タオル補正
2021年12月3日、公式ブログで星野みなみさんが卒業を発表しました。

恵まれたスタートゆえの苦戦


「可愛いの天才」と称されたみなみちゃん。
まずは彼女の乃木坂人生を振り返ります。

デビューから28枚のシングルに参加し、うち26枚が選抜入り。

デビュー作では生駒里奈、生田絵梨花と共にフロントを務め「生生星」と呼ばれました。
2nd『おいでシャンプー』では3列目に下がったものの、これは当時の運営によるAKB的な演出(=残酷ショー)の駒として使われた印象。実際に生ちゃんもこの時同じく3列目でしたし。

3rd『走れ!Bicycle』では再び生生星フロントに戻り、それは5th『君の名は希望』まで続きます。

しかし個人としての人気は初期から御三家をはじめとするお姉さんメンバーたちに集中していました。

みなみちゃんも当時の個別握手会はフロントメンバーとしてはかなり厳しい完売状況。もちろん当時中学生だった彼女に握手会は相当な負荷だったでしょうし良対応を望むのは酷というものです。

ただ実際問題デビューから3年ぐらいはかなり握手人気が低く、個別の部数を少なめに設定していても完売数が上がらずアンダーメンバーの何人かより下という状況でした。
そのため「ゴリ押し」「聖域」と呼ばれアンダーメンバーのファンから猛烈に叩かれました。(センター固定でさらに多くのアンチに晒された生駒里奈ほどではありませんが)

みなみちゃん自身は当時をこう振り返っています。
「生駒ちゃんと生ちゃんという凄いふたりに囲まれて、自分のどこが評価されてそこにいるのかが良くわからなかった」。

なぜそこにいるのかがわからないのに「そこにいる」ために叩かれる、というのはきっとまだ幼かった彼女にとって不条理に思えたことでしょうしショックだったに違いありません。

話を戻します。

生生星路線がセールス的にやや頭打ちとなり、運営は路線変更を余儀なくされました。
6thからはお姉さん組主体に舵を切りつつセンターは試行錯誤を続けるという段階に入ります。

その『ガールズルール』では御三家フロント、そこから堀未央奈抜擢センター、西野七瀬初センターと入れ替えが激しかった時期。そして「思い出選抜」枠が明確になったのもこの頃のことでした。

みなみちゃんはその6thで3列目に落ち、7thと8thでは選抜入りを逃します。

7thのアンダー曲『初恋の人を今でも』ではセンター。結果的にこれが彼女の代表作のひとつとなります。
同じく8th『生まれたままで』はセンター横。この期間にアンダーライブの立ち上げも経験し「アンダーで武道館に立とう!」という発言もありました。

ただ、これは運営が彼女の発奮と人間的成長を促しつつアンチの批判をかわすことを狙ったあくまで時限的なアンダーであることは明らかでした。

8thの個握でもまったく完売していなかったのに9th『夏のFree&Easy』で選抜に復帰したことからそれが容易に想像されます。

そして9th以降は2列目と3列目を行ったり来たり。2列目1回に対し3列目2回という感じでした。

それでも11thあたりからようやく握手会の部数も完売速度も安定し、高山一実や伊藤万理華とほぼ同じくらい。その後は新内眞衣と同じくらい=選抜ボーダーラインのちょうど内側に落ち着きます。
24th『夜明けまで強がらなくてもいい』からは握手免除となりました。


「カワイイの具現化と思っとる!」


9th以降のポジションはほぼ握手人気通りだったように思います。

最終的にはフロント5回(生生星時代+『しあわせの保護色』)、2列目7回、3列目14回そしてアンダー2回。

立ち上げ時に弱冠14歳でフロントに抜擢した運営の期待値からすれば、福神にも定着できなかったというのは想定外だったのではないでしょうか。

それでもライト層からの人気はなかなか高かったという印象です。

既に書いたように最も目に見える人気指標である握手会の完売状況=コアなファンからの人気はいまひとつという感じでしたが、2018年4月発売の写真集『いたずら』の推定売上部数は優秀でした。

3期生の向井葉月はみなみちゃん推しを公言していましたし、恐らく女性人気が高かったのではないでしょうか。
個人的には欅坂(当時)2期生の控室隠し撮り企画で田村保乃と関有美子が「さっき星野みなみさんと会ってん!」「カワイイの具現化と思っとる!」と方言バリバリで盛り上がっていたのが非常に印象深いです。

タレント性の高い人だったと思います。

声が可愛い。仕草が可愛い。結局何やっても可愛い。

そんな人、なかなかいません。
乃木坂の歴代メンバーでも他にちょっと思い当たらない。敢えて挙げるならタイプは違いますが大園桃子でしょうか。

特別な何かを持っていたからこそ、乃木坂メンバーで初めて単独でのCM出演(ACジャパン『キレイな姉』)を果たした。

そのCMもそうですし、ある意味で彼女の最高傑作である5th個人PV「私の中のモンスター」(伝説の『お願いマイハート』のやつです)を観ても彼女は曖昧な表情が上手い。

卒業後は芸能界を引退する彼女ですが、個人的には演技の道に進んでも面白かったんじゃないかと思います。
あのビジュアルと声ゆえにできる役が限られそうなのが難点ですが笑、『賭ケグルイ』的な題材でサイコな役なんて似合いそうです。


続きます。

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