タオル補正
2021年10月25日、公式ブログで生田絵梨花さんが卒業を発表しました。

我らが至宝の軌跡を、数字の面から見てみましょう。

死角なし


まずはシングル表題曲におけるポジション。

デビューから27枚のシングルに参加。9thは学業のため活動休止しており不参加。
センターは10th『何度目の青空か?』1回。
それを含め25回の福神(=フロントないしは2列目)で福神を逃したのはわずかに2回。しかもそのうち1回はなぜか福神が5人だけだった8thでありポジション自体は2列目でした。
つまり3列目となったのは2ndのただ一度。

唯一の挫折と言えるその『おいでシャンプー』。

ただこれも(残酷ショーが盛り上がるという)AKB的な手法に凝り固まっていた初期の運営による、悪趣味な演出のダシに使われたというのが率直な印象です。
実際に選抜発表の『乃木坂って、どこ?』では1stでフロントだった生ちゃんの名前がラストから2番目でようやく呼ばれ、「悔しいです」と泣きじゃくる姿が番組のハイライトになっていました。

もちろん白石麻衣の全25作福神&18作連続フロントには及びませんが、それでもセンター1回、フロント15回、2列目10回、3列目1回という堂々たる数字。
ちなみにデビュー前の「暫定7福神」にも選ばれていました。


続いて、握手人気。

個人的には握手人気の推移って、初期はとにかく御三家が抜けた人気で4thあたりからはそこに西野七瀬と秋元真夏が加わった。そのふたり…というか特に真夏が一気に釣り対応でのし上がったことにより全体的に握手対応が向上して深川麻衣や衛藤美彩、桜井玲香や若月佑美が売り上げを伸ばした(いわゆる「真夏ショック」)、ぐらいの認識でした。

しかし今回改めて調べたところ、若干違いました。

生ちゃんの握手人気は当初からずっと上位で、特に年少メンバーというくくりではちょっと抜けた存在。
その頃は真面目な対応でそれほど面白くないという評判だったのに!笑

一瞬だけ「真夏ショック」以降に握手対応が向上した衛藤桜井若月の後塵を拝すも、すぐに並び返します。

概ね橋本深川真夏の次あたりにつけており、13th『ハルジオンが咲く頃』ぐらいからは衛藤真夏と並び白石西野に次ぐ完売速度。

最終的に22nd『帰り道は遠回りしたくなる』からいわゆる握手免除になるまで、常に上位人気を保ち続けたのです。


そしてもうひとつ、彼女を語るうえで外せない数字が『16人のプリンシパル』。

2012年、最初のプリンシパルでは9戦6勝2着3回(高山、白石、高山)。
※カッコ内は負けた相手

30人が参加してたった一人だけが勝つ。その過酷なレギュレーションでこの恐るべき勝率。

翌2013年の『deux』。
東京公演15戦13勝、敗れた2回も敗者復活(松村、西野)。
大阪公演5戦4勝、敗れた1回も敗者復活(橋本)。

2014年の『trois』。
22戦17勝、敗れた5回も敗者復活(ちはる、白石、高山、星野、橋本)。
この時は千秋楽昼の部の生田、白石、橋本の激突という伝説のマッチアップにも勝利しています。

『deux』以降は役に立候補したメンバーの中からひとりに投票する形となり、そこで敗れた中でも得票数の多かったメンバーがアンサンブルとして二幕に出演しました。それをここでは「敗者復活」と表現しています。

通算51戦40勝2着11回。

勝率は驚異の78.4%。
そして連対率…というか生涯二幕出場率100%。

さすがに調べるのが面倒なので他のメンバーの数字までは計算していませんが、確認するまでもなくぶっちぎりの成績。


ポジション、握手人気、プリンシパル。
この目に見える数字すべてで彼女はグループ屈指の結果を出し続けました。

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序列と人気とサムシング


ここまで見てきた数字のどこが凄いのか、さらに掘り下げてみましょう。

それは「変わり続けたのに強い」そして「全方位に強い」という2点です。

まず「変わり続けた」。

もちろんグループ自体がこの10年で大きく変化しましたし、それぞれのメンバーも成長という名の変化を遂げています。

しかしこと変化の度合いでは生ちゃんはグループ内でも屈指の存在でしょう。

5thまでの生生星時代はフロントとして「若きホープ」
14thまでの白石西野時代は「次期エース」
22ndまでの白石西野飛鳥時代は…「外務大臣」かなあ。
28thまでの飛鳥3期4期時代は「ジョーカー」「リーサルウェポン」

グループ内での役割も本人をめぐる状況も、なんならビジュアルイメージだって変わり続ける中、上で書いたように常に5本の指に入るぐらいの人気と序列を保ち続けたわけです。

私の偏見かもしれませんが、アイドルファンというのは基本変わることを是としない傾向があると思います。
にもかかわらずこの安定感というのは特筆ものです。

改めて表題曲のポジションを時系列で振り返ってみましょう。

1stから5thの生生星時代は2nd以外すべてフロント。
6thから8thが2列目で9thは休業。
そして10thが復活センター。
11thからはフロント11回、2列目7回。

ただ2列目はほとんどが2017年の17th『インフルエンサー』以降です。
この年はミュージカル『ロミオ&ジュリエット』『レ・ミゼラブル』に出演し、本人の夢であるミュージカル俳優への道が大きく開けた時期。
スケジュールの都合により歌番組の収録に参加できないことも増え「生ちゃんセンターにしたくても新曲のプロモーションに穴開けちゃうから無理だよね」的な論評で語られだしたのもこの頃からです。

生生星としてデビューシングルからフロントに立つも、それが路線転換により自然消滅。
生駒里奈は3列目へ星野みなみはアンダーも経験する中でただひとり2列目までをキープし続け常にセンター候補であり続けた。

ちなみに(ふたりを貶める意図はありませんが)生駒ちゃんは12thまで福神キープ(基本2列目、『気づいたら片想い』のみフロント、『太陽ノック』はセンター)。13thでセンターから一気に3列目に下がり、以降は『インフルエンサー』と『シンクロニシティ』のみ2列目(=福神)。

星野みなみは3列目、アンダーと経験し、10th以降は2列目と3列目をいったりきたり。2列目7回3列目11回、フロントは『保護色』のみでした。


そして「全方位」。

上で挙げた数字はそれぞれ、ざっくり言えばこれらを反映しています。

 シングル表題曲のポジション=序列
 握手会人気=人気
 プリンシパル=人気+序列+スキル+会場の空気×サムシング

つまり、生田絵梨花は「運営による序列」も「ファンからの人気」も「サムシング」も強かったわけです。

そもそも生ちゃんってゲームのキャラクターならパラメータ的に最強じゃないですか。
ビジュアル、スタイル、歌唱力、ダンス、演技力、バラエティ力そしてキャラクター。全てがハイクオリティ。

にもかかわらず、一番強かったのが「サムシング」込みのプリンシパルというのがまた面白い。

プリンシパルって特殊なんです。
人気投票と当日の出来と持っているスキルと立候補戦略と投票者心理が絡まり合って、時に思いもよらない結果を生む。

ゆえに本来「プリンシパルに必勝法なし」。

初回は自己PR、deuxは台詞演技、troisはアドリブコントとオーディションのスタイル自体も毎回異なりました。

そしてもちろん投票者心理としては圧倒的強さを誇る彼女に対する潜在的な反感もあったと思われますが、そんな全てをどこ吹く風。

いや本人曰く「プリンシパルはめちゃめちゃ辛かった」らしいですけど。

結果だけ見れば無人の野を行くがごとき圧倒的な強さを見せました。
しかもそれが足掛け3年にわたり継続したというのは、驚異的としか言いようがありません。

やっぱり、アンチが少なかったのだと思います。
それも白石麻衣なみに。

きっと乃木坂46の「顔」や「一番人気」には一度もならなかったことが逆に良かったのでしょう。

それは生駒里奈であり白石麻衣であり西野七瀬であり齋藤飛鳥が担ってくれた。
そして生田絵梨花はそれとは別のベクトルで活躍することができた。

だからこそ生ちゃんはアンチを作らず、彼女推し以外のファンの間にも「生田絵梨花=至宝」という共通認識が広がったのではないでしょうか。

続きます。

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