前の記事では今作のタイムライン上の位置づけについて書きました。
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免除制度と最年少
今回最大のトピックとなった小川彩のフロント登用。
(アルさんはいったん置いておいて)井上和以外にもうひとり、単独センターを張れる人材を5期生から輩出する。
これは6期生加入そして抜擢までの残り時間を考えると、現在のグループ運営における最優先事項と言っても過言ではありません。
これまでたびたび書いてきたように、ずっと「5期の2番手が決まらない」状態が続いてきました。ミーグリも常に2次完売させてきたのは和ちゃんだけですが、逆に3次以内であれば何人ものメンバーが完売させ続けています。
その中では相対的に完売速度が遅かった小川彩。
過去2作は4次完売。その前は6次完売でした。
恐らくそれゆえにでしょう、彼女のフロントに対し意見は割れました。
「時期尚早」と「いやむしろ一気にセンターにするべきだった」。
私は無論、後者です。
破格。
個人的には生田絵梨花を彷彿とさせる、と思っています。
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そして「いずれセンターに立つべき存在」と運営が認識している…少なくともその可能性を感じているのであれば、売り出すのは今しかない。
なぜなら最年少を育てることには特有の難しさがあるからです。
「超彫刻」岩本蓮加と「完璧」筒井あやめというふたりの逸材ですら表題曲センターに立てていない。最年少ではないですが遡れば「可愛いの天才」星野みなみもそうでした。
まず、乃木坂は伝統的に年少メンが握手人気では苦戦します。
「若すぎる」メンバーを推すことに心理的抵抗を感じるファンもいるように思います。そしていわゆる「対応の良さ」という面ではある程度年齢が上の方が有利なのは当然のこと。
にもかかわらず、握手(ならびにミーグリ。以下「握手」)の免除制度により「最年少メンが完成する≒人気が爆発するより前」に免除になってしまうというパラドックスが発生するのです。
ちなみに「免除制度」とは握手の通算完売部数が一定数を超えたメンバーがその次作から個別握手不参加になること。公式に言明されたものではありませんが実際にみんなそうだったので、まあ暗黙の了解ですね。
1期2期は初期にフル完売なんて夢のまた夢という握手が売れない時代を経験し、そこから地道に積み重ねてようやく免除まで到達しました。齋藤飛鳥の免除は実に24thシングルから。既に大エースとして君臨している時です。
しかし3期生以降、格段に新人の売り出し方法は整備され、期を重ねるごとにブラッシュアップ。
ファンも「新人加入」に慣れ、グループに新たな活力をもたらす存在として歓迎する文化が定着します。「新しもの好き」や「古参になりたい」ファンも一定数いて、乃木坂は新人の握手が売れるグループとなりました。
つまり期の最年少メンは「新人ブーストはかかる」けれど「同期の中ではやや不利」という微妙な状況になります。
結果として「案外早いけれど同期のトップ人気メンよりは遅いタイミングで免除」しかも「まだ人気が爆発する前の可能性もある」。
この免除のタイミングが曲者。
免除とはすなわち、最も目に見える人気指標である握手人気がわからなくなる=そのメンバーの人気に対するファンのイメージがその時点で固定されるということです。
ちょうど「人気爆発中」「最速完売継続中」ならいいのですが、仮に完売速度が低下傾向であれば「逃げ切った」という印象になりますし、上昇中でも選抜内で中位ぐらいであれば「センターやフロントには人気不足」と言われてしまう。
しかも一部の例外を除き免除=選抜固定。他推しのファンが色々言いたくなる気持ちもわからんでもありません。
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叩き上げかエリートか
もうひとつ、齋藤飛鳥という奇跡が逆に呪縛となっている気もします。
選抜とアンダーを行き来した叩き上げで乃木坂のすべてを知り、気がつけば美しく成長し、ライジングスターとして一気に階段を駆け上り、やがて絶対的センターとなり、次世代へと継承する最年少メン。
ファンはどこかでそんな奇跡の再来を求めている。
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「叩き上げ」を意識してか、れんたんにはアンダラもその座長も経験させ少しずつ階段を上らせました。
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握手人気もじわじわ上がり、握手として発売された最後のシングルである25th『しあわせの保護色』の頃にはフル部数3次完売=最速に次ぐ速度まで到達します。
しかし一気にフロント、センターというタイミングはありませんでした。
あやめんは逆に(みなみちゃんと同じ)エリートコース。
24th『夜明けまで強がらなくてもいい』では同期抜擢センター遠藤さくらの隣に立ち、その中学生とは思えぬビジュアルの完成度で瞬く間に人気を集めます。
続く25thでは恐らく乃木坂史上初となる中学生でのフル部数2次完売を成し遂げます。この時に彼女以外の同期でフル2次完売したのは遠藤さくら、賀喜遥香、掛橋沙耶香の3人ですから、4期の中でも一歩先んじていたことがわかります。
しかしふたりともコロナ禍によるオンライン化以降徐々に完売速度を落とします。
れんたんもあやめんも「愛嬌」より「美貌」が売りですから、オンラインより圧倒的にリアル向き。
以前に書いた通りオンラインミーグリはもちろん有力な人気指標ですけれど、握手時代よりさらに「ファンの一部」の意志を表すものに過ぎなくなりました。そんな「オンライン化による人気のねじれ」に該当するメンバーのように思います。
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このふたりは「乃木坂46メッセージ」の売り上げでは常に上位にランクインしている(※)のでファンの数はグループ内でも上位なのは間違いないのでは。
※性質上「積み上げ」が強い指標とはいえ、集計タイミングによっては井上和と互角以上
既に免除のれんたん、そして次の次から免除が予想されるあやめん。
やや完売速度を落としてフィニッシュしたふたりは、今後フロントに立つと「フロントには人気不足」という声が一部から上がるでしょう。
運営がこのふたりの人気はミーグリ完売状況より高いと(そしてフロント級だと)判断しているのであれば、それを証明するためだけにでも以前の全国握手会と同じように「抽選制でない」かつ「免除メンも参加する」リアルミーグリを開催してもいいと思いますけどね。
そこでかつての与田祐希や山下美月がその行列の長さで人気を見せつけ有無を言わさずレジェンドたちに割って入ってフロントに立ったように、その人気を証明できれば。福神やフロント、そしてセンター争いに加わっても異論は抑えられるのではないでしょうか。
…と、アイマスクをした筒井あやめがセミを食べながら冷静に「セミですね」とのたまう『乃木坂工事中』を観ながら思いました笑
完全に小川彩ではなく「免除制度論」と岩本蓮加、筒井あやめの話になってしまいましたので、記事を分けます。
続きます。
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伝説のアンダーライブ2ndシーズンを題材にしたセミドキュメンタリー小説。あの頃の熱量を叩き込んだ渾身の50,000文字です。
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総文字数84,000文字、加筆部分だけでも10,000文字以上のボリュームでブログをご覧になった方にも楽しんでいただけることと思います。
「今にして思うこと」は各章の末尾に「追記」という形で新たに文章を加え、さらに書き下ろしとして4期生の初冠番組であった『乃木坂どこへ』を振り返っています。
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『2019年の乃木坂46』 kindle版
過去に当ブログに掲載した記事を再構成し加筆したもの。
こちらは総文字数10万文字、加筆部分だけでも22,000文字以上のボリュームです。
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