2024年2月17日、公式ブログで山下美月さんが卒業を発表しました。
やり切ったよな。
最初に思ったのはそれでした。
まずは彼女の歩みを振り返りましょう。
レジェンドたちのただ中で
2016年9月、乃木坂46の3期生メンバーとして加入。
その日から3期生の、そして未来の乃木坂エースの座をめぐる「よだももとくぼしたの物語」が始まりました。
活動初期から様々な紆余曲折を経てくぼしたWセンターへと至る4人の物語については33rdシングル『人は夢を二度見る』の記事で詳しく書いていますので、よろしければまずこちらの記事をご一読ください。
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3期生の中でも美月は初期から目立っていました。
その完成されたビジュアル、そして積極的に爪痕を残しにいく姿勢によって。
『乃木坂工事中』初登場時の自己PRではサンシャイン池崎の「ジャスティス!」をコピー。これは賀喜遥香、五百城茉央へと受け継がれていくことになります。
一部では「完成され過ぎていてつまらない」などという声もありましたが、白石麻衣を筆頭に「アイドルは成長過程を見せるもの」という定説を覆してきた乃木坂というグループに入ったことも彼女にとって幸運だったのかもしれません。
抜群の握手対応であっという間に3期生どころかグループ内でも屈指の握手人気メンへと成長します。
2018年4月発売の20thシングル『シンクロニシティ』で初選抜と同時に堂々のフロント入り。
以降、今回の35th『チャンスは平等』まで丸6年に渡り、基本的にはフロントに立ち続けます。
※例外はやや特殊なフロント構成だった24th『夜明けまで強がらなくてもいい』(4期生3人同時抜擢フロント)と25th『しあわせの保護色』(白石麻衣卒業で1期生全員福神=2列目まですべて1期生)そして不参加だった23rd『Sing Out!』
丸6年というだけで十分凄いですが、これの何が凄いって20thシングルには白石麻衣も西野七瀬も齋藤飛鳥も生田絵梨花もいたこと。
そこに割って入る形でフロントに立ち、その地位を確立したのは美月と与田祐希のふたりだけです。
まして2018年ですから、こと「ダイナミズム」という意味ではグループがひとつのピークを迎えていた時期です。
2年連続レコード大賞受賞。神宮球場と秩父宮ラグビー場での2場同時開催で6万人×3DAYSの18万人を動員した6thバスラ「シンクロニシティライブ」。そして現時点でグループ史上最高の売上枚数を誇る22ndシングル『帰り道は遠回りしたくなる』。
その真っ只中で、デビュー1年ちょいのまだまだ新人であるふたりがフロントに立ち続けた。
今になってそれがいかに偉業であったかがわかります。
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非の打ち所がない実績
そこから先の活躍は皆さんご存じの通りです。
同じ2018年にはファッション誌『CanCam』の専属モデルに。
翌2019年からは演技の仕事に注力。
3本のテレビドラマに相次ぎ出演し、映画デビューも果たしました。
この時期にあまりのハードスケジュールから23rdシングル『Sing Out!』の活動には不参加という判断を下されるものの、同年の真夏の全国ツアーから復帰。
以降は大量の外仕事をこなしつつ、ほとんど(全く?)ライブも欠席せずに走り抜けます。
余談になりますが、外仕事を抱えながらグループの活動に執着するという面では生田絵梨花級でした。
「どんな無茶をしても絶対に1日は出る」生田絵梨花に対し、「ギリギリまでなにひとつ諦めない」山下美月というスタンスの違いも興味深いですね。
このふたり、似ているようで表と裏だと思います。(書き出すと長くなるので今回は止めておきます)
2022年10月『舞いあがれ!』から2024年3月『Eye Love You』まで6クール連続=1年半にもわたってTVドラマ出演を続けてきました。
これまた、乃木坂46在籍中のメンバーとしては空前絶後の偉業です。
主演やヒロインもできるけれど、むしろキャストの5~10番手という役の方が多かった。
初のグループ外での演技仕事である映画『日日是好日』からしてそうでした。
初めから彼女が「アイドルが演技もやってみました」ではなく「俳優」としての将来を見据えていたことをうかがわせます(そして運営もそれを理解し後押ししていたことを)。
2020年1月発売の1st写真集『忘れられない人』は推定売上19万部超というメガヒット。
同時期にドラマ『映像研には手を出すな!』での共演から齋藤飛鳥との距離がぐっと縮まり、飛鳥が後輩に気を許しているという珍しい姿を見せるようになります。
2021年1月発売の26thシングル『僕は僕を好きになる』で悲願の初センター。
白石麻衣卒業後最初のシングルですから、明らかに「託された」形でした。
そしてこの後ぐらいからでしょうか、飛鳥のシンメが必要な状況ではそれを美月が務めるケースが多く見られるようになります。
2022年末には、その飛鳥から『乃木坂工事中』における飛鳥自身の卒業企画で「目バキ船長」と呼ばれ「乃木坂丸の舵、とってくださいね」。
ここでも後を託されついに「乃木坂の顔」へと上り詰めます。
15枚のシングルに参加し単独センター2回、Wセンター1回。それ以外のフロント10回。2列目と3列目が1回ずつ。
4期生の加入、コロナ禍、そして相次ぐレジェンドたちの卒業というグループの激動期を支え、常にセンター候補であり続けました。
非の打ち所がない実績を積み上げての卒業です。
続きます。
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『2020年の乃木坂46』 kindle版
過去に当ブログに掲載した記事を再構成し加筆したもの。
総文字数84,000文字、加筆部分だけでも10,000文字以上のボリュームでブログをご覧になった方にも楽しんでいただけることと思います。
「今にして思うこと」は各章の末尾に「追記」という形で新たに文章を加え、さらに書き下ろしとして4期生の初冠番組であった『乃木坂どこへ』を振り返っています。
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『2019年の乃木坂46』 kindle版
過去に当ブログに掲載した記事を再構成し加筆したもの。
こちらは総文字数10万文字、加筆部分だけでも22,000文字以上のボリュームです。
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伝説のアンダーライブ2ndシーズンを題材にしたセミドキュメンタリー小説。あの頃の熱量を叩き込んだ渾身の50,000文字です。
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