2024年8月10日、公式ブログで掛橋沙耶香さんが卒業と芸能界引退を発表しました。
その直後に私が思う掛橋沙耶香の魅力を書いたこちらの記事を公開しました。
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当記事はいつもメンバーの卒業にあたって書いてきた、その乃木坂人生を振り返るものです。
勘がいい子
2018年8月19日、「坂道合同オーディション」に合格。
12月3日が初ステージとなる日本武道館でのお見立て会でした。
透明感抜群の素材型美少女。まさに「岡山の奇跡」。
しかし同期には「透明感モンスター」遠藤さくらがいました。
初の4期生楽曲『キスの手裏剣』でセンターに立ったさくちゃんに対し、掛ちゃんは後列の端からふたりめ。歌割りでいえば11人中のラスト3人でした。
運営序列は低かった。あるいは「階段を上っていく候補」だったのかもしれません。
しかし彼女は極めて早い時点からその階段を上り始めます。
上の記事で書いたように対応力が高い、いわゆる「勘がいい」子だったのでしょう。
(さくちゃんとかぶらない)あざとい妹キャラへと方針転換した彼女は、溢れる愛嬌で瞬く間に人気を上げました。
翌2019年4月『4期生初公演「3人のプリンシパル」』でも16戦7勝。ラスト6公演中5勝と怒涛の追い上げを見せます。
私はその怒涛の追い上げ前の2日目と7日目を観劇しましたが、わずか5日の間に「上手くなっている」とはっきり感じさせたのは彼女でした。
当時のレポに「将来的に演技の仕事を定期的にやっていけば化けるんじゃないでしょうか」と書いています。(『2019年の乃木坂46』収録)
この短期間での演技向上も掛ちゃんの勘の良さの表れだったように思います。
握手人気は最初から遠藤さくら・賀喜遥香と同等(=最速の完売速度)。
4期初参加となった4thアルバム、そして23rd&24thシングルでも同期内最速の完売を続けます。
25th『しあわせの保護色』で4期生が初めてスタートから30部フル設定となりますが、ここも最速となる2次完売。
これは同期の遠藤さくら、賀喜遥香、筒井あやめだけでなく、見た目上は福神固定の先輩たち=梅澤美波、久保史緒里、山下美月、与田祐希と並んだことになります。
彼女の快進撃は止まらず、24th収録の4期生楽曲『図書室の君へ』では遠藤さくらに次ぐふたりめの期別センターを射止めます。
同時期から始まった4期冠番組『乃木坂どこへ』でもなかなか前に出れない4期生の中で、初期から早川聖来とともに積極的な姿勢を見せ活躍。
しかし彼女が上昇基調にあったこのタイミングで訪れたコロナ禍。
次作となる26thシングルは約10ヶ月後の発売となり、前作で最速の完売速度だったにもかかわらず選抜入りは叶いませんでした。
ここで選抜に入ったのは田村真佑と清宮レイ。
結果だけ見れば、ここで掛ちゃんとレイちゃんふたりの歯車が狂いました。
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そしてオンラインミーグリになったこの26th『僕は僕を好きになる』以降、掛ちゃんはやや完売速度を落とします。
田村真佑、早川聖来というお姉さん組ふたりが安定した完売速度を保ったのに比べ苦労していた印象。
このあたりもしかしたら彼女の「勘の良さ」が目線や雰囲気を感じ取るという同じ空間にいる事を前提とするもの(=握手会向き)でミーグリでは十分に発揮できなかったのかもしれません。
その影響か続く27thでも選抜入りは叶わず、早川聖来に先を譲ります。
待望の初選抜は2021年9月発売の28th『君に叱られた』。
「2回待たされた」格好でした。彼女自身選抜発表時にブログで「茨の道でした」と語っています。
そこから30th『好きというのはロックだぜ!』まで3作連続の選抜入り。すべて3列目でした。
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2020年7月には地元岡山県に本社を置く「SUENAGAグループ」のイメージキャラクターに就任しテレビCMにも出演。
2021年3月には配信ドラマ『取り立て屋ハニーズ』で初主演。
『ノギザカスキッツ』の「保険ポリスは許さない」でさらば森田氏とバディを組んで「ちばけっとたら、おえんで!」の名台詞を生み出したり、『乃木坂スター誕生!2』ではぺこぱのおふたりとブラックビスケッツ『Timing』を歌ったり。
冠番組ではMC陣と息の合ったところを見せ活躍を続けます。
最後となった30thシングルのミーグリ(5期生が初めて最初から参加している状態)でも4次完売まで盛り返していますので、新人の勢いに飲み込まれずに自分のファンを掴んでいたと言えるでしょう。
加入当初はあどけない印象だったビジュアルもどんどん洗練されていき、10thバスラでは目を見張るほどの仕上がり。
私は大きな可能性を感じていました。
大人になった彼女が5期生たちと真っ向勝負しながら、選抜固定だった先輩メンバーの卒業により空いた穴を埋めてくれるんじゃないか。
なんなら福神固定ぐらいまではいってくれるんじゃないか、と
しかし、そんな願いは突然断ち切られました。
2022年8月29日。
掛ちゃんは神宮でのライブ中に1塁ベンチ上の階段から転落し救急搬送されます。
あの日そのネットニュースを見て「どうか無事でいてくれ」と祈ったのが遠い昔のことのようです。
2ヶ月後にブログ上で語られた彼女の状態に、ファンは衝撃を受けました。
「私は転落した時に、顔の一部を骨折して、2箇所に裂傷の怪我をしました。また、歯も1本抜けて、周りの3本は折れて、神経の機能を失いました。現在は、縫合した傷跡を目立たなくするための治療、歯の治療、表情筋のリハビリ等の治療中です」
2023年の11thバスラ4期生ライブ。
事故から1年後となる2023年の神宮。
何度かあった「復帰するならここかも」というタイミングに、つい仄かな期待を抱いては落胆するということが続きます。
やがてそれも諦めに変わり、2年の月日が流れました。
そして
『大切なご報告』
そう題したブログで、我々はその日が来てしまったことを知りました。
続きます。
◇
『2020年の乃木坂46』 kindle版
過去に当ブログに掲載した記事を再構成し加筆したもの。
総文字数84,000文字、加筆部分だけでも10,000文字以上のボリュームでブログをご覧になった方にも楽しんでいただけることと思います。
「今にして思うこと」は各章の末尾に「追記」という形で新たに文章を加え、さらに書き下ろしとして4期生の初冠番組であった『乃木坂どこへ』を振り返っています。
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『2019年の乃木坂46』 kindle版
過去に当ブログに掲載した記事を再構成し加筆したもの。
こちらは総文字数10万文字、加筆部分だけでも22,000文字以上のボリュームです。
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『アンダラ伝説』 kindle版
伝説のアンダーライブ2ndシーズンを題材にしたセミドキュメンタリー小説。あの頃の熱量を叩き込んだ渾身の50,000文字です。
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