タオル補正
2022年7月18日、公式ブログで和田まあやさんが卒業を発表しました。

未来卵から生まれたモンスター


1期生最年少の齋藤飛鳥と同学年である98年組。
加入は中学1年生、13歳の時でした。

しかし率直に言って、アイドルとしての人気は上がりませんでした。
最も目につく人気指標である握手会の完売状況はグループ内でも低位。

結果として11年間のほとんどをアンダーとして過ごします

初選抜は8thシングル『気づいたら片想い』。これはいわゆる「思い出選抜」でした。

次に選抜に入ったのは6年後の25th『しあわせの保護色』。
こちらは白石麻衣の卒業に合わせて1期生全員が選抜(そして福神)。

つまりキツい言い方をすれば、2度の選抜入りのどちらもいわば「外的な要因」によるものだったのです。

全体的に乃木坂ファンの嗜好の逆を行ってしまっていた感は否めません。

明るく天真爛漫でおバカキャラ。テンション高めの声でしゃべり、リアクションも大きい。

そんな彼女の個性は、「清楚で儚げで華奢」「体温低そうでガツガツしない」「どこかノスタルジックで切ない」という「乃木坂感」の対極。

彼女に限らず、いわゆる「バラエティ担当」メンバーの多くが人気面では厳しい状況でした。

さらに初期からお姉さんメンバーの方が圧倒的に人気だった乃木坂46において95年組=生駒里奈の代(結成時に高校1年生)以降の年少組は、ほぼ全員が握手人気の面で苦戦を強いられていました。(唯一の例外は生田絵梨花)

大きな転機となったのは2014年に『乃木坂工事中』での「頭NO王選手権」。
ここで並み居る強豪を打ち破り初代王者として戴冠します。

そもそもお見立て会でもブリッジ歩きでファンを恐怖のドン底に叩き込むところから乃木坂人生をスタートさせた彼女。
そのバラエティキャラとしての能力を開花させ、これ以降はクイズ対決や「内輪ウケものまね」など、冠番組で盛り上げキャラとして活躍してきました。

最近であれば2022年の46時間TVにおけるドッキリ企画(「まあやだ」のやつ)が印象深いですね。あれは『嫉妬の権利』MVのセルフカバーと言えなくもない。

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かつて私はまあやを「人を笑顔にする天才」と評しましたが、基本いつも面白かった。

クイズにせよ空耳にせよ、間違え具合とワードセンスが絶妙でした。

『乃木坂46えいご(のぎえいご)』で課題曲の英語歌詞をリスニングして歌うコーナーがあったのですが、そこでも抜群の空耳力を発揮。嘆きながらくずおれる安河内先生の姿が懐かしい笑

そして徐々にバラエティ以外の部分でも評価を高めていきます。

2018年末のアンダーライブ(『日常』の時です)で「リーダー」に就任。
これは恐らく「ダンスリーダー」を意味していると思われます。勝手な想像ですが前任者は伊藤かりんではないでしょうか。

いつしかアンダラを観ているファンの間では「ダンスメン」と認識されるようになります。

それがわかりやすい形で示されたのが2019年夏の全ツのユニットコーナーで披露された『自分じゃない感じ』。
桜井玲香、中田花奈、阪口珠美、金川紗耶という各期のダンス巧者と共に、まあやはかっこよく踊って見せました。


こうしてキャリアの後半は「番組に登場する時にはしっかり笑いを生み」「ライブではアンダーのパフォーマンスを支えるひとりとしてビシッと決めて見せる」というスタイルを確立していました。


ニックネームは「愛されまあや」


人のよさそうなタレ目でいつもニコニコ。

メンバーからも共演者からも、そしてスタッフからも愛された彼女

卒業発表後の『乃木坂工事中』地元グルメを紹介する企画でこんなやり取りが放送されます。

「本当に10年間お世話になりました。本当に良くして頂いているって聞いていますので…ありがとうございました」と涙ぐむまあやのお母さんに

「番組にとっては欠かせない人物ですので我々スタッフもみんなまあやのことが大好きで、産んでくれてありがとうございます」と応じるスタッフさん。

彼女の人柄をしのばせるシーンでした。

卒業発表したブログではこう語っています。

 活動中は辛くて苦しいことのほうが多かった気がしていたのに、
 今振り返ると全て幸せな記憶に塗り替えられていることに
 自分でびっくりしています

さらに卒コンとなった30thシングルアンダーライブでの言葉。

 沢山辛いこともありましたけど、振り返ってみたらすごく素敵な青春だったな

盟友、樋口日奈もラスト『乃木坂工事中』や自身の卒業セレモニーに際してほぼ同じニュアンスのコメントをしています。

グループにおける「主役」ではなかったメンバーが「幸せだった」と言える
そしてそれが単なる決まり文句でも強がりでもない言葉としてファンに届く。

私は乃木坂を美化しすぎているきらいがあるのは自覚していますが、それでもやっぱり「これが乃木坂なんだよなあ」とか思ってしまうのです。


最後に、彼女のこれからについて。

『乃木坂お試し中』でのコメントを聞く限りは何らかの形でタレント活動を続けていくようです。

やはりバラエティタレントでしょうね。

大きなリアクションやワサワサした喋り方や人のよさそうな表情。

乃木坂としてはあまりポジティブに働かなかったそんな彼女の個性も、バラエティではプラス要素です。

そして何といっても、アンタッチャブルや東京03や塚地武雅さんを近くで見てきた鈴木拓さんをして「天才」と言わしめるのですから。

乃木坂時代を知るファンを驚かせるような活躍を見せてくれるかもしれません。


和田まあやさん、11年間お疲れさまでした。


note上で乃木坂46に関する有料記事を公開しています。どちらも無料で読める部分がありますのでぜひご覧ください。

『アンダラ伝説』¥300
伝説のアンダーライブ2ndシーズンを題材にしたセミドキュメンタリー小説。あの頃の熱量を叩き込んだ渾身の50,000文字です。
 

マガジン「2019年の乃木坂46」¥200
過去に当ブログに掲載した記事を再構成し加筆したもの。総文字数10万文字、加筆部分だけでも22,000文字以上のボリュームでブログをご覧になった方にも楽しんでいただけることと思います。