「独断と偏見で選ぶ!価格帯別腕時計ベストバイ2020年版」のラストを飾るのは70~100万円のゾーンです。
昨年も書きましたがこの上はもう限度がないし、いわゆる「普通のサラリーマン」が買える価格ではない(と私は思う)のでこの価格帯までとしています。
対象は2020年に発売されたモデルですが、本数限定のモデルは対象外としています。
価格帯は実勢価格だとブレるので定価で区分しました。
記載の価格はいずれも記事作成時点のもので新品税込です。
また併記している実勢価格は各店舗の表示価格=ポイント還元等を含まない金額となります。
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70~100万円部門
ポルトギーゼ・オートマティック40/IWC
Ref.IW358303
自動巻き。3気圧防水。SSケース+レザーベルト。ケース径40.4mm
美しい時計です。
正直これ以上の言葉はすべて蛇足のような気がしますが、もう少しつけ加えるなら
名門の歴史ある美しい時計。
オリジナルは1939年に遡ります。
既に精度の高い懐中時計メーカーとしての地位を確立していたIWC。
そこを訪れた2人のポルトガル人紳士がこんな注文をします。
「懐中時計並の精度を備えた腕時計がほしい」
その要望を満たすためにIWCは懐中時計のムーブメントを大型の腕時計ケースに収めるという手段を取りました。
なんて素直。
これは結果として横幅42mmという「巨大な」時計を生むことになりました。一般的な腕時計のサイズが横幅30~35mm程度だった時代ですから当時としては型破りなサイズ感。
しかしダイヤルや針は落ち着きのあるデザイン(懐中時計からの流用とも言われます)で、ドレスウォッチの体裁が保たれていました。
ここに「大きなサイズ」でありながら「上品なデザイン」という特徴をもったポルトギーゼが完成します。
ただやはりそのサイズが一般向けではなかったのでしょう、当時の生産数は決して多くなかったようです。
そんなポルトギーゼが復活したのは1993年。
IWC創業125周年記念モデルとして「ポルトギーゼ・ジュビリー」がリリースされ、腕時計好きの注目を集めました。
さらに1998年に発売された「ポルトギーゼ・クロノグラフ」がその人気を決定づけます。その後20年以上ほぼデザイン変更なく生産され続けている傑作で、現在ではドレス系クロノグラフとしては屈指の人気と知名度を誇るモデルへと成長しました。
そんな歴史をもつポルトギーゼの2020年新作がこちらのモデル。
オリジナルの流れをくむ3針スモールセコンド仕様です。
上で書いた「ジュビリー」をはじめ、過去にも3針スモセコモデルはたびたびリリースされてきました。それらは皆、オリジナル同様に42mmから45mmの大きなサイズ。(デカ厚ブームを経た現在では「ドレスウォッチとしては大きい」ですが)
それに対しこちらはそのモデル名にもある通り40mm(正確には40.4mm)。
そう、アイデンティティのひとつである「大きなサイズ」を手放したのです。
しかし腕元での存在感はなかなかのもの。これはクロノグラフ同様にベゼルがギリギリまで絞られている=ダイヤルの面積が大きいためでしょう。
そしてデザインはもう「らしさ」に溢れています。
まずは流麗なリーフ針の美しさ。上品なアプライドのアラビアインデックス。
ダイヤルとインダイヤル両方の外周はクラシカルなレイルウェイ。スモールセコンドが青針なのもいいですね。
このモデルはまさにそれ。
全体に控えめながらしっかりと立体感がある、見るからに「いい時計」です笑
スペック云々の時計ではないと思いますが一応書いておくと、パワーリザーブ60時間の自社製キャリバー搭載で裏蓋スケルトン。防水性能は3気圧と低めなので雨の多い季節は気を遣う必要がありますね。
バリエーションは針とインデックスがブルーのIW358304、ブルーダイヤルIW358305、18KゴールドケースのIW358306(これは値段が倍以上します)。
定価:797,500円(税込、以下同じ)
実勢価格:732,300円~784,300円(楽天市場調べ)
まだ実勢価格はこなれていないようですが、人気が高そうなのでどこまで安くなるかはわかりませんね。
改めてまとめると、
まちがいなくオリジナルの延長線上にありながら、同時にまぎれもなく最新のポルトギーゼ。
リーフ針、アラビアインデックス、スモセコというオリジナルのデザインコードを踏襲しつつサイズダウンと自動巻きで実用性を向上させた非常に優れたモデルです。
ということで独断と偏見による「2020年版ベストバイ」これにて終了です。