2024年5月22日、公式ブログで阪口珠美さんが卒業を発表しました。
まずは彼女の乃木坂人生を振り返りましょう。
たまちゃん。
2016年9月、乃木坂46の3期生オーディションに合格。同年12月の日本武道館におけるお見立て会で初めてファンの前に立ちます。
第一印象は「目がクリクリした不思議ちゃん」。
特技披露が「Y字バランスをしながら般若心経」だったこともその印象を強めました。
しかし同期は個性派集団3期生。何人も握手人気でロケットスタートを決める化け物がいました。
3期生が本体に合流したのは(抜擢組のよだももを除き)20thシングルから。
そこから16枚のシングルに参加し選抜3回、すべて3列目。
アンダー13回。うちセンター1回、それ以外のフロント2回、2列目8回、3列目1回。
初選抜は加入から2年半後の23rdシングル『Sing Out!』。
よだももくぼした梅れんたんでんりりあに先んじられ、同期の中では9番目。
続く24th『夜明けまで強がらなくてもいい』から4期生が選抜入りし、その先は彼女にとって選抜の壁はさらに厚いものとなりました。
ここでひとつだけ妄想を書いておきます。
21st『三角の空き地』で実際はセンター中田花奈、フロント伊藤理々杏と樋口日奈だったところをセンター佐藤楓、フロント伊藤理々杏と阪口珠美にしていれば。(別に中田花奈に対して含むところはないのでファンの方は怒らないでください)
そこから『日常』フロント、『Sing Out!』選抜とつなげれば、アンダラのスター(=アンダーフロント常連で常に選抜候補)への道はあったようにも思います。
基本「アンダーの2列目」でしたから、言葉を選ばずに言えば「中堅メンバー」だったのだと思います。
久保史緒里・中村麗乃と同い年の「新・中3トリオ」。
若様軍団のフォーク担当。
46時間TVなどで披露した「たまトレ」。
「画伯」としても活躍。描かれる対象が誰であれ常に毛髪が点で表現される人物画は観る者に恐怖を与えました。
そして古くは川村真洋、渡辺みり愛から連なる「ダンス番長」でした。
私は彼女のダンスを観るといつも「優雅」という印象を受けます。
クラシックバレエを約9年間習っていたという経歴からの刷り込みかもしれませんが笑
2023年1月に公式ブログで耳の病気(右耳低音障害型難聴)を公表。
「1年ほど前からライブのリハが始まると同時に耳の調子が悪くなる事が多々ありました」と書いていました。
その時から「遠くない将来に卒業するんじゃないか」と言われてきましたが、1年半もの間グループに留まってくれました。
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たまちゃんの煌めき
彼女の代表作といえばやっぱり初選抜の『Sing Out!』そしてセンター曲『口ほどにもないKISS』が挙がるでしょう。
ただ私が思い浮かべるのは『平行線』です。
『Sing Out!』収録のユニット曲。
メンバーは3期生だけ。大園桃子、与田祐希、久保史緒里、岩本蓮加、そして阪口珠美。
そこにあったのは目を離したらその瞬間に消えてしまいそうな刹那の煌めき。
そんな圧倒的なキラキラと切なさを同時に表現するにはたまちゃんこそがふさわしい。
山下美月や伊藤理々杏のような濃い目の顔立ちで外連味のあるメンバーではこうはいきません。(どちらが上とか下ではなく向き不向きの話です、念のため)
私がたびたび用いる「青春感」。
3期生でそれを最も感じさせたのは彼女だと思っています。
もうひとつ、「たまちゃんといえばこれ」という名場面があります。
2020年7月『乃木坂工事中』での「第3回内輪ウケものまね大賞」。
まずは山下美月が「楽屋にいる時の岩本蓮加のギャル感」を演じます。
それに対しれんたんが「たまみとかとふざけている時に出ちゃう」。そして「彼女は意外と私よりJK味のある方」と丁寧に露払い。
そこからの梅澤美波による「若者言葉で会話をし続けるが何を言っているか分からなくなる阪口珠美」。
バナナマンのおふたりに「阪口そんな感じなんだ?」と驚かれた彼女。
語尾に「ンゴ」をつけるのが流行っていたので大園桃子を「ももンゴ」と呼んで嫌がられた話から始まり、秋元真夏は「まなンゴ」生田絵梨花は「いくンゴ」では日村さんは?に「ヒ」。
最後に設楽さんから「ちゃんと今時の言葉で謝って」と言われ「すまん」。
面白さ、3期生の仲の良さ、そして「ギャル言葉を言うとみんなに嫌われます」「私はやめなさいって言います(梅ちゃん)」という乃木坂の治安の良さ笑が相まって凄く印象に残っています。
「珠美がずっとアンダーだった自分を憧れと言ってくれたから救われた」と樋口日奈は語りました。
グループの全員から愛でられ倒している小川彩からお歳暮を贈られ「好きだからです」と言われたのですから、可愛くて優しくて素敵な女性なのでしょう。
初期からビジュアルのイメージはずっと変わりませんでしたが、ゆっくりと洗練の度合いを高めていました。
今年のバスラも仕上がりまくっていましたよね。
彼女のブログはいつもこう始まっていました。
さかぐち 坂道 登り坂!
たまにはたまみと登ってね。
ここで「たまには」と言ってしまう奥ゆかしさ。
それはグループアイドルの中でサヴァイブしていくには決して有利ではなかったかもしれない。
でもそれがたまちゃんらしさだったよな、なんて私は無責任にも思ってしまうのです。
卒業発表したブログでも素敵な言葉を残しています。
乃木坂46の一員になる夢を叶えたあとも
無理と思っていた
沢山の願いを叶えられたことは
これからの私の人生の
大きな自信になります。
(乃木坂46 阪口珠美公式ブログより引用)
最後に彼女のこれからについて。
「このグループに入る事だけが人生の夢だった」たまちゃんですが、卒業発表後のインタビューで「また皆さんの前で頑張れたらなって思っています」ともコメントしています。
何だろう?
「たまトレ」のYoutubeチャンネルを始めるというのが一番ありそうな気がしますね。
どこかでまた彼女のニコニコ笑顔が見られることを期待しています。
阪口珠美さん、約7年半お疲れさまでした。
◇
『2020年の乃木坂46』 kindle版
過去に当ブログに掲載した記事を再構成し加筆したもの。
総文字数84,000文字、加筆部分だけでも10,000文字以上のボリュームでブログをご覧になった方にも楽しんでいただけることと思います。
「今にして思うこと」は各章の末尾に「追記」という形で新たに文章を加え、さらに書き下ろしとして4期生の初冠番組であった『乃木坂どこへ』を振り返っています。
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『2019年の乃木坂46』 kindle版
過去に当ブログに掲載した記事を再構成し加筆したもの。
こちらは総文字数10万文字、加筆部分だけでも22,000文字以上のボリュームです。
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伝説のアンダーライブ2ndシーズンを題材にしたセミドキュメンタリー小説。あの頃の熱量を叩き込んだ渾身の50,000文字です。
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