タオル補正
前の記事で書いた通り、秋元真夏の復帰は衝撃を与え強い反発をもたらしました。

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ゲームチェンジャー


真夏さん復帰まで、乃木坂において握手対応はあまり重視されていませんでした。

いや、これは言い過ぎですね。
初期の一番人気は「剥がしに抵抗してファンの手を離さない」松村沙友理でしたし、西野七瀬の成り上がりも握手対応の良さが大きな要因でしたから。

でもAKB48に対するカウンターというグループの成り立ちゆえか「媚びない」ことを是とするファンも一定数いました。
極論を言えば「乃木坂のビジュアルがあればファンに媚びる必要なんかない」と。

しかし真夏さんは「釣り師」と呼ばれるその抜群の対応で瞬く間に握手人気を上げていきます。

5th『君の名は希望』の個別握手会では既に白石麻衣、橋本奈々未、松村沙友理の御三家と西野七瀬、生田絵梨花そして深川麻衣に次ぐ7番手の位置につけます。
続く6th『ガールズルール』では御三家となーちゃんの30/30部フル完売に続く28/28を達成。ちなみにこれ以降すべてのシングル個握でフル完売を続け、21stから免除となりました。

最初期から絶対的な存在である御三家と「ピープルズチャンプ」西野七瀬を脅かす存在にまでなったのです。

その躍進は周囲のメンバーにも大きな影響を及ぼしたのでしょう、真夏さんの加入以降に明らかに他のメンバーの握手対応も良くなったと言われています。(いわゆる「真夏ショック」です)

これにより握手人気の二極化が進みます。

真夏ショックに対応できたメンバー(例えば桜井玲香、深川麻衣、若月佑美)は6th『ガールズルール』から一気に多部数でフル完売に近い数字に伸ばしてきます。少し遅れて衛藤美彩もこれに続きました。
逆に対応できなかった=釣り対応を苦手としたメンバーの握手人気は伸び悩みます。
最も顕著な例は市來玲奈でしょうか。彼女以外にも若手メンバーのほとんどが苦戦を強いられます。

6thから10thあたりは上10人(さきに名前を挙げた9人+生田絵梨花)は30部フル完売。それ以外のメンバーは一桁完売という感じでした。

この結果として生じたのは、いわゆる「運営序列」を決める要素の変化。
あまりにはっきりした差が出たため、握手人気を無視しきれなくなったのです。
初期からいわゆる「運営推し」と目されていたメンバーの何人かがこの時期にアンダーを経験することになります。
(余談ですが次にフル完売メンバーとなるのはアンダラ2ndシーズンの大ブレイクを受けての齋藤飛鳥でした)

つまり秋元真夏がグループ内の握手対応を底上げし、それを一因として「握手人気重視」という傾向が生まれた。そしてそれは現在に至るまで続いている

真夏さんはゲームチェンジャーだったのです。

長い目で見れば、これがグループにもたらした影響は非常に大きかった。

そりゃ「媚びる必要なんかない」と思っていた人だって、目の前で実際に媚びて…いや愛想良く接してくれたら嬉しくないわけがありません。

握手会商法の是非や個人的な好悪はともかく、乃木坂が現在の大きさにまで発展した要因のひとつとしてこの「こんなに綺麗な子がこんなに愛想よく接してくれる!」という驚きがあるのは否定できないでしょう。

すなわち真夏さんはゲームチェンジャーであったと同時に、グループが大きくなるための重要なターニングポイントともなったのです。

だいぶ前からほとんど使われなくなりましたが「握手特化型」という言葉があります。

歌も踊りも苦手でビジュアルも目を引く美人というタイプではない(失礼)彼女はこれに該当するでしょう。

個人的にこの言葉から受けるイメージは「計算高い野心家」。
まあこれは裏返せばクレバーでセルフプロデュースが上手いということなんでしょうけれど。

しかし真夏さんはこのイメージから少し外れていました。

賢いし、目立ちたがりなのは間違いない。
そんな他推しのファンからすると非常に厄介な存在なのですが笑、どこか憎めない。

それは彼女の溢れる愛嬌、そしてその源となる人柄によるものであることが次第に明らかになります。

個人的に印象に残っているのが映画『超能力研究部の3人』のメイキングで、怒る演技ができないため共演者からアイドルとしての彼女を全否定する挑発的な言葉を投げかけられる(という仕込み)も一切言い返さないで我慢してしまう姿。

後にメンバーから「何をしても怒らない」と言われた彼女の人柄が垣間見えます。

そして真夏さんが完全に馴染んだのが見て取れたのが2014年4月『乃木坂って、どこ?』での「秋元腹黒い裁判」。

普段からメンバーとスタッフさんしかいない現場でも肌を見せる格好をしている真夏さん。
樋口日奈が「普段から周りの目を引こうとしてるのかな?」と疑問を差し挟むと彼女はこう答えます。

「逆に…なんで気を引いちゃいけないのかな、って」

「いいぞ!」と喝采を送るバナナマンのふたり。

黒石さんが初めて発動したのはこの時です。

この時点ではもう完全に真夏さんが受け入れられていて、いじりとして成立しているのが明確にファンに伝わる内容でした。

ちなみに、この少し前に例の「真夏、おかえり」があり西野七瀬とのわだかまりも解消しています。

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8年後からの第2章


冠番組では「あざとぶりっ子」と「頭がデカい」というたったふたつの武器で大活躍でした。

困った時の真夏さんという感じで正直食傷気味…というか私は完全に食傷していましたが笑、大いに貢献してくれました。(これは2代目いじられスター新内眞衣が登場するまで続きます)

既に述べたように瞬く間にトップ層に迫る人気を得た真夏さん。

しかし、立ち位置としては基本2列目でした。

ざっと並べると、

4th5th 福神
6th~8th 3列目
9th~31st 福神

例外は17th『インフルエンサー』が初のフロント(左端)。
19th『いつかできるから今日できる』は3列目。ただこれは『あさひなぐ』出演メンバー優先のフォーメーションだったからですね。
24th『夜明けまで強がらなくてもいい』も3列目。
そして29th『Actually…』は中西アルノの保護者としてフロント。こちらは右端。

ベストグリッドはフロント端2回
結成日の「センター横」というポジションに再び立つことはありませんでした。

バイプレイヤーと呼ぶには存在感が大きすぎる。不動のレギュラー。
だけど、エース級ではない。
『キャプテン翼』でいえば「石崎くん」というところでしょうか。

写真集も結構売れてるけどめちゃめちゃ売れているというほどでもない、なんというか2列目として妥当な売れ行き。

個人的にライブでは「人気の割に抜かれない」印象もありました。


そんな「実に2列目」な活躍を続けていた真夏さん。

しかし2019年、彼女の乃木坂人生を大きく変える出来事が起きます。

2代目キャプテンに就任

ここから彼女の第2章が始まります。

卒コンで本人の口からも語られましたが、当時多くのファンも桜井玲香より年上である真夏さんがキャプテンになることに違和感を感じていました。

明らかなショートリリーフ。(当時は29歳までグループにいてくれるとは思っていませんでした)
であればどう見ても未来のキャプテンである梅澤美波にこのタイミングで引き継いでしまった方が良いのでは、と。

でも今にして思います。
あそこは真夏さんしかなかった

もしあの時点で梅ちゃんがキャプテンになっていたら。
1期2期の卒業ラッシュでそのたびにライブを締めるコメントをしなければならなかったら。
さすがの梅澤美波でも苦しかったのではないでしょうか。

誰かが卒業するたびに全力で悲しんで心から溢れる惜別の言葉を贈る

これはやはり1期生である真夏さんならではのことでした。

キャプテン就任後、保護者として後輩メンバーとTV出演したり歌番組でコメントを求められる機会が増えます。

「出しゃばり」「桜井はそんなに前に出てこなかった」「キャプテンなんだから他のメンバーを立てるのが役目だろ」

そんな批判の声もありましたし、正直私も「ずいぶん出てくるなあ」ぐらいは思っていました。

ただ1期生へのリスペクトが強い3期生は当時まだ遠慮が見えたし、4期生はよちよち歩きでした。
そんな後輩たちに外番組の場数を踏ませるにあたり、真夏さんのサポートは必要だったのでしょう。


就任した時に「3年は頑張ろう」と決意したそうです。

その通り、3年半に渡ってキャプテンを務めました。

その間に卒業したメンバーは実に19人。
そして新4期生と5期生の加入。

どんどん減っていく盟友たちを見送り、後輩たちを励まし、新人たちを暖かく迎え
変わりゆくグループを支え続けました。

まして、コロナ。

乃木坂が一番難しいこの時期を越えて今なお女性アイドルグループとしてトップに君臨しているのは、秋元真夏の働きを抜きにしては語れないでしょう。

きっと苦しいことも多かったと思います。

しかしキャプテンとしてのこの3年半は彼女自身のキャリアにとっても非常に大きなプラスになったのも間違いありません。

真夏さんの人柄の良さとコメントの確かさが一層磨かれ、それが多くの人の目に明らかになったのはキャプテン就任以降のことです。

最後に今後の彼女について。

まあ言うまでもなく「タレント」ですね。

歌もダンスも演技も得意じゃないけれど、愛想が良く気配りもできて頭の回転が速い。

グループを支えてきたそのストロングポイントを活かして活躍されることを願っています。

秋元真夏さん、約11年本当にお疲れさまでした。


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