ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

カテゴリ:腕時計 > オメガ(OMEGA)

「独断と偏見で選ぶ!価格帯別腕時計ベストバイ2022年版」のラストは70~100万円のゾーンです。
対象は2022年に発売されたものですが、本数限定のモデルは対象外としています。

価格帯は実勢価格だとブレるので「記事作成時点の」定価で区分しました。
記載の価格はいずれも記事作成時点のもので新品税込です。
また併記している実勢価格は各店舗の表示価格=ポイント還元等を含まない金額となります。

当サイトはアフィリエイトプログラムで雀の涙未満の微々たる収益を得てはおりますが、本文の内容は100%私の個人的な意見であり忖度は一切ございません。

70~100万円部門


該当なし


すみません笑

でも、どう考えても該当なしだったんですよ。

候補は2本ありました。

ひとつはオメガ「シーマスター アクアテラ シェード 34mm」
Ref. 220.10.34.20.10.001

 

ロレックス「オイスター パーペチュアル」が2020年にビビッドカラーのバリエーションを発売しヒットを飛ばしたことへの「後追い」なんて陰口を叩かれがちではありますが笑

発売当初の価格は770,000円(税込、以下同じ)。

ポップなオイパペに対しこちらはサンレイ仕上げの煌めきが美しい。
コンパクトで値段なりの高級感があって、サイズもブレスのフィット感も良好。150m防水にパワーリザーブ約55時間でマスタークロノメーターと実用性も十分。
私の中でベストバイ内定は出ていました

しかし。
記事作成時点での価格は1,023,000円。

凄くいい時計だけど、ベストバイとは口が裂けても言えない値段に。
そして私の設定している100万円までというレンジも超えてしまいました。
当初価格のままで並行品の値段がこなれてきたら非常に魅力的だったと思うんですけどね。

ちなみに引き合いに出したオイパペ34mmは2020年の発売当時535,000円が記事作成時点で829,400円。これも高えなあ笑

ちなみに個人的に1本選ぶなら上の写真のラグーングリーンですかね。38mmのサフラン(オレンジ)もかなり好きです。

もうひとつはチューダー「ブラックベイ GMT S&G」
Ref. M79833MN-0001

 

いわゆる「ルートビア」。

個人的にはこの超絶かっちょいい時計に一目惚れ
めちゃめちゃ欲しいんですけど細腕なもので縦幅が長すぎました。公式には数値出ていないんですが恐らく約50mmかと。ついでに14.6mmと分厚い。

発売当初の価格はブレスモデルで634,700円。
私としてはひとつ下、「50~70万円」ゾーンのベストバイ候補でした。

しかし気がつけば776,600円。2024年の年明けには860,200円。
値上げを繰り返しとうとうこの値段になってしまいました。

さすがにこの価格帯でベストバイという評価にはなりませんね。

でも私はこのカラーリングに惚れ込んでいるので、似たような時計がないか探してしまいます。
セイコーさん、アンダー40mmの「ボーイ」で出してくれませんかね笑

ちょっと話が逸れますが、チューダーは正規品値上げが続いたことと中古は正規の値上げにさほど追従しなかったため、日本上陸以降付きまとっていたプレ値がようやくはがれた…というか「はがれたように見える」状態になりました。

「フィフティエイト」や「ブラックベイ プロ」もそこそこ中古市場に数が出てきたので、さらに値段がこなれてきたら狙い目かもしれません。

100万の壁


何度か書いていますが、私がこのベストバイを100万円までにしているのはそこが「普通のサラリーマンが思いっきり背伸びして届く限界」だと思っているからです。

であれば、最高に自己満足させてほしい

過去にこの価格帯でベストバイに選出してきたのはこんな時計たちでした。

2019年はゼニス「エル・プリメロ A384 リバイバル」。
2020年はIWC「ポルトギーゼ・オートマティック40」。
2021年はオメガ「シーマスター 300」。

関連記事:




フラッグシップと呼べるのはA384ぐらいかもしれませんけど、名門のビッグネーム揃いじゃないですか。

そして(防水とかパワーリザーブのような)実用性とは別の意味で「一本持ち」に耐えうる時計たちだと思います。

クラス感と普遍性、とでも言いましょうか。
ブランドの歴史に連なる普遍的なデザインを、プライドをもってきちんと仕上げたという印象を受けます。

2022年に発売された定価70~100万円の時計で、同じようなクラス感や普遍性を感じる時計は残念ながらありませんでした。

ちなみに現在の正規品価格はエルプリメロA384が1,078,000円。ポルトギーゼ40は1,023,000円。シーマスター300は1,089,000円です。

意外と上がってないな、と感じてしまうのはやはり感覚が麻痺していますね笑


ということで独断と偏見による「2022年版ベストバイ」これにて終了です。

お付き合いいただきありがとうございました。


「独断と偏見で選ぶ!価格帯別腕時計ベストバイ2021年版」のラストを飾るのは70~100万円のゾーンです。
例年書いている通りこの上はもう限度がないし、いわゆる「普通のサラリーマン」が買える価格ではない(と私は思う)のでこの価格帯までとしています。
対象は2021年に発売されたモデルですが、本数限定のモデルは対象外としています。

価格帯は実勢価格だとブレるので定価で区分しました。
記載の価格はいずれも記事作成時点のもので新品税込です。
また併記している実勢価格は各店舗の表示価格=ポイント還元等を含まない金額となります。

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70~100万円部門


シーマスター 300/オメガ

Ref. 234.30.41.21.01.001 
自動巻き。30気圧防水。SSケース+SSブレス。ケース径41mm

オメガ「シーマスター」。
ダイバーズウォッチのビッグネームのひとつであることはまあ疑いの余地がありません。

ただ、やたらとバリエーションがあるんですよね。

150m防水で回転ベゼルのない、ドレスウォッチ然とした「アクアテラ」。
ボンドウォッチに採用されたり波模様の文字盤が印象的だったり何かとアイコニックな「ダイバー300m」。
そして600m防水で派手なデザインの「プラネットオーシャン」。

しかし今回取り上げるのはそのどれでもなく「300」。「ダイバー300m」と紛らわしいですが別物です。

オリジナルは1957年のシーマスター300。
そのデザインコードを踏襲した復刻モデルが2014年にリリースされ大ヒット。今回は7年ぶりのモデルチェンジとなります。

その最大の特徴はノスタルジックなデザイン
ブロードアロー時針。アンティークベージュのくさび型インデックス。その内周にある3・6・9・12のアラビア数字。ベゼル上の数字のフォントが細いのもアンティーク調ですね。

新型は先代からさらにアンティーク要素を強めました

ベースの層の上にインデックスの形をくりぬいた文字盤を重ねるいわゆるサンドイッチダイヤルを採用。
つまりインデックス部分がくぼんでいるため、一般的なダイヤルとは逆の立体感があるのです。

そのベースの層にはベージュ夜光が塗られており、先代では白だったアラビアインデックスもベージュになりました。

そして秒針もロリポップに変更。
文字盤上から「MASTER CO-AXIAL CHRONOMETER」が消え「Seamaster 300」だけのシンプルな標記になったのも良い。
 
無論オメガの最新モデルですから実用性も抜群

超高耐磁、60時間パワーリザーブ、そしてマスタークロノメーター認定(まあ要するにスイスの認定機関による厳しい検査をパスしたということ)の高性能ムーブメント、キャリバー8912。

そして300m防水、当然ながらサファイヤクリスタル風防。スケルトンの裏蓋ももちろんサファイヤクリスタルです。

SSモデルのバリエーションはブラックとブルーの2種類。
それぞれにメタルブレスとレザーストラップが設定されており計4モデルとなっています。

 

定価はメタルブレスが891,000円、レザーストラップは847,000円です。

定価:891,000円(税込、以下同じ)
実勢価格:785,400円~(楽天市場調べ、以下同じ)

ちなみにブルーのメタルブレスで73万円台からありました。

ここで衝撃的な事実をひとつ。
この記事を書いているまさにその間に定価が上がりました。

変更前825,000円から66,000円のアップ。正直、やってられませんね笑

こうしてどんどん腕時計趣味が普通のサラリーマンから遠ざかっていく…

気を取り直して。

極めて完成度の高い時計だと思います。

超高耐磁、60時間パワーリザーブでマスタークロノメーター認定。
そんな「最新の技術で過去の名作を復刻」なのですが、いわゆる「忠実な復刻」ではありません。

オリジナルに忠実な復刻は2017年に「1957トリロジー」の中の1本としてリリースされましたが正直若干「やぼったい」。

それに対しよりスタイリッシュにブラッシュアップされた今回のモデル。
とりわけパネライをイメージしてしまうサンドイッチダイヤルを堂々と採用しているのは英断だと思います。素直に格好いい。

そして様々な調整を加えつつもデザインコードもアンティーク感も完全に残っているというのが実に良いですね。

まとめると「最新の技術と最新のデザインセンスで過去の名作をかっこよく復刻」した極めて完成度の高い時計。それがこのシーマスター300です。

あとはお値段がね…

ということで独断と偏見による「2021年版ベストバイ」これにて終了です。

お付き合いいただきありがとうございました。


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前の記事ではオメガ・スピードマスターのごく簡単な歴史と、ひとつめの弱点「人とかぶる」ことについて書きました。

以下の記事内ではスピードマスターを「スピマス」、手巻きスピマスのスピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナルを「スピマスプロ」と表記しています。

俺とスピマス 後編


前編でスピマスプロ以外のスピマスでは「スピマス欲しい気分」が満たされないと書きました。
しかしだからと言って即「よっしゃスピマスプロ買うか」とはなりません。ここで個人的に思うスピマスのふたつめの弱点、「値段の割に高級感がない」ことが壁になってくるのです。

スピマスプロのロマンは「変わらない」からこそ。しかしそれは同時に「パッと見が1960年代の時計」ということです。ましてや元々その実用性こそがNASAに評価されて採用になったわけですから、ラグジュアリー感など皆無。

マットな黒文字盤に白い夜光のインデックスと針という視認性を最大限に高めるデザインには煌めきも艶やかさもありません。(このあたり、Sinn103の記事で書いたことと共通していますね)

書いていて気づきましたが、グランドセイコーの真逆。
GSの特徴である立体感あるインデックスも多面カットの針も深みのある光沢をたたえた文字盤も、すべてスピマスプロに加えたら単なる蛇足であり原理主義者の逆鱗に触れます。

当然オメガもその辺りは承知していてずっとデザインは変えていない(高級感はスピマスの別シリーズで追及している)のですが、ここでひとつ問題が。

腕時計全体の価格帯が上昇を続けているのです。

私はさんざんセイコーダイバーの価格上昇について文句を書いてきましたが、正直スイス(やドイツ)製の時計に比べれば微々たるもんです。
ユーザーにとっては悲しいことに、腕時計はとても高価になりました。メーカー曰く「原材料費の高騰のため」。ですがまあ要するにそれでも買うどこぞのマネーの人たちがいるからですよね。

せめてもの罪滅ぼしか、各メーカーは自社プロダクトに高級感を与えるリファインを加えてきました。加工技術自体の向上と相まって素晴らしい仕上げの時計が増えたのも事実ではあります。

ロレックス・サブマリーナデイトがセラミックベゼルを採用したRef. LV116610LNあたりからラグジュアリー感を高め今ではすっかり顔も値段も(そして入手しにくさまで!)高級時計になってしまったのがいい例ですね。

当然のようにスピマスプロも値段は他メーカー同様に上げます。でもデザインは変えられない…ということでオメガはケースの仕上げ精度やブレスの質感を上げるに留めてきました。(それに加えて収納ボックスを豪華にしたりストラップ等の付属品をつけたりもしていますが)

同じ歴史的デザインを踏襲するモデルでも基本デザインを変えずに素材・仕上げ・細部のリファインを重ねることにより高級化に成功したサブ。それに対し今なおNASA公式時計であるためヘサライト風防を捨てることさえ許されない(バリエーションとしてサファイヤクリスタル風防のモデルはありますが)スピマスプロは、ユーザーに伝わりやすい高級化を遂げることが事実上不可能だったわけです。
まあサブとは元々定価でふた回り、並行価格では半分以下ぐらいの差がありましたから並べて論ずるものではないのですが。

結果的に私にとってスピマスプロは「ロマンも歴史的価値もわかるけど、高い」という印象でした。

時計沼にはまりだした頃の現行機はまだRef. 3570.50で、ちょうどそのすぐ後ぐらいにRef. 311.30.42.30.01.005にモデルチェンジして定価が約10万円上昇したのもそう感じる理由のひとつではあるのですが。

マイ・ベスト・オブ・スピマス


さて。
長すぎる前置きが終わり、ここでようやく登場です。

ファーストオメガインスペース(Ref. 311.32.40.30.01.001)
長いので以下「インスペース」と略します。

発売は2012年。
オメガの公式サイトはこのモデルについてこう説明しています。

 宇宙を旅した初のオメガ ウォッチ「スピードマスターCK 2998」。1962年、マーキュリー計画の「シグマ7」ミッションで、宇宙飛行士ウォルター・シラーがプライベートで購入して身に付けた時計です。
 シラーの歴史的なミッションから50年。オメガの時計が初めて宇宙へ行ったことを記念して、新しいモデルが誕生しました。敬意を込めて、わずかなデザイン変更を施した21世紀仕様の最新ムーンウォッチ。

CK2998=スピードマスターの2ndモデルです。
NASAに正式採用されるより前に初めて宇宙に出たオメガの時計なのでまさしく「ファーストオメガインスペース」。(それに「ムーンウォッチ」も冠するのはいかがなものかという気もしますが笑)

こいつのどこが私の琴線に触れるかというと、「スピマスプロのデザイン上の不満を解消」していながら「単なるデザインバリエーションではなく歴史的モデルの復刻」でありしかも「人とかぶらない」ところ。

デザイン上のスピマスプロとの相違点はまず何と言ってもアルファ針。
時分針、そしてインダイヤルの秒針にも採用されています。
現在まで受け継がれるおなじみのバトンハンドは次の3rdモデルから。1stはブロードアローですのでこのアルファハンドは2ndだけの意匠なのです。

そしてスッと伸びたラグと、リューズガードのない左右対称のケース。さらに12時位置のオメガマークがアプライド。NASA正式採用前なので「PROFESSIONAL」の文字もありません。そこに白いステッチの入ったブラウンレザーのベルトを合わせています。
リューズガードはNASAの要望によるものなので4thから。ちなみに「PROFESSIONAL」も同じく4thからです。

ラグやケースサイドの仕上げの質感もかなり良いですし、スピマスプロより2mmちょい小ぶりな横39.7mmというサイズも嬉しい。

クラシカルかつスポーティでありながらどこかドレッシー。

まぎれもなくスピマスでありながら、そこにドレス系の要素が違和感なく融合した端正な顔立ち。「高級感」まではさすがに言い過ぎかもしれませんが、個人的に凄く好みです。
オメガ公式にあるJBカラーのNATOベルトに換装した写真が超絶格好いいですよね。

風防はヘサライトではなくサファイヤクリスタル。個人的にはこの方がむしろ嬉しいし、「完全復刻」を謳っていないので正しい判断だと思います。
敢えて言えば防水性能が50mなのが残念ですが、まあ正直スペックを云々するレベルの時計ではないと思います。

繰り返しになりますがもう一度まとめると、

1861搭載の手巻きスピマスでなおかつ人とかぶらず、無骨さ一辺倒ではない綺麗な顔立ちでしかも歴史的デザインの復刻。

まさにマイ・ベスト・オブ・スピマス。


さて、発売後9年も経過したこの時計を今回取り上げたのには理由があります。

2021年1月、年明け早々にスピマス界隈にビッグニュースが流れました。

スピマスプロ、7年ぶりのモデルチェンジ。
しかも24年ぶりに新型ムーブメント「3861」へ変更。

これにより1861搭載の現行スピードマスターは生産終了となる可能性が高まりました。

記事作成時点で既にインスペースはほとんど市場になさそうです。

定価は583,000円(税込、以下同じ)ですが2021年3月20日楽天市場調べでは中古で468,000円~、新品は569,800円でした。

ちなみにスピマスプロも新品はかなり市場から消えています。元々の流通量が多いので中古にはまだ品がありますがやはり値段は上昇している模様。

まあ来年2022年でインスペース発売10周年。すなわちシラー60周年なので3861搭載のニュー・インスペースが出る予感でいっぱいですが。果たしていくらになることやら笑

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スピードマスターとは、その歴史(を語り出すとものすごく長くなるのでごく簡単に)


オメガ・スピードマスター(以下「スピマス」)。
時計好きなら知らぬ者はいない、ビッグネーム。

オメガのアイコン。そして世界一有名なクロノグラフではないでしょうか。
知名度だけならロレックス・デイトナと互角以上ではないかと。

伝説に彩られたその歴史。

NASAが大気圏外の船外活動での利用を認定した唯一の時計であり、月面着陸プロジェクトで正式採用され、人類初の月面着陸したアポロ11号の船員が月面で装着。映画にもなったアポロ13号の生還劇においても重要な役割を果たした時計です。

その当時から変わらぬ基本デザインとムーブメント設計を保ち続ける手巻きスピードマスターにオメガは「プロフェッショナル」を冠し「ムーンウォッチ」と呼んでいます。
公式サイト上では「スピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナル」という表記ですが「スピマスプロ」という略し方が一般的かと思います。オメガブティックに行くと店員さんは「ムーンウォッチ」って言いますね笑

スピマスと名のつくシリーズには膨大なバリエーションがありますが、このスピマスプロこと手巻きスピマスこそがまごうことなきフラッグシップ機です。

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俺とスピマス 前編


いきなりですが、元々私にとってスピマスは「興味のない時計」でした。

なぜなら 1.人とかぶる 2.値段の割に高級感がない ため。

まず「人とかぶる」について。

そもそも私はロスジェネの悲しい性として「人と同じが大嫌い」なんですよ笑
noteの記事でその辺を書いているのでよろしければそちらもどうぞ)

そんな観点からすればスピマスなんて真っ先に選択肢から外れます。なんで何十万も出して職場のあの人と同じ時計をしなきゃいかんのだ、って話ですよ。

まあそれを言い出したらロレックスもタグ・ホイヤーもグランドセイコーも怪しいのですが、スピマスは特にその傾向が強い。

なぜなら、シリーズの中でも圧倒的にスピマスプロが人気だから。

個人的な経験から言えば「全く同じデザインの時計をしている人を見る確率」はロレックス・サブマリーナデイト、同じくエクスプローラ1、そしてスピマスプロが高いように思います。

しかし。

時計沼にはまってその奥深さを体感していくうちに、時計の好みって変わる…というか広がるじゃないですか。

ドレス系に惹かれていたのが気づけばミリタリーが1本欲しくなったり、ダイバーズもいいなとかやっぱりクロノグラフは男のロマンだよなとか。

私も時計沼にはまって3周ぐらい回ったところで「あ~、やっぱスピマスってかっこいいよな」とか思うようになりました。


とはいえ人とかぶることに変わりはない。そこでムーンウォッチ以外のスピマスを物色し始めるわけです。

ただ暴論を承知で言えばスピマスプロ以外のスピマスって「ただのかっこいいクロノグラフ」なんですよね。

いや、これはそもそも逆でスピマスだけが特殊。
「宇宙に行ったのと同じ時計」というロマン込みでお金を払っている部分がある気がするんです。

歴史的モデルの完全復刻はちょいちょいありますが、ほぼそのままの形、しかもムーブメントの基本設計まで同じで何十年も生産され続けてきたというのはちょっとスピマス以外に見当たらない。現在に至るまで風防がヘサライト(強化プラスチック)なぐらいですし(※)。
※衝撃を受けると亀裂が入る=割れて飛散しないという性質により無重力下での安全性が高いため採用されている

すごく変な文章になりますが、スピマスプロ以外のスピマスは、スピマス内ではなく他のクロノグラフと比較すべきだと思うんですよ。

CK2998の限定モデル(Ref. 311.32.40.30.02.001)とかダークサイドオブザムーン(Ref. 311.92.44.51.01.003)とかめちゃめちゃ格好いいですけども。個人的にはどこか「これだったらスピマスでなくてもいいじゃん」という気持ちが頭をよぎるんです。いちクロノグラフとしてゼニスやブライトリングやタグ・ホイヤーと比べた結果として買うべきものだよな、というか。

スピマスを1本欲しくて検討していたはずなのに気がつけば違う場所に来てしまった感覚になるんですよね。
歴史的デザイン、という意味ではファーストレプリカ(Ref. 3594.50)とか同デザインの50周年記念(Ref. 321.10.42.50.01.001)、あるいはデザインコード的には引き継いでいる’57コーアクシャルのブロードアロー仕様(Ref. 331.10.42.51.01.002)もかっちょいい。ただこの辺も「歴史はあるけど宇宙には行っていない」というエクスキューズがつくんですよね。
まあファースト系でいえばトリロジー(Ref. 311.10.39.30.01.001)は横径38.6mmというサイズ感にトロピカルダイヤルで凄く惹かれますね。ずっとプレミアム価格が続いていましたが記事作成時点では中古で70万円ぐらいまでは下がってきていました。
(それにしてもなぜにオメガのリファレンスナンバーはこんなにも長いのでしょう。バリエーションが多いからか)


…ここまで書いた時点で結構な文字数になってしまいました。

まだ本題である「ファースト オメガ イン スペース」にたどり着いていないのですが笑、記事を分けます。


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