
イメージの重ね方
今回の4期は一番難しい立場だったと思います。
前の記事で書いたように個人的にはこの日のライブも楽しかった。
ただ、翌日の3期生をはじめとした先輩たちと比べてしまうと…キツい言葉を使えば「どこか焦点が定まらないライブ」でした。
いや、これは語弊がありますね。
そもそもほとんどのアーティストのほとんどのライブで焦点なんか定まっていません。
あくまでも9thバスラにおける1~3期が、それぞれが強い想いとテーマを持って臨んだ先輩たちが特別だったんです。
それに対し4期生はつい5ヶ月前に行なったばかり。
ましてその2020年12月の4期単独ライブが非常に良かった。
私もレポで「素晴らしく後味の良いライブ」と書いています。
あの日のテーマは「新4期生の融合」でした。
そして中元日芽香のソロ曲『自分のこと』をはじめとした「攻めた」ユニットコーナーの選曲で「4期生が乃木坂の歴史の一部となる覚悟を決めたライブ」でもありました。
しかしこの日は明確な方向性が見出しにくい状況。だからこそ「継承」というテーマを(恐らく運営側から)掲げて、「歴史体験コーナー」で過去のライブ演出を追体験させたのでしょう。
実は2年前の横浜アリーナでの4期単独ライブのレポで、私はこんなことを書いています。
運営は、4期を1期推しのファンの受け皿として考えています。
だからこそ骨格(=引きでのビジュアルイメージ)が1期生に近い4期生に、1期のたどってきた道のりを重ね合わせることによって「正統後継者」として印象づけ、一定ボリューム存在すると思われる1期至上主義のファンをつなぎとめようとしているのでしょう。
古参オタの方々は、この先も4期曲やライブなどでなされるであろう1期にイメージを重ねる演出を探してニヤニヤするのも楽しいかもしれません笑
当時はこんなに思いっきり宣言してから「1期にイメージを重ねる演出」を繰り出すとは思ってもみませんでしたが笑
ただ、この日の演出は正直微妙でした。
下駄ップはただただメンバーが大変そうですし、UV手袋やバイシクルは「いや顔が見たいんじゃ!」って感じですし。
そもそも全ツのこの手の演出ってどちらかというと「箸休め」的な印象です。2015年の『太陽ノック』ストンプVer.とか。
そしてちょっと余談になりますが、コーナー前の煽りVでネタバレまでしちゃうのが残念でした(無観客配信ライブになってから毎回そうなんですけど)。全員の衣装チェンジの時間をVで埋めるのは仕方ないんですが、ほのめかしまでで止めてほしいかな。個人的には「イントロでどよめきたい」派なんですよ。
話を戻すと、結局のところ「同じライブ演出をする」ことがイメージを重ねることじゃないんですよね。
あの頃をフラッシュバックさせる瞬間、記憶のトリガーを引く「何か」。それが目の前に現れた時にファンの琴線に触れて過去と現在が重なるのだと思います。
そういう意味で翌日の3期生がやった「過去の衣装を着る」というのは正しく正面からそこに切り込むアプローチでした。
その延長線上になりますが、個人的に凄く観てみたいのが過去の制服を着て4期生がライブをする姿。
例えば『セカラバ』を予告なしにいきなり『ガルル』制服でやったらめちゃめちゃ格好いいと思うんですけど。あの白い制服を着た4期がドン!と前に出てきたらMVがフラッシュバックして痺れますよね。
白を基調にした『ガルル』『太陽ノック』、緑が珍しい『何空』、ちょっとシックで乃木坂感の強い『話誰』『いつでき』とかいいですね。あとは『バレッタ』も好きかな。
過去に「筒井あやめ制服コレクション」なんてのもありましたが、ぜひ他の後輩たちにも着せてあげて欲しいです。
一応、他にライブ演出で4期に追体験してほしいものは…と考えてはみたんですが特に出てきませんでした。「生ちゃんがさらわれる」ぐらいかな笑
むしろ思いついたのは演出じゃなく「雨の神宮」でした。実は2019年神宮初日で経験してますけど。
また余談になりますが、やっぱ自分の中では乃木坂って「雨」なんですよ。
『ごめんねFingers crossed』のMVでも歌衣装でのダンスシーンが強い雨の中でした。
待っても止まなかったため仕方なくそのまま撮影したそうですが、さすが乃木坂って感じです。
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It’s gonna be alright
もうひとつ書いておきたいのが『日常』。
「パフォーマンスの向上を見てほしい」とVでコメントしてから披露されたこの曲。
ただ、やはり厳しかった。
それがあの2018年末のアンダーライブ東京公演のド迫力のパフォーマンスも観ている私の偽らざる感想です。
でも別に非難しているわけではありません。
単純にあの曲に込められた感情の爆発を表現するのはまだ4期生には難しかった。それだけのことです。
北野日奈子や久保史緒里をして「ギアがいっこ上がる」と言わしめる曲に挑むその意気やよし。
力不足でもなんでも、挑まないことに始まらない。
現在地を認識することが次へ進むための第一歩です。
4期生も加入からはや2年半が経ちました。
しかしコロナで2020年は失われ、まだその影響は続いています。
そして1年ちょっとキャリアの短い新4期の存在も話を複雑にしています。
それでも、フレッシュさやひたむきさ「だけ」で押し切れる時期はそろそろ終わりに近づいているのでしょう。
この日のライブにどこか物足りなさを覚えたとしたら、それは4期生たちのステージが進んだということです。
言い換えれば、観ている側の期待値が上がった。
彼女たち自身もそれを認識しているようです。
ライブ後のブログでは多くのメンバーが感謝や喜びと共に「反省点が見つかった」と書いています。
岩本蓮加も翌日の3期生ライブで言っていました。
「決められたことをそのままやることが当時の正解だった」
「でも今では決められたことを守りながら、どうすればより綺麗に見えるかとかどう自分の個性を表現できるかを考えている」
まさに今、4期は「決められたことをそのままやる」ことから次の段階へ進もうとしているんです。
乃木坂になれた嬉しさから、乃木坂であることの責任へ。
全員一丸となってがむしゃらにやることから、それぞれの特徴を出すことや完成度を高めることへと。
先輩たちと同じ道を今4期生が歩いている。
それが「継承する」ってことですよね。
焦らずに、ここを乗り越えてきた先輩たちのアドバイスを受けながら進んでいってほしいと思います。
◇
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