ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

カテゴリ:乃木坂46 > メンバー考察

タオル補正

頑なさの鎧


①の記事では堀未央奈のポジションにずっと「異物感」を覚えていたことについて書きましたが、彼女自身のキャラクターもそれを増幅するものでした。

その特徴である、飄々とした…というかすっとぼけた態度。
かつて橋本奈々未に「未央奈は『え?何ですか?』で注目を集めようとしている」と指摘されたあれ。設楽さんからも「ワタス顔」と言われるやつですね。

あれも彼女のファンでない人からすればわざとらしくて腹が立つというか神経を逆なでされるのですが笑、どうも元々本人の持ち味のようです。身近な人からも「何考えてるのかよくわからない」と言われるそうですし。

想像にすぎませんが、突然のセンター抜擢から毎週TVに出るようになる中で必死にやっていたら、自分の素の部分のうちそこが面白がられた。なので多少デフォルメして強調するようになったのではないでしょうか。

「美容番長」でもありました。

これ、女子受けはいいのでしょうが男オタからは「化粧が濃い」とか言われがちですよね…

4期生の掛橋沙耶香や林瑠奈が堀ちゃんリスペクトなのでもちろん間違いではないのですが、これで女性の新規ファンを開拓したかというと微妙な気が。
ただグループに何人かはいてほしいタイプではありますね。

個人的にはずっと3期生をライバル視しているような印象も受けました。

まあ無理もありません。同期で選抜に定着しているのが自分と新内眞衣のふたりしかいないのに3期生はあっという間に5人が定着し、多い時には8人も選抜入りしてきたのですから。

ただ、彼女が2期生不遇を語れば語るほど「いやお前は優遇されてただろ」というツッコミが入る悪循環に陥っていました。
3期4期は曲ごとにセンターが変わっていますが、2期生曲は最後まで堀ちゃんセンター固定。

これも完全に運営側の話なんですけれどね。

同じく「ゴリ押し」と呼ばれ強烈なアンチがついた生駒里奈が徐々にポジションを下げ、13th以降はいくつか例外はあるものの3列目に落ち着いたのとは対照的です。(生駒ちゃんが卒業発表時に功労者として再評価されたのはそれもあったと思います)


そして改めて彼女のこれまでを振り返ってみると、全体に「わからないやつにわかってもらおうなんて思わない」という頑固さのようなものを感じます。

それは彼女自身の「アイドルとは弱みを見せないもの」という美学によるものでしょうが、やはりスタート地点で訳も分からないうちに大量のアンチがついたというのも大きかったでしょう。大いに同情の余地があります。

ただその「頑なさ」が彼女に与えられた主要メンバーという地位にそぐわなかったこと、そしてグループ全体のパブリックイメージとも合っていなかったことは事実だと思います。

カウンターがあることの強さ


こうして言葉を並べてきて思うのは「結局、ポジションだけが間違っていたんだな」ってことです。

彼女自身の持ち味からすれば本来は秋元真夏的な立ち位置が良かったのでしょう。
乃木坂のメインストリームに対するカウンター。

センターやフロントなど前面に出てくるのはグループのイメージを体現する「乃木坂感」溢れるメンバーが望ましい。

ただそれだけだと外番組では盛り上がらないことこのうえない。西野七瀬が20人いてもMCは困っちゃいます笑

そこで必要になるのが「異物」。
いわゆる「バラエティメン」ではなく、アイドル性をキープしながらも「ズレ」を生めるメンバー。言い換えればMCに対してフックのあるメンバー。

外番組ではこういう人が重宝されるんですよね。
高山一実しかり。松村沙友理もその範疇に入ります。生田絵梨花もそうなのでしょうが彼女はもはやいろいろ突き抜けちゃっててこういう評価軸では語れません。

余談ですが、今の山下美月は乃木坂感を残しつつもフックがあるスーパーエースへと脱皮しつつあるような気がしています(と、彼女がマイペースで激辛料理を食べている番組を観ながら思いました)。

『アメトーーク!』や『バズリズム』で見せたように外番組でもすっとぼけたキャラを物怖じせずにできる堀ちゃんは、このカウンターとして存分に機能していました。

「異物感」って重要です。

乃木坂に憧れて入ってきたメンバーが多い3期4期が多数派となった現在、どうしても同質性が高くなる傾向にあります。それは乃木坂が結成当初から持っていた強みでもあります。「スカートの裾が揃っていた衣装デザイン」なんてのもありました。

3期は全体としてタレント性の高いメンバーが揃っておりそもそもの乃木坂感は低めでしたが、彼女たち自身が乃木坂ファンであるために同質性を高める方向に進んでいます。梅澤美波が阪口珠美のギャル言葉を叱るなんていうのもそれを端的に示していますね。
これ自体は結成当初からの古参オタからすると正直、嬉しいことです。

でも同質性の高い組織って、強度は上がりますが折れやすくなるリスクもあるんですよね。

その点、現在の乃木坂には1期2期がキャリアを重ねる中で培ってきたしなやかさや打たれ強さのようなものが備わっています。

しかしこの先、グループが小さかった頃を知らない3期4期だけになった時にしなやかさをもたらせる人材は誰なのか。
そこで再び3期生たちが自分の個性に目覚めるのかもしれませんし、堀ちゃんのような異物感を醸し出す後輩が現れるのかもしれません。

異物感を継ぐとしたら、今いるメンバーの中では林瑠奈じゃないかと思っています。エキセントリック度合いとしてはちょっと抜けた存在ですよね。
もうひとりの堀チルドレン掛橋沙耶香もいいんですが、乃木坂メンバーとしては極めて珍しく上昇志向を隠そうとしない彼女はどちらかというと衛藤美彩を彷彿とさせますね。


最後に、卒業後の彼女について。

既に本人が明確に女優と言っていますね。

これまでは現役アイドルとしてヒロイン的な要素を求められる部分がありましたが彼女の本質はそこにはありません。その枷が外れたこれからの方が幅広い役柄をこなせそうで、むしろ期待できます。

『遊戯みたいにいかない。』とかカップスターの『毎月劇場』でわかる通り、オークラさんの脚本、というか東京03角田さんを傷つける台詞を吐く役が異常に似合うのですがそれはさておき笑

サスペンスドラマの容疑者役にぴったりですね。

犯人役でもいいし、やたらと怪しくて引っ掻き回すけれど犯人じゃない役もできる。あとは他人に無関心で不愛想なんだけど実は主人公の一番の理解者とかも似合う(これはサスペンスに限らずどんな物語でもよいですね)。

犯人役といえば『猿に会う』での演技が印象に残っています。あのドラマ全体に通底する不穏な空気の体現者でもありました。

個人的には「個性派女優」として活躍してほしいし、その方向で10年後も生き残っている可能性があると思います。

乃木坂の看板を下ろしたこれからの彼女がどんな演技を見せるのか楽しみです。


堀未央奈さん、約8年間お疲れさまでした。

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守られた次世代


前の記事で書いた運営による堀未央奈に対する露骨な優遇。

功罪を比べれば、正直「罪」の方が多いように思います。

仮に彼女が他の2期生と同様に研究生からスタートしていたらセンターになることはなかったでしょう。

もちろん2期生で最初に選抜入りしたのは間違いないと思いますが、3列目から2列目に上がってどこかでフロントを経験して涙するという衛藤美彩と同じような軌跡をたどったのではないでしょうか。

その方が堀ちゃんもファンも他のメンバーも、きっと幸福だったろうな。
ついそんなことを考えてしまいます。

ただ、逆説的に考えればいくつかの「功」もあります。

まず乃木坂ファンの「AKB的なものに対する拒否反応」を運営が強烈に認識することになりました。

当時はまだ「AKB48の公式ライバル」という初期設定に囚われており、それこそAKBの総選挙や組閣(48グループ内の異動・兼任)に乃木坂が参加させられるのではないかという不安がファンの間にも現実的なものとして根強く残っていました。
『バレッタ』の3ヶ月後、2014年2月には現実に「交換留学」という名目で松井玲奈と生駒里奈の兼任が行なわれます。

しかし堀ちゃんセンターとこの交換留学に対し、乃木坂ファンはアレルギーと言っていいほどの拒絶反応を示しました。

これによってその後のグループ運営は極めてコンサバティブなものになります。
新人のセンター抜擢こそ続けられたものの、それ以外にサプライズによる話題作りはほとんど行われることはありませんでした。48グループとのコラボも「坂道AKB」ぐらいにとどまります。

そしてその新人抜擢センター。

後に大園桃子、与田祐希、遠藤さくらのセンター抜擢というチャレンジができたのは無論、堀ちゃんの前例があったからこそです。そして結果的に新たな人気メンバーを生み出すことに成功しました(以前にも書いた通り個人的にはこの手法には否定的なのですが)。

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さらにこれまた逆説的ですが、堀ちゃんを齋藤飛鳥のシンメにしてフロントに置き続けることによって「守られた」メンバーがいます。

それは与田祐希

与田っちょは『逃げ水』以降、目に見える人気指標ではことごとく白石西野生田飛鳥に次ぐ位置にいました。実際、1st写真集『日向の温度』の売り上げでも同時期に出した堀ちゃんの『君らしさ』を上回っています。

しかし運営は頑なに飛鳥のシンメには堀ちゃんを使い続けました。
与田っちょのポジションは多くの場合、堀ちゃんよりひとつ外。
これは見方を変えれば一段責任の軽い場所にいることを許されたということです。

『逃げ水』でセンターに抜擢され、なーちゃんに愛でられ、ただでさえ人気面では3期生の中でも突出しつつあった彼女。他推しのファンから敵対視されかねない条件は揃っていました。

もし与田っちょが飛鳥とシンメにいたら、凄くアンチが湧いたことでしょう。

しかしその場所を堀ちゃんが担ってくれたおかげでそれは回避された。
同期の中心人物である久保史緒里、山下美月、大園桃子が相次いで休養する中、与田っちょを守ることができたのはグループにとって極めて大きかったと思います。

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妄想の『バレッタ』なき世界


そしてこれまた逆説的ではありますが、彼女をセンターにするという回り道によって結果的に乃木坂のピークが後ろにずれ息の長いグループとなりました。

例えば7枚目シングルが白石麻衣連続センター、8枚目が西野七瀬であったとします。
(ここから先はかなり妄想になるのですがご了承ください笑)

これはすなわち後の白石西野時代が1年半ほど早くスタートしていたということ。こうなれば人気のピークも前倒しになります。紅白初出場は2014年、『太陽ノック』の生駒里奈センターもなかったでしょう。『悲しみの忘れ方』は生駒から白石西野への流れを追う物語になっていたはずです。

世代交代も御三家から西野を中心とした94年組へ、そして2016年あたりに再び生生星+齋藤飛鳥へと進み、堀ちゃんはこの生生星世代のひとりになったことでしょう(要するに『あらかじめ語られるロマンス』です)。

これが実現していれば西野七瀬を支える桜井玲香、若月佑美の序列が実際よりもっと高くなり、生生星アゲインのタイミングでは選抜のオールスター感がもの凄いことになっていたのではないでしょうか。

「1期2期による乃木坂46」としては明らかにこの方が早くグループが大きくなっていたし、井上小百合推しの自分としてはもちろんこの乃木坂が見たかった笑

しかし。

この場合は東京ドーム公演も1年以上早いタイミング、遅くとも2016年の夏には到達したでしょう。

そうなると3期生の加入はドーム後であり、彼女たちは「ドームまでの道のりを知らずに、天下を取ったグループに後から入ってきたフリーライダー」になってしまいます。

そして恐らく1期生の多くはドームを区切りとして卒業し、代わりに3期生が選抜入りしても「知らない顔ばかりになった」と言われグループの勢いは弱まってしまったことでしょう。

現実はそれとは異なりました。

あの2017年11月の東京ドーム。

既にグループの大きさからすれば前年時点でもフルハウスにできたでしょう。
でも色々な要素が絡まって、満を持しまくりでの東京ドーム。
7月の神宮での歓喜の発表、あの日のドームの破裂しそうな期待感。そして伊藤万理華と中元日芽香の見事な花道。

間違いなく集大成。
でもそれと同時に「ここはゴールではない」感も確かにありました。

なぜなら、3期生がいたから。
あのドーム公演は1期2期の世界の到達点でありながら、3期というブースターに点火したばかりという稀有なタイミングで行なわれたからです。

少なくとも私は3期生のことを、乃木坂をドームにそしてミリオンセラーに押し上げた最後のファクターと認識しています。事実、初ミリオンとなった『インフルエンサー』は3期生が初めて個別握手会に参加したシングルでした。
これ、1期2期のファンでも一定数の方は同意いただけるのではないでしょうか。

乃木坂という物語にとって、もっともふさわしいタイミングで行なわれた2017年11月の東京ドーム。

そこにつながる遠因のひとつが『バレッタ』の堀未央奈抜擢だった。

彼女自身は未来にはなれなかったけれど、彼女がいたからこそ3期生が絶妙なタイミングでグループに勢いをもたらすことができた。

それが妄想の果てにたどり着いた結論です。

堀ちゃん本人とは全く関係のない話になってしまいましたので笑、続きます。

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2020年11月27日午後10時15分。

公式Youtube上で堀未央奈さんのソロ曲『冷たい水の中』のMVが公開され、その最後に彼女自身の口から卒業が発表されました。

使い古された方法論


彼女はそのスタートから「異物」でした。
いえむしろそのスタートがすべてだったのかもしれません。

『バレッタ』でのセンター抜擢。
結成当初からのファンである私からすれば最悪のタイミングでした。

デビュー曲から5作連続でセンターを務めたのは生駒里奈。その「生生星」路線は一定の評価を得つつも売り上げ的には頭打ちとなり、ここで運営は方向転換を余儀なくされます。

6thシングル『ガールズルール』のセンターは白石麻衣。
御三家をフロントにして握手人気上位の「お姉さんメンバー」を重用する、ファンの期待に素直に応える布陣。そしてほぼこの時点での最強と思われるメンバーで構成された選抜(初選抜がいない、総決算的なメンバー)でもありました。

これにより売り上げは一気に1.5倍に伸びます。
さあ、ここから乃木坂の快進撃が始まる。そんな予感で満ちていました。

そのタイミングで突然の2期生抜擢。
まだ何もない、『乃木坂って、どこ?』でお披露目されただけの2期生が。
よりによってセンターに立つ。

正直、個人的には「水を差された」としか言いようのない衝撃。
いや正確には衝撃ですらありませんでした。選抜発表前からネット上では「次のシングルのセンターは2期生の堀未央奈」という噂がまことしやかに流れていましたから。

名前を呼ばれ壇上に立つ堀ちゃん。髪型もメイクも野暮ったいままの彼女は、明らかに場違いでした。

まさに美しい世界に紛れ込んだ「異物」。
それが彼女でした。

結成以来必死に頑張って前作『ガルル』で確かな手ごたえも掴んだはずの1期生たちとそのファンがどう感じたのか。

それを端的に物語っているのが橋本奈々未が当時ブログに綴った言葉。

 発表された瞬間は、正直受け入れられませんでした。
 未央奈をではなく、大人の判断を。
 収録が終わった後、みんなで泣きました

 まだ握手会の日に控え室でしか顔を合わさない、何の経験もない
 2期生がセンター

 こんなこと言える立場じゃないのは分かってる、けど、
 何を基準で抜擢されたのか全く私たちには不明確で、悔しかった


結局、当時の運営はAKB48と同じ方法論しか持ち合わせていなかったのでしょう。

ストレートな表現をすれば「増員」と「作られたストーリー」による「炎上」。

2期生の募集自体、2012年12月。『制服のマネキン』と『君の名は希望』の間です。
そもそも結成1年ちょい、デビューしてからわずか10ヶ月の時点で早くも募集をかけているあたりにそれが窺えます。

当時乃木坂ファンの多くは増員など望んではいませんでした。
現有戦力で十分に戦える。どころか1期生34人のうち23人しか選抜を経験していないのですからまだ1期生の魅力も能力も開発途上。それなのに2期生を募集するという暴挙。単純に46人にしたかっただけという説もありますが。

まして4th『制服のマネキン』時には秋元真夏の復帰即福神が大きな批判を浴びていました。彼女自身は抜群の釣り対応で瞬く間に握手人気上位となりましたが、他メンバーファンの間には真夏さんに対する抵抗感がまだまだ根強く残っていました。
なのにそれと全く同じことを繰り返すという愚行。しかも今度はセンターで。

結果として堀ちゃんには極めて多くのアンチがつくことになります。

そしてもうひとつ、運営は「アイドルとは成長物語を見せるもの」という固定観念からも抜け切れていなかったのでしょう。

原石感の強い生駒ちゃんをセンターに固定していたのもその表れでした。ようやく圧倒的な完成度のまいやんに切り替えたのも束の間、再びまっさらの2期生。

この時点での運営は全体的に「乃木坂ファン」の嗜好を読めていなかったように感じます。
まあ少しフォローするならば、きっと御三家がもっと早くに卒業すると思っていたのでしょう。

最後まで続いた優遇


続く8thシングル『気づいたら片想い』ではフロントに留まったものの、9th以降のポジションは3列目。これは当時の堀ちゃんの握手人気からすると極めて妥当な位置。12~16番目ぐらいの完売実績ですが上位10人とは明確な格差があるという感じでした。

しかしその期間に始まったアンダーライブが熱狂的な支持を集めます。
その立役者である齋藤飛鳥、伊藤万理華、井上小百合、中元日芽香らが握手人気を高め、堀ちゃんと同等かそれ以上のスピードで完売させるようになっていきます。

彼女たちの選抜入りの機運が高まる中、入れ替え対象としてやり玉に挙げられたのが堀ちゃんでした。

そしてついに彼女は12thシングル『太陽ノック』と続く『今話したい誰かがいる』で選抜から外れます。これによってアンチは留飲を下げ、彼女に対する風当たりも少しは弱まるかと思われました。

しかしこれはさらなる「ゴリ押し」の始まりにすぎませんでした。
選抜から外れたにもかかわらず、堀ちゃんは選抜どころか福神並みの優遇を受け続けたのです。

アンダーでは当然のように2作連続でセンター。サンクエトワールというユニットまで結成してもらい、アンダー期間も変わらず冠番組には出続けます。ドキュメンタリー映画『悲しみの忘れ方』のエンディングでは彼女の挫折からの再起を露骨に予告する映像が流されました。

そして何よりファンを白けさせたのが、アンダーメンバーたちが歯を食いしばり積み上げてきた結果としてたどり着いた武道館公演の座長を堀ちゃんが務めたこと。それだけでなく、その成功という箔をつけてもらっての選抜復帰。

さらにその14th『ハルジオンが咲く頃』のMVでは卒業する深川麻衣からの「継承」をイメージさせる演出がなされます。

お膳立てされまくりにも程がある。

結局彼女がアンダーに落ちたのはアンチかわしのための一時的措置に過ぎなかったことが誰の目にも明らかになりました。

選抜復帰後はポジションも露骨にゴリ押しされはじめます。
17th『インフルエンサー』以降は、基本常にフロント。これには新人抜擢センター曲『逃げ水』『夜明けまで強がらなくてもいい』も含まれます(例外は西野七瀬と白石麻衣の卒業シングルのみ)。

平たく言うと、丸3年もの間白石西野飛鳥に次ぐポジションを与えられてきたのです。
ポジションだけ見れば生田絵梨花よりも上。まあ生ちゃんはそういう次元にはいないと思いますが。

多くの場合飛鳥とシンメ扱いされ、2013年の7thシングルの時点で単独センターを経験しているのにもかかわらずいつまでも「次世代枠」に入り続けました。

与えられたそのポジションからすれば彼女は飛鳥を支える存在になっていなければなりませんでした。にもかかわらずこのタイミングでの卒業。
率直に言って自身の経験によって得たものをグループに還元することなく卒業していく、という印象です。

 今はまだ何も無い
 センターを担う2期生・堀未央奈を皆さんが力を合わせて育てて下さい
 あなたたちの行動が
 未来の乃木坂46を作ります
 (堀未央奈センター発表時の運営からメンバーへの手紙)

 堀未央奈は「乃木坂の未来」だ
 (秋元康のコメント)

こんな言葉が今となっては空しく響きます。

そもそも生田絵梨花と同学年。星野みなみより1歳、齋藤飛鳥より2歳も年上。
その彼女を「未来」「次世代」扱いすること自体が矛盾しているのです。

秋元康の、運営の見込み違い。それが改められなかった(かに見えた)たために最後までアンチが減ることはありませんでした。

ここまで挙げてきたすべてはもちろん運営の采配であり、堀ちゃん自身が選んできたものではありません。

ただ他のメンバーを推しているファンからすれば受け入れがたい、『スラムダンク』の陵南・田岡監督でなくても「なぜそこにいるんだぁ!?」と言いたくなるレベルの優遇であったこともまた事実。

結局のところ彼女は「未来」にはなれず、ずっと「異物」のままでした。


続きます。

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2020年7月10日、アシスタントを務めているラジオ番組内で中田花奈さんの卒業が発表されました。

自身の冠番組で「本当はもう卒業しているはずだった」という発言をしたばかりでしたので特に驚きはありませんが、やっぱり寂しいですね。

「下がっていくアイドル」


「上から読んでもなかだかな、下から読んでもなかだかな、横から読んだら、だ!」

この乃木坂史上屈指の秀逸なキャッチフレーズでスタートダッシュを決め、デビューシングル『ぐるぐるカーテン』で選抜入り。2ndシングル『おいでシャンプー』では初のフロント&福神入り。

しかし彼女自身の言葉を借りればこれが「中田の全盛期」となります。

続く3rdシングル『走れ!Bicycle』も選抜入りしたものの、4th『制服のマネキン』では秋元真夏サプライズ選抜入りのダシに使われる形で無念の選抜落ち。

5th6thは連続で選抜されるものの、以降はアンダー定着。
彼女が再び選抜に戻ったのは実に約3年9ヶ月後、17thシングル『インフルエンサー』まで待つ必要がありました。

その後、19th『いつかできるなら今日できる』では映画『あさひなぐ』出演メンバーとして、25th『しあわせの保護色』では1期生全員福神という形での選抜入りがありましたがそれ以外はすべてアンダーでした。

アンダー曲でセンターを務めたのは4thでの『春のメロディー』そして21stでの『三角の空き地』の2回。それ以外はアンダーでもあまりフロントはなくほぼ2列目でした。(ただし3列目になることはありませんでした)

とはいえ比較的多くのチャンスをもらったメンバーでもありました。
他星ユニット、サンクエトワール、女子校カルテットなど数多くのユニットに参加し、乃木團やさゆりんご軍団の一員でもありました。グループ内舞台の『じょしらく』『弐』『セラミュ』にも出演しています(演技には苦手意識があったようですが)。

長きにわたり配信番組とラジオのレギュラーを持ち、趣味の麻雀を活かして冠番組をゲットするなどの活躍も見せました。

しかし選抜の硬直化、後には3期生たちの躍進もあり、彼女がかつてのような存在感を取り戻すことはありませんでした。

あの日見せた会心の笑み


なんか器用そうに見えて不器用な人だったな。
それが私の印象です。

賢くて色々考えてしまう彼女は自分と他のメンバーを比べ、グループの中での立ち位置を計算していたのだと思います。そして意図して王道ではなくカウンターであろうとしたのでしょう。
ですが悲しいかなセルフプロデュース能力はそれほど高くなかった。

その言動がたびたび批判を浴びました。

3期生バレンタイン企画で(2期の時の同企画で齋藤飛鳥が立候補しては振られまくった結果跳ねたのを模倣して)立候補しまくったり、たびたび父親との不仲ネタを話したり。もちろん「台本じゃん」と言われればそれまでですが、だとしても彼女はこの手のネタをやるのに向いていなかった。

有名私立女子校出身で勉強もでき、乃木坂初代頭脳王の座にも輝いたこと。そしてクールな性格っぽいビジュアル。これらのバイアスによりどこか「可愛げがなく」映ることがあったように思います。個人的には「ウチ」という一人称も良くなかったかと。

そして前述の「中田の全盛期」をはじめとした自虐。

本当にそう思っているのか、アイドルは弱みを見せないものという美学なのか、それとも単なる自己防衛本能なのか。これも見ようによっては「わかってます」「効いてない」アピールのようで、プライドが高いという印象を与えたのではないでしょうか。

また「クセが強い欲しがりで聡い」という同タイプに秋元真夏という強力なライバルがいたことも不運でした。早々にぶりっ子キャラを確立しやり切る真夏さんに対し「バカになり切れない」かなりんはどこか思い切りが悪く、それもプライドの高さと感じられてしまったように思います。いや「カナヲ」はとてつもなく振り切ってるんですが笑

でも、メンバーからは慕われていました。

多くのメンバーが彼女を「優しい」と言っていました。
ダンススキルにも定評があり、歌番組に選抜メンバーが出演できない時には代打出場で見事なパフォーマンスを見せ「代打の神様」と称えられることもありました。

切れ長の目をした和風美人。肌の綺麗さもメンバーから羨望の声が上がるほど。
ただ逆に言うと地味目の顔立ちで今どきのアイドル顔ではない気がしますが、先日の『乃木坂工事中』でも松村沙友理が「この顔になりたい」として挙げていましたし井上小百合もかつてモバメで何度も「かなりん美人!」と書いていました。

2018年7月の「シンクロニシティライブ」こと6thバスラでのビジュアルはとんでもなく仕上がっていたのを憶えています。

ブログやモバメは頻繁に更新し、握手対応も良好。
自分のファンにしっかり向き合っていた印象があります。

つい最近書いたように、私としては46時間TVの中で見せた母のような穏やかなたたずまいが非常に好感の持てるものでした。でもきっとあれは卒業を決めていたからこそ素直に出せた姿なのでしょう。



彼女にも忘れられないシーンがあります。

2017年末のレコード大賞における『インフルエンサー』。多分、皆さんと同じですね笑

本編。生バンド演奏に合わせ情熱をほとばしらせて舞い踊るメンバーたち。もうこの時点で受賞を確信する(私が、ですが)ほどの渾身のパフォーマンス。間違いなく乃木坂史におけるベストのひとつでしょう。

そしてこの日のかなりんはフォーメーションのヘソの位置である裏センター。伊藤万理華の卒業に伴い空席となっていたその重要なポジションを務めました。
本来とは違うポジション。しかもレコ大。プレッシャーのかかる条件が揃っている中、彼女は見事に踊りきります。

そしてレコード大賞を受賞した乃木坂46はエンディングで再度の曲披露を行ないました。

その最後のサビ。
カメラに抜かれた彼女は顔をくしゃっと歪め、ちょっと不敵な笑顔を見せたのです。

それはこの日掴んだ勲章とかこれまでの苦悩からの解放とかじゃなくて、ただただ会心のパフォーマンスに対する喜びが溢れ出たように見えました。


最後に今後の彼女に期待することを書きます。

これ本人やファンの方には凄く怒られると思うんですが、乃木坂のスタッフやってくれないですかね。メンバーの活動サポートやアドバイザーとして、様々な浮き沈みを経験した彼女は凄く有能だと思うんですよね。オリジナルメンバーかつダンススキルもあるということで後輩からのリスペクトもあるようですし。

そして10年後ぐらいに坂道とは別の中田花奈プロデュースアイドルグループを見てみたいですね。乃木坂とは似ても似つかないやつを。それを見て言いたいです。「本当はこういうのがやりたかったのか!」って笑


なまじスタートダッシュを決めてしまったゆえに「下がっていく」苦しみを味わったかなりん。

でもそこで代表作『おいでシャンプー』そして「ナカダカナシカ」コールが生まれました。
彼女のアイドル人生には間違いなく「全盛期」と呼べる瞬間があった。それはある意味、とても幸せなことだと思います。

「アイドルはパフォーマンスしてナンボ」

そう語った彼女が卒業前に何らかの形でファンの前でパフォーマンスできることを願っています。

中田花奈さん、9年間お疲れさまでした。


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大園桃子は大園桃子


とにかく泣く。

それが大園桃子の印象でした。

武道館でのお披露目会で泣き、『乃木坂工事中』での自己紹介で泣き、2017年の5th YEAR BIRTHDAY LIVEでは泣きながらステージ上を徘徊する。

私も最初、彼女に対して否定的な見方をしていました。

凄くストレートな言い方をすると、可愛い顔と泣き芸で嫌なことを回避してここまで人生乗り切ってきたタイプに見えたんです。

実際『NOGIBINGO!8』最終回での最後の試練としての企画、6時間で振り入れして1,000人の前でチアダンス披露でも「できるわけない…」「帰りたい…」という逃げの姿勢が映されていました。

その印象がいつから変わってきたのかは憶えていません。

ただ決定的だったのは、2019年5月に放送された『乃木坂工事中』での3期4期が富士急ハイランドのアトラクションに挑む企画でした。

名物ジェットコースター「FUJIYAMA」での発車前の悲しげな表情から「死んだら仕方がない…死んだら仕方がない…死んだら…死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ」という独特な辞世の句。

これまた名物のお化け屋敷「戦慄迷宮」でゾンビに「話のわかんない人だ」とか「君も一緒に行く?」と語りかけてしまう姿。

TVを観て大笑いしながら思いました。

あれ?俺、大園のこと大好きじゃん。(ガチ恋ではありません、念のため)

ひとたび好感を持ってしまえば、彼女は魅力満載です。

パッと花が咲いたような笑顔。
そこに咲いている花じゃなくて、ポン!と開いたその瞬間の花のような。

そしてその笑顔の時のパカッと開いた口。
あれ見るたびに毎回「切ったスイカみたい」と思います。

ちょっとハスキーで可愛い声。そこに鹿児島訛りが加わるのですからもはや反則笑

「こーむいーん!」とか「もにもに もにもに ぴょんぴょん」とか素晴らしいですよね。
(ご存じない方はYouTubeで「大園桃子 こーむいーん」「大園桃子 モニモニダンス」で検索してみてください。一撃です)

感情移入がもの凄い。
グループの内外を問わず、他人の話を聞いて涙を流す姿を何度も観てきました。


そして彼女の最大の魅力。

それは「大園桃子は大園桃子でしかない」こと。

これにつきます。

2019年夏に公開されたドキュメンタリー映画『いつのまにか、ここにいる』の中で、自身をこう表現しています。

「アイドルとしてではなく、素の自分としてしかいられない」

アイドルとしての自分を演じることができない。
それはプロとしてどうなのか、という意見もあるでしょう。

しかしこれは本来とてつもないアドバンテージです。
普通にやっているだけで(「だけ」はちょっと違うかもしれませんが)あれほどの魅力を発することができるのですから。

そして心からの喜怒哀楽は見る者の心を動かします。リアルにはフェイクが決して持ちえない力があるのです。

しかし同時にこれは彼女の最大のウィークポイントでもあります。

同じ映画の中でこうも語っていました。
「だからキャラややり方を否定されたら、自分が全否定されたようになる」
「ありのままの姿でぶつかっていけば、ズタズタに傷つく」とも。

アイドルを演じているのであれば、それを否定されても演じ方を変えれば受け入れられる可能性があります。

しかし彼女が否定されるのは大園桃子そのもの。逃げ場がありません。

そして2019年、彼女が持つそんな危うさが顕在化してしまいます。
春先から不安定な状態が続いていた彼女は、体調不良のため真夏の全国ツアーと24thシングルの活動に参加しないと発表されました。

彼女のことばは刺さる


でも、そんなありのままの彼女が素の自分として発するからこそ、そのことばは聞く者の心に刺さるのです。

前述のドキュメンタリー映画を観た多くの観客の記憶に彼女の言葉が残っていることでしょう。

「大好きな人と会えなくなることに強くなる必要ありますか」
メンバーの卒業についての言葉です。

「サヨナラに強くなれ」なんて言うけれど、物分かり良く笑顔で見送るなんてできない。傷ついたって、ちゃんと別れを悲しみたい。

卒業メンバーを見送るファンの偽らざる思いと同じではないでしょうか。

「乃木坂も悪くないなって思った」
2018年末のレコード大賞パフォーマンス後に言った言葉です。

桜井玲香が「メンバーへの愛が溢れて止まらなかった」と表現したあの日。
大園桃子もそれと似た感覚を抱いていました。

乃木坂を知らずに乃木坂になってしまった彼女、気づいたらそのセンターにまで立ってしまった彼女。それがメンバーのことが大好きになり、少しずつゆっくりとではあるけれどグループへの愛着も生まれ始めた。

それは、乃木坂がどこにあるかなんて何も知らずに来た、気づいた時には坂を上っていた1期生たちの、ゆっくりと時間をかけてメンバーとグループへの愛を育んでいったその歩みと重なります。

全部オリジナルの、心からのもの。
だから大園桃子のことばは力があるのです。


そして今、世界を不安と悲しみが包む中で彼女が発したことば。



私がこの記事を書こうと思った理由です。

「でも」「そうは言っても」「現実的に考えると」
いくらでもそんな反論が出てきそうな文章かもしれません。

ただ、本当は誰もが気づいている一番大切なこと。
そんなド本質を彼女は拙いながらも自分の言葉で一生懸命伝えているのです。

響きますね。

ACで本人がこのブログを語りかけるCM作ってくれませんかね。
結構マジで外出自粛に効果あると思うんですけど。

みんなで頑張って、みんなで生き延びましょう。


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