タオル補正
前の記事では早い時期から選抜入りしたゆえの苦しみを味わった清宮レイの乃木坂人生を振り返りました。

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今回は彼女の葛藤についての推察と、私の思う名場面を。

子供じゃないならね


帰国子女。生徒会長。
サイリウムカラーは「太陽とオレンジ」のオレンジ×オレンジ。

初めてのブログで「太陽みたいな人になりたい」と宣言し、メンバーからは「レイちゃんはずっと私たちの太陽だったよ」と言われる彼女。

でも私のイメージはやっぱり、ひまわり
太陽に憧れ、あのいたずらっぽい目をキラキラさせながら目一杯手を伸ばしてすくすくと成長していく。

それが私の思うレイちゃんです。

その明るさはグループに必要。そう運営は考えていた節があります。

思惑としては高山一実のように「控室で周りを明るく笑顔にする」存在として、長くグループを支えてほしかったのではないでしょうか。
だから早い時期から選抜に入れて慣れさせようとした。あるいは選抜固定メンとしてファンに印象づけようと(ありていに言えば受け入れてもらおうと)した。

「無邪気で明るい」という彼女の良さはそのままに、先輩と馴染み、4期生とワチャワチャし、少しずつパフォーマンス面でも成長していく。レイちゃんに期待していたのはそれだったように思います。

これは完全に今思いついた余談ですが、彼女が年齢とともに周囲に目を配れるようになったら将来のキャプテン候補という線もあったのかもしれません。なんといっても「元生徒会長なめんなよ」ですし。

しかし彼女自身は「選抜にいる以上は少しでも早く先輩たちに追いつかなければいけない」=クオリティを上げなければいけないと考え、「格好いいパフォーマンス」を志向します。
いわば、早く大人になろうとしたのです。

そして悲しいかなそれはすなわち、彼女の大きな魅力のひとつである天真爛漫さをスポイルするものでした。

その意識のズレは、ファンとの間にもあったように思えます。

卒業を発表した時のブログにはこうあります。

 誰かからの「好き」を仕事にする事の難しさをよく感じていました。
 自分はつくづく向いていないと何度も思いました。
 (乃木坂46 清宮レイ公式ブログより引用)

ファンの求める自分と、自分がなりたい自分。
「大人になってほしくない」ファンと「大人にはなるものだ」と思う自分

いつからかその乖離を感じていたのではないでしょうか。

そして彼女はストレートに言えば「自分を偽ってまで誰かの期待に応えることを潔しとしない」タイプだったように思います。

35thアンダラのアンコールで「ここで流した汗と涙は無駄ではなかったのだと願いたいです」と語ったレイちゃん。

「無駄ではなかった」ではなく「そう願いたい」と言ってしまう正直さこそが清宮レイですね。

自己肯定感が強そうな彼女にとって、乃木坂での5年半はきっと悔しさや挫折感が残ったのでしょう。

それでも。
髪色を濃くして前髪を作った最近のビジュアルは、そして無邪気に笑う姿は「あの頃の私を好きになってくれた人たちへの最後のファンサービス」

私にはそう見えてなりません。

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とても素敵な考え方


センター曲も、ユニット曲もなし。
率直に言って「代表作」と呼べるものがなかったレイちゃん。(公式Youtubeの『REI English !!』を別にすれば)

しかしファンの前でのラストパフォーマンスになった先日の35thアンダラ千秋楽。

そこで彼女は、自身の手で「代表作」を生み出して見せました。

『Against』
初代センターにしてレジェンドである生駒里奈の代名詞のひとつ。
その卒業に際して作られた、初の1期生楽曲でもあります。

イントロでキメキメの表情を浮かべ、ラスサビでのハイジャンプ。
恵まれた身体能力を活かしたダイナミックなパフォーマンス。

清宮レイのポテンシャルを、この場所で培ったものを
そしてきっと、彼女のなりたかった自分を。

観る者すべてに見せつけた瞬間でした。

「ちゃんと気づいてた?私こんなこともできるようになってたんだよ! 」と言わんばかりに。

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もうひとつ、どうしても書いておきたいことがあります。

2020年6月。初期の『ノギザカスキッツ』で4期生「自分チャート」というコーナーがありました。
ビジュアル・頭脳・運動神経・性格の良さ・そして自身で追加する独自項目を5段階で自己評価して5角形レーダーチャートを作成するというもの。
しかし皆さんご想像の通り、4期生はみな自分に「0」とか「1」ばかりの低い点をつけます。

そんな中、敢然とオール「5」のフリップを掲げるレイちゃん。独自項目は「笑顔」でした。

さらば森田氏に真意を尋ねられた彼女はにっこり笑ってこう言うのです。

 テスト用紙渡されて「好きな点数書いていいよ」って言われたら100点って書きたいじゃないですか

 そういうこと!

 自分の可能性は無限大ですよ(とガッツポーズ)

その言葉に凄く共感してウンウン頷く北川悠理
自分のチャートをオール「7」に変えて「負けたくない!」と笑う早川聖来

すべてが懐かしく、これを書いているだけでちょっと感傷的になってしまいますが。

なんて素敵な考え方だろう。当時そう思ったのを強烈に憶えています。
本当に素晴らしいし、こういう前向きな考え方をするメンバーが必要だったと今改めて思います。

清宮レイの名シーンとして、私が真っ先に思い浮かべたのはこれでした。


最後に、これからの彼女について。

大人計画の『3年B組皆川先生~2.5時幻目~』。
そしてヨーロッパ企画主宰の上田誠氏脚本・演出の『鴨川ホルモー、ワンスモア』。
なんというか、実に骨っぽいというかいいところの舞台に出ているレイちゃん。

映画の出演もありましたし、俳優になりたいという彼女の夢をちゃんと運営は後押ししていたんだなと思います。

恐らく充電期間を経てから改めて演技の道へ進むのではないでしょうか。

変わらぬ向日葵のような笑顔を湛えながら

清宮レイさん、約5年半お疲れさまでした。


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「今にして思うこと」は各章の末尾に「追記」という形で新たに文章を加え、さらに書き下ろしとして4期生の初冠番組であった『乃木坂どこへ』を振り返っています。


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