ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

カテゴリ:乃木坂46 > ライブレポ

びーむ色調補正3
前の記事ではこの日の印象に残ったシーンを挙げました。

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こちらの記事では遠藤さくらの8分間について書きます。

8分間の終わりに


9th以来2年ぶりとなる、バスラでの期別ライブ祭り。

2年前の4期生について私は「一番難しい立場だった」と書いています。

今回もそれは同じでした。

大前提として観る側のハードルが上がっている。
数多くの期別ライブを経験し、そのほとんどが配信されてきた4期生。

そして前日の5期生ライブが非常に良かった。
「フレッシュ」「初々しい」という魅力は今や彼女たちのもの。

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さらに翌日には2年前に感動的なライブを見せてくれた3期生が控えている。

加入からのキャリアでいえば2年前の3期生、すなわちあの「完成したアイドルの姿」と同じ。
もちろんいわゆる新4期(喜ばしいことにもう完全に死語になりましたね)は1年ちょいキャリアが短いのですが。

少し前まで4人姉妹の末っ子だったのに、気づいたら3人姉妹の真ん中になっていた彼女たち。
上とも下とも比較される、間に挟まれる者の辛さ。

4期生はここで何を見せられるのか、何を見せたいのか

否が応でもそれが問われるライブとなりました。

そしてこの日のクライマックス。

ライブ終盤、怒涛の4期曲連打の前。
スポットライトに照らされた遠藤さくらが口を開きます。

同期ひとりひとりへのメッセージ。

清宮レイへ「4期生のヒーローです」
早川聖来には「聖来の周りには4期生がいるよ」

そして彼女は8分間にも及ぶそのメッセージの最後をこう結んだのです。

 みんな、頑張ろう?

常に同期の先頭を走ることを求められ、誰にも負けないぐらい頑張ってきた遠藤さくらが。

次々に無理難題を押し付けられ、誰よりも風当たりの強い場所に立ち続けてきた。
そのたびに目に涙を浮かべ、口をへの字に結びながら必死に耐えて。
先輩や同期、周囲の人々の懸命な支えもあってこれまでの困難を乗り越えてきた。

あの遠藤さくらが

こんなにも暖かい笑顔を向けて仲間たちに手を差し伸べている。

成長するってことその美しさと切なさ
そんな彼女の姿に胸が締めつけられる思いでした。


ちょうど1年前、「アルノ事変」から始まった悪夢のような日々。

その中で光明となったのは写真集を大ヒットさせ、次作シングルでもセンターを務めた賀喜遥香。

それでも、4期生全体としてはグループを覆った悪い流れに抗いきれませんでした
早川聖来と清宮レイの活動休止、そして掛橋沙耶香の事故。

それに対し5期生は活動初期の衝撃から逆に結束を固めたかのように見事な立ち直りを見せ、そのポテンシャルを発揮しだします。
歴史は繰り返されるとはいえ「新しい方」に流れるファンも一定数いてミーグリの人気でも躍進。それを「脅威」と受け止めるメンバーもいることでしょう。

ただがむしゃらにやっていればよかった時間はとうに過ぎて。
気づけば後輩たちが猛烈な勢いで迫ってきている。

挫折、行き詰り、不安。

そんな今だからこそ、遠藤さくらは大切な同期に向けて投げかけたのでしょう。

「頑張ろう」という単なる励ましではなく

「頑張ろう?」という問いかけを

ちなみにこの台詞、アドリブだったそうです。

これまでの歩み。自分たちの現状。掛橋沙耶香への想い。

全てが込められた『4番目の光』。

賀喜遥香が、筒井あやめが、清宮レイが、北川悠理が、そして早川聖来が涙を流します。

遠藤さくらはDフレをこれまでになく力強く歌い上げ

「この坂道 登れ」の部分で早川聖来が感極まります。
彼女を彩ってきた良い意味での虚構と自己陶酔の仮面。それが剝がされた活動休止。
自分はもう一度その仮面をかぶれるのか。そんな虚像と実像が交錯した素晴らしい表情でした。


この日のオープニングVの最後は「4番目の光を探しに行こう」。
でもあそこは「見つかったか?」とファンに対して投げかけるべきでした。

少なくとも私は思いましたから。

 4番目の光は、ここにある

24th富士登山ヒット祈願の時のさくちゃんばりに笑


それでもどこか自信なさげなところが


この日のライブを配信で観た鈴木絢音はブログにこう綴りました。

 4期生のみんなは、私が気付かぬうちにお姉さんになっていました。
 みんなのことを見ていると、あの時私が憧れた1期生の先輩方を思い出します
 不思議だなあ。

鈴木さん、今からその理由をご説明します笑

2020年末の4期生単独ライブの時の記事で私はこんなことを書いていました。

 本当に、1期至上主義のファンの人に今の4期生たちを見てほしい。
 うまく説明できないのがもどかしいけれど、あの頃の乃木坂にあったのと同じ何かがそこにはあります。

 華奢でガツガツしてなくて儚げでセンチメンタリズムを炸裂させた女の子たちが、静かに闘志を燃やしながら自分を変えようとする姿はどこか既視感があって

 時々ふいに鳥肌が立って、なんだか涙が出そうになるんです。

あれから2年と少し。

この日の4期生たちを観て私が思い出したのは、2015年夏の乃木坂46でした。

 絶対皆さんを後悔させないようなグループになります!
 どこにも負けないようなグループになります!
 なので乃木坂のことを愛し続けてください!

全ツファイナルの神宮球場で桜井玲香が叫んだあの夏。

既にグループとしてはほぼ完成の域に達していた。足りないのは勲章だけ。
それでもどこか自信なさげで「私なんか」というところが見え隠れする。

まだ紅白もミリオンもレコ大も東京ドームも知らない、坂の途中にいた彼女たちの記憶。

そんなあの夏の乃木坂46と。

加入から4年半が経過し確かな成長を遂げながら、まだどこか自信なさげで何かに急かされるように必死なこの日の4期生たち

両者に共通する

 STILL YOUNG

その美しさ。

それが私のノスタルジーを強く刺激するのです。


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びーむ色調補正3

4年ぶりの帰還


2019年5月、4期生初の単独ライブが行なわれた横浜アリーナ。

4年ぶり…正確には3年9ヶ月ぶりの帰還です。

セットリストはこちら。

Overture
01. 夜明けまで強がらなくてもいい
02. ごめんねFingers crossed
03. 君に叱られた
04. 好きというのはロックだぜ!

<全員センター企画>
05. 君の名は希望(センター:清宮レイ)
06. シンクロニシティ(センター:松尾美佑)
07. きっかけ(センター:林瑠奈)
08. ファンタスティック三色パン(賀喜遥香、金川紗耶、田村真佑)
09. あらかじめ語られるロマンス(北川悠理、遠藤さくら、清宮レイ、松尾美佑、矢久保美緒)
10. 風船は生きている(弓木奈於、黒見明香、佐藤璃果、柴田柚菜、筒井あやめ、林瑠奈)
11. 制服のマネキン(センター:黒見明香)
12. アナスターシャ(センター:柴田柚菜)
13. 思い出ファースト(センター:筒井あやめ)
14. 僕のこと、知ってる?(センター:佐藤璃果)
15. ここにいる理由(センター:早川聖来)
16. Wilderness world(センター:金川紗耶)
17. ぐるぐるカーテン(センター:遠藤さくら)
18. Sing Out!(センター:田村真佑)
19. 他人のそら似(センター:矢久保美緒)

20. 4番目の光
21. Out of the blue
22. 猫舌カモミールティー
23. 図書室の君へ
24. キスの手裏剣
25. ジャンピングジョーカーフラッシュ
26. I see…

EN
EN1 アトノマツリ
EN2 ハウス!
EN3 サイコキネシスの可能性
EN4 おいでシャンプー


まずこの日のビジュアル仕上がってんなあメンは黒見明香。彼女は凄く雰囲気が柔らかくなりましたね。
遠藤さくら筒井あやめも可愛かった。

オープニングは『夜明けまで強がらなくてもいい』。ナゴヤドームの8thバスラを思い出します。
遠藤さくらのキメ顔エンディングからそのまま『ごめんねFingers crossed』!
両サイドに金川紗耶松尾美佑を並べ、さくちゃんと4期の誇るスタイル抜群のダンス巧者3人による強力布陣。

そこから一転ニコニコ笑顔の遠藤さくら、流れてくるイントロは『君に叱られた』。
賀喜遥香の煽り。続く『好きというのはロックだぜ!』でも煽りまくり。
なのに直後のMCでは「横アリはお腹痛くなる…」と笑うかっきー。
『好きロック』の途中、フロントでしゃがんで目を合わせてニッコリする遠藤さくら林瑠奈

早川聖来の「ただいま」。
結局泣いたけど「泣かない」と我慢するのも良かった。

佐藤璃果に「りか、大好き~」と早くもかかり気味の田村真佑

曲間のVで映し出された加入前の賀喜遥香が可愛すぎてたまげる

『君の名は希望』清宮レイなのはちょっと意外。ラスサビで泣く賀喜遥香

『シンクロニシティ』のイントロにどよめく客席。そして登場した松尾美佑に再び起こるどよめき。

『きっかけ』。
この曲の見せ場であるDフレは柴田柚菜弓木奈於林瑠奈

『ファンタスティック三色パン』の3人は強いな~。
本家(齋藤飛鳥、梅澤美波、山下美月)とは全然タイプが違うのに衣装が似合う。
そしてイントロの後ろ姿が既に格好いい金川紗耶
「好きなパンを言う」でお題「セクシー」に当たってしまった賀喜遥香の「あ~んパン」も素晴らしい笑

『あらかじめ語られるロマンス』でイチャイチャする遠藤さくら矢久保美緒

『風船は生きている』!

曲間のVでの弓木奈於の「乃木坂はずっと見てたそのまんま」「こういう人になりたいと思わせてくれる先輩たち」という言葉。

『制服のマネキン』は黒見明香!似合う。その両サイドがかきさく(賀喜遥香遠藤さくら)なのも良い。

『思い出ファースト』は筒井あやめ
また定義が曖昧な言葉を使ってしまいますが、彼女にはセンター適性あると思うんですよね。
あやめんのそれは楽曲を「自分のものに」ではなく自分のものの「ように」してしまう力かと。だって3期のスペシャルな曲ですよ。大園桃子というアイコンと分かちがたく結びついた曲をその呪縛とは別のところで鳴らせるというのは、やはり特別な能力でしょう。

『ここにいる理由』。
この歌詞をアンダーに歌わせるのか。オリジナル発表当時にそう思ったことを思い出しました。
この歌詞を今の早川聖来に歌わせるのかいや、きっと逆説なんだ
彼女の気迫がビシビシ伝わってくる良いパフォーマンスでした。

『Wilderness world』、まさにこれぞ金川紗耶

『ぐるぐるカーテン』、遠藤さくらという極めて妥当なセンターの隣に並ぶのは林瑠奈という意外なチョイス。

この曲の披露中に背後のモニターに映し出される4期生たちの手書きメッセージ。
その多くに「幸せ」という言葉が並ぶのが、なんかいいなあ

『Sing Out!』田村真佑のソロダンス。踊り終えた彼女に向けられる客席からのどよめき。

『他人のそら似』、センター矢久保美緒に後ろから投げキスを乱打する遠藤さくらのタレまゆ


MCでの弓木奈於の「乃木坂の勢いにのまれちゃうことがあって」という発言。

この日のハイライト、遠藤さくらから15人へのメッセージと『4番目の光』については別途書きます。

『図書室の君へ』。あの演出について思うところはありますが、ご本人の状況が分からないのでコメントは差し控えます。

『キスの手裏剣』で筒井あやめを愛でたおす賀喜遥香

『ジャンピングジョーカーフラッシュ』が最高。
ラストの筒井あやめのやり切った表情。

そして本編最後、煽りまくる賀喜遥香
ひとしきりファンを煽ったかと思えばくるりとメンバーの方に振り返り「オイオイオイオイお前ら油断してただろ!?」
そして「4期生が大好きですか~!?」の絶叫。

アンコール『アトノマツリ』。キャップの林瑠奈が可愛いのは言うまでもないが、遠藤さくらも似合う。

トロッコを乗り換える際に名残惜しそうに抱き合う遠藤さくら賀喜遥香

最後のMC、いつもと違う声で「楽しかったでーす!」と叫ぶ北川悠理
「元生徒会長なめんなよ」と笑う清宮レイ

ラストは『おいでシャンプー』。
アンコールの選曲に意味などないのが実に乃木坂。


こう書き連ねて思うのが賀喜遥香の魅力満載というか、彼女が愛される理由が良くわかるライブだったなということ。

素直に泣いて笑って煽って「あ~んパン」して。

既に2度もシングル表題曲のセンターを務めている彼女が同期に囲まれて見せる感情の発露。それは時に無防備ですらあって。
まさに齋藤飛鳥が言うところの「周りに出ているピュアさが度を超えてる」状態。

椎名林檎的に言うならば「素顔で泣いて笑う君のそのままを愛している故に」というやつですね。


続きます。

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びーむ色調補正3
前の記事ではこの日の印象に残ったシーンを列挙しました。

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当記事では全体を通しての雑感を。

堂々たるその姿


凄えなあ

この日、何度もこう思いました。

とにかく「先輩メンバーの名前を出してその持ち曲をやること」にためらいがない

曲間のVやMCで、素直に西野七瀬、齋藤飛鳥、北野日奈子らを「憧れ」と語り、その曲を堂々とパフォーマンスする5期生たち。(岡本姫奈は『Sing Out!』後に震えていましたが)

7thバスラで梅澤美波や佐藤楓が、そして8thバスラでは遠藤さくらや賀喜遥香が。
3期生や4期生が涙を流し、震えながら立った卒業生のポジション

もちろん全体ライブと期別ライブではそこに立つ重みが全く違うのもわかります。

でも10thバスラの久保史緒里をして決死の覚悟で臨んだ『日常』を、奥田いろはが「日奈子ちゃんが大好きなので~」と選曲してやってのけてしまうというのはやっぱり、凄い。

確かに3期や4期も初単独ライブで先輩の曲をやっています。
ただ開催タイミングが違う。

お見立て会から半年だった3期4期。
曲を覚えてそれをステージ上でやるのに精一杯で、先輩のポジションに入ることの怖さにまで気が回っていないように見えました。

それに対し5期は1年。
しかも日産スタジアムの10thバスラで卒業生たちへのファンの熱狂的な支持を体感しているのです。

メンバーたちの発言からすると、この日のセトリは本人希望を聞いたうえで運営が決めた模様。

運営の判断が「5期生ならやってくれる」だったのか「怖くなる前にやらせよう」だったのかは微妙なところですが笑、いずれにせよこの日の彼女たちは見事にやってのけました。

時間が経てばたつほど、先輩の偉大さや歴史の重さを知れば知るほど怖くなる「その場所に立つということ」。
このタイミングでそれを経験できたのは5期生たちの自信になるはずです。

3期4期が悩み苦しみもがいてきた「継承」の道のりはとても心を揺さぶられるものでした。
彼女たちのその姿が、推しが卒業した今もなお私が乃木坂を応援している大きな理由のひとつです。

でも、苦しまなくてすむならば絶対にその方がいい。

まして橋本奈々未も生駒里奈も西野七瀬も白石麻衣も生田絵梨花も知らない-活動時期が重なっていない-5期生たちが、レジェンドの凄さを本当の意味では理解しえない彼女たちが無理矢理それを背負い込む必要はないと思うんですよね。

1期2期が全員卒業するというこのタイミングで駆け出してきた5期生たちが、ある意味「あっけらかんと」レジェンドのポジションに立つ。

いつか5期生たちもその重みに震える日が来るかもしれない。

でも今はまだ。
「TVで観ていた」憧れに近づける喜びを、「七瀬さんの衣装を着れた」幸せを素直に表せる。

それはとても素敵なことのように感じました。


もちろん現地補正はあると思うんですけど、めちゃめちゃいいライブでした

「完成度が高い」、口さがない人からは「出来上がりすぎている(からつまらない)」とさえ言われる5期生たち。そんな彼女たちの汗だくでひたむきなパフォーマンスに胸を打たれました。

そして、最後まで笑顔で締めくくった5期生たちの堂々たる姿を見て思いました。

ラグビー日本代表みたいだ

意味不明にも程がありますし、誰も共感してくれないと思うのですが笑

ラグビーは一定期間の居住等の条件を満たせば自国籍以外の国の代表選手になれます。(ただしそれは母国の代表になるチャンスを一定期間手放すことでもあるのですが)

大昔は私も他国出身の選手が日本代表に選ばれることにどこか釈然としない感覚がありました。「そもそも生まれつきの体格からして違う」とか「日本代表なのに日本人がひとりもいなくなっちゃうんじゃないか」みたいな。

でもそんな勝手な想いも今では跡形もなく吹き飛ばされました。
日本を愛し日本ラグビーのために己の魂を削りその身を投げ出して闘う、多くの他国出身選手の姿を見てきたからです。(近年であればトンプソンルークやリーチマイケル、ピーター・ラブスカフニのような)

そんな他国出身のラグビー日本代表選手たちとこの日の5期生が、どこか重なるんです。

以前に一ノ瀬美空が小川彩のことを「凄い陰で努力してるのに『元から出来ます』みたいな顔で立っているのが本当にもったいない」と訴えていましたが、同じことが5期生全員にも言えます。

素質に恵まれた「持てる者」であるからこそ見えにくくなっている彼女たちの想いや努力に敏感でありたいな、と思いました。


最後にもうひとつ。

2022年2月23日。46時間TV内での5期生お見立て会。
そしてその直後の『Actually…』初披露とそこから始まった悪夢のような日々。

あれから1年。

よくぞここまで立て直した

心からの称賛を送りたいです。



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11thバスラ5DAYS。

5日も続くとなると、やる方はもちろんですが観る方も大変ですね笑

私は5期生ライブが当選し会場で観ることができました。
なぜか各期の初単独ライブには縁があり、3期も4期も現場に行けたんですよね。

ちなみに都合により初日の全体ライブは観れず、セトリ等の情報も入れていない状態でした。

祭りの季節がやってきた


セットリストはこちら。

Overture
01. 絶望の一秒前
02. ジコチューで行こう!(センター:菅原咲月)
03. 君に叱られた(センター:奥田いろは)
04. Actually…

05. せっかちなかたつむり(五百城茉央、一ノ瀬美空、奥田いろは、川﨑桜)
06. 他の星から(池田瑛紗、岡本姫奈、小川彩、冨里奈央、中西アルノ)
07. 孤独兄弟(井上和、菅原咲月)

08. 太陽ノック(センター:冨里奈央)
09. Threefold choice(一ノ瀬美空、池田瑛紗、川﨑桜)
10. Another Ghost(小川彩、奥田いろは、中西アルノ)
11. 日常(センター:奥田いろは)
12. Sing Out!(センター:岡本姫奈)
13. Route 246(センター:井上和)
14. Wildrness world(センター:中西アルノ)
15. 好きというのはロックだぜ!(センター:川﨑桜)
16. 僕だけの光(センター:井上和)

<『新・乃木坂スター誕生!』コラボコーナー>
17. 点描の唄(奥田いろは)
18. First Love(中西アルノ)
19. Story(井上和)
20. 旅立ちの日に…

21. 17分間
22. 自惚れビーチ(センター:五百城茉央)
23. ロマンスのスタート(センター:冨里奈央)
24. ダンケシェーン
25. バンドエイド剥がすような別れ方

EN
EN1 指望遠鏡
EN2 シャキイズム
EN3 心にもないこと(センター:池田瑛紗)


印象に残ったシーンを挙げていきます。

オープニングは問答無用のアンセム、問答無用の井上和
続いてシングル3連発、どうしたってどよめく『Actually…』。中西アルノの咆哮。

ユニットコーナーは3期生の初単独ライブの時と同じように「特に人気が高く、しかも特定のメンバーの印象が強い曲」を集めた印象。

そしてここでこの日のハイライトが訪れます。

『孤独兄弟』

イントロが流れた瞬間、「ふたり」が誰かに気づき爆発する場内。

まずはひとりで登場し1番を歌いきる菅原咲月
バックステージまで走った彼女の元に歩み寄り、革ジャンを手渡すのは井上和!
(余談ですがこの途中で革ジャン渡す演出は以前にやりましたよね。ちょっと思い出せないのですが白石麻衣の卒コンでしたっけ?)

横浜アリーナが揺れます。

元々は『音のないギター』とかと同種の、「ロック」とか「不良」を小ばかにした秋元康の悪ふざけ系の歌詞(私の嫌いなやつです)のこの曲。
それをオリジナルの白橋=白石麻衣と橋本奈々未はビジュアルで捻じ伏せてシリアスな曲として成立させました。

そのあまりに強すぎるオリジナルに対し、寄せにいってパロディやモノマネになってしまうのでもなく、ただ新人のがむしゃらさだけでやり切るのでもなく。

井上和菅原咲月の『孤独兄弟』として成立させている。
ふたりが並んだ時の佇まいその説得力

凄まじい。
だってこのふたり、17歳とか18歳ですよ。


衝撃、という意味では『Another Ghost』の小川彩にも驚かされました。

オリメンは伊藤万理華、齋藤飛鳥、西野七瀬。
乃木坂の重要な要素である「しなやかで美しいダンス」を体現するメンバーたちです。
それを中学生で任されるあーや。これまたとんでもない。

そして賛否両論のスタ誕コラボコーナー。

個人的には否です。1曲でも多く乃木坂の曲をやってほしかったですね。
まあ『スタ誕ライブ』も観に行ってるというのもありますが。

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ネット上では「振り入れの時間がなかったからじゃないか」とか言われてますけどスタ誕で毎週新しい曲を披露していたんだからそれが理由ではないでしょう。
仮にそうだとしてもほとんど振りのない乃木坂の曲歌えばいいだけだし。

五百城茉央の『立ち直り中』とか『釣り堀』聴いてみたかったなあ。(別にソロ歌唱した3人に文句があるわけじゃないですよ、念のため)

本編ラストスパート。
期別曲『17分間』をやってから、ブチ上げ曲3連発。なんだかもうアンコールのようだ。

五百城茉央『自惚れビーチ』は意外。スタ誕ライブも『狼に口笛を』だったし、なぜかアンダー曲と縁がありますね。
逆に冨里奈央『ロマンスのスタート』は納得。

『ダンケシェーン』、Aフレ頭を(つまり生田絵梨花パートを)任されたのは奥田いろは。声が乱れたのに立て直したのは立派。

本編ラストにキラーチューン『バンドエイド剥がすような別れ方』を持ってこれるのも強いですね。


アンコールはアンコールっぽい曲をふたつ続け、最後に5期生新曲『心にもないこと』を初披露。

その真ん中に立ったのは池田瑛紗でした。

31stのミーグリを3次完売させた5期生の中で唯一選抜に入らなかった。
その悔しさを味わった彼女に報いる起用に、会場が「良かったなあ」という祝福ムードで包まれます。

いや本当になんか、暖かくて凄くいい雰囲気だったんですよ。

対立煽りが暴れてるのなんてネットの中だけなんだな、と思いました笑

ビジュアル仕上がってんなあメンは川﨑桜。アップで抜かれた時の彼女は本当に華がありますね。


続きます。

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「座長」川﨑桜


この横浜公演で初披露された最新5期生曲『17分間』。

言い尽くされていますが実にAKB的だなあ。

正直、この曲を今の5期生に歌わせる必然性が感じられません。
メロディラインも「あの子を見ている(だけのウジウジした)僕」の歌詞も個人的にはあまり好物ではないですね笑

『絶望の一秒前』『バンドエイド剥がすような別れ方』で「未成熟でありながらどこか達観した」主人公像で非常に優れたパッケージを提供したのですから、それに続くものが見たかったところです。

まあその2曲はどちらも2022年の乃木坂で間違いなく5本の指に入る楽曲だけに、こちらの期待値が大きすぎたのかもしれません。

「こういうの(=王道アイドル)もできる」というのは非常に重要なのですが、3期4期の初期期別曲とは違うアプローチでここまで成功してきただけにちょっと肩透かしを食らった感覚。

「5期生としてこうあるべき」よりも「センター川﨑桜ならこういう曲だよね」という方が優先されたのでしょうか。

確かにガチ恋ファンが多いと噂されるさくたんには良く似合う楽曲ですね。
ただ彼女をセンターにしてこういうド直球のアイドルラブソングを歌わせるならせめてその年齢も踏まえて大学生設定にすればいいのに。それこそこの日のライブで披露した『ロマンスのスタート』みたいに。

この日後半の「5期生SPECIAL LIVE」では、その川﨑桜が「座長」扱いでした。

実は私はそれにちょっと驚きました。
よく考えればアンダーライブや真夏の全国ツアーの慣例通り「ライブ開催時の最新曲センター」が務めるという形なのですが、座長がいるならそれは井上和だと思い込んでいたので。

誤解しないでいただきたいのですが、別にさくたんではダメとかそういう意味では全くありません。
単純に3期4期は初の単独ライブにおいて初代期別センターが座長を務めてきたので、その刷り込みが強すぎたのです。

どちらも前年12月にお披露目、2月のバスラにスポット登場という流れから5月に開催された単独ライブ。
3期生は2017年5月、AiiA 2.5 Theater Tokyo。座長は『思い出ファースト』センター大園桃子。
4期生は2019年5月、横浜アリーナ。同じく『4番目の光』センターの遠藤さくら。

ふたりとも初の期別曲(3期『三番目の風』、4期『キスの手裏剣』)から2曲連続でセンターに選ばれたタイミングでした。
さらに桃子とさくちゃんはともに次のシングルで表題曲の抜擢センターへと駆け上がります。

つまり3期4期では初代センターと2曲目のセンター、初単独ライブの座長、そして表題曲抜擢センターという4つの役割が同一人物だったわけです。

それに対し5期生はすべて違うメンバー。

このあたりが実に興味深いですね。

まあ5期生は中西アルノ関連で様々な思惑が入り乱れた感もありますし、その後の騒動により色々当初予定が狂った部分もあるとは思いますが。

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井上和が運営の思うスピアヘッドであり、その期待に応えていることに疑問の余地はありません。

しかしその和ちゃんを2曲目ではセンターにせず「ひっこめる」ことができたのは英断でした。
これにより彼女の負担を多少なりとも軽減するとともに、無駄にアンチを増やさずにすみました。

もちろんこれは運営が「この子は放っておいても人気が出る」と信頼しているからですし、また和ちゃん以外にも早いうちから前に出してみたいと思わせるメンバーがいたからでもあるでしょう。

『17分間』では前2作のセンターである井上和と菅原咲月が2列目中央を固めていることで5期生の「層の厚さ」を目に見える形で示すのにも成功していますね。『ジャンピングジョーカーフラッシュ』での遠藤さくらと賀喜遥香がフロント両サイドでどっしりした安定感を与えていたことを思い出させます。

いずれにせよ3期4期で確立した「新人期別別働隊による超促成栽培プログラム」を踏襲しつつも、前例に固執しすぎずにバランスを取った采配をしていると感じます。


願わくば、臆することなく


『2019年の乃木坂46』に収録した4期生の初単独ライブレポで、私はこんなことを書いています。

 先輩たちがたどり着いた場所を守る3期
 先輩たちがたどってきた道を再び歩むのが4期

 そんなイメージの対比によってこれからの乃木坂は転がっていくのではないだろうか。

 「乃木坂感」の1期、「個性」の2期と3期を経て、4期で再び「乃木坂感」に戻る

 乃木坂運営のこの取り組みは非常に興味深いアプローチである。

 かつて世代交代に成功したグループアイドルはいない。
 どうしてもオリジナルメンバーや黄金期と呼ばれるメンバーと比較され尻すぼみになる。かといってイメージが変わりすぎてもファンに「別物」と言われ否定されてしまう。

 ずっと同じで飽きられるのとも、どんどん変わって原型を留めなくなるのとも違う、循環

(「【ライブレポ】4番目の光、11の煌めき~2019.05.25 『Sing Out!』発売記念 4期生ライブ@横浜アリーナ」より)

そして現在。

それぞれが先輩の誰ともかぶらない強い個性を持ち、かつタレント性が高い5期生たち。
やはり3期生を思わせます。

ここでまた「個性」に戻り、再びの循環が行なわれたのです。

この先、彼女たちが何を見せてくれるのか。

3期生と同じように「乃木坂感を纏っていく過程」の物語なのか。
それとも新たな乃木坂像を描いてみせるのか。

どちらも魅力的ですが、願わくば後者を。

「乃木坂を守る」3期、「乃木坂感を振りまく」4期。
そんな頼もしい先輩たちが周りにいるのですから、5期生には臆することなく進んでほしいです。

ちょっとぐらいグループのイメージからはみ出してしまったとしても、きっと乃木坂感に溢れる6期生が入ってきてくれるでしょうし笑

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