前の記事で書いたように、物議を醸した「3期生全員選抜」。
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今回は、個人的にその「物議」の遠因と考えているミーグリ人気の極端な二分化について。
オンライン化の影響
最も目に見えやすい人気指標。そして概ねそれに準ずる形で決められてきたように見える選抜。
まあ我々ファンからすれば一番気になる指標です。
それ以前から二分化の傾向はありましたが、一気に顕在化したのはコロナ禍後=握手会がオンラインミーグリ(以下「ミーグリ」)に変わった後です。
ミーグリでの最初のシングルとなった26th『僕は僕を好きになる』。
その完売状況は惨憺たるものでした。
最速でも5次完売。握手会時代の最速は2次完売が常でしたから、いかに動きが鈍かったかがわかります。
これは「いつまでこの状況が続くかわからない=そう遠くない将来にまた握手会ができるだろう」と考えていたファンが多かったからでしょう。
そりゃまあ直接会っての握手とオンライン通話ですから、コスパという意味では正直比べるべくもありません。
忠誠心の強いファンを掴んでいたメンバー、あるいは「コスパが悪かろうが顔を繋いでおきたい」とファンに思わせるメンバー(≒超人気メン)に集中する結果となりました。
私もこの結果を見て27th選抜発表の記事で「ミーグリの売り上げはこれまで以上に「ファンの一部」の意志を表すものに過ぎなくなった」と書いています。
さらに握手会の時は「わざわざ交通費を払って会場まで行くのだから」と推しメン以外にも購入する「ついで買い」需要があったのですが、オンラインではそれもなくなります。
加えて初期はシステムのトラブルも多く動作が不安定だったために、握手の時より何人ものメンバーを回るのが難しいという状況もありました。
これにより「ついで買い」から「推し増し」へ、という人気拡大の流れが阻害された感は否めません。
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会えた感動
そして、多くの人の予想を超えて「コロナ期間」は長く続きました。
実に3年半です。
結局リアルイベントが再開したのは32nd『人は夢を二度見る』。
始まったのが「握手はしない握手会」とでもいうべき「リアルミーグリ」でした。
ただここでもひとつ大きな変更が入ります。
それまでは「個別」は当たった分だけ支払えばよかったし「全国」は大行列に耐えればどんな人気メンバーとも握手することができました。
しかしリアルミーグリではCD購入後に抽選する方式になり、コロナ前はなかった「外れ券」が発生するようになったのです。
※ちなみに今回この記事を書くにあたり調べたら、この方式は「他界隈」では普通のことだそうです。世間は多数販売を「AKB商法」と呼び忌避していますが、その界隈から見れば「当選した分だけ支払えばよい」というコロナ前のやり方は「良心的」とのこと
要するに、経済的なハードルが大幅に上がりました。
これ、目先の売り上げは上がるかもしれませんがそれ以外はデメリットしかありません。
まず、ファンが疲弊します。
どこかで「もういいや」と思う瞬間が来る危険性が高い。
そしてさらにマズいのが、新規ファンというか低年齢層のファンの加入を著しく阻害すること。
社会人や全力でバイトしてる大学生ばかりの握手会場になっちゃダメですよ。
学生がお小遣いで初回限定盤を1枚買って、1枚だけの「イベント参加券」を握りしめて全握会場に来て。長い長い行列に並んでやっと会えた白石麻衣の美しさに感激する。
「裾野を拡げる」という言葉にすると味も素っ気もないですが、そういうのって大切だと思うんですよね。
その経験が「乃木坂になりたい」という願いにつながるのですから。
遠藤さくらが、池田瑛紗が加入前に握手会に参加していたことを忘れてはいけないと思います。
そもそも握手(あるいはリアルミーグリ)とミーグリは似て非なるものです。
前者は「会えた感動」が大きい。
それに対しミーグリは画面越しですからさすがに「会えた感動」はなく、短時間でのリアクション…まあありていに言えば釣り能力と瞬発力の勝負。
「会いに行けるアイドル」という概念のない昭和の感覚からすると「一度でいいからその姿を至近距離で見たい」と思わせるのってアイドルにとって必要な能力だと思うんですよね。
というか、敢えて強い言葉を使えばそちらこそアイドルの「本質」とか「地力」でしょう。
それがすべてではないのは重々承知しています。
「親しみやすさ」も「瞬発力」もアイドルの魅力のひとつなのはわかってます。
でも、実際に白石麻衣や齋藤飛鳥はそれを備えていたじゃないですか。
「至近距離で飛鳥ちゃんを見て、そのあまりの可愛さと細さと顔の小ささに頭が真っ白になって何も話せなかった、けど幸せ」。
これですよね。
まとめます。
ミーグリはファンの間口と裾野を狭め、人気のねじれをを生む危険性がある。
そのひとつの表れが現在のミーグリ人気の極端な二分化。
私はそう考えています。
それを解消するために、ぜひ少なくとも個別の一部はリアルミーグリにしてほしい。
本当は裾野を拡げるために全国リアルミーグリを握手会当時のように購入者全員参加可能にしてほしいですが。
恐らく短期的には売り上げが下がるでしょう。
でもトップアイドルグループ=いま日本で一番目先の売り上げにこだわらない施策を打てるのは乃木坂なのですから。
運営の英断に期待します。
続きます。
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過去に当ブログに掲載した記事を再構成し加筆したもの。
総文字数84,000文字、加筆部分だけでも10,000文字以上のボリュームでブログをご覧になった方にも楽しんでいただけることと思います。
「今にして思うこと」は各章の末尾に「追記」という形で新たに文章を加え、さらに書き下ろしとして4期生の初冠番組であった『乃木坂どこへ』を振り返っています。
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こちらは総文字数10万文字、加筆部分だけでも22,000文字以上のボリュームです。
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