ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

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いったいなんだったのか。

そう言いたくなるぐらい、2020年は狂乱の1年でした。

2020年セイコーダイバー百花繚乱


まずは2020年の主な出来事を振り返ってみましょう。
基本的にはプロスペックスのダイバースキューバシリーズに関するものですが一部他シリーズ(マリンマスターやアルピニスト)も記載に含めています。

1月

・プロスペックスとして復活した「アルピニスト」SBDC087/089/091/093発売
・オールブラックの限定モデル「ブラックシリーズ」SBDX033(MM300)、SBDC095(スモウ)、SBDL065(ソーラークロノ)発売

2月


3月

・セイコーダイバーズ55周年アニバーサリーモデルが発表(発売は6月)され、その中に「ファーストダイバー現代デザイン」がフルリニューアルされたSBDC107が含まれる

6月

・新型「ファースト現代」SBDC107およびそのバリエーションであるSBDC101/103/105が発売

7月


8月

・「サムライ」のモデルチェンジ「キングサムライ」SBDY065が「Save the Ocean」モデルとして発売、同時発売のSBDY063は「キングタートル」仕様
・マリンマスターシリーズの「ツナ缶」がモデルチェンジ

10月

・「アルピニスト」から簡易方位計を省略したシンプルモデルSBDC115/117/119が発売

12月


整理し直すと、

フルモデルチェンジが「ファースト現代」「ショーグン」「1968現代」。
マイナーチェンジが「タートル」「サムライ」そして「ツナ缶」。
復活したのが「アルピニスト」。
完全新作として「小径ツナ」「セカンド現代」「シンプルアルピニスト」。

まあ正直、何やってんのって感じです笑

ダイバースキューバでは2019年に既にモデルチェンジしていたスモウ以外すべてモデルチェンジ…いやモンスターもしてないか。(モンスターはちょっと現行の位置づけがよくわかりません)

それに加えアルピニストの復活&シンプルモデル発売、マリンマスターではツナ缶系のモデルチェンジと「出せる札を全部出し切った」感が強いです。

個人的に1月2月はワクワクしていてディスコン予想も楽しくて笑
3月のファーストダイバーで盛り上がって、セカンド発表ぐらいまでは「うわ、早く現物見たい!」って感じだったんです。

それが10月のシンプルアルピニストで「さすがに出し過ぎでは?」と思い12月のショーグンと1968現代では「売れるのか?」と心配になりました。

大好物はおいしく食べたい


もちろんロングパワーリザーブの6R35への移行というムーブメントの世代交代を進めたかったのはわかっています。

最初に6R35を搭載したスモウがムーブメント変更&風防のサファイヤクリスタル化で旧型から+27,500円の価格上昇がありました。
さらに流通限定化=値引きなしに変更したためスモウとファースト現代(先代のSBDC051)との間で実勢価格の逆転現象が発生します。それを解消するためにファースト現代をフルモデルチェンジ。すると今度はファーストとショーグンや1968の間で実勢価格が逆転したためそのふたつもモデルチェンジ。

こんな単純な話ではないと信じたいですが…これ以外に理由があれば教えてほしいです。
6R15の生産を止めてすべて6R35にしたいという生産効率の話はもちろんあるでしょうが。

ただね。
これ、ぜーんぶセイコーさんの都合です。

ユーザーがどう感じるかという観点が全く欠落しているようなので教えてあげますよ。

2020年みたいなことをやると、ユーザーはこう感じるんです。

「雑に扱われた」
「自社製品に対する愛がないメーカーだ」

そしてこうも思うんです。

「長期的な視野も販売戦略もないんだな」

ダイバースキューバは数多くのラインナップを抱えるシリーズになりました。
SBDC系はスモウ、ファースト、セカンド、1968、ショーグン。
SBDY系がタートル、サムライ、モンスター、小径ツナ。

これだけあるんですから普通に毎年SBDC系でひとつずつモデルチェンジすればいいんですよ。それこそロレックスのスポーツモデルみたいに。

そうすれば好事家は毎年買ってくれるかもしれない。
でも1年で全部出したらマニアでも呆れるだけです。

ユーザーはセイコーダイバーが大好物なんです。でも大好物も全部同時に出されたら食べきれない。

自分で価値を下げてどうすんだ、って感じです。

2021年はセイコー創業140周年だそうです。
きっと2020年に出たモデルに勝るとも劣らぬ魅力的なモデルが数多く準備されているのでしょう。

だったらなおさら2020年に出したモデルを上手く見せてほしかった。
というか55周年でファースト現代デザインを使ったならセカンド現代デザインは残しておけば良かったのに。なぜ140周年記念モデルとして出さなかったんですかね。なんか隠し玉が準備されているんでしょうか。



価格設定もそうです。

旧型がこの値段で、モデルチェンジに伴う変更点がこれだから+いくら。
ちなみにモデルチェンジを機に流通限定にするので値引きはなくなるよ。

みたいな。

いや、それは全部そっちの理屈じゃん。
あと、それで売れんの?

6R35へ最初に移行したスモウの新型がデキも評判も良かった(きっと売れ行きも良かったんでしょう)ので、勘違いしちゃったんでしょうか。

ここでもユーザー目線が全くないし、価格戦略もない。
どういう層にどういう訴求をしてどれだけ売れるか、ちゃんと予測しているんですかね。

流通限定にして定価販売を強いたいのであれば値付けは抑えればいい。
変更点に対する価格上昇はモデルを跨いでも同じにしなきゃいけないというなら、それは思考が硬直化してますね。

売れなきゃ値段を下げるのは正しい。でもセイコーさんが欲しい(はずの)ブランド価値を下げるんだから最初からそうならない値付けをしてくれればなお良いですね。


あとはモデルチェンジした1968、ショーグン、サムライでプレーンなブラックダイヤル・ブラックベゼルモデルを出さないのも気に入らないです。
タートルは文字盤エンボス加工でちょっとプレーンとは言い切れないSBDY049がありますがこれもネット流通限定。

これまでは標準的なモデルをきちんとユーザーに見せてきたのに、どうしちゃったんですかね。


さて、新年早々めちゃめちゃ文句言ってきましたが笑、言いたかったのは要するにこういうことです。

私にとってセイコーダイバーはとても魅力的な時計です。

だからこそ、もう少しセイコーさんにも大切に扱ってほしい。

それだけなんです。



2020年2月の時点で書いた「セイコー プロスペックス ディスコンしそうなモデルたち」。
その解決編です。

インデックス記事:
セイコー プロスペックス ディスコンしそうなモデルたち(インデックス)【2020年版】

本当は6月ぐらいには新作が出揃いカタログも更新されて答え合わせできるだろうと思っていたのですが、プロスペックス全体のモデル数が増えすぎたためにカタログに載らないモデルが多く「カタログ落ち」が判別できず。公式サイトからもなかなか旧モデルの情報が消えなかったのこんな年末まで引っ張ってしまいました笑

各モデルの変更点や価格まで予想していましたので「的中度」も書いてみました。

1.SBDC051:的中度95%


ディスコン:的中!

予想変更点
◎:6R35へムーブメント変更→あり的中!
△:ベゼルインサートのセラミックス化→なし外れ
的中○:流通限定モデル化→あり的中!

予想価格→完全的中!
定価:130,000円+税=143,000円
実勢価格:143,000円
実質価格:128,700円


 

ファーストダイバー現代デザインはほぼ完全的中です。
特に値段をズバリ当てたのは我ながらお見事笑

まず限定モデルのSBDC107、後にSBDC101,103,105のバリエーションも加わりました。
外れたのはベゼルインサートがセラミックス化されなかったこと。そして上の項目には挙げていませんでしたが時針のアロー針はSBDX019(そしてSBEX009)との差別化のため変更しないと予想していましたが、変わりましたね。
デザインにクセがなくなりファーストダイバーのテイストも強まったということで、私も大喜びして速報記事を書きました。

ネット上の反響や楽天などでの購入者口コミの多さから見ても、恐らくセイコー今年最大のヒット作になったのではないでしょうか。プロスペックスのテレビCMでもこのモデルがフィーチャーされていましたね。

新型関連記事:
【超速報!】SBDC107、ファーストダイバー現代デザインが満点のフルリニューアル!
【速報】ファーストダイバー現代デザインに3モデル追加! SBDC101,SBDC103,SBDC105

ディスコン:的中!

予想変更点
×:ムーブメント変更→なし的中!
△:風防のサファイヤクリスタル化→あり的中!
△:デザイン変更→なし外れ
×:流通限定モデル化→なし的中!

予想価格→+3,300円?
定価:64,000円+税=70,400円→73,700円(想定)
実勢価格:56,320円(2割引き)→58.960円(同上)
実質価格:50,688円→53,064円(同上)

予想記事:

サムライもディスコンになりました。
ただしこちら、旧型は公式サイトから消えたのですが記事作成時点で新型は「Save the Ocean Special Edition」のSBDY065しか出ておらずいわゆる標準モデルが存在しません。

実は海外では文字盤エンボス加工のブラックダイヤルモデルが出ていて恐らくこれがプレーンです。「タートル」の新型SBDY049と同じですね。あちらが「キングタートル」ならさしずめこれは「キングサムライ」でしょうか…あるいは「ダイミョウ」とか笑
ちなみにサムライ伝統のツートンベゼルではなくブラックのワントーン。ホワイトダイヤル+ラバーベルトのバリエーションもあります。

ムーブメント、ケース、デザインいずれも変更なく、主な変更点は風防のサファイヤクリスタル化とベゼルインサートのセラミックス化です。デザイン変更は予想というより希望でしたのでやはり外れ笑

旧型の価格差は標準モデルと「Save the Ocean」モデルで+4,400円でしたので、新型もそれと同じとすれば標準モデルの定価は73,700円。旧型から+8,800円になる想定です。予想ではサファイヤクリスタル化が微妙と考え+5,500円としていたのでまあ妥当な金額かと。

3.SBDY015:的中度70%


ディスコン:的中!

予想変更点
×:ムーブメント変更→あり的中!
◎:風防のサファイヤクリスタル化+サイクロップスレンズ→あり的中!
◎:ベゼルインサートのセラミックス化→あり的中!
△:文字盤デザイン変更(エンボス加工)→不明
〇:流通限定モデル化→なし外れ

予想価格→―1,100円?&流通限定なし
定価:62,000円+税=68,200円→67,100円(想定)
実勢価格:68,200円(税込、以下同じ)→53,680円(同上)
実質価格:61,380円→48,312円(同上)

予想記事:
 

タートルこと3rdダイバー。こちらもディスコンです。
そして上のサムライ同様に、現在いわゆる「プレーンモデル」が出ていません。
「ネット流通限定」のSBDY049/051(いわゆる「キングタートル」)と「Save the Ocean」のSBDY063。どちらも文字盤は加工ありのデザインになっています。

変更点はほぼ的中…まあ記事作成時点で既にキングタートルが出ていましたので当然ですが笑

ラバーベルトのSBDY051ですと価格は65,000円+税=71,500円。
ネット限定モデルなのですが例外的に(恐らく「Save the Ocean」モデルとの価格的整合性を取るため)2割引きされており実勢は57,200円です。
(実質はネット流通限定のため10%ではなく5%還元で54,340円)

以前の予想では旧型から+9,900円だったのですが、変更点がほぼ同じであるサムライが+8,800円であろうことを踏まえるとこちらも+8,800円と思います。文字盤加工ありとの差額を4,400円と考えても同じです。

価格的には嬉しい誤算です。あとは普通にプレーンなSBDY015相当のモデルを出し、ダイヤル加工がない分もう一声安い想定通りの値付けをしてくれれば完璧ですね。実質アンダー5万円に収まるのは非常に大きい。

新型関連記事:
セイコー プロスペックス SBDY049、タートル狙いなら必見のド本命モデル
【速報】「キングタートル」値下げ解禁!セイコー プロスペックス SBDY049,SBDY051

4.SBDC029:的中度50%


ディスコン:的中!

予想変更点
◎:ムーブメント変更→あり的中!
◎:風防のサファイヤクリスタル化→あり的中!
×:デザイン変更→あり外れ
×:流通限定モデル化→あり外れ

予想価格→+22,000円&流通限定大外れ!
定価:140,000円+税=154,000円→176,000円
実勢価格:123,200円(2割引き)→176,000円
実質価格:110,880円→158,400円

予想記事:
 

ショーグンもモデルチェンジしました。記事作成時点で公式サイト上のカタログにはSBDC029が残っていますがまあディスコンでしょう。

変更点はムーブメント変更とサファイヤクリスタル化が的中。デザイン変更はしないと予想していたのですがリニューアルされ結構印象が変わりました。さらに流通限定化されたことによって割引もなくなり価格が大外れ。

元からダイバースキューバでは唯一のチタンモデルとして地味に独自路線を歩んでいたショーグンなのですが、価格上昇によりさらにマニアックなモデルになった気が…顔はシュッとしたんですけど。


結局すべてディスコン。

正直全部やるとは思っていませんでした。
今年のセイコーはちょっと異常な1年でしたね。



「ネット流通限定カタログ」の記事で「ディスコンが近いのかも」と書いたSBDC061。
「1968ダイバー現代デザイン」と呼ばれるこちらのモデルに新型が発表されました。

1968ダイバーの歴史からおさらいしてみましょう。

1968ダイバーそしてMM300とは、その歴史


1968ダイバーはその名の通り1968年にセイコーが発売したダイバーズウォッチのこと。

ファーストが1965年ですからその3年後に、防水性能を300mにアップし10振動のハイビートムーブメントを搭載した上級モデルとして登場しました。「ワンピースケース」と呼ばれる裏蓋のないケース構造も特徴のひとつ。
植村直己氏らがエベレスト登頂の際に使用したことでその名を高めました。

そしてそれから40年ほどの時を経て、2006年にSBDX001がリリースされます。
PROSPEXブランドの最上位シリーズ「マリンマスター」。そのファーストモデルとして選ばれたのが1968ダイバーの意匠を再現したこのモデルでした。

ゴールドだった針やインデックスのフチ、そしてベゼル印字がシルバーに変更されたこととを除けばデザイン上の大きな差異はありません。

オリジナルの特徴である300m防水とワンピースケースを備え、10振動でこそないものの上位ムーブメントである8L35を搭載したこのSBDX001は、長きにわたりセイコーダイバーのフラッグシップとして君臨してきました。

ちなみにこのモデルは「マリンマスター300m防水」=「MM300」と略されます。

2代目が2015年発売のSBDX017、現在は3代目となるSBDX023(2018年発売)がラインナップされています。
近年さかんに数量限定での復刻が行なわれているセイコーダイバーの歴史的モデルにおいて、現行の標準モデルでオリジナルデザインにかなり忠実なものが存在するのはこの1968ダイバーとツナ缶だけです。

…とここまででようやく「1968ダイバー」ならびに「MM300」の説明が完了しました。

そのセイコーダイバーのフラッグシップのデザインを現代風にモディファイし比較的手の出しやすい価格にしたものがこの「現代デザイン」版となります。

初代は2018年発売のSBDC061。

先代&MM300との比較


まずはMM300と先代を比べてみましょう。
(スペックの話をしても価格が違い意味がないので純粋にデザインの話です)




上:SBDX023、下:SBDC061

MM300と061の外観上の相違は一言でいうと「凝縮感」

前者はぶっといベゼルとチャプターリングでかなりインデックスが中央に寄っている印象を受けます。さらに6912時のインデックスも「太く短く」。視認性こそわが命!って感じです。あとこれは個体差あると思いますが、総じて夜光が黄色がかってます(ヴィンテージベージュではありません)。

対する061はベゼル自体もベゼル上の印字も細身。ケースも雰囲気は似ていますがやや華奢な印象です。ベゼルのサイドがケース上面からはみ出しているMM300に対し061は収まっているので、なんというかやや大人しいデザイン。各時ドットインデックスがチャプターリングから離れた配置なのも個人的にはいまひとつ。

そしてファーストダイバー現代デザインのSBDC051と同様のアロー針。これが賛否両論で否が優勢でした。

続けて先代と新型を並べてみましょう。



 
上:SBDC061、下:SBDC127

パッと見の印象は「MM300に近づいた」。
恐らくその最大の理由が上で書いた凝縮感なのでしょう。

127の方がベゼルもその上の印字も太く、MM300に近いですね。
そしてインデックス位置が秒目盛りに近づいており、061のドットインデックスが少し中央に寄りすぎているという部分は解消されています。ただしチャプターリングがなくなり秒目盛りはダイヤル上にプリントされているようです。(これはちょっと惜しい)

ケースデザインもさらにMM300寄りになりました。ケース上面の面積が減っている(=側面に落とし始める場所がダイヤル寄りになっている)ため、ベゼルサイドがはみ出しているのです。

そして針も変わりました。
好き嫌いの分かれるアロー針ではなく、今年発表された他の現代デザインと似た太めのバーハンドで先頭をとがらせたもの。平たかった先代の針と違い面があるのも良いですね。

6912時位置の各インデックスが長いのとテーパーしているのは例によってMM300との差異を残すための敢えてなのでしょう。

デザイン以外のスペックは例のごとく70時間ロングパワーリザーブのキャリバー6R35、200m防水にサファイヤガラス風防です。

そしてサイズが一回り小さ目になり厚さ12.5 ㎜、横42 ㎜、縦48.8 ㎜。
先代が厚さ12.7 ㎜、横44 ㎜、縦51 ㎜ですから横2mmに縦2.2mmコンパクトになり、細腕さんでもいけるサイズ感ですね。

バリエーションは2種類。

SBDC125

ブラックダイヤル+シルバーベゼル、メタルブレス。



SBDC127

ブルー(ネイビー)ダイヤル+ブラックベゼル、メタルブレス。

まとめと価格



いいと思います。

オリジナルに寄せるデザイン変更、サイズダウン、ムーブメント強化。
これって要するに大ヒットしている(っぽい)ファーストダイバー現代デザイン、SBDC101/103/105/107の先代SBDC051からの変更点と同じですから。

個人的にはケースの変更に「おおっ!」と思いましたね。

関連記事:

 

気になるお値段ですが、125と127は同価格で143,000円(税込、以下同じ)。
6R35に移行して先代+22,000円に抑えてきたのは評価したい…のはやまやまなんですがこれ流通限定=値引きなしなんですよね…ポイント10倍で実質価格は128,700円です。

SBDC061は121,000円の実勢価格は2割引きで96,800円、ポイント10倍で実質87,120円。実質だと+4万円強、約1.5倍ですね。

ちなみに大手家電量販店では記事作成時点で061に3割引きの値をつけて売り切りにかかっているところもありますのでお探しの方はお早めに。

ブラックダイヤルにブラックベゼルという標準モデルを出さないのはショーグンと一緒。これもたぶん先代の売り切りを意識してのことでしょう。

関連記事:


MM300に興味はあるけど値段的にちょっと…という方やあの重さが許容できないけどデザインは好きという方にはいいモデルだと思います。



今年の2月に「ディスコンしそうなモデルたち」として取り上げたSBDC029、通称「ショーグン」。

特徴やペットネームの由来など書いていますのでよろしければそちらの記事もご覧ください。

 

2015年10月にリリースされ、プロスペックスのダイバースキューバシリーズでは現役最古参となっていたSBDC029。どうやらいよいよ代替わりのようです。

顔が変わった新型「ショーグン」


目につく変更点はインデックスデザイン。

12時位置の逆三角形が牙型に。6時9時は元から弾丸型でしたが根元が広くなりました。
それ以外の各時はドットからかなりテーパーしたくさび形に近い台形に。




上:SBDC029、下:SBDC129

12時位置のインデックスや針がとんがっている「モンスター」や「サムライ」に対しドットインデックスの「スモウ」「1968ダイバー」。
SBDC029はその中間みたいなデザインでしたが、この新型はかなり「モンスター」系に寄った印象です。

細かなデザイン変更もいくつかあります。
まず全体に針が長くなりインデックスにリーチするようになった。これは「スモウ」のモデルチェンジでも行なわれた高級時計への正統進化。そして平面だった時分針に面ができたようですね。

ベゼルの目盛りも字体もシャープになりました。刻みも10刻みから15刻みに変更してすっきりしています。

インデックス、ベゼルとも「円み」が排除されているという感じです。

個人的には新型の方がシャープでデザイン的には好きです。でもだいぶ「モンスター」系なのでむしろ旧型の「どっちつかず」という個性(皮肉でなく)が失われたかと。

それ以外の変更点はムーブメントが70時間ロングパワーリザーブの6R35へ。
風防がサファイヤクリスタルになりサイクロップスレンズもつきました。
あとは地味に付属のウレタンバンドがなくなっています。

スモウの前例を見れば恐らく仕上げの質感も向上していると思われます。

サイズは厚さ 13.3 ㎜、横 43.5 ㎜、縦 51 ㎜と変更なし。デザインも写真で見る限りでは同じなのでケースは変わっていない模様です。

バリエーションは2種類。

SBDC129

ブラックダイヤルにブラック×ブロンズのツートンベゼル。秒針はローズゴールド。メタルブレス。

SBDC131

ホワイトダイヤルにブラック×グレーのツートンベゼル。シリコンラバーベルト。



SBDC029狙いの人は市場にあるうちに買うべし


以前の記事ではこんな予想をしていました。

予想変更点
◎:ムーブメント変更
◎:風防のサファイヤクリスタル化
×:デザイン変更
×:流通限定モデル化

予想価格
定価:140,000円+税=154,000円
実勢価格:123,200円(2割引き)
実質価格:110,880円

…価格がものの見事に外れていますね。

実際はSBDC029とSBDC129で比較(同じメタルブレスのため)すると

定価:160,000円+税=176,000円
実勢価格:176,000円(値引きなし)
実質価格:158,400円

ええええぇ?

スモウもSBDC031からSBDC083へのアップデートでほぼ同様の変更点で、その際価格は+27,500円。定価10万超のモデルは1万円単位の値付けなので本当は+33,000円ですが戦略的に+22,000円に抑えてくる。

そう予想していたのですが+44,000円…
(ラバーベルトのSBDC131は+22,000円です)

現在のSBDC029のコアショップでの標準的な価格がこちら。

定価:120,000円+税=132,000円
実勢価格:92,400円(3割引き)
実質価格:83,160円

つまり実質で190%。ほぼ2倍。75,000円の上昇。
これは…キツい。
こっそりウレタンベルト付属もなくなっていますし。

変更点からすればどう考えても定価で+33,000円までなのですが…
まあセイコーの言い分はきっと「チタンモデルなのでSSよりも高い値付けは当然。よってSBDC101他から+22,000円」なのでしょう。

いやそれにしてもそれぞれの先代であるSBDC051とSBDC029の価格差は+11,000円なのですが笑

うーん。

いずれにせよSBDC029の購入を迷っていた人は在庫があるうちにさっさと買ってしまった方が良さそうです。
ブラックダイヤルにブラックベゼルという標準モデルを出さないのもSBDC029を売り切るためかなという気がしますし。


個人的にSBDC129のブロンズは格好いいと思います。

ただデザイン的にモンスター系に寄りすぎて、「高級化したサムライ」という印象です。いや「サムライ」が偉くなって「ショーグン」になるというのは決して間違いじゃないんですが笑

ただ何と言っても変更点と価格上昇が見合っていない。
スモウが同じように倍近い実質価格でも売れたから、という判断なのでしょうか?

貴重なチタン製セイコーダイバーなのですから、もう少し販売戦略も考えてほしかったところです。




2020年1月に復活した機械式アルピニスト。

シリーズ名としては1960年代からありますが、そのスタイルが確立したのは1995年発売のSVCF005/007/009。それ以降はサイズやムーブメントは変わったもののデザインエッセンスは四半世紀の間ほぼ不変。

最大の特徴はインナーベゼルの簡易方位計。そして偶数時はアラビア数字、奇数時はくさび型が交互に並ぶいわゆる飛びアラビア数字のインデックスにコブラ針です。

マニアの間での異名は「和製エクスプローラー」。

アウトドアウォッチという出自やコブラ針(むこうはベンツ針ですが)と飛びアラビア数字インデックス(むこうは3・6・9ですが)がロレックス「エクスプローラー(以下「エク1」)」を思わせるというのがその由来です。

リンク先記事にその歴史や特徴を詳しく書いていますのでよろしければご一読ください。

 

そのアルピニストに、25年目にして初めてデザインバリエーションが登場しました。
一言でいえばシンプル版アルピニスト。マニアとしては「あれ、これ本気でエク1に寄せてきたんじゃ?」と思わざるを得ません笑

標準モデルからの変更点

1月に出たSBDC087/089/091/093(便宜上、以下「標準モデル」)との変更点は以下の通りです。

まず一番目につくのが簡易方位計ならびにそれを操作する4時位置のリューズがなくなったこと。アルピニストのアイデンティティである簡易方位計を手放すという思い切った変更です。

そしてさらに思い切ったのが今回発表された3モデルすべてが岩肌のようなざらつきを表現したグラデーションダイヤルというラインナップ。以前に紹介したオリエントスターアウトドアのRK-AU0206Bに似ていますね。

 
さらに細かく見ていくと、インデックスがアプライドから退色ベージュのプリントに。外周もドット夜光以外退色ベージュ。外周の細かい秒目盛りもなくなりました。

デイト表示は黒地に白文字(標準モデルと逆)でサイクロップスレンズもなし。
3時位置のリューズガードもなくなっていますね。

とにかく全体にシンプルになりました。

その分、厚さ 12.9 ㎜、横 38 ㎜、縦 46 ㎜とサイズがコンパクトになっています(ちなみに標準モデルは厚さ 13.2 ㎜、横 39.5 ㎜、縦 46.4 ㎜)。現行機械式プロスペックスでは最小となる38mm径が嬉しいですね。

それ以外の基本スペックは標準モデルとほぼ同じ。
おなじみ70時間パワーリザーブの6R35ムーブメントに20気圧防水、風防はサファイヤクリスタルで裏蓋スケルトン。そしてレザーベルトモデルはDバックル標準装備となっています。例によって全モデル流通限定=値引きなしです。

SBDC115

標準モデルでは一番人気(と思われる)グリーン、そのグラデーションダイヤル。あちらと同様に針とSEIKOマークはゴールド。こちらはメタルブレスを装備。

SBDC117

ブルーグラデーションダイヤルに同色のレザーベルト。針とSEIKOマークはシルバー。

SBDC119

ブラックグラデーションダイヤルに同色のレザーベルト。針とSEIKOマークはシルバー。

凄くいい、だからこそ気になる


下のまとめで改めて書きますが、いい時計だと思います。

ただ…個人的には色々惜しい。

まず、インデックスがプリントなこと。

コスト削減なんですかねぇ。ここは頑張りどころだったと思うんですが。標準モデルと同じアプライドインデックス使えばいいのに。使いまわしで済むんだし。

まあ無理やり好意的に解釈すればヴィンテージのエク1もプリントインデックスですからそれに寄せたと言えなくもない笑

ただ、この時計ではインデックスと外周がヴィンテージテイストのベージュ。
そして夜光は針と外周上のドットで、それは白なんですよね。

ん~、なんかちぐはぐに感じます。
夜光が退色してベージュになる方が自然じゃないでしょうか。

さらに言えばブラックとブルー文字盤は針とSEIKOマークがシルバーなのも気になります。ここはグリーンと同じようにゴールドにしてベージュのプリントと色調を合わせるべきなのでは。

そして誰もが思うことでしょうが、なぜプレーンなダイヤルがない?デフォあっての変わり文字盤でしょうが。

オリエントスターアウトドアは格好いいしこれも実物はかなり良さそうです。ただ、まず普通のやつをくれまいか。

あとはリューズガードも残してほしかったですね。

 

今後のバリエーションとして期待したいのは以下のふたつ。

まずはエクスプローラーっぽくすることに全振りしたバージョン。

普通のブラック文字盤に現行セイコー5と同じ「フチありアプライド」インデックスでエク1っぽく。当然インデックスのフチと針とSEIKOマークはすべてシルバー。であればリューズガードもなしのままで。メタルブレス。
インデックスと外周のプリントと夜光はどちらも白で。これをどちらも退色ベージュにした限定モデルとか出したらめちゃめちゃ売れそう笑

続いてアルピニストの色を強く残すならこんな感じでしょうか。

ブラック文字盤で標準モデルと同じアプライドインデックス(フチだけでなく全面)。インデックスのフチと針とSEIKOマークはすべてシルバーでこちらはリューズガードあり。メタルブレス。
インデックスと外周のプリントと夜光はどちらも白で、細かい秒目盛りも復活。

どちらも見てみたいけど、特に前者の「全力エク1」は本気でやってくれないかなあ。

セイコーさん、アイディア料は現物支給でオーケーですよ笑


価格とまとめ


定価は標準モデルから5,500円(税込、以下同じ)安い設定になり実勢でメタルブレスが79,200円、レザーベルトが77,000円。実質はポイント10倍でそれぞれ71,280円と69,300円。

上ではぶつくさ文句を言っていますが「アルピニスト」の名を冠した時計であること、そして「和製エクスプローラー」というかねてからの愛称に一歩近づいたデザイン変更であることを考えるとどうしても色々言いたくなるってだけです。

その辺の思惑を抜きにすると悪くない…どころか優秀なフィールドウォッチだと思います。

70時間パワーリザーブの6R35ムーブメント搭載機では最安値。
そして細腕さん待望の38mm径。

この2点だけでも高く評価したいですし、加えて20気圧防水ですから使い勝手としては抜群にいい。(その意味では文字盤のクセだけがちょっと気になりますが)

標準モデルも仕上げが良かったので、恐らくこちらも価格以上の仕上げなのでしょう。時計単体としては魅力十分です。

ましてこの加工文字盤に魅力を感じる人であれば強くお勧めできます。

以前に紹介したオリエントスターアウトドアや、そこでも取り上げたハミルトン「カーキフィールド」あたりとともに、アンダー10万円のフィールドウォッチとして非常に有力な選択肢だと思います。



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