びーむ色調補正3
前の記事では全体の印象を書きましたが、こちらではこれがラストライブとなった大園桃子について。

思い出すのは生田絵梨花壮行会


この日のライブ本編はあくまでも全ツのいち公演であり、アンコールからが桃子の卒業セレモニーという体裁。

しかし、もう最初からメンバーたちの彼女に対する愛が溢れて止まりません。
さながら「桃子スペシャル」の様相です。

思い出すのはプリンシパルtrois千秋楽のこと。

生田絵梨花が受験による活動休止前ラストとなったあの日。
一幕も二幕もそこかしこで彼女に対するエールが送られ、ステージ上の誰もが「頑張れ、生ちゃん!」というメッセージを送っていたあの日。

なんかこれもう「生田絵梨花壮行会」だな。もはやプリンシパルが壮行会の出し物みたいだ。

しみじみ乃木坂の暖かさを感じたあの日と、同じ感覚。

6年も経ってメンバーもほとんど入れ替わって、それでもなお同じ感覚を味わえる。
確かに受け継がれているものがあると感じられる喜び。古参の特権です笑


開演前のご当地メンバーコーナー。みんな大好きな「楽しい茶番」ってやつですね。
私も「これ必要なのか?平和か?」と思いながら微笑ましく観ていました。

そこで披露された「茶碗蒸しの歌」の時点で既にその魅力を炸裂させる大園桃子。

それを皮切りに繰り広げられたのは、誰もがみな彼女のことを想うそれはもう暖かい時間。

最初のMCから桃子との思い出を語るメンバーたち。
久保史緒里の横で涙をこらえる岩本蓮加。

いくつもの「桃ポーズ」。

そしてクライマックスはもちろん、『逃げ水』。

イントロでは泣くのをぐっとこらえる与田祐希。
サビ前の『月光』部分で手をつなぎ歩き出すふたり。
ふたりにしかわからない何かが彼女たちの間を流れ、そして最後に抱き合います。

よだもも。特別なふたり。最強のふたり。

続く『ガールズルール』、桃子の後ろで「3期」ポーズを取る岩本蓮花。

アンコール。
桃子からの挨拶に続き流れて来たのはあのアンセム。

特別で特別な曲『三番目の風』。

泣き崩れる岩本蓮加。クールなビジュアルで普段は感情があまり表に出ない(昔も今もゲラですが笑)彼女の桃子への愛、3期への愛。

この曲終わりに桃子が浮かべた「終わった…」という表情も素晴らしく印象的でした。

そして『やさしさとは』。

2018年全ツ、ふたりの思い出。語られる齋藤飛鳥の悔恨。

 なんで私の力で乃木坂っていいなって思わせられなかったんだろう。ずっと心残りでした

吉田綾乃クリスティーの「11人でもがんばる」コメントにはちょっと安心しました。

最後の最後、Wアンコールの『逃げ水』。
よだもものうしろで号泣する梅澤美波と久保史緒里。

この日だけでこんなにも忘れられないシーンを残し、彼女はステージを降りました。

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大切にしたいもの 一番目は何だろう?


この日のライブ。
最終活動日である9月4日には『乃木坂配信中』で「大園桃子から最後のご挨拶」を生配信。
そしてその中で公開された『思い出ファースト』のMV。
翌5日深夜の『乃木坂工事中』での「3期生 12人で最後の晩餐」。







大園桃子はこれ以上ないぐらい手厚く送り出されました。

あえて意地の悪い言い方をすれば、表面的には抜擢センターで華々しくデビューしたのに3列目まで落ちたメンバーですよ。

それでもほとんど批判的な声は聞こえませんでした。むしろ絶賛の嵐。

これだけ考えてもいかに大園桃子という存在が特殊だったかがわかります。

記録より記憶に残るタイプ、などという定型句では表現できません。
ファンはもちろん、彼女のアンチだった人たちも否応なく思い知らされたはずです。

そしてもうひとつ。
この手厚い送り出し方、その全てが5年間懸命に走り続けて今や乃木坂の太い幹にまで成長した3期生12人に対する運営からのプレゼント。

それが感じられたからこそ、桃子推しでも3期推しでもないファンが観ても感動的なものになったのではないでしょうか。

そして当の大園桃子はといえば。
卒業発表以降ずっと、観ているこちらが切なくなるほどのビジュアルの仕上がりでした。

みんなそうだ。

毎回思うのですが、卒業を発表すると乃木坂メンバーはみな透明になります。
透明感が増し過ぎて、現実味がなくなっていく。

桃子の場合は透明感などという言葉では表現しきれない、常軌を逸した「それ」でした。

話を戻します。

『配信中』、『思い出ファースト』MV、そして『工事中』。
そこでも新たな記憶に残るシーンが生まれました。

「卒業でわがままを聞いてもらえると思って」桃子が希望したからMVが作成されたという事実。

「クリスティーは泣くのが早いのいつも」というコメント。

MVのラスト。花火のあと、海辺でメンバーたちが歌い出します。

大切にしたいもの 一番目は何だろう?
そう歌いながら輪になって飛び跳ねる3期生たち。

ラララララ…
の部分で「ちゃんと歌うんだね」と笑う桃子。

『三番目の風』について
「桃子がいなくなったら誰が立ち上がるんだろうね?」
「みんなで立ち上がろう!」

そして彼女はこう語るのです。

 今が一番楽しい
 今なら明るく卒業できる


私は桃子が卒業を発表した際の記事で「物語が突然終わってしまった」と書きました。

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でもこの日のライブと『配信中』そして『思い出ファースト』のMVに『工事中』まで見届けて考えが変わりました。

よだももとくぼしたの物語は美しいフィナーレを迎えた。

今ではそう思っています。

天下を取ったわけでも王子様と結ばれたわけでもないけれど。

ずっと「乃木坂を知らない罪悪感」を感じていた彼女が、最後に「乃木坂になることができました」と胸を張り「私は乃木坂46が大好きです」と笑う。

こんなハッピーエンドありますか。


乃木坂46という美しい物語における、ひとつの章が幕を閉じました。


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