タオル補正
2021年7月22日、『乃木坂配信中』のライブ配信内で高山一実さんが卒業を発表しました。

笑顔の軌跡


デビューシングルから全作で選抜入りした最後のひとり。
結成当初から卒業までずっとグループ内で存在感を保ち続けたメンバーですが、ことシングルでのポジションという意味では割と不思議な推移をしました。

定位置は上手(向かって右)の端。
11thシングルまでで3列目の上手端がなんと6回。2列目の同じ位置が4回。残り1回も3列目の右端から2番目でした。

お見立て会で自己紹介しながらずっとマイクを持っていない方の手で肘をこすっていたため、ついたあだ名が「肘こすり一実」。その独特のキャラクターでその日の握手人気は白石麻衣と並び1位と見事なスタートダッシュを決めます。ちなみにその時に西野七瀬に並んだのはたった3人だったというのはあまりにも有名。

勢いそのままに『乃木坂って、どこ?』ではバラエティ担当として番組開始当初から活躍。
白石麻衣・松村沙友理と共にHK3(日村嫌いスリー)の一角を担い、初期の序列としては御三家と生生星に次ぐぐらいの位置にいた印象です。

実際にお姉さんユニット(『偶然を言い訳にして』『でこぴん』)や白石麻衣とのWHITE HIGH、そして『せっかちなかたつむり』等々、多くのユニット曲に参加していました。

シングルでのポジションもデビューから3作連続で2列目。
さらに最初のプリンシパルでは「最強」生田絵梨花にただひとり肉薄する結果を出します。

裏声で「16番、18歳、高山一実です!」と言うだけで会場が笑いに包まれ「声楽を習って裏声で歌っているうちに普段の声まで裏声になってしまいました!」で爆笑。
この強烈なインパクトの自己PRに、50音順で彼女の次だった中田花奈が毎日心をへし折られていたため途中から順番がランダムに変更されたほど。

しかしプリンシパル直後の『制服のマネキン』選抜発表で、彼女は最初に呼ばれます。
つまり、3列目端へ後退。

プリンシパルが、あの地獄が何の意味もなかった。
かずみんはもちろん、多くのメンバーが(なんなら秋元真夏の復帰即福神よりも)衝撃を受けたといいます。

そしてこのあたりから彼女の握手人気は相対的に下降していきます。(28thシングル特典映像の『Documentary of Kazumi Takayama』で本人も語っていた通りです)
松村沙友理の記事でも書いたのですが「真夏ショック」により多くのメンバーの握手対応が向上した結果、人気で先行していたメンバーがやや後退するという現象ですね。

 

また「ビジュアルの乃木坂」において基本的にバラエティメンは人気面で苦戦していました。今もその傾向はありますが、当時はさらに強かった。

これはリアクションを取るときにどうしても「顔が崩れてしまう」こと、そしてファンの中に「AKB的なもの」(この場合はバラエティでガツガツ行くこと)に対する否定的な見方が根強かったことが関係していると思われます。

結局、かずみんの握手人気は10番手から選抜ボーダー前後で落ち着きます。
にもかかわらず『太陽ノック』から『逃げ水』までは7作連続で福神。しかも16th『サヨナラの意味』ではフロント。

彼女が目に見える人気指標では最も苦戦していた時期でしたので当時は正直大いに疑問でしたが、今になってみれば周囲に笑顔と安定をもたらす彼女の働きは選抜に不可欠という運営の判断もわかります。

ですからこのフロント起用は運営の「高山は選抜から外さない」という意思表示だったのかもしれません。

ポジティブキャラですが決して生まれつきポジティブというわけではない(少なくとも私にはそう見えます)彼女に自信を持たせるため、高い評価をポジションで明確に伝えようとしたのではないでしょうか。

彼女自身も徐々に外仕事で実績を積み上げていきます。

2016年から「ダ・ヴィンチ」誌上で小説『トラペジウム』の連載を開始。
2018年に単行本化され累計発行部数25万部を超える大ヒット作となります。
(23rd『Sing Out!』でフロント復帰したのは『トラペジウム』の大ヒットご祝儀でしょう)

そしてクイズ番組にも数多く出演。さらに2018年春の『オールスター後夜祭』をはじめとしてMCとして起用されることも増えていきます。葛藤しながらの「バラエティ担当」が後に「タレント」として開花するために必要な助走期間だったのかもしれません。

こうして外部の仕事で着実に結果を出してきた彼女。
シングルでのポジションこそ相次いで選抜入りする3期生と入れ替わる形で3列目へ後退しましたが、グループ内での地位は不動のものとなりました。

そして27thシングル『ごめんねFingers crossed』ヒット祈願で付き添いとしてついていったバンジージャンプでの「今後のために飛んどいたほうがいいのかな」と発言。個人的にはここで「ああ、もう卒業が決まっているんだな」と思いました。


「日本でいちばん優しい女性」


美脚女王で美人顔。
なのに冠番組でも猛烈に気合の抜けた顔面(すいません)をしていたり人中をいじられたり。

でも、そんな大らかさこそがかずみんの最大の魅力ですよね。

『乃木坂工事中』の「内輪ウケものまね大賞」で誰よりもマネされた彼女。

和田まあやにノーズシャドウを誇張しすぎモノマネされたり、白石麻衣に楽屋でエピソードトークをする時に手がうるさい姿を真似されたり。この時に思いっ切り足を開いていたのが印象深いです。

これもメンバーに愛されていることのひとつの証ではないでしょうか。

いいやつ。男前。

罰ゲームを代わってあげる。まいやんの代わりに電気ナマズを触り、ひめたんの代わりに電気ビリビリコイン立てをやる。

桶に入れた水を背負って神社の階段を上るという『いつかできるから今日できる』のヒット祈願。一緒に行った秋元真夏と星野みなみの倍の量を一度に運ぶ驚異的な体力を見せつけ「辛さが伝わらない~!」と言われていたのも印象深い。真夏さんが転んで水をこぼした時に「わざとじゃないんでしょ?」と何度も確認していたのも面白かった。

あとはやっぱり『乃木坂工事中』の体力テスト内での棒高跳びですね。

西野七瀬に「かずみん絶対背中からいってよ!」と言われて「わかった。私はこれから絶対背面跳びしかしない」と決心。背中を向けながら助走するという謎のムーブを繰り広げバナナマンのふたりから「そんなやついねえよ!」と総ツッコミを受けます。
しかしその5年後、再びチャレンジした彼女は謎ムーブのまま見事クリアし憧れを現実にするのです。いや書いてて思ったけどこれ全体的にどういうことだ笑


そして個人的にかずみんで一番好きなのが

 かぁわいぃ~!

という『乃木坂工事中』内でのガヤ。

3期4期(そして星野みなみ笑)がバナナマンにコメントを振られたり企画にチャレンジした時によく発していましたが、彼女のこれは抑えられずに思わず声が出てしまった感が抜群でした。

そう言ってもらえて自信を持てたり、完全にすべった場面でもこれと設楽さんの「いや可愛いとかそういうんじゃなくて」のセットで場が収まったりとか。

本当に、これに救われたメンバーは結構多いと思うんですよ。

ちょっと話がずれますが、やっぱり1期生は初期にバナナマンに鍛えられた部分が大きいですよね。

よく同じガヤを入れていた生駒里奈や松村沙友理も卒業し、現役では真夏さんと新内眞衣ぐらいしか残っていません。

ぜひ梅澤美波や久保史緒里、そして賀喜遥香、田村真佑、早川聖来あたりがガンガン「かぁわいぃ~!」を言えるようになってほしいです。
吉田綾乃クリスティーや林瑠奈、松尾美佑、矢久保美緒といったガチの「可愛い女の子大好き勢」が心から言うのもいいですね。

『乃木坂スター誕生』で遠藤さくらの『ラムのラブソング』に「かぁわいぃ~!」の声を上げていたのはたぶん清宮レイかな(田村真佑かも)。


最後に彼女の今後について。

小説を書きつつ現状の外仕事を続けていくというかずみん。

まっつん曰く「10年後のかずみんはタワマン最上階に高級車3台で犬4匹飼ってて凄い毛皮のコートにミニスカ履いてバーキン持ってる」らしいので笑、タレントとして成功して番宣で来たOGたちとわちゃわちゃ絡んでほしいですね。


かつてドキュメンタリー映画『いつのまにか、ここにいる』で彼女はこう語りました。

 どのメンバーも最後にもの凄い光を放って卒業していく

かずみん、あなたも同じです。

高山一実さん、10年間本当にお疲れさまでした。

乃木坂の暖かい雰囲気をずっと支えてくれてありがとう。



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