タオル補正

いくちゃんのぼうけん


一説によれば生田絵梨花は2015年頃に卒業を考えていたそうです。
これは松村沙友理の卒コンでの「くすぶっている時期」発言とも一致します。

「帝国劇場に立てる人になりたい」という彼女の夢。
乃木坂46にいても、その実現に近づけている感じがしなかったのでしょう。

しかし2017年に彼女は大きな飛躍を遂げます。

ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』そして『レ・ミゼラブル』に出演。
レミゼでは見事、帝劇に立つ夢もかなえます。

同年に岩谷時子賞奨励賞を受賞。年末には『MTV Unplugged』でソロライブ
対外的な評価を一気に上げてみせます。

それは並大抵なことではなかったはずです。
いわゆる「村内舞台」ならともかく、そうではない「一般の」ミュージカル。
まして『レミゼ』ともなれば、現役アイドルの生ちゃんの出演を歓迎しない層が一定数いたことは想像に難くありません。

ストレートな表現をすれば「アイドル風情が出てくんな」と。

しかし彼女は怯むことなく舞台に立ち続け、そこに自分の居場所を確立します。

しかも2017年といえば乃木坂が東京ドームとレコ大受賞を成し遂げ一気に坂道を駆け上がった年。
それと同時進行で彼女は世間からの評価を上げ、自身の夢もかなえたのです。
きっと尋常ではないプレッシャーと忙しさだったことでしょう。

その実態が我々ファンの目に触れるのはそこから2年後のことでした。

2019年4月に放送された『深イイ話』。
この時の密着はちょうど大阪ドームにおける7thバスラの時期。
2本のミュージカルを同時進行で抱えていた生ちゃん。
その日も東京で舞台稽古を6時間。そこから移動し大阪に着いたのは22時半。24時から26時過ぎまでリハーサルとピアノ自主練。3時間の睡眠で翌朝7時半から全体リハーサル。

話には聞いてたし想像もしていた。
でも実際に見せられると、その凄まじさに言葉を失う。

番組を観ていた私はそんな想いにかられました。

そして同時に感じたのが、もうとっくに乃木坂の看板がなくてもやっていける状態にある生ちゃんがここまでの無理(というかもはや無茶)をしてまで乃木坂の活動に参加したいと思ってくれているという幸福。


その後も彼女はスケールの大きな活躍を続けます。

2019年に発売した2nd写真集『インターミッション』は推定売上30万部を超える爆発的ヒット。同年には菊田一夫演劇賞受賞

トップアイドルかつミュージカル俳優。
本来は特殊な存在である彼女のそんなありようがすっかり定着。歌番組でのミュージカル特集にもごく当たり前のように名を連ねるようになりました。

生田絵梨花の存在が「乃木坂46」の名を大いに高めたことに疑問の余地はありません。

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いくちゃんはなかまをみつけた!


でも、それ以上に大きな功績がふたつあります。

「グループにいながらでも自分の夢をかなえられる」と証明したこと。
そして「外仕事で戦うメンバーとグループを守るメンバーが互いをリスペクトしあっている」という乃木坂を乃木坂たらしめている空気を作ったことです。

これは本当に大きい。

グループアイドルが卒業する定番の理由が「本当にやりたい夢がみつかったから」。
これは逆に言えば(その真偽はともあれ)「アイドルでいるとその夢がかなえられない」ことを意味しています。

それは恐らく「アイドルというレッテルが邪魔をする」そして「グループの活動に拘束される」ことによるのでしょう。

個人的には「グループにいるうちはグループの仕事を最優先するのが当然」という後者の意見も分からなくはないんです。

生ちゃんでさえ、かつてそういった声に晒されたことがありました。
2014年、彼女は休業から復帰と同時に『何度目の青空か?』のセンターに任命されます。
それと時を同じくして発表されたのがミュージカル『虹のプレリュード』の主演。

「復帰して即センターはおかしくないか」そして「自分の都合で休業していたのに復帰したらグループより個人の仕事を優先するのか」という声が一部で上がりました。

この時が恐らく、彼女の乃木坂人生で最もアンチの攻撃を受けた時期でしょう。

でも、もしその声に負けて諦めていたら現在の乃木坂46も生田絵梨花もなかった。

そこから何年もかけて生ちゃんは実績を積み上げていき、乃木坂と自分の幸福な距離感=外仕事で自分の価値を上げて乃木坂に帰ってきた時にグループ自体の「クラス感」を上げる、に辿りつきます。

それができたのは、やっぱり「乃木坂46だったから」だと思うんですよね。

「外舞台」という強い向かい風が吹く場所に出ていった生ちゃん。
それは乃木坂での活動における風当たりの強い場所には他のメンバーが立っていてくれたから。
だからこそ彼女は安心してグループを留守にすることができたし、戻ってくることができた。

例えば
生生星の顔としてお姉さん組ファンからの反感を防波堤となって防いでくれた生駒里奈
対外的に「当たり障りのない優等生的なコメントをする」役目を担ってくれた白石麻衣
クレイジーな思いつきに対しそれを上回るクレイジーさで応えてくれた松村沙友理
そしてもちろんジャイアンを受け止めてくれた秋元真夏、きっとかつては中元日芽香も。

それ以外のメンバーも、意識的にせよ無意識にせよみんなが生ちゃんを守っていたように思います。

とてつもないポテンシャルと常軌を逸した向上心とダダもれの乃木坂愛。
ミュージカルもアイドルもバラエティも、全部本気。
そして、天真爛漫なジャイアン。

そんな彼女だからこそ周囲の人々は愛し、彼女が思いっきりアクセルを踏める状況を作り上げたのではないでしょうか。

これ書いていてなぜか思い出したのが『キャプテン翼』日向小次郎の名ゼリフ。

 いつもひとりだと思ってた俺
 まわりは全て敵だと思ってた俺

 でも俺には
 仲間がいた!

こう呟きながら小次郎は生まれて初めてパスを出すのです。

いや生ちゃんは別に「まわりは全て敵」なんて思ってなかったでしょうけど笑


生田絵梨花という紛れもない至宝。
それを認め支えてきた周囲の人々の優しさ。
そして彼女ほどの逸材が10年間一度も「絶対的センター」にも「エース」にもならずに「ジョーカー」「ワイルドカード」「リーサルウェポン」というある意味一歩引いた立場でいることが許されるほどのグループの底力、層の厚さ。

それがすべて揃うという僥倖によって生み出されたのが現在の乃木坂46と生田絵梨花の姿。

私はそう思っています。


いつもメンバーの卒業に関する記事のラストは「今後について」なのですが、生ちゃんは疑問の余地がありませんね。

ミュージカル俳優。

この先も長く活躍して、彼女を入口に乃木坂を知る人を増やし続けてくれると確信しています。

生田絵梨花さん、本当に10年間お疲れさまでした。

この機会に少しは身体を休めてくださいね。



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