タオル補正
2021年5月16日、公式ブログ内で伊藤純奈さんが卒業を発表しました。

ついにスイカも全員卒業ですね…

アイドルとしての苦闘


簡単に彼女の経歴を振り返ります。

2013年3月、2期生として乃木坂46に加入。5月に『16人のプリンシパル deux』と『乃木坂って、どこ?』でお披露目。

当時は「金平糖、こんぺ伊藤!」というキャッチフレーズを使っていましたが、まあ1期2期の多くのメンバーが経験している初期のキャラクター迷走黒歴史ですね。乃木坂において「キャラ」というものがさほど意味を持たないことが判明するのはずっと先のことです。

アンダーライブにはまだ研究生だった1stシーズン(初の有料ライブとなったブルーシアター公演です)から参加。「ずんな」という現在では誰も使っていないニックネームもこの頃についたものと記憶しています。

2期生の中で正規メンバーに昇格するのが最後だった、いわゆる「ボーダー組」のひとり。
その全員の昇格が発表されたのは2015年2月、極寒の西武ドームでのことでした。

しかしその後もグループ内でのポジションは思うように上がりませんでした。

各パーツの大きいはっきりした顔立ちに長身。いわゆるアイドル的なビジュアルではなく、「華奢で儚げ」という乃木坂のメインストリームとも少し違う個性の持ち主のずんな。勝手なイメージですが宝塚の男役の方に近いのではないでしょうか(詳しくないので違っていたらすみません)。
つまりどちらかと言えば男性より女性に人気が出そうなタイプ。

握手人気はそれほど高くなく、その完売速度が選抜入りしているメンバーに匹敵するレベルに達することはありませんでした。

正規メンバーに昇格した12thから27thまで16枚のシングルに参加したものの、結局選抜入りは一度もなし。

アンダー楽曲でもほとんどが3列目。2列目は18th『アンダー』20th『新しい世界』の2回。フロントは卒業発表後の27th『錆びたコンパス』だけ。

在籍8年。
率直に言って、アイドルとしては代表作と呼べるものはありませんでした。

舞台女優としての輝き


しかし加入から3年半が経った2016年10月、彼女は大きな転機を迎えます。

舞台『墓場、女子高生』。

いわゆる「グループ内舞台」です。
しかし前年の『すべての犬は天国へ行く』同様に、既存の優れた戯曲を舞台経験があり演技力に定評のあるメンバー(※)を中心とした布陣で演じるという「本気度の高い」舞台でした。
※伊藤万理華、井上小百合、能條愛未、樋口日奈ほか。当時は全員がアンダーだった

そんな中、これが初舞台だったずんな。
彼女が演じたのはオカルト部の部長・武田。

実はこの武田、ぶっ飛んだコスプレをする出オチキャラだったんです。
正直、初舞台の演者に任せるのは少々酷な役。

しかし彼女はそれを実に堂々と演じ、それだけでなく強烈な存在感まで発してみせました。

驚きでした。

濃いメイクが映える顔立ちに凛とした立ち姿。
そして太く、かつ通る声。

「アイドルっぽくない」彼女の個性が、舞台上ではそのままストロングポイントになったのです。

ついに自分の居場所を見つけたずんな。

これ以降彼女は定期的に舞台に出演するようになります。

個人的に劇場で観劇したのはこの『墓場』のみですが、『三人姉妹』『七色いんこ』『セーラームーン』はCS放送で観ました。

中でも特に『三人姉妹』は良かった。
登場人物全員が大仰で誇大妄想でクレイジーなロシア悲劇にバッチリはまっていました。
ビジュアル的にも「外国の上流階級(没落含む)」役が似合うんですよね。

舞台で磨きをかけたその歌唱力によりライブでは「歌メン」として重用され、特に8thバスラでは大活躍でした。個人的には西野七瀬ソロ曲『釣り堀』を歌ったのが印象深いですね。

最強の包容力


そしてずんなを語る上でもうひとつ外せないのが

乃木坂史上最強のモテ男。

彼女に対抗できるとしたら若月佑美ぐらいでしょうか。

個人的に衝撃だったのが『乃木坂工事中』の2期生バレンタイン企画。

膝を叩いて「おいで!」と齋藤飛鳥を招き、嬉々として膝の上に乗ってきた飛鳥ちゃんの頭をなでるというシーン。
あの飛鳥ちゃんが完全に手なずけられている!…いや当時はまだ末っ子キャラでしたけども。でも番組内でメンバーに甘える姿を見せたいタイプではなかったので凄く驚いた記憶があります。

こんな彼女の男前キャラ(後に「酒豪」も)は徐々に冠番組などで明らかになっていき、いつしかずんなは「乃木坂一のモテ男」と呼ばれるようになります。

彼女の高いコミュニケーション能力は加入前から備わっていたもののようです。
正確な表現は憶えていないのですが、学生時代は「自然と周囲に人が集まるお姫様(お嬢様かも?)」キャラだったと語っていました。

そして多くのメンバーが彼女の「人を包み込む優しさ」について証言しています。

きっとその包容力でこれまで多くのメンバーを助けてきたのでしょう。
決してグループ内での序列は高くなかったけれど、乃木坂に安定感をもたらしてくれた存在のひとりだと思います。


最後に彼女の今後について。

まあ卒業後も舞台女優として活動していくのは間違いないでしょう。

『三人姉妹』のマーシャが非常に良かったのでまたちょっと悪い女の役をやってほしいなあ。明らかに間違っていて周りに迷惑をかけているんだけど自分の信念を貫いていてなぜか魅力的な女性。

って書いていて連想したのがスカーレット・オハラだったんですが笑
まあスカーレットはいわゆる「悪い女」とは違うと思いますが、ずんなには凄く似合うと思います。観てみたい!

乃木坂メンバーとしては珍しく「俳優さん目当てで観に来た女性ファンを自分のファンにできる」タイプの彼女。

ぜひこれからもいい意味で演劇ファンを「え!この人、元乃木坂なの?」と驚かせてほしいです。

伊藤純奈さん、8年間お疲れさまでした。


note上で乃木坂46に関する有料記事を公開しています。どちらも無料で読める部分がありますのでぜひご覧ください。

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当ブログに掲載された記事を再構成し加筆したもの。総文字数10万文字、加筆部分だけでも22,000文字以上のボリュームでブログをご覧の方にも楽しんでいただけることと思います。