びーむ色調補正3

まるでアンダラの座長のように


前の記事でも書いた通り、この日のオープニングから思いっきり「さっきまで泣いていた」顔で出てきた遠藤さくら。

この時の涙の理由について記事作成時点では誰もコメントしていないので正確なところはわかりません。

ただ、メンバーたちはずっと彼女を気にかけているように見えました。

そばにいる時は常に彼女に優しく触れていた齋藤飛鳥や『I see…』で最年少の筒井あやめが彼女を気遣って手を取る姿は心暖まるものでした。

そしてさくちゃんは最新シングルのセンター=座長として、慣例に倣い本編ラスト前に口を開きます。

 グループに貢献できていない、情けなくて弱い自分が本当に悔しいです
 先輩方が築き上げてくださった乃木坂46が大好きです。私も早く力になれるように追いつきたいです

何度も顎にしわを寄せ泣くのを我慢しながら絞り出した言葉。

そこから披露された『ごめんねFingers crossed』での彼女はちょっと衝撃的でした。

「曲の世界に入り込む」の真逆。
「そこにある曲に今の自分の感情を叩きつける」パフォーマンス。

私は以前、遠藤さくらの魅力についてこう書きました。

 あざとくない「守ってあげたい感」。そして覚悟を決めた時に見せるその強さ。

 プリンシパル唯一の二幕出演での渾身の演技、富士山でのヒット祈願。
 2019年全ツ大阪での『夜明け』の初披露。8thバスラでの『帰り道は遠回りしたくなる』。

 逃げ出しそうになる自分を懸命に抑え込んでその場所に立ち光を放つ彼女の姿を何度も見てきました。

 己の弱さを知りながらそこから逃げない強さ。これこそ遠藤さくらの真骨頂であり魅力だと思います。

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でもこの日は少し違いました。

加入当初から「エース候補」「4期センター」といういわゆる押されルート。多くのアンチがつくその過酷な立場。
それゆえに、これまでの彼女には自分の感情を押し殺し覚悟を決めて求められている場に立ち役割を果たすという印象が強かったように思います。

そのさくちゃんがこの日、生の感情をむき出しにして叩きつけた。

こんなのもできるんだ。
正直、驚きました。

アンダラの座長たちが見せてきたようなその感情の爆発。
それはとても危うくて、同時にもの凄く魅力的でした。

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美しき人たちの日々


この日、個人的に一番印象に残ったのは最初のMCで新内眞衣の語った言葉でした。

 バースデーライブとか振り返る機会で語られる乃木坂46の歴史が毎回美しいなと思う
 だから後輩である私たちもその美しい歴史が続いていけるように頑張れたら

「美しい」。
普通、自分たちに向けては使わない言葉ですよね。
そしてとても強い言葉。

そりゃ乃木坂だって色々あっただろうけれど、それでも内部がドロドロしてたら決して出てこない言葉だと思うんですよ。

だからメンバー自身がこう表現できる、そのこと自体がとても素敵ですよね。

そしてこの言葉に込められた1期生への溢れんばかりのリスペクト。

先輩たちともすっかり違和感なくなじんで既にゼロ期生とも1.5期生とも称されるまいちゅん。そんな彼女が不意に見せたそれに、なんだか観ているこちらまで嬉しくなりました。

ちょっと蛇足ですが、アンコールで齋藤飛鳥が語った言葉も良かったです。

 プライベートで乃木坂の曲を聴くようになった
 ちゃんと積み上げてきてるんだなあ、私たち

あの飛鳥ちゃんが自分たちを堂々と肯定できるようになったというのは、やっぱりなかなかグッとくるものがありました。


乃木坂46が美しい物語だという感覚。
それは結成当初から見てきた私にもあります。

10周年を超え、その物語がこの先も美しく続いていくことを心から願っています。

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