ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

カテゴリ:乃木坂46 > 選抜発表

タオル補正
前の記事ではセンターの井上和について書きました。

関連記事:


当記事では選抜ボーダー、そして初選抜の中村麗乃について。

グループの活性化


33rdで選抜から外れたのは4期生の佐藤璃果と松尾美佑、そして卒業する早川聖来。
新たに選抜に入ったのは5期生の池田瑛紗、そして3期生の伊藤理々杏と中村麗乃。

3期生ふたりは前作ミーグリの完売実績だけを見れば決して芳しくありませんでしたから、選抜入りは正直意外でした。
(林瑠奈の活動休止という想定外の事態も影響したかもしれません)

ここ数作、いわゆる「思い出選抜」枠が復活したのではないかと言われています。

仮にそれを「自分よりミーグリの完売実績が上のメンバーを差し置いての選抜入り」と定義するのであれば、確かにそれに該当するメンバーはいました。

30th『好きというのはロックだぜ!』の樋口日奈、31st『ここにはないもの』では阪口珠美、32nd『人は夢を二度見る』での松尾美佑など。まあひなちまは連続選抜だったのでちょっと違う(永年勤続表彰という感もありましたし)でしょうけど。

このブログでもずっと書いていますが、個人的に「思い出選抜」には肯定的です。(この呼び方は何とかならんかと思いますが)

トップアイドルグループの乃木坂で、一度でも選抜に入った。
その事実がそのメンバーの今後のキャリアや人生において支えとなるのであれば、ケチケチするこたあないんですよ。

目に見える形でのグループ活性化にもつながりますし。

向井葉月や黒見明香のファンがミーグリを完売させているのはやはり、遠い目標だと思っていた選抜が可能性のあるものに見えてきたのも大きいでしょう。

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ジャイアント・ベイビーの飛躍


中村麗乃は加入7年目での初選抜となりました。

元々スタイルは抜群。
「ジャイアント・ベイビー」感の強かった加入当初はともかく、ビジュアルが完成の域に達したここ数年の彼女に運営はずっと期待しているように見えました。

31stアンダー曲『悪い成分』ではセンター。
『もしも心が透明なら』『甘いエビデンス』とユニット曲にも参加。

ただ、れのちゃんはずっとミーグリ人気で苦戦が続いていました。

しかしそんな彼女に転機が訪れます。

オーディションで掴んだミュージカル『Endless SHOCK』のヒロイン、リカ役。

KinKi Kidsの堂本光一主演。
初演から21年間、全日程即日完売。「もっともチケット入手が困難な舞台」とも言われるお化け舞台。
実に53日間55公演。しかも帝国劇場。

偉業。
そして彼女自身の飛躍のきっかけ、どころか人生を変えるかもしれない大舞台です。

少し話がズレますが、この舞台出演により32ndシングルアンダーライブは全公演欠席となりました。

前作アンダーセンターである彼女の不在はもちろん痛手でしょうが、外仕事で頑張るメンバーを「あとは任せろ」と送り出すのが乃木坂ですよね。

こうして特大の外仕事という実績を積んだれのちゃん。
勢いそのままに悲願の初選抜も勝ち取ります。

これまで外仕事での評価というもの「だけ」で選抜入りした例はほとんどありませんでした。

外仕事加算はもちろん多少はあったと思います。でも明らかに握手人気、運営序列よりも優先順位が低かった。
いわゆる「舞台メン」は率直に言って「割を食って」いた印象の方が強いです。
実は4年ぐらい前から書きかけの「舞台メンは不利だよね」というタイトルの記事があるのですが、まあゴリゴリの舞台メンだった井上小百合推しの愚痴です笑

だからこそ、前作32ndシングルのミーグリ完売数が「1」だった彼女の選抜入りはエポックメイキング。

これだけ大きな外仕事を取ってくればそれが選抜入りへの大きな後押しになる。
そんな極めて健全な判断がなされた「だけ」なのですが、これまでの乃木坂ではそれができていなかったのも事実。

オリメン全員卒業という移行期の現在、乃木坂運営は過去を踏まえつつも前例踏襲から緩やかな脱却を図っているようです。

今回の中村麗乃選抜もその一例と言えるでしょう。

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最後に、ちょっとだけ34thシングルの展望を。

個人的には井上和の連続センターというのが最善手だと思います。

今作の和ちゃんが既存ファン以外の層へどれだけ訴求しているのかはわかりませんが、運営の手ごたえとして悪くないのであればここは攻めた方が良いでしょう。

賀喜遥香や遠藤さくらだとどうしても「順番」という印象を受けてしまうというのも理由のひとつです。

もちろん和ちゃんの負担軽減が大前提ではあるのですが。
33rdのプロモーションや真夏の全国ツアーを経て先輩や同期、スタッフさんのサポート体制がある程度確立できているのであれば、一気にグループの顔のひとりとして内外に印象づけるのが得策でしょう。



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2023年6月26日、『乃木坂工事中』内で32ndシングルの選抜メンバーが発表されました。

センターは井上和。

彼女以外を予想する方が難しいぐらいの大本命でした。

異論なし。


こんなにも異論が出ないセンターというのは乃木坂史上でも珍しい。

というか、やはりあの人しか思い浮かびません。

白石麻衣

当たり前のことですが、私は「誰も、誰かの代わりになんてなれはしない」と考えています。

なので今回のこれも別に「まいやんの後継者」とか言うつもりはないんです。

ただ、和ちゃんにはまいやんを思い起こさせる要素が多いなあと。

何と言っても、他メンバーのファンも「認めざるを得ない」際立つ美貌かつ「アイドルっぽくない」顔立ち

そのビジュアルに似合わぬフレンドリーな振る舞い。(ふたりともその美貌ゆえに必要に迫られて身につけたものなのではないか、なんて勝手な想像をしてしまいます)
さらにバラエティをやり切る姿勢。

そして、同期で2番目の表題センター。

加入時点から注目を集め、表題曲センターを待望されるも同期に先を譲ります。
ふたりが初センターを「待った」期間は奇しくも同じ1年半でした。

これたぶん、「待望の」と感じさせる絶妙なタイミングなんだと思います。

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そしてもうひとつ、まいやんと和ちゃんに通じるものがあるとすれば、それは信頼感


その後の5期生の躍進によって忘れている方も多いかもしれませんが、個人的には2014年の文春砲の次ぐらいにグループが傾いたと思っています。
もちろんグループ自体のビジネスの規模が当時とは全く違うので、あの時のように「乃木坂がなくなっちゃう」とまでは思いませんでしたが。

そこに射し込む光のひとつが賀喜遥香の笑顔
もうひとつが『絶望の一秒前』と『新・乃木坂スター誕生!』で見せた5期生の姿でした。
(アルさん自身がその後の活躍、とりわけ『超・乃木坂スター誕生!』のスキットでの振り切った姿で着実に支持を拡げていったという要素もありますが、それはまた別の話)

私自身、一連の騒動にはかなり落胆していました。

それでも『絶望の一秒前』のMVを観た時。
そして岡本姫奈と中西アルノが活動休止という異常事態の中でのスタートとなった『新・乃木坂スター誕生!』初回。そのラストで『小さな恋のうた』を歌う5期生9人の姿を観た時。

そこで感じたのは、それこそ「真っ暗な未来をこじ開ける」ような眩さと強さ

その中心にいたのは井上和でした。

多くのファンが思ったはずです。
『絶望の一秒前』とはすなわち「まだここには希望がある」ということだ、と。

功罪でいえば圧倒的に「罪」の方が大きいアルノ事変ですが、井上和のアンチを作らなかった…というか彼女が抜擢センターだった場合に比べ減らした(であろう)ことは数少ない「功」のうちのひとつでしょう。

そして結果として今回、和ちゃんを満場一致のセンターとして誕生させることができたのはグループにとって非常に大きい。

率直に言って、アルノ事変は10年目のトップアイドルグループとは思えない失態でした。
でもその中にさえポジティブな要素を作り出してしまうという、いい意味での「強かさ」を示した乃木坂。

個人的には1期2期がいなくなって一番弱くなるのがその部分ではないかと考えていたので、嬉しい誤算と言えるでしょう。

話を井上和に戻します。

この先彼女がどんなエースへと成長するのか

白石麻衣のようにセンターにはあまり立たないけれど紛れもなくグループの顔となるのか。
西野七瀬のようにセンターに立ち続けるのか。
齋藤飛鳥のようにグループの歴史をつなぐ架け橋になるのか。(30thの個人PVによれば8期生加入前に卒業してしまうようですが…)

こんな煽り方をしておいて言うのもなんですが、誰のようにもならずに井上和の歴史を作ってほしいと思います。
「俺を含め、誰の言うことも聞くなよ。」みたいな感じです笑


続きます。

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前例踏襲からの(緩やかな)脱却


個人的に、32ndシングルは以前から希望していたことが多く叶いました。

そのひとつは前の記事で書いた通りくぼしたWセンター。
24thの時に書いたことが3年半後に叶いました。

関連記事:


表題Wセンターも禁じ手にしたかと思っていたので嬉しかった。
「どっちつかずな感じが実に乃木坂っぽい」ので好きなんですよ笑
19th『いつかできるから今日できる』以来ですから実に5年半ぶりです。

4期の時から書いていた「新人をなるべく早くアンダーに合流させる」もお見立て会から1年ちょいで叶ったので良かった。ちなみに3期は1年半弱、4期は2年9ヶ月でした。(シングル発売日までの期間で計算)

そして前作の時に書いた5期関連の要望もあらかた実現しました。
「次作で井上和をセンターにするな」そして「中西アルノセンターをなかったことにするな」はどちらもその通りになりました。
「Wセンターにして5期生は3人を歌番組でカメラに抜かれる2列目中央に配置してしっかりお披露目」も2列目中央と両端でまあ概ね希望通り。

関連記事:


期待以上だったのが5期生を5人一気に入れたこと
これは良かった。

抜擢センターの次ということでは3期が20thのくぼした、4期は26thの清宮田村とどちらもふたりでしたから英断と言っていいでしょう。

アンダーについてはアンダラのライブレポでじっくり書きたいと思います。


基本的に「情に流された采配」をすることが多い乃木坂運営。
個人的にはそれを肯定的にとらえていますが、ここ数年は1期2期を丁寧に送り出してあげるということにやや注力しすぎていた感もあります。

1期2期が全員卒業し、いったん仕切り直せるこのタイミング。
グループの現状を改めて精査し中期的なビジョンを立て直す良い機会です。

運営もそれをわかっているからこそ、前例踏襲ではなく少しずつやり方を調整しながら5期生を育てているのだと思います。

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現地イベント再開


32ndを語るにあたり、もうひとつ言っておかなければいけないのがリアルイベントの再開。
握手ではないですが「リアルミーグリ」という形での開催となりました。

それと同時にコロナですべて中止された25th『しあわせの保護色』のイベント応募券が「2023年内発売シングルのイベントに応募可能」な券へと振り替えられ、今回から利用可能に。

3年溜めていた宿題がようやく提出されたという感じですね。

白石麻衣のラスト握手会に備えて大量購入したファンがかなりの数いたであろう25th。
3年引っ張ったのはいかがなものかと思いますが、まあリアルイベント復活に合わせて使用可能とした=オンラインでの消化を強制しなかったのは評価できるかと。

もちろんその影響で32ndを大量購入するファンは減ったでしょう。(25thの振替を持っているなら買う必要がないし、持っていない人にとってはイベントの当選確率が下がるのは必至なので)

まいやん卒業で離れていたファンを一旦呼び戻す可能性があるのと同時に、5期新規のファンが当選確率の低さに心が折れる可能性もあるので「痛し痒し」というところではありますが。

ということでリアルイベント開催決定の知らせに大量購入に走ったファンも結構な数いたでしょうが、逆に25th振替券の存在により今回は「見」と判断した人もそれなりにいたと思われます。

トータルで恐らく初週売上には「ややプラス」の効果。ただもしかしたら発売日の店頭在庫が少なめになってライト層の購買にはマイナス影響があったかも

これは全員納得する解決策がないタイプの問題なので、先送りし続けるよりは良かったと思うしかありませんね。

この辺の売り上げに影響がある宿題をクリアするシングルだったことも「そのあたりの事情をちゃんと理解している」久保史緒里と山下美月がセンターに選ばれた理由のひとつかと。

こういう状況で運営が頼るのはやっぱり3期なんですよね。
美月なんて前回の初センターがまいやん卒業の次、今回が1期2期全員卒業の次ですから。運営から絶大な信頼を得ているのが良くわかります。


つらつら書いてきましたが、最後に33rdシングルの展望を。

次作は夏シングル=センターは真夏の全国ツアーの座長扱い

去年が賀喜遥香、その前が遠藤さくらでしたので、3年連続で4期が座長というのはなさそう。
とはいえWセンターの次は2枚ともセンターから外すのが常道。

となれば、ここはまあ井上和でしょう。
座長としての負担を考えると少し心配ではありますが。
今回Wセンターの2列目中央という映りやすい場所でせっかくお披露目をしたのですから間をおかない方がいい。これ以上遅らせるのはむしろデメリットが大きいと思います。

彼女ひとりを「よだやまかきさく」(あるいは「くぼしたかきさく」)の4人で挟むのか、5期生3人フロントで両翼をかきさくにするかの二択かと。
和ちゃんの負担軽減という意味で個人的には後者希望ですが、残りのふたりをどうするかという問題がかなり紛糾しそうなのが気になりますね。


色々変わった32ndシングル。

大いに次への期待を抱かせるものでした。


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物語の終わり


前の記事では3期生加入から24th『夜明けまで強がらなくてもいい』までの3年間を振り返りました。

関連記事:


その24th選抜発表の記事で私は抜擢センターに大反対し「くぼしたのWセンターにすべきだった」と書きました。(遠藤さくらに、ではなく抜擢センターという大量のアンチを生む采配自体に大反対)

そこで「よだもも」と「くぼした」についてこう記述しています。

 無垢の天才vsストイックなエリートという構図。
 これ、『ガラスの仮面』ですね。

 よだももは北島マヤ、くぼしたが姫川亜弓。

 圧倒的な完成度で先を進んでいた(『3人のプリンシパル』)はずのエリートが覚醒した天才に逆転(『逃げ水』)される。エリートの挫折。しかし諦めることなく泥臭くストイックに歩みを続けたエリートは2年の時を経て再び天才と並び立つ。(余談ですが、大人になるとマヤよりも亜弓さんに感情移入するようになります笑)

『2019年の乃木坂46』「【考察】美しい未来を見せてくれ~24thシングル選抜発表に思うこと」より)

この中でも暗に認めていますが、4人は決して横並びではありませんでした。

そりゃそうだ。

加入時に「将来の四天王」と目されたメンバーがその均衡を保ったまま成長していく、なんて単なる夢物語です。

齋藤飛鳥と星野みなみだって並び立たなかった。

でも前の記事で書いた『言霊砲』でのあまりに強い煌めきに、そんな夢が実現する可能性を見てしまったんです。

実際には最初期から握手人気では与田祐希と山下美月が突出していました。
異次元の愛くるしさを振りまく与田っちょと、「スーパープロフェッショナルアイドル」の美月。

西野七瀬や白石麻衣、生田絵梨花と齋藤飛鳥に次ぐほどの超人気メンバーとなったふたり。
『シンクロニシティ』から『Sing Out!』までフロントに立ち続けた(美月の休業中を除く)のですから、文字通りレジェンドたちの間に割って入った形です。

それに対し久保史緒里は初選抜の直後というタイミングで体調を崩し活動を休止。
大園桃子はどうしてもアイドル活動になじめない状態が続いていました。

そして迎えた2020年。

年明けにアイコン白石麻衣が卒業を発表。
卒業シングルとなる25th『しあわせの保護色』は福神にすべて1期生を並べ、後輩は全員3列目でした。

その後、世界はCOVID-19に覆われます。

まいやん卒業後、最初のシングルとなる26thの選抜が発表されたのはその年の11月。


その両脇を固めたのは久保史緒里と梅澤美波。

実は久保ちゃんにとってこれが初のフロントでした。

しかし私はこの時「これで久保ちゃんは完全にセンター候補ではなくなった」と感じました。

早い時期から「支える側」としての働きを期待されてそれに応えてきた梅ちゃんとシンメ。
「新時代のセンター候補を3人並べた」フロントではなく「新時代の旗手たるべき山下美月とそれを支える同期ふたり」という絵面に見えたのです。

シングルが発売されたのは翌2021年の1月。

この26th期間に美月は新センターとしてメディア露出攻勢をかけます。
シングルの売上自体はコロナ禍の影響をもろに受けて激減。それでも彼女は逆風に飲み込まれず自身の商品価値を上げてみせました。

さらに同年1月に発売された美月の写真集『忘れられない人』が推定売上19万部超、3月発売の与田っちょ『無口な時間』は21万部超という大ヒット。
乃木坂史上でも白石麻衣『パスポート』生田絵梨花『インターミッション』に次ぐ3番目と4番目という驚異の部数を叩き出し、ふたりはその人気を数字でも裏づけます。

ここにおいて、完全に3期は与田っちょと美月の2強になったのです。

そして2021年9月。

大園桃子が卒業。
ナチュラルボーン・アイドルは幻想を残して芸能界を去り、よだももとくぼしたの物語は終わりました。

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大河


物語が終わった27thシングルから31stまでの5作中4枚で、フロントは飛鳥美月与田遠藤賀喜の5人。例外の1枚は中西アルノ抜擢センターだった『Actually...』ですから、2年近くこの5人が固定だったわけです。

美月はグループの顔のひとりとしてエース・齋藤飛鳥とシンメになる場面が増え、「朝ドラ女優」の称号まで勝ち取ります。

それに対し「それ以外」の部分での活躍が目立つようになった久保ちゃん。

新内眞衣からオールナイトニッポンを引き継ぎ、のぎ動画「久保チャンネル」で後輩を紹介。3期曲では直近の3回中2度もセンターを任されました。2001年組の『価値あるもの』をはじめとしてユニット曲も多く与えられそのほとんどでセンター。

私にはこのすべてが、彼女が表題センターに立つ可能性が「低い」ことを示しているように見えました。

ありていに言えば「表題センターにするつもりはないけど実力も貢献も高く評価しているからそれ以外の場所でいっぱい活躍の場を与えるよ」という運営からのメッセージだと。

それでも久保ちゃんはドラマ、舞台、映画に立て続けに出演し、ついに「大河ドラマ出演」という勲章を手にします。

そして2023年。

ついに1期2期が全員卒業し、最上級生となった3期生。
「最前線に立つ」。もうとっくにその覚悟は決めていた。でも、本当にその日が来てしまった。

ここで運営が選択したのはくぼしたWセンターでした。

「5期生がひとり立ちするその時まで、どうか乃木坂を頼む」

キャプテン梅ちゃん、アンダーセンター伊藤理々杏と合わせて、3期生に対するそんな期待と信頼と感謝を感じさせる采配ですね。


選抜発表後に久保ちゃんはブログにこう綴りました。

 加入してまだ一年にも満たない頃、
 先輩方に囲まれる中、
 共に真ん中に立ってくれたあの時から、
 遂に、同期と後輩だけになろうとしています。
 時が経ちましたね。
 あなたの隣に立つのに相応しい人になりたくて
 6年半、走って追いかけてきたことは、
 悔しいけれど事実です。
 ただそれは、
 あなたが頑張り続けてきてくれたからこそ、
 出来たこと。
 ありったけのありがとう。
 これからは、
 一緒に、乗り越えて行きたい。
 背中合わせもいいけど、
 どうかこの期間は共に前を見させてください。

(「32枚目シングル」:乃木坂46久保史緒里公式ブログ 2023.02.20)

「3期の中心に立つのはやっぱり桃子」と思っていた久保ちゃん。
お見立て会でセンターに選ばれなかった久保ちゃん。
人気という面では美月と与田っちょの後塵を拝した久保ちゃん。
一度歩みを止めてしまった久保ちゃん。

それでも諦められなかった久保ちゃん

その彼女がこうして乃木坂の真ん中に立っている。

そして隣には他でもない山下美月

「プリンシパル」での真っ向勝負。
そして『三番目の風』以降、常にペアでありシンメでありライバルだったふたり。

大河ですね。


「よだももとくぼしたの物語」は終わっても、「くぼしたの物語」は続いていました。

あの日に思い描いた未来とは違ったけれど。
思ったよりずっと時間もかかったけれど。

ちゃんと3期生は乃木坂の屋台骨を支えるところまで来ました

32ndシングル『人は夢を二度見る』。

私はその歌詞を「夢の形は変わってもいい」という意味だと捉えています。

だとすればこの歌を歌うべきなのはやはり、久保史緒里なのでしょう。


続きます。


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2023年2月20日、『乃木坂工事中』内で32ndシングルの選抜メンバーが発表されました。

センターは「くぼした」こと久保史緒里と山下美月でした。

なんというか、感慨深い

最初の3年間


2016年。

9月、乃木坂46の3期生メンバー発表。
その日から始まった「よだももとくぼしたの物語」
ちなみに「メディア賞」を複数受賞したのもこの4人でした。
大園桃子が5、久保史緒里と山下美月が4、与田祐希が3。

12月、3期生お見立て会。
『命は美しい』『裸足でSummer』『ガールズルール』の3曲が披露され、センターに立ったのはそれぞれ桃子、与田っちょ、美月でした。

2017年。

2月、『3人のプリンシパル』。
ここでは「逸材」久保ちゃんがスタートから別格のポテンシャルを見せます
久保無双が囁かれる中、それに泥臭くくらいつき唯一肉薄したのが美月。

「既に出来上がっている」と評され小学生の時に「クールドール」というあだ名で呼ばれた(!)という完成度の高いビジュアルの彼女がそんなイメージをかなぐり捨て、感情をむき出しにします。「気合」と「根性」でなりふり構わず勝ちに行く姿は多くのファンを惹きつけました。

そしてふたりは「一生に一度の出会い」というほど互いをリスぺクトする関係になります。

3月。初の3期生楽曲『三番目の風』。センターは大園桃子。
彼女は続く『思い出ファースト』でも期別曲センターとなります。
そして2曲ともその左右を固めたのがくぼした。与田っちょは4番手という扱いでした。

もうここまでの時点で、不動の3期4強という感じが明らかにありました。(この4人以外の3期生を推していたファンの方はともかく)

その夏、18thシングル『逃げ水』。
3期生から抜擢センターに選ばれたのは与田祐希と大園桃子。
運営が選択したのはプリンシパルで2強となったくぼしたではなく、アイドルとして天賦の才を持ったよだももだったのです。

しかし、くぼしたは追いすがります。

同シングル収録の3番目の3期生曲『未来の答え』でWセンター。

続く19thシングル『いつかできるから今日できる』。
映画『あさひなぐ』の主題歌だった同シングルは映画や舞台に出演したメンバー優先の選抜であり、よだももも外れていました。
そこに収録された『不眠症』では、なんと選抜入りしていないのに表題曲の選抜メンバー(+よだもも)を従えてくぼしたのWセンター。率直に言って異常なほどの好待遇。

2018年。

20thシングル『シンクロニシティ』でふたり同時に初選抜。3期生としてはよだももに次ぐ3番目と4番目。

そして「いもうと坂(=よだももくぼした)」によるユニット曲『言霊砲』が収録されたのもこのシングルでした。

個人的には乃木坂のユニット曲史上でも指折りの名曲であり、最強クラスの破壊力だと思います。

4人が並んだ時のビジュアルの強さ。
そして「バラバラなバランスの良さ」

私はかつて御三家(=白石麻衣、橋本奈々未、松村沙友理)について「キャラクターはそれぞれバラバラなのになぜか3人並ぶとバランスが取れて、最強」と表現しました。

よだももくぼしたには、それと彷彿とさせる何かがあったのです。

夢を見ていました。きっと運営も、多くのファンも。

きっとこの4人のライバルストーリーは近い将来、乃木坂のセンターをめぐるフェーズに入る
そしてスターへと成長した彼女たちが、1期2期が卒業した後も乃木坂の屋台骨を支え続けると。

私には明るい未来しか見えていませんでした。

その背後で生じていた軋みになど気づかずに。

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その夏の21stシングル『ジコチューで行こう!』。
久保ちゃんが体調を崩し、活動を休止します。

続く22nd期間、彼女はアンダーとして活動。
そこで『日常』という新たな伝説が生まれる場に立ち会うという濃密な体験をするのですが、それはまた別のお話。

2019年。

久保ちゃんは23rd『Sing Out!』で選抜復帰しますが、入れ違うように今度は美月が活動休止。この時の彼女は3本連続でドラマに出演するというハードスケジュールでした。

復帰は同年の真夏の全国ツアー。しかし今度は桃子の欠場が発表されます。

この年の全ツ最終日の神宮でキャプテン桜井玲香が卒業。

そんな激動の夏の終わりに誕生した新たなセンター。
それは-よだももくぼしたではなく-4期生の遠藤さくらでした。

1年にわたり4人が揃い踏みをすることさえかなわない状況が続き。
いつの間にか、次のフェーズが訪れていた感覚。


まだ24枚目までしか来ていませんが笑、長くなりましたので記事を分けます。

続きます。


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