ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

カテゴリ:乃木坂46 > メンバー考察

タオル補正
2025年3月7日、公式ブログで佐藤楓さんが卒業を発表しました。

まずは彼女の乃木坂人生を振り返りましょう。

憧れの背中を追いかけて


2016年9月、乃木坂46の3期生オーディションに合格。応募動機は「憧れの乃木坂メンバーに会えるかと思って」。
同年12月の日本武道館におけるお見立て会で初めてファンの前に立ちます。

第一印象は「地味めスポーツ女子」

タレント性の高いメンバーが多かった3期生の中では正直あまり目立っていなかったように思います。
それゆえかスタート当初、彼女は握手人気で出遅れました。
それでも徐々に人気を上げ、21stシングルで初めて30部フル完売。
その勢いのまま22ndで同期の伊藤理々杏と共に初選抜を勝ち取ります。

その『帰り道は遠回りしたくなる』は「憧れの人」西野七瀬の卒業シングルでした。
最後の最後で「間に合った」。いちファンに過ぎない私ですが今改めて「本当に良かったなあ」と思います。

同シングルでも4次で30部フル完売し23rdでは連続選抜。このまま選抜常連へとステップアップするかと思われました。

しかし。
この2作連続で選抜されたでんちゃんと理々杏のふたりはヘイトを集めてしまいました。

ただそれも無理はないのです。
さほど差のない完売速度だった「アンダラのスター」たち、樋口日奈や斉藤優里そして2期生アンダーセンター経験者を差し置いての選抜でしたから。

それと時を同じくして4期生たちが握手会に参加し始め、2期3期の何人かが完売速度を落としたりフル完売できなくなります。

でんちゃんもその影響を免れることはできませんでした。
23rdはフル完売を逃し、24thと25thではフル完売に戻す粘りを見せますがそれでも徐々に完売速度を落としていきます。

このあたり、やはり3期生は本当に苦しかった。

レジェンドたちの握手免除による「ファン流し」の恩恵は確かに受けましたが、4期生加入までの期間は2年間しかありませんでした。4期と5期の間は3年強、5期と6期も3年です。(ちなみにグループ史上最短は1期と2期の間の1年7ヶ月)
「最初から超人気だったメンバー」以外が自分の支持基盤を確固たるものとするには少々時間が足りなかったように思います。

そしてこのタイミングでコロナ禍。
握手会はオンラインミーグリへと変わり、何度も書いてきたようにミーグリ人気は二極化します。

26thシングル以降、でんちゃんはフル完売できなくなりました。

「あざといこととか一切できない」彼女にとって、画面越しの瞬発力勝負であるミーグリはあまり相性が良くなかったのかもしれません。
皮肉にも、彼女のビジュアルが完成の域に達したのはちょうどこの頃だったと個人的には思っています。

29thシングル収録の『届かなくたって…』では初のアンダーセンター。
「アルノ事変」でグループに猛烈な逆風が吹く中でのアンダラ座長を任されたでんちゃん。
アンコール、急遽アカペラで歌われた『きっかけ』
アンダラの歴史に残る名シーンでした。

関連記事:


続く30th『好きというのはロックだぜ!』で3年3ヶ月ぶりの選抜復帰。
それ以降は3期生全員選抜だった35th『チャンスは平等』で選抜入りした以外はすべてアンダーでした。

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飾らない美しさ


2017年7月『乃木坂工事中』の「内輪ウケものまね大賞」で梅澤美波がやった「感情の起伏が平坦すぎて棒読みになってしまう佐藤楓」。

そこで生まれたのが後に彼女の代名詞となる「ヤラカシタ ヤラカシタ」

「棒読み」「こぼし」
このふたつの要素を含み、一言で彼女の愛すべきキャラクターを表現する秀逸なフレーズですね。

『乃木坂工事中』全ツ密着企画では「全国こぼしツアー」が毎年の風物詩に。
『ノギザカスキッツ』での「AI den」。
最終的にそれは「楓さん正そう軍団」へと繋がります。

あんな綺麗な顔立ちでスポーツも勉強もできるのに、気取ったところがひとつもなくて親しみやすい。
『乃木坂お試し中』でもMCの鈴木拓さんからいつも強めにいじられていたのも厚い信頼の証しですよね。

自身が中高6年間部活でやったバドミントンや、いとこが選手だったことからマニアになった駅伝。(ちなみに2020年度青山学院大学主将の神林勇太さん)
そして『オールスター感謝祭』でのミニマラソンからついには『SASUKE』出場まで、スポーツ関連の外仕事での活躍も目立ちました。


個人的に印象に残っているシーンがふたつあります。

2019年2月、7thバスラの『口約束』
秋元真夏、桜井玲香、中田花奈、若月佑美の「女子校カルテット」のユニット曲。
若の卒業により空いたポジションを埋めたのがでんちゃんでした。

この時の3期生はまだお披露目会から2年ちょっと。
そんな彼女たちが卒業した先輩のポジションを埋めることに一部のファンは過敏に反応しました。
梅澤美波をして「あの頃が一番辛かった」と言わしめるほどに。
(梅ちゃんはこの時に橋本奈々未ポジを埋め、猛烈なバッシングを受けたと言われています)

ましてそもそもプライベートでの関係性から生まれたユニットである女子校カルテット。
怖かったでしょう。

互いに目を合わせながら歌う最後のサビで大粒の涙をこぼしたでんちゃん
曲が終わり「頑張ったね」と言わんばかりに優しく彼女に寄り添った先輩3人。

まさにこれぞ乃木坂というべき、愛に溢れたシーンでした。

先日行われた卒業セレモニーでは岩本蓮加、吉田綾乃クリスティーという同期ふたりとこの曲を歌いました。

彼女にとっても特別な思い出だったのです。

もうひとつは2020年6月、コロナ禍真っ只中での46時間TV。
電視台で奥華子さんの『変わらないもの』を歌った大園桃子を見守ったでんちゃんは涙を流しながらこうつぶやきます。

 桃子には幸せでいてほしい

他人の幸せを願って涙を流せる彼女は本当に素敵でした


卒業発表のブログは素晴らしく彼女の人柄をしのばせるものでした。

先輩に、後輩に、同期に。
そして自分を応援してくれたファンに。

全方位への愛と感謝を伝えるまっすぐな言葉が並んでいます。

決して飾らずどこまでも優しい、私たちの見てきた佐藤楓そのものでした。


最後に、これからのでんちゃんについて。

これを書いている時点では将来についての言及はありませんが、思うことはただひとつ。

彼女の言葉を借りれば

 でんちゃんには幸せでいてほしい

って感じです。

佐藤楓さん、8年半お疲れさまでした。



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前の記事では『逃げ水』が後のグループに与えた大きな影響について書きました。

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言い残した想い


2020年3月発売の与田祐希2nd写真集『無口な時間』は推定売上21万部を超えるメガヒット
これは白石麻衣『パスポート』(同44万部超)、生田絵梨花『インターミッション』(31万部超)に次ぐグループ歴代3位の数字。

同時期に発売された山下美月1st写真集『忘れられない人』も19万部超、歴代4位という数字を叩き出し、堂々の3期生2枚看板へと成長します。

齋藤飛鳥+「よだやま」+4期生。
白石麻衣と西野七瀬という大エースふたりが去ってもなお、乃木坂は盤石

私は当時そう感じていました。

ポジションは20th『シンクロニシティ』から31st『ここにはないもの』まで、基本常にフロント

例外は4曲。
4期生抜擢センターの24th『夜明けまで強がらなくてもいい』、1期生全員福神の25th『しあわせの保護色』、5期生抜擢センターの29th『Actually…』。

そしてもう1曲が白石麻衣卒業後最初のシングルである26th『僕は僕を好きになる』。
これも当時は山下美月をセンターにし箔をつけることにより、与田っちょと同格にしたぐらいの感覚でした。(上で書いた写真集メガヒットの直後でしたし)

しかしその後も与田っちょがセンターに立つことはないまま、気がつけば『逃げ水』から5年以上の月日が流れていました。

そして2022年12月末。
週刊文春が彼女のプライベートに関する記事を公開します。

本人は即座にブログで「やましい事は一切ありません」とコメントしました。
それでも次作『人は夢を二度見る』以降、彼女のポジションは基本2列目固定となり明らかに「センター候補」ではなくなります。(唯一フロントに立ったのは3期生全員選抜だった山下美月卒業シングル35th『チャンスは平等』)

実際のところは知る由もありませんが、いちファンに過ぎない私には「懲罰人事」に見えました。

そういう危うさがあったからずっと単独センターにしなかったのか、単独センターにしなかったから危うい行動をとってしまったのか。

それももちろん、わかりません。


27th『ごめんねFingers crossed』に収録された『全部 夢のまま』。

与田祐希の左右に星野みなみと筒井あやめという「可愛い」に全振りした新鮮なフロント。
ブラスとストリングスのアレンジがゴージャスで『I see…』同様に「SMAP感」溢れ、個人的にはかなりの名曲だと思っています。(ちなみに編曲は『I see…』とは別の方です)

これが表題だったら当時も今も、そう思います
でもフロント3人それぞれに違う未来があったかもしれない、なんて考えてしまうのはただの感傷ですね。


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いい8年半だったよ。


彼女の活動を振り返って思い出されるのは『乃木坂工事中』での数々の名シーン。

沖縄ロケで罰ポイント最下位になってハブハンターさせられたり
『フィンクロ』ヒット祈願バンジーでムササビ飛行したり。
「奇想天外!与田クイズ」とか
「スタジオ即売会2022」で58万円のマッサージチェアを値段も聞かずに購入即決とか
「おじさんあるある勉強会」での「私はドジでのろまなカメです!」「寝たい!食べたい!痩せたい!」とか。

最後のバナナマンのおふたりとのパイ投げに至るまで、名場面製造機であり続けました。

そしてもうひとつ、キャリア終盤の与田っちょを語る上で外せないのが後輩たちとの交流。

初センターに先輩センターがアドバイスする「クイズ・パイセンター」で和ちゃんに暖かい言葉を掛けて泣かせたり
活動休止していた掛橋沙耶香を「一緒に乃木坂で活動したい」と励ましたり。
「5期生お歳暮グランプリ」でも井上和と川﨑桜からもらっていましたね。

そして与田っちょ卒業発表後にその川﨑桜が『乃木坂、逃避行。』で筒井あやめに語ったエピソード。

 今まですっごい もう無理だってなった時に 絶対与田さんがいてくれたから
 明日からもう本当に頑張れないなって思ってたら「じゃあ明日ご飯行こう」って言ってくれて
 「これで1週間頑張れます」って言ったら「じゃあ1週間後ご飯行こう」って…

「私は与田さんみたいな先輩になりたい」

これ後輩から言われて一番嬉しい言葉ですよね。


齋藤飛鳥卒コンで「頼れる後輩になれなくて本当にごめんなさい」と泣いたあの子は、大きな愛で後輩を包む頼れる先輩になっていました

「先輩に色々してきてもらったので、ちゃんと返さないとな」

そう言って、当たり前のように微笑みながら。


独特な人でした。

もの凄く綺麗な顔立ちなのに印象は「可愛い」
結構あざといことも平気でやるのに狙ってる感じがしない。
嫌味のない、異次元の愛され力

グループ外の方と仕事をするたびに自分の味方を増やして帰って来ました。
田中要次さん、千鳥大悟さん、ブラックマヨネーズ小杉さん、品川監督…。
どこかの番組で今田耕司さんが「本当に綺麗な顔してんな…」と呟いていたのも印象深い。

猛烈にキャラクターが立っているけれど2次元感がない。
というかむしろ「2次元にもいない」オリジナリティ

『よだちゃん』というタイトルであずまきよひこ先生にマンガ化していただけないものか

今ふと思いましたけど、与田っちょってフォルムが「ちよちゃん」で脱力具合が「大阪」ですよね。
そっかー、そりゃ人気出るわけだわ笑

一頓挫あって人気を落としたけれど、それでもなおグループトップクラスの人気メン。

壊れない、休まない。
正真正銘、最初から最後までトップランナー

与田祐希さん、8年半本当にお疲れさまでした。

あなたを観てきたこの8年半
ずっと可愛かったし、ずっと楽しかった

ありがとう。


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前の記事では与田祐希の加入から大園桃子とともに抜擢センターに選ばれたところまでを書きました。

関連記事:


当記事ではその続きを。

「よだもも」だけの偉業


『逃げ水』は初のミリオンセールスとなった17thシングル『インフルエンサー』の次という極めて重要なタイミングでのリリースでした。

しかも真夏の全国ツアー時のシングルでありライブのオープニング曲。

後に与田っちょも「体重が8kg減った」と明かしたほどのプレッシャー。
途中、ステージ上で写真集発売がアナウンスされその最初のページを撮影されるというサプライズもありました。

それでも彼女は笑顔でツアーを完走します。

ツアーファイナルとして初の東京ドーム公演。
年末には『インフルエンサー』で日本レコード大賞受賞。

凄まじい勢いで坂道を駆け上っている真っ最中の、その最前線に突然放り込まれて(しかも周囲はもはや完成の域に達している!)それでもどうにかこうにか一緒に走り抜けた。

その一点において「よだもも」は乃木坂史上において彼女たちふたりにしかわからない経験をしているし、ふたりだけの偉業を成し遂げたと言えるでしょう。


そして7年半経過した現在から改めて振り返って思うのは『逃げ水』がグループの歴史上いかに重要なシングルであったかということ。

「1期生後の世界」においても乃木坂46がトップアイドルグループとして存続できるのか否か

その最大の分岐点がここでした。

「新人に貴重なリソースを割きすぎだ」と批判されながらも一歩も引かずに彼女たちを売り出した運営。
「個性が強くて乃木坂感が薄い」と言われながらも懸命に乃木坂46として認められようとくらいついた3期生たち。
その切り込み隊長の役目を見事に果たしたよだもも。

グループの勢いを増し加えた3期生を大方のファンは受け入れます。
乃木坂ファンの間に新人を「(推しの選抜入りを脅かす)異物」ではなく「新戦力」として受け入れる土壌ができたのは間違いなくこの時の成功があったからです。


そしてもうひとつ、『逃げ水』から始まり後にグループの文化となったもの。

それは「先輩が後輩を愛で倒す(めでたおす)」こと

そもそも『逃げ水』がWセンターだったのは、加入当初からの3期センターを務め「運営推し」と目されアンチがついていた桃子を守るため1番人気の与田っちょをセットにして不満の矛先を分散させようとしたのでしょう。

さらに運営は手を打ちます。白石麻衣と西野七瀬の両エースをそれぞれ桃子と与田っちょの「後見人」としたのです。

言うまでもなく「先輩メンバーは新人を受け入れている」というのを目に見える形でファンに示すための「作られた」ペアリング。

しかしなーちゃんと与田っちょの姉妹感は思いの外はまり、なーちゃん卒業後もプライベートで一緒に旅行や食事に行く間柄になります。

もの凄く印象に残っているのが『アップトゥボーイ 2017 SEP vol.257』。

背表紙は「ディス イズ パーフェクト。みんなが見たかった乃木坂46大特集44P。」
表紙は花冠をつけたふたりのツーショットで「フレッシュ、かつ盤石。世界よ、これが乃木坂46だ。」

このあまりにも大上段に構えたキャッチコピーに苦笑しながらも大いに頷いた記憶があります。

後に「懐いてくれて嬉しかった」と語った通り、なーちゃんは与田っちょを愛でます。
それまでどちらかというと孤高の存在だった彼女が「お姉さん」している姿は新鮮かつ魅力的でした。

新人をファンに受け入れてもらうための後見人制度が、先輩の新たな魅力を引き出すという思わぬ副産物を生じさせたのです。

現在まで続く「先輩が後輩を愛で倒す」という乃木坂の文化。
後輩たちが繰り返し語る「先輩がしてくれたことを後輩にもしてあげたい」
すなわち、齋藤飛鳥が卒コンで語った「恩送り」

それが形成された理由のひとつが、このふたりの成功事例なのも間違いないでしょう。


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過熱する人気


一気にスターダムに駆け上がった2017年。

年末に発売した1st写真集『日向の温度』も推定売上9万部を超える大ヒット。

当時これを超える売り上げを叩き出していたのは白石麻衣、西野七瀬、齋藤飛鳥、生田絵梨花、橋本奈々未そして衛藤美彩だけ。

お見立て会からわずか1年で、与田っちょは「センター候補」「フロント固定」クラスの人気メンバーへと成長したのです。

その後も彼女の人気は過熱します。

コロナ禍以降にファンになった方はもしかしたら山下美月と互角かそれ以下ぐらいの人気という認識かもしれません。

しかし私は24thシングル選抜発表の時点(2019年7月)でこんなことを書いています。

 現状、目に見える人気指標では白石麻衣と齋藤飛鳥が先頭を走り、そして与田祐希と生田絵梨花がそれを追うという構図に見える。

(中略)

 そして、最大の狙いは与田の突出を抑えること。

 正直、3期の中で人気では彼女が抜け出しつつあると思う。
 しかし与田1強状態を作ると、いよいよ本当に潰れかねない。

 だからこそ、ここで「くぼした」のWセンターである。

『2019年の乃木坂46』収録「【考察】美しい未来を見せてくれ~24thシングル選抜発表に思うこと」より)

3期の中でも人気は突出しつつある。

まあ、推しの贔屓目かもしれませんが笑

とりわけ握手人気は抜群でした。

「ちっちゃいけれど、色気はあるとよ」と「すいとーよ」という初期の2大フィニッシュブロー。
そしてくるくる変わる表情と頭の回転の速さ。

抜群のビジュアル×最高レベルの握手対応=最強

キャリアを通じて握手会、ミーグリをすべて最速で完売させたはずです。
ミーグリ開始当初には20時終了予定を22時を超えてもひとりだけまだやっていたなんてこともありました。

それだけの人気ですから、当然のごとく選抜発表のたびに取りざたされた「与田センター」。

しかし。

彼女が再びその場所に立つことはついにありませんでした。


続きます。

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2025年1月5日、公式ブログで与田祐希さんが卒業を発表しました。

これはもう抗えない


2016年12月14日放送の「FNS歌謡祭 第2夜」。

そこで披露されたのは乃木坂46×欅坂46コラボでの『制服のマネキン』。

イントロで生駒里奈に「乃木坂46、欅坂46、新メンバーの登場です!」と紹介され登場した乃木坂3期生とけやき坂(当時。現「日向坂」)1期生。

最初にアップになったちっちゃい子の顔が綺麗すぎて、その瞬間に心を掴まれました
その時に名前つきで紹介されたのは大園桃子、山下美月そして長濱ねる(ねるはとっくに活動を開始していましたが)でしたが、私は名前も知らない彼女に強く惹きつけられたのです。

それが与田祐希でした。

余談ですがこれ平手友梨奈の抜けに白石麻衣が映るというなかなかにレアな映像でした。

しかし当時の私は

てやんでぇ、こちとら5年以上「にやさゆ単推し(井上小百合推し)」を名乗ってきたんだ
いくら綺麗な顔しててもおいそれと靡く訳にゃあいかねえんだよ!

と無駄に荒ぶっており、お見立て会も『3人のプリンシパル』もスルーしました。

しかしライブ好きの自分を抑えきれずに行った2017年5月の3期生単独ライブ。

会場は今はなきAiiA 2.5 Theater Tokyo。

800人キャパの会場で、中央通路にはお立ち台。
私は通路から2列目の席でした。

ライブ中盤、お立ち台に立ち全力でレスをし続ける与田っちょの姿がめちゃめちゃ可愛くて「これは止むを得まい(これ以上抗えない)」と感じ、そこからずっと彼女の大ファンでした。


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異次元の愛くるしさ


さて。
長い自分語りはここまでにして、彼女の乃木坂人生を振り返りましょう。

2016年9月、乃木坂46の3期生オーディションに合格。応募動機は「東京に行きたかったから」。
同年12月の日本武道館におけるお見立て会で初めてファンの前に立ちます。

そこで「一輪車で登場」「実家のペットはヤギ」「ちっちゃいけれど、色気はあるとよ」をかまし、爆発的なスタートダッシュを決めました。

当初の印象は「素朴」なのに「顔が綺麗」「タレント性が高い」

彼女のタレント性は印象に残るシーンを生み出す能力。
上のお見立て会から既に見せていたそれを、冠番組でもいかんなく発揮します。

『乃木坂工事中』スタジオ初登場は2017年4月の「先輩が3期生を全力PR」。与田っちょを担当したのは西野七瀬でした。

そこでも「小学校の全校生徒は20人」「同級生は7人いたがちょっとずつ減って卒業時は自分含めて4人」となかなかパンチのあるエピソードからスタート。

そして「通学途中にイノシシに襲われるので直角に避けて凌ぐ」と語り、なーちゃんが「日村さんイノシシやってもらえますか?」。ふたりで実演し屈辱に震える日村さん笑
さらに「特技は一輪車」では再び「コーンを用意できなかったので日村さんやってもらえますか?」。コーンに見立てた日村さんのまわりを一輪車で周りながらジロジロ見るという謎の時間。

(この記事を書くにあたり見直してみたらひな壇の大園桃子が例の「ペコちゃん舌」をしていてほっこりしました)

2017年5月、3期生番組『NOGIBINGO!8』の「乃木坂46田舎っペNo.1決定戦」で東京常識クイズに開始2問連続不正解。
MCのイジリー岡田さんに「1問も正解してない人?」と言われ手を挙げたら自分と先輩ゲストとして参加していた斉藤優里だけということに気づき「大ピンチ」。(ちなみにゆったんは「やったー」と喜んでいました笑)

2017年9月『乃木坂工事中』での「将来こうなって総選挙」。
無記名のメンバー投票で「将来こうなりそう」なのは誰かを決める企画。
そこで「将来お金に困りそう」部門で見事11票=自分以外の3期生全員を獲得し1位になります。

設楽さんに「お金、割と使っちゃう?」と尋ねられ「いや…」と容疑を否認。
部屋に貯金箱が3つあり「出来るだけ使わない」「いざとなるまで使わない」「絶対使わない」に分けているけど「3つめまで使っちゃう」

「3万円ぐらいの美容品を間違えて買っちゃったと軽く言っていたのには驚いた」というタレコミに「全然軽くない!けどキャンセル料がかかる」と反論。設楽さんに「キャンセル料の方が安いんじゃない?」と正論を言われテヘヘと笑いながら「確かに…」

あまりの愛らしさに日村さんが即ハートを掴まれ「ドンマイ!ドンマイ!」と甘やかしていました。

まさに、異次元の愛くるしさ

2017年3月の初の3期生楽曲『三番目の風』と続く『思い出ファースト』のポジションこそセンター大園桃子、両サイドの山下美月、久保史緒里に次ぐ4番手扱いでしたが、当初から3期の中でも一二を争う人気という雰囲気がありました。

そして2017年の7月10日に行なわれた18thシングルの選抜発表。

彼女は大園桃子とともに抜擢センターに選ばれます。


続きます。

『2020年の乃木坂46』 kindle版
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2024年11月1日、自身がパーソナリティを務めるラジオ番組内で向井葉月さんが卒業と芸能界引退を発表しました。

まずは彼女の乃木坂人生を振り返りましょう。

夢挫折希望絶望


2016年9月、乃木坂46の3期生オーディションに合格。同年12月の日本武道館におけるお見立て会で初めてファンの前に立ちます。

第一印象は「素朴」

『乃木坂工事中』の3期生紹介では齋藤飛鳥が担当。
そこでは「走り方にクセがある」ことがフィーチャーされます。

その後も「食いしん坊」とか「汗っかきで前髪がなくなる」など、当時は「面白パワー系のいじられキャラ」という印象が強かった葉月。

もちろんそれは彼女の持つ要素のひとつではあるのでしょうが、グループのパブリックイメージとはマッチしていませんでした。

大の乃木坂ファンだった彼女ですから「バラエティメンは人気が上がりにくい」という傾向も理解していたはずです。

もしかしたら先輩たちをあまりにリスペクトしていたゆえに「自分はああはなれない」と考えていたのかもしれません。だから「面白パワー系」に活路を見出してしまった。そんな気がします。

そして多士済々の3期生の中、握手人気ではやや出遅れます。
少しずつ完売部数を上げていきますが、30部フル完売には一度も到達しないうちに4期生が加入。そこからはさらに苦戦を強いられることになります。

追い打ちをかけるようにコロナ禍でのオンラインミーグリ化による完売状況の二極化、5期生の加入と逆風が続き、彼女の完売はゼロや1という状況が続きました。

そんな苦闘を続けていた時期の真っ只中に、彼女はこんなブログを投稿します。

 皆様こんにちは!向井葉月です。

 私は乃木坂に加入してから面白いけど乃木坂らしくない子だなという印象が強かったと思います

 やっぱり最初は面白くしなきゃ!目立たなきゃ!って必死になりすぎていました。

 そういうイメージのまま乃木坂にいることに本当に長い間悩みました。
 その印象やキャラを捨ててしまったら自分に何が残るんだろうとも考えました。

 そんな私の方が好きだ!って言う方も中にはいらっしゃると思います。

 でも私は本当の自分で乃木坂にいたいです。

 今までの印象を変えたくて、
 また初めから、今年乃木坂に加入した新人さんと思って少しずつ自分が出来ることを頑張っていくのでファンの方にもちゃんと見ていてほしいです。

 最近は綺麗に見せる踊り方とか表情も綺麗にうつるようにお家でたくさん研究しました。

 もちろんこれからもお仕事もライブも元気にやります!楽しいことは楽しい!面白いことは面白い!

 印象を変えることは時間がかかるし簡単なことではないけれど自分らしくいたいな〜というお話です。

 これからの私を見ていてください。
(乃木坂46 向井葉月公式ブログより引用)

「まだ蕾だけど。」というタイトルがつけられたその文章には彼女の苦悩がにじみ出ているかのようで、当時非常に驚いたのを憶えています。

投稿されたのは2021年10月。28thシングル『君に叱られた』ぐらいの時期。
すなわち加入から5年以上も経過してこんなことを書いているんです。

ちょうど同じくらいの在籍期間で1期生たちが初期キャラを黒歴史として笑い飛ばした(白石麻衣の「マヨラー星人」など)のとは全く違う、切実さ

少しずつ綺麗なお姉さんへと変わりつつあった彼女ですが、それをグループのファンの目に留めさせ、さらに「自分のファン」にするのは非常にハードルが高かった。

「自分のファン」を掴む最大のチャンスは加入から1年ぐらいの短い期間。
今でこそ乃木坂ファンの間では定説のように語られていますが、これも3期生と4期生の加入に際し起きた事象を後から分析したものです。

「期別売り」の第1世代である3期生特有の難しさを最も味わったのは彼女だったのかもしれません。

それでもじわじわと上がったミーグリ完売実績と、以前に比べ選抜が流動化したことを追い風に34th『Monopoly』で悲願の初選抜
加入から実に丸7年が経過していました。

続く35th『チャンスは平等』でも山下美月卒業に伴い3期全員選抜だったこともあり連続選抜となります。

当サイトはアフィリエイトプログラムで雀の涙未満の微々たる収益を得てはおりますが、本文の内容は100%私の個人的な意見であり忖度は一切ございません。

いいやつ。


彼女の活動の中で印象に残っているのはやはり『乃木坂工事中』での活躍です。

バブル相撲では足腰最強の高山一実を真っ向勝負で打ち破ったり。
バナナマンのツアー密着企画でカメラの前に出てくるもうまく話せず「番組に貢献したい」と泣いたり。
飼っているカエルをスタジオに持ち込んでメンバーを恐怖のドン底に陥れたり。
近所の公園で知らない小学生とキャッチボールしたエピソードも面白かった。

ドタバタ地団駄
不器用でスタイリッシュじゃなくて、でも真摯
そして何よりも、いいやつ

そんな愛されキャラでした。

上で引用した「今までの印象を変えたい」というブログを考えれば、私のこのような印象はご本人にとって不服かもしれません。
でも同ブログから1年ちょっと経過した2022-23年の年越しCDTVで発表した抱負が「地団駄を踏まない」でしたから、きっと自分の持ち味を徐々に認めて愛せるようになっていたのではないでしょうか。

卒コンや卒セレでは先輩に愛でられるシーンを数多く残しました。

松村沙友理の卒コンで「白石さんが卒業したら松村さん寂しくなっちゃうと思うから、私が沢山話しかけます!」と声をかけてくれた後輩に「まいやんのポジションに入ってほしいと思いました」と紹介された『でこぴん』。

憧れのみなみちゃんと「キラーン!」をやった星野みなみ卒業セレモニーでの『ロマンティックいか焼き』。

もうひとつ忘れてはいけないのが2023年11月に放送された『乃木坂工事中』の「お歳暮グランプリ」。
5期生からお世話になっている先輩へ贈る、要するにバレンタイン企画のお歳暮バージョン。

そこで中西アルノが選んだのが葉月でした。

理由を聞かれ「初期の初期に大変だった時期に爬虫類カフェに連れて行ってくれたりして…それが凄い嬉しかった」と涙ぐむアルさん。

「初期の初期」。もちろんアルノ事変のことでしょう。

多くのファンから「乃木坂の破壊者」と受け止められたアルさん。私も当時は強い拒否感を覚えました。

もちろん勝手な想像ですが、大の乃木坂ファンである葉月に何も思うところがなかったとは考えにくい。
まして自分は加入から5年半もの間ずっとアンダーなのに、アルさんは全部飛び越えてお披露目即センター。

それでも、葉月は手を差し伸べます。

それは彼女がこよなく愛した星野みなみイズムでした。
「招かれざる者」とされてしまったメンバー、秋元真夏や堀未央奈に真っ先に手を差し伸べたみなみちゃん。

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もしかしたらアルさん自身が、あるいはそれを見ていた後輩の誰かが。
きっと次の「手を差し伸べる人」になるのでしょう。

そうやって我々の好きな乃木坂は続いてゆくのです。


35th選抜発表の時の記事で3期生の功績として「グループのカルチャーとして根付いた継続の意志」を挙げましたが、葉月はまさにそれを形作り体現したメンバーのひとりでした。

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乃木坂である喜びと、同じくらいの迷いや悩みや苦しみ。
彼女にとってはそのふたつが同居した8年間だったかもしれません。

それでも、後輩たちは口々にこう言っています。

「葉月さんが今後も乃木坂を好きでいられるように頑張る」

そう思わせただけでも彼女の8年間には大きな意味があった。

私にはそう思えます。


向井葉月さん、8年間お疲れさまでした。



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「今にして思うこと」は各章の末尾に「追記」という形で新たに文章を加え、さらに書き下ろしとして4期生の初冠番組であった『乃木坂どこへ』を振り返っています。


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