びーむ色調補正3
前の記事ではこの日のライブで印象に残ったシーンを列挙しましたが、個人的に最も心を動かされたのはライブ終盤のMCにおける生田絵梨花の言葉でした。

生田絵梨花の真実


彼女は自身をこう表現したのです。

 「ビビリ」

それは知っています。確かに彼女は『乃木坂工事中』で初代ビビリクイーンでしたから。(この記事を書くにあたり久しぶりにあの回を観直したらめちゃめちゃ面白かった)

でもグループの外で活躍する生ちゃんはいつも堂々と迷いなく、己の信念を貫いているように見えました。

その彼女の口から次のような言葉が出るとは。

 まわりの反響を聞いてやっと自分の選択は間違ってなかったと思える

さらに秋元真夏から「どんだけ頑張り屋さんなんだろう」「卒コンでこんなに頑張る人見たことない」と言われた彼女はこう答えます。

 自分にできることがそれぐらいしか思いつかなかった

なんということでしょう。

あれだけのことを成し遂げてきた生田絵梨花がずっとビビっていたなんて。
その怖さを消す方法を「努力」しか知らなかった。だからひたすらに努力した。
そんな我々凡人となんら変わらぬ方法論しか持ちあわせていなかったなんて。

その瞬間、思いました。

 そんなの、俺と一緒じゃねえか。

いや、もちろん一緒ではないですね笑
彼女が「常軌を逸した」と言っていいレベルの努力家であることはメンバーの証言やバックヤードの映像で見聞きしていました。

ただ彼女が持っている方法論はたったひとつ「頑張ること」。
それは実に当たり前で平凡で誰もが思いついて、言ってしまえば誰でもできることです。

そして誰もがそれをどこかでやめてしまう。
人にはそれぞれの理由で「これ以上頑張れない」あるいは「ここまで頑張れば十分だろう」と思う瞬間があるものです。

でも生ちゃんは「頑張ることをあきらめなかった」。

かつて私は賀喜遥香について「ひとつひとつ努力して実績を重ねることによって自分に大丈夫と言い聞かせてきた印象を受け、だからこそ彼女の笑顔を見るとみんな安心する」と書きました。
そんな彼女は「凡人代表」「凡人たちの希望の星」だと。

 

そしてこの日。

自分がこれまでずっと「天才」「怪物」「規格外」と呼んできた-いや今でも間違いなく天才であり怪物であり規格外であると確信している生田絵梨花が、こんなにも「究極の凡人代表」だったなんて。

そのことに私は感動したのだと思います。

10年間見てきた生ちゃんの本当の姿がやっとわかった。そんな気さえしました。

生田絵梨花の10年間。

それは彼女自身のこの言葉を証明し続けた日々でした。

 人はね、限界だと思ってからもうちょっといける byえりか

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この日、29曲ものパフォーマンスをするためにただひたすらに頑張った生ちゃん。

彼女の最後の姿が後輩たちの目にどう映ったかはわかりません。

願わくば「バカみたいに頑張ること」の素晴らしさと美しさと偉大さが誰かの心に残ってくれればいいなと思います。
いつかそう遠くない未来に「私には頑張ることしかできない」と語る誰かが現れてくれれば、と。(もちろん心身の健康を損なうほどの頑張り方をしてほしくはありません)

ここまで書いて思い出したことがあります。

27thシングル選抜発表後に、センターに選ばれた遠藤さくらが書いたブログ。

 とにかく私は、
 どう思われても何を言われても、ただ前を向いて頑張り続けるしかないです。

もちろんこの言葉だけを切り取って生田絵梨花のスピリットがさくちゃんに受け継がれた、なんていうつもりはありません。

でも生ちゃんの活動する姿を見たことは、間違いなく後輩たちの中に大きな何かを残したのではないでしょうか。

それが継承。

そうやって乃木坂は乃木坂であり続けてくれることでしょう。



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