タオル補正
2025年3月7日、公式ブログで佐藤楓さんが卒業を発表しました。

まずは彼女の乃木坂人生を振り返りましょう。

憧れの背中を追いかけて


2016年9月、乃木坂46の3期生オーディションに合格。応募動機は「憧れの乃木坂メンバーに会えるかと思って」。
同年12月の日本武道館におけるお見立て会で初めてファンの前に立ちます。

第一印象は「地味めスポーツ女子」

タレント性の高いメンバーが多かった3期生の中では正直あまり目立っていなかったように思います。
それゆえかスタート当初、彼女は握手人気で出遅れました。
それでも徐々に人気を上げ、21stシングルで初めて30部フル完売。
その勢いのまま22ndで同期の伊藤理々杏と共に初選抜を勝ち取ります。

その『帰り道は遠回りしたくなる』は「憧れの人」西野七瀬の卒業シングルでした。
最後の最後で「間に合った」。いちファンに過ぎない私ですが今改めて「本当に良かったなあ」と思います。

同シングルでも4次で30部フル完売し23rdでは連続選抜。このまま選抜常連へとステップアップするかと思われました。

しかし。
この2作連続で選抜されたでんちゃんと理々杏のふたりはヘイトを集めてしまいました。

ただそれも無理はないのです。
さほど差のない完売速度だった「アンダラのスター」たち、樋口日奈や斉藤優里そして2期生アンダーセンター経験者を差し置いての選抜でしたから。

それと時を同じくして4期生たちが握手会に参加し始め、2期3期の何人かが完売速度を落としたりフル完売できなくなります。

でんちゃんもその影響を免れることはできませんでした。
23rdはフル完売を逃し、24thと25thではフル完売に戻す粘りを見せますがそれでも徐々に完売速度を落としていきます。

このあたり、やはり3期生は本当に苦しかった。

レジェンドたちの握手免除による「ファン流し」の恩恵は確かに受けましたが、4期生加入までの期間は2年間しかありませんでした。4期と5期の間は3年強、5期と6期も3年です。(ちなみにグループ史上最短は1期と2期の間の1年7ヶ月)
「最初から超人気だったメンバー」以外が自分の支持基盤を確固たるものとするには少々時間が足りなかったように思います。

そしてこのタイミングでコロナ禍。
握手会はオンラインミーグリへと変わり、何度も書いてきたようにミーグリ人気は二極化します。

26thシングル以降、でんちゃんはフル完売できなくなりました。

「あざといこととか一切できない」彼女にとって、画面越しの瞬発力勝負であるミーグリはあまり相性が良くなかったのかもしれません。
皮肉にも、彼女のビジュアルが完成の域に達したのはちょうどこの頃だったと個人的には思っています。

29thシングル収録の『届かなくたって…』では初のアンダーセンター。
「アルノ事変」でグループに猛烈な逆風が吹く中でのアンダラ座長を任されたでんちゃん。
アンコール、急遽アカペラで歌われた『きっかけ』
アンダラの歴史に残る名シーンでした。

関連記事:


続く30th『好きというのはロックだぜ!』で3年3ヶ月ぶりの選抜復帰。
それ以降は3期生全員選抜だった35th『チャンスは平等』で選抜入りした以外はすべてアンダーでした。

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飾らない美しさ


2017年7月『乃木坂工事中』の「内輪ウケものまね大賞」で梅澤美波がやった「感情の起伏が平坦すぎて棒読みになってしまう佐藤楓」。

そこで生まれたのが後に彼女の代名詞となる「ヤラカシタ ヤラカシタ」

「棒読み」「こぼし」
このふたつの要素を含み、一言で彼女の愛すべきキャラクターを表現する秀逸なフレーズですね。

『乃木坂工事中』全ツ密着企画では「全国こぼしツアー」が毎年の風物詩に。
『ノギザカスキッツ』での「AI den」。
最終的にそれは「楓さん正そう軍団」へと繋がります。

あんな綺麗な顔立ちでスポーツも勉強もできるのに、気取ったところがひとつもなくて親しみやすい。
『乃木坂お試し中』でもMCの鈴木拓さんからいつも強めにいじられていたのも厚い信頼の証しですよね。

自身が中高6年間部活でやったバドミントンや、いとこが選手だったことからマニアになった駅伝。(ちなみに2020年度青山学院大学主将の神林勇太さん)
そして『オールスター感謝祭』でのミニマラソンからついには『SASUKE』出場まで、スポーツ関連の外仕事での活躍も目立ちました。


個人的に印象に残っているシーンがふたつあります。

2019年2月、7thバスラの『口約束』
秋元真夏、桜井玲香、中田花奈、若月佑美の「女子校カルテット」のユニット曲。
若の卒業により空いたポジションを埋めたのがでんちゃんでした。

この時の3期生はまだお披露目会から2年ちょっと。
そんな彼女たちが卒業した先輩のポジションを埋めることに一部のファンは過敏に反応しました。
梅澤美波をして「あの頃が一番辛かった」と言わしめるほどに。
(梅ちゃんはこの時に橋本奈々未ポジを埋め、猛烈なバッシングを受けたと言われています)

ましてそもそもプライベートでの関係性から生まれたユニットである女子校カルテット。
怖かったでしょう。

互いに目を合わせながら歌う最後のサビで大粒の涙をこぼしたでんちゃん
曲が終わり「頑張ったね」と言わんばかりに優しく彼女に寄り添った先輩3人。

まさにこれぞ乃木坂というべき、愛に溢れたシーンでした。

先日行われた卒業セレモニーでは岩本蓮加、吉田綾乃クリスティーという同期ふたりとこの曲を歌いました。

彼女にとっても特別な思い出だったのです。

もうひとつは2020年6月、コロナ禍真っ只中での46時間TV。
電視台で奥華子さんの『変わらないもの』を歌った大園桃子を見守ったでんちゃんは涙を流しながらこうつぶやきます。

 桃子には幸せでいてほしい

他人の幸せを願って涙を流せる彼女は本当に素敵でした


卒業発表のブログは素晴らしく彼女の人柄をしのばせるものでした。

先輩に、後輩に、同期に。
そして自分を応援してくれたファンに。

全方位への愛と感謝を伝えるまっすぐな言葉が並んでいます。

決して飾らずどこまでも優しい、私たちの見てきた佐藤楓そのものでした。


最後に、これからのでんちゃんについて。

これを書いている時点では将来についての言及はありませんが、思うことはただひとつ。

彼女の言葉を借りれば

 でんちゃんには幸せでいてほしい

って感じです。

佐藤楓さん、8年半お疲れさまでした。



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過去に当ブログに掲載した記事を再構成し加筆したもの。
総文字数84,000文字、加筆部分だけでも10,000文字以上のボリュームでブログをご覧になった方にも楽しんでいただけることと思います。

「今にして思うこと」は各章の末尾に「追記」という形で新たに文章を加え、さらに書き下ろしとして4期生の初冠番組であった『乃木坂どこへ』を振り返っています。


『2019年の乃木坂46』 kindle版
過去に当ブログに掲載した記事を再構成し加筆したもの。
こちらは総文字数10万文字、加筆部分だけでも22,000文字以上のボリュームです。


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