握手会がオンラインでのトーク、いわゆるミート&グリート(以下「ミーグリ」)になり、全国握手会も行なえないため。
(ちなみに先に発売した日向坂46のアルバムはこれまで同様の抽選での各種グッズプレゼントに加え、全国握手会の替わりであろう「2枚で全員当選の配信ミニライブ視聴権」。櫻坂46のシングルは記事作成時点ではまだ「応募特典シリアルナンバー」であり、特典内容は発表されていません)
ファンからすれば「そりゃこの状況じゃ減るよね」としか思わないことであっても、実際に売り上げの数字が出ればネットニュースで「握手会商法の現実が露呈」的な見出しが躍り、ここぞとばかりに叩いてくる輩が現れることでしょう。
あるいは「白石麻衣の卒業により乃木坂は終わった」的な悪意に満ちた記事も出てくるかもしれません。
26thシングルのセンターを担うとは売り上げダウンとそれにまつわるこうした非難の矢面に立つということなのです。
これはキツい。本当にキツい。
この時点でまだまだ売り出し途上である4期生のふたりは候補から消え、候補に浮上するのは生ちゃん。
「奥の手」であり「ジョーカー」。
人気、実力、実績すべてグループ屈指。ある意味「誰からも文句の出ない」センター。
10th『何度目の青空か?』以来、6年ぶりという話題性もあります。
そして揺るがぬ信念を持つ彼女なら、売り上げ激減に直面しても「この状況ではやむを得ないですね」とブレずに受け止められるでしょう。
しかしここでもうひとつの要素があります。それは次のシングルが持つ重要な意味。
白石麻衣卒業後の一発目。
世代交代をアピールするのであればここしかないというタイミングです。
それを考えると1期生である生ちゃんをセンターにするのは決して上策とは言えなくなり、同じ理由で「現状維持」を印象づける飛鳥もなくなります。
残るは3期生ふたり、今年どちらも写真集を大ヒットさせた与田祐希と山下美月。
今回のセンターにかかるプレッシャーに耐えうるメンタルの強さ。
さらにWセンターとはいえ18th『逃げ水』でそこに立った経験があるよだっちょではなく、「変革」を印象づける初センター。
そういう判断が働いた結果、山下美月という結論に至ったのではないでしょうか。
46時間TVの記事で私は彼女についてこう書きました。
かつて橋本奈々未が醸し出していた「言葉にはしないけれど乃木坂のためなら身体を張る」感を思い出させます。
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運営から今回のセンターにまつわる状況を説明されても
わかりました、泥かぶればいいんですよね?
そう言ってニコッと笑いそうな凄味が今の美月にはあります。
実際に『乃木坂工事中』番組内でのコメントは冷静に状況を把握したもの。
「これから乃木坂がどうなっていくかとか
どういう風に戦っていくかみたいなのを
本当にしっかり考えなきゃいけない時期」
そして早々に出したブログの文章も100点でした。
「私は乃木坂がずっと変わらずに
皆が笑顔になれる場所であってほしいと思うけれど
現状維持ということがこの世界ではそう簡単に上手くはいかない事も理解しています」
「どうか温かい気持ちで
私たちと一緒に
これからの乃木坂を創ってくれませんでしょうか?
今の私たちには
皆様のお力添えが本当に必要です」
どうです。応援したくなりませんか。
山下美月は全部わかってるんです。
ファンの多くが乃木坂に変わってほしくないと思っていること。
でも1期生の卒業が相次ぐ中で否応なしに「変わってしまう」ことを。
白石麻衣卒業直後のこのタイミングで1期生以外のセンターを立てるのがベストの判断であることも。
そしてそこでセンターに立つ人間が変化の象徴として、1期至上主義のファンから激しく攻撃されるであろうことも。
全部わかったうえでその場所に立つ彼女を、私は応援したいですね。
そんな美月だからこの難局も大丈夫、と周囲もつい安心しがちかもしれません。
ただ、彼女が初センターであることも忘れないでほしいです。
まあ、運営もそれをわかっているからこそ同期ふたりを左右に配したのでしょう。
盟友・久保史緒里と3期のキャプテン(そんな役職はないですが笑)・梅澤美波。
乃木坂愛ということでは人後に落ちないふたり。
そして「わかってる」ふたりでもあります。
率直に言って個人としての人気では少なくとも先にあげた生ちゃん、飛鳥、よだっちょよりは下と思われます。でもこの難局において新センター美月を潰さないためにはどうしてもこのふたりが必要だったのでしょう。
さくちゃんが初センターを務めた『夜明けまで強がらなくてもいい』の時期に「かっきーとあやめんが一緒にいてくれたから頑張れた」と発言していましたが、それと同じです。
3人で、いえグループ全体が一塊になって支え合うべき「いつか」。
それはきっと今なのです。
色々書いてきましたが最後にもうひとつ。
ここで「よだももとくぼしたの物語」が新たなフェーズを迎えることになります。
24thシングルで私はくぼした=久保山下のWセンターを希望していました。
その記事で書いた「ストイックなエリート(くぼした)が雌伏の時を経て無垢の天才(よだもも)に再び並び立つ」時。それが今回ようやく訪れました。
この4人の織りなすライバルストーリーは、きっとこの先も乃木坂の物語のひとつの軸として転がり続けるのでしょう。
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