タオル補正
30thシングルのラストは5期生について。

青く塗りつぶせ


私はかつて『2019年の乃木坂46』内の2019年4期生初単独ライブat横浜アリーナの記事で「個性」の3期、「乃木坂感」の4期と評しました。(ちなみに1期は「オリジン」、2期は「個性」だと思っています)

では、5期は?

まだわかりません笑

なんでしょうね。完成度が高いのは間違いない

過去、特に4期の時に顕著だった「加入当初にわざと野暮ったくする」=薄いメイク、アイドルらしいぱっつん前髪などが施されていない。

『三番目の風』も『4番目の光』も、今改めて観ると変な表現ですがちゃんと当時からメンバーは可愛い。でも初見の時に感じたのは素朴さや幼さ、垢抜けなさでした。(そしてそれは好ましいものでした)

それに対し5期生曲『バンドエイド剥がすような別れ方』のMV(記事作成時点ですでに300万回再生を超えました)からはほとんどそういった印象を受けません。

もちろん既に『絶望の一秒前』でMV撮影は経験しているというアドバンテージはあります。
でもお見立て会からまだ半年なのも事実。ちなみに(加入からではなく)お見立て会からの期間で比較すると『三番目の風』は3ヶ月半、『4番目の光』で5ヶ月半です。

そう考えるとやはり、この「出来上がってる感」は驚異的



ここで改めて私の思う乃木坂感を言葉にすると、「清楚」「儚げ」「華奢」で「ガツガツしない」「体温低そう」。さらに付け加えるなら、どこか「ノスタルジック」で「切ない」。

それを踏まえて『バンドエイド』のMVを観ると、乃木坂感とそうでないものが絶妙にミックスされているように感じます。

まず楽曲そのものについて。

疾走感のあるアレンジ。
サビは絶対にどこかで聴いたことのある笑コード進行にキャッチ―な8分連打のメロディ。
ド王道のアイドル夏ソングの体裁でありながら、そこに載る詞が「夏の終わり、恋の終わり」であるのが乃木坂らしさ。

ロケ地は10thシングル『何度目の青空か?』と同じ。

止めを刺すのがサビのダンスシーンでの全面、青。
青い衣装と足元の青、空の青。どうしたって観る者に『ガールズルール』を想起させます

もちろん5期生たちの透明感あふれるビジュアルも実に乃木坂。

とまあ、これだけ乃木坂感と過去作のリフレインが重ねられています。

にもかかわらず、どこか私は「乃木坂っぽくなさ」も感じていました。

それはきっと、5期生の発する「生命力」や「力強さ」
それが顕著に現れるのがダンスシーンでのビビッドな色合いです。

乃木坂のMVって、基本「くすんだ色合い」「ザラっとした質感の画面」が多い。特に表題曲はほぼすべてがそうです。
それはメンバーの「儚さ」「ノスタルジック」という持ち味を強調してきました。

今作もドラマパートはかなり暗く、ブルーグレーのフィルターをかけたような色味。

しかしサビのダンスパートでは一転、鮮やかな青が画面を覆いつくします
アスペクト比も全画面に切り替えられて一気に抜けるような開放感。

細かにカット割りを変えながら寄りと引きを繰り返し動き続けるカメラアングル。
ラスサビではやや下からのアングルが多用され、抜けに映る青空。

そこで伸びやかに舞い踊る5期生たちは力強い生命力にあふれています

上で挙げた『ガールズルール』は同じ青でも淡い色彩。

一番近しいものは…と記憶を辿って思い当たったのは『太陽ノック』。
あのMVもサビは屋外の緑の中でのダンスシーン。乃木坂カラーの紫衣装と鮮やかなコントラストを見せていました。

ただその『太陽ノック』でさえ『ガルル』と同じく、どこかソフトフォーカスで木漏れ日のような光の処理がされていました。

単に4Kになったから、ではないでしょう。
ビビッドカラーで次々と前に出てくる5期生たちの堂々たる姿は、やはりどこか「乃木坂らしからぬ」もの笑

淡い光の中で不安げなメンバーたちが踊っていた『三番目の風』『4番目の光』とは明らかに違うアプローチがなされています。

全体としては乃木坂感たっぷりの舞台設定をしながら、ダンスパートではそれと違う姿を印象づける。

乃木坂感が、あるけどない

まさにそんなMVだと思います。

その対比の中でもうひとつ面白いのが、センターが菅原咲月であるということ。

「華奢」という点にかけては恐らく現在5期生内だけでなくグループでも屈指であろう彼女。
ビジュアルイメージとしての乃木坂感は5期生で一番でしょう。

ここでも絶妙なバランスが取られていると感じます。

そのセンターっぷりがまた、良い。

何度も書いてきましたが彼女は本当にフォトジェニック。
2:58の屋上で佇むシーンなんて抜群ですよね。

あとはやっぱり2:17の誰もが一撃で恋に落ちる菅原咲月
あの井上和をして「男の子が恋に落ちる瞬間に遭遇した」と言わしめた、その破壊力!

この後バリバリに意識してしまっているなぎちゃんと全く何とも思ってないさっちゃんのコントラストが素晴らしい。

出番という意味では菅原咲月一本かぶりなのですが、不思議と他のメンバーにもちゃんと見どころがある印象なのも良いですね。(全員ではありませんが)

彼女はいわゆる「触媒」型のセンターなのかもしれません。

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見覚えのある顎のライン


ラストシーン。

英語教師が黒板にこう書きます。

 And the eleven of them became friends little by little.
 「そして11人は、少しずつ仲間になっていった」

あれ…途中のシーンで板書していた時は左利きだったのに、ここでは右で書いてる。

いつかどこかで見た記憶のある外はねショートカットと顎のライン。

これ、生駒ちゃんですよね?

仮に私のこの推測(妄想ともいう)が正しければ、きっとこうなります。

 And the eleven of them became friends (of us) little by little.
 「そして11人は、少しずつ(私たち乃木坂の)仲間になっていった」

あんなことがあって、デビュー10周年がぐちゃぐちゃになった。

それでも大切なのはこれから先。

彼女たち5期生がメンバーを、スタッフさんを、ファンを、そして乃木坂46を愛してこのグループを守るために精一杯頑張ってくれるのなら。

 私たちは仲間だ

 あなたたちは、乃木坂46だ

 たとえその歩みが、少しずつであったとしても。

本当にあれが生駒里奈で、こういう意図が込められていたら痺れますね。

いやでもわざわざ利き腕の違う人が板書しているシーンを入れているんだから、妄想じゃない気がしてきました笑


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「今にして思うこと」は各記事の末尾に「追記」という形で新たに文章を加え、さらに書き下ろしとして4期生の初冠番組であった『乃木坂どこへ』を振り返っています。


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