「独断と偏見で選ぶ!価格帯別腕時計ベストバイ2021年版」の第5弾は30~50万円のゾーンです。
対象は2021年に発売されたモデルですが、本数限定のモデルは対象外としています。

価格帯は実勢価格だとブレるので定価で区分しました。
記載の価格はいずれも記事作成時点のもので新品税込です。
また併記している実勢価格は各店舗の表示価格=ポイント還元等を含まない金額となります。

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30~50万円部門


BR 03-93 GMT/ベル&ロス

Ref. BR0393-BL-ST/SCA 
自動巻き。100m防水。SSケース+レザーベルト(ファブリックストラップ付属)。ケース径42mm

ベル&ロス(以下「ベルロス」)は1992年にフランスで設立された腕時計ブランド。

デザイナーがジンの時計のファンであり、設立に際しアドバイスを受けるため創業者のヘルムート・ジンを訪ねました。その熱意が通じ「Bell&Ross by SINN」として製造をジンが行なう形でスタートします。当時は「まんまSinn103」のモデルなどもありました。

2002年にジンから独立。
そして2005年発表の「BR 01」がラルフ・ローレンの目に留まり、自社の広告ビジュアルで大々的に使用したことにより一気にブレイクします。

そんな経緯もあり、若干暴論ではありますがベルロスを一言で表現すると「ファッショナブルにしたジン」
ブランド哲学は「形は機能に従う」らしいのですが、どう考えてもそこからはみ出したモデルも多数出しています笑

航空計器をルーツにしているところは同じでも、無骨さを薄めてジンよりスマートなスタイルにしているという印象。

個人的にはジンのガチ感の方が好きですがベルロスも全然嫌いじゃない、というか結構好きです。

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ただ出世作BR 01が3・6・9・12のビッグアラビアインデックスにスクエアケースというあまりにもアイコニックなデザインゆえに流行り物として消費されてしまった感があります。

結果的に私が時計沼にはまった2013年頃には既にやや勢いが落ちてきており、2010年代後半は正直「今さらベルロス?」的な風潮があったように思います。

しかし2019年に発表したBR 05はアイコンBR 01のエッセンスを残しつつも、ベゼル自体をスクエアにするとともにラグスポ調のブレスにするという斬新なデザイン。
ポップかつエレガントという絶妙さでベルロス復活を印象づけました。
当ブログの2019年版ベストバイ50~70万円部門でも「捨てがたい」としてBR05に触れています。(ベストバイはチューダーのブラックベイクロノでしたが)

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そして2021年、満を持してのランクインです。

 

BR 03は同社のアイコンBR 01(※)のサイズダウン版。
※アイコンですが現在はスカルモデルを除きディスコン(恐らく46mmというサイズゆえ)

そのGMTモデルです。

こちらの何が優れているかというと、BR 03の弱点をすべて解消していること。

BR 03って正直、今は手を出しにくい時計なんですよ。
上で書いた通り流行り物として消費されてしまっているのがひとつ。
そしてもうひとつの理由が値段ほどの高級感がないこと。
正確には「一見」高級感がないことです。

理由はジン「103」(あるいはオメガ「スピマスプロ」)と一緒ですね。
視認性を最重視する文字盤デザイン=マットなダイヤルにプリントインデックス、そして大きくて平たい時分針という組み合わせは実に無骨で「のっぺり」。立体感など皆無。
パッと見、(BR 03の価格帯である)40万円超の時計とは思えません。

実際にはベルロスのケース仕上げはかなり良く、時計好きがちゃんと見れば値段なりの高級感はあるのですが。

翻ってこちらのBR 03-93 GMT。

アプライドインデックスとチャプターリングで立体感を演出。時分針も面があるものが採用されています。

そしてこのチャプターリングがこの時計のデザインの要になっています。

チャプターリングの分、インデックスが内側に寄っているので凝縮感がでていて良い。
さらにチャプターリングがホワイト(シルバー?)なので少ない色数なのにコントラストが効いている。

 

赤黒のいわゆる「コーク」ベゼルもシック。
表面と側面はサテン、斜面とビスがポリッシュで仕上げられたケースも良いですね。

ついにケースの仕上げと文字盤の質感のバランスが取れ、高級感を纏ったのです。

その他のスペックとしてはムーブメントがETAベースでパワーリザーブ42時間のBR-CAL.303。10気圧防水にサファイヤクリスタル風防。交換用のファブリックストラップも付属しています。

定価:495,000円(税込、以下同じ)
実勢価格:376,970円~(楽天市場調べ、以下同じ)


定価をアンダー50万円に抑えたのも好感。
30万円台後半という実勢の最安値は魅力的ですね。

非常に存在感がある時計なのでやや人を選ぶかもしれませんが、間違いなく格好いい。
一度流行りものとして消費されたデザインを再構築してここまでスタイリッシュに仕上げるというのは凄い力量だと思います。

「今さらベルロス?」という人にこそ、手に取ってみてほしいですね。